外国人留学生に直撃!日本人学生のGood&Bad

Vol.2 同志社大学 李 漢卿(り・かんきょう)さん

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り・かんきょう●1990年8月5日生まれ、中国出身。親からの自立とグローバル社会での国際感覚を身につけるため高校時代から留学を希望。和歌山県での語学専門学校を経て同志社大学経済学部に入学。バスケットボールとボランティア活動に追われながら日本中を旅する。国際ボランティアの活動に加わり世界中の国を訪問するのが夢。

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旅行が好きで、中国にいるときもよく家族で旅行にでかけていた。写真は母親と一緒に中国河北省の秦皇島に行ったときのもの。

 

中国のことわざに倣って、日本の地で始めた新生活

高校卒業までは、黄河の下流に位置する中国の山東省で育ちました。高校時代は2人部屋の寮生活だったのですが、大学は海外で自立した生活がしたいと考えていたんです。僕が一人っ子だったせいか、母は留学に反対。北京大学などの中国の大学を卒業後、大学院で海外留学をと言い続けていましたが、親からの自立と国際感覚を身につけるためにどうしても必要なことだと説得しました。友達のお兄さんが日本に留学していて、話を聞く機会が多かったせいか、日本の大学に興味を持つように。いろいろと調べるうちに、欧米の大学に比べて、中国と同じ文化圏で、地理的に近く、奨学金制度が充実していて、アルバイトがしやすいことがわかり、自分も日本の大学に留学したいという気持ちが強くなっていったんです。その地域に住むことで日本文化を身近に感じたいと思い、東京ではなく京都の大学を選択。進学する前に日本語の勉強のため、和歌山の語学専門学校に2年間通いました。実は来日1年で同志社大学留学生試験に合格。けれど、日本語への不安をなくすためにもう1年通うことにしました。

 

中国には「見聞を広めるためには、たくさん旅をするか、たくさん勉強をすることだ」という有名なことわざがあります。本から得た知識は、体感することでより深まるということだと思います。両親は私を小さいころから中国各地に旅行に連れていってくれました。中国は広い国で、異なる地方に旅するたびに見識が深まったような気がしましたね。

 

今は夢がかなって、日本の大学で自立した生活を始めることができてとても満足しています。

 

2020年の東京オリンピックに向けて、国際的なコミュニケーションを心がけよう

日本の大学生を見ていて一番不思議に思うことは、どんなに通学に時間がかかっても実家から通っている人が多いということです。2年生の時に経済学部で知り合った友人に、名古屋から通っている人がいました。往復で4時間くらいかかるのではないでしょうか。中国では、大学の構内や近辺に寮があり、勉強する時間を確保するために、ほとんどの学生が親から自立してそこで暮らしているので驚きましたね。

 

もう一つ驚いたことは、日本のほとんどの大学生がアルバイトをしているということ。中国では学業が厳しく、学校があるときにアルバイトをしている学生はほとんどいません。親からの仕送りで何とか生活し、学生の本分は勉強と学内の部活動だと考えています。日本の学生にとって、アルバイトは一つの社会勉強としてとらえられているようで、びっくりしました。

 

授業を受けていて感じるのは、日本人はあまり自分の考えをはっきり言わないこと。周りの目を意識し過ぎて、自分だけが目立つ存在になりたくないと思う気持ちが強いようです。自分の意見をきちんと言えないと、他人とコミュニケーションが上手にとれません。意見をぶつけ合う機会がなければ、授業は本を読んでいるのと同じになってしまいます。これが英語による討論だと、さらに黙ってしまい、授業がシーンと静まり返ってしまう。英語の単語力とか読書力はすごくあるのに、スピーチやプレゼンテーションをするのはすごく嫌がります。これは、個人の問題ではなく、日本という国の文化なのかもしれないと思うようになりました。日本人は慎み深いのを美徳としていますが、2020年にはオリンピックも開催されるし、こんなに多くの外国人がいるのですから、もっと積極的に英語でコミュニケーションをとるようにした方がいいと思いますね。また、日本人と親しくなって感じることは、お世辞を言いすぎるということでしょうか。私は気を使われ過ぎると、自分に距離を置きたいのかなと考えてしまいます。はっきりと「イエス」か「ノー」を言ってほしい。会話の中で「ちょっと…」と返されることがありますが、その「ちょっと…」はどういう意味なのか、と考えてしまうことがあります。あいまいな表現は、自分と違う文化の人には通用しないということを知っておいた方がいいと思いますね。

 

