【インド編】コミュニケーションスキルが向上するインド駐在

Reported by はるお
インドのグルガオン(首都デリーの近郊都市)にある日系メーカーの現地法人に勤務。日本人駐在員ファミリーとのホームパーティーを通じた家族ぐるみの付き合いや、写真サークルでの活動が現地での楽しみ。現地の気候に育まれたおいしい果物を味わうのも日々の楽しみのひとつ。

英語で伝えることを前提に言葉を選ぶとうまくいく

こんにちは。はるおです。今回は、駐在生活で得たものを中心にお話しします。

私の場合、そもそも今の会社に入社した動機のひとつが、海外で働くことでした。ところが、初任配置は人事部。人事部から海外へ出ることはあまりないため、当時の上司には、毎日のように「海外で働きたい」とアピール。同時に英会話学校に通い、英語力を高めるよう努めました。その結果、4年目の始めに、最も海外赴任をしやすい部署へ異動させてもらうことができ、その1年後には、インドへの赴任が叶(かな)ったのです。海外赴任の希望をアピールする場合、英語力を向上させることも大事ですが、それよりも、「想いを伝え続けること」の方が効果的だと感じました。異動させてくれた上司には、今でもとても感謝しています。もちろん、人事部での仕事も非常に面白く、大変充実した3年間でした。目の前の仕事に懸命に取り組みつつ、希望もアピールするというのが、上司の評価につながったのだと思います。

赴任前は英会話学校へ通い、TOEIC(R)テストのスコアは860点まで上昇しましたが、赴任後はテストの類は受けていません。ただ、赴任前、特に不安だった「話す」「書く」スキルについては、赴任後の実践を通して、格段に向上したと思います。最も苦手だった「話す」スキルについては、赴任前は思ったことの30パーセント程度しか英語で話せる気がしなかったのですが、今では80~90パーセントは相手に伝えることができると感じています。日本語を英訳できるようになったというより、「英語で伝える」ことを前提に言葉を選ぶようになったことで、飛躍的に向上した実感があります。

ヒンディー語は、週に1度、週末の土曜か日曜に、外国人に対して自宅で英語とヒンディー語を教えているインド人女性のところに通って習っていました。家から15分くらいの近所で、知り合いの日本人駐在員に紹介してもらって通い始めました。家族が日本から来るまでの間の1年半くらい通ったと思います。毎回のレッスンは1時間で、1回のレッスン料は500円程度でした。

仕事自体は、ヒンディー語なしでも、乗り切れないことはありません。会社内は英語だけで意思疎通ができますし、お客さんも英語が話せる人が多いです。ただ、社内でも、営業セクションや顧客の中にはヒンディー語しか通じない人もいるので、話せると便利なことは間違いありません。プライベートの場面でも、スーパーのレジ係、ガス代を回収しに来る人、住んでいるアパートの受付など、ヒンディー語しか通じない人たちもいて、「ヒンディー語ができるに越したことはない」という実感です。

「聞き役」からアグレッシブな発信者に

海外で仕事をすることでつくづく感じたのは、世界にはいろいろな考え方・価値観があって、必ずしも日本が基準であったり、日本人の考え方・習慣が「正しい」というわけではないということ。日本で言う「言わずもがな」とか「あうんの呼吸」というのはインドでは通用しません。自分が思っていることややりたいことは、しっかりと言葉に出して相手に伝えていかないと、自分が思っている方向に進めることはできないのです。そうした経験を通じて、自分の思いを発信して周囲を巻き込み、目的を達成していく力が、赴任前と比べて、確実についているように感じます。

特にインド駐在を経験したことで、自分自身のコミュニケーションの質が上がったと思います。インドでは、皆が自分の考えを発信しまくっています。日本にいるときと比べて、毎日のコミュニケーション、特に「話す量」「聞く量」が圧倒的に多いのです。実際問題、かなりうるさいし、聞いているとキリがなくて疲れるのですが、こうしたうんざりするほどの量をこなすことが、コミュニケーションの質と能力を上げるトレーニングになっていると思います。私はもともと「聞く」タイプの人間で、自分から多くを発信するタイプではなかったのですが、最近ではインド人から「お前ほどアグレッシブで、多数のアイデアを発信する日本人は見たことがない」といううれしい褒め言葉を言われるようにもなりました。

将来、海外で仕事をしたいと考えている皆さんに言いたいのは、自分の軸を持っている人や自分に自信のある人は、海外でもどこでも、楽しくやっていけるということ。変に先々のことを深く考えすぎたり心配したりするよりも、今、目の前にある「やりたいこと」「やらないといけないこと」に没頭して、後悔のないように、一生懸命取り組んでほしいと思います。それが自分の軸や自信となり、将来、海外に出たときに必ず役