ボランティア活動を通じて世界のあちこちを旅行してみたい

現在、ボランティアで京都市伏見区にある小学校に通う中国人2世の子どもの勉強を手伝っています。母親が中国人で父親が日本人の子どもですが、学校でうまく日本語で友達と話ができないそうです。そこで僕が時々話を聞きながら、中国語や日本語を教えています。自分自身、言葉でとても苦労したから、小さい子はもっと苦労していると思うのです。そういう子どもがほかにたくさんいると思うので、手助けをしていきたいと思っています。中国に一時帰国した時に、小学校から高校までずっと一緒で北京大学に進学した同級生に会って話をしたのですが、自分の考え方がずいぶん変わったなと実感しました。北京大学、上海大学など中国のエリート大学では、いい大学に進学し、いい会社に入るのが一番幸せな生き方だと思われています。でも僕は、日本で生活するにつれて少しずつ変わり、今は勉強以外でも自分ができることをやろうと思うようになりました。日本人は自分の地域や属する社会を少しでもよくしようと考えますが、中国はまだ自己中心で、地域のことにまで頭が回りません。

 

2014年はビザの申請などをして、国際ボランティアをしたいと思います。アフリカやアジアの開発国や貧しい地域のことを勉強したいですね。前期は世界経済史をとってアフリカのことを勉強したので、実際に行ってみたくなったんです。

 

卒業後は、日本の企業に就職するつもりです。日本の商社に入りたい。日本人のように自己に厳しい管理体制の中で自分を追い込み、いろいろ吸収したいと思っています。自分が日本で暮らしていくには、日本で就職して永住許可をとるか、国籍取得するかですが、日本は安全で便利でとても暮らしやすいので、家庭を持ったら、子どものために日本で暮らせるといいですね。

 

将来はもっと海外に触れて自分の視野を広げていきたいと思っているので、50歳になるまでに、南アメリカ大陸、アフリカ大陸など地球上の全部の大陸に行きたいです。そのときこそ、自分の人生は完璧だと言える気がします。

 

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李くんに質問!

Q1.何か続けている趣味はありますか?

高校からバスケットボールをやっています。日本の大学はサークル活動が盛んなので、大学1年の時はバスケットボールのサークルに入って合宿などを経験しました。友達が増え、とても楽しかったです。僕の通っていた高校は朝7時から夜9時までで、部活をやりたい人は朝6時に学校へ行くのですが、成績が良い人は部活を控えるように先生に指導されます。日本では思い切りバスケットボールができるのでうれしいです。

Q2.日本の女子大生をどう思いますか?

化粧をして授業を受けることにとても驚きました。中国にはあまり化粧をしている女子大生はいません。男女ともに、大学生が容姿を意識することはあまりないように思います。それから、高学歴なのに専業主婦志向が強い。専業主婦と仕事をしている女性の割合が、日本と中国は逆です。大学1年の時、同じ学部の優秀な女子が「専業主婦になりたい」と言うので、理由を聞くと、母親が専業主婦で、働く妻は夫の面目をつぶすからとのことでした。これは国家利益の損失で、同じアジア文化圏でも理解不能。日本の女性は美しくて賢明で気立てがよいので、世界中の男性の結婚相手として人気がありますが、ほとんどの国の男性が専業主婦志向の女性とは結婚したがらないと思います。お互いを高め合う関係が築けないからです。アベノミクスで女性の活用が言われていますが、女性自身の深い意識が変わっていないように思いますね。

Q3.日本で楽しかった思い出は?

2012年の11月末に同志社大学の友達20人ぐらいで行った北海道旅行です(写真左)。一番印象に残ったのは食べ物がとてもおいしかったこと。また北海道は広大で家も大きく、東京や京都などの町とはまったく違う印象でした。大雪だったので、雪の多いふるさとのことを思い出し懐かしくなりましたね。旅行はもともと好きなので、できるだけ日本国内を訪ねてみたいと思っています。これまでに奈良や沖縄などに行きましたが、四国で阿波踊りに参加するなど、その土地の文化に触れるのが好きですね。

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Q4.日本人と中国人の学力に差はありますか?

日本の文科系大学の入試用数学や英語なら大体解けるので、日本の高校生の家庭教師をやっていたことがあります。東京大学の入試問題は別として、一般的に日本の難関私立大学の入試問題は中国の北京大学や上海大学、または韓国のソウル大学の問題に比べると簡単だと思います。中国と韓国の入試問題は近年、どんどん難しくなってきているので、そういう点でも学力の差はあると思いますね。

Q5.日本で印象に残った体験はありますか?

大学1年生のころ、電車の中で財布を落としてしまったんです。下宿先に着いてから財布に入れておいた鍵がないことに気がついて、あわてて駅に戻りました。つたない日本語で駅員さんに説明したら、駅員さんがあちこち問い合わせてくれて。結局、別の駅に財布が届けられていることがわかり、取りに行ったことがあります。半分あきらめていたので、とてもうれしかったです。以来、日本人の優しさに感動する日々が続いています。

取材・文/川瀬美加 撮影/笹木淳

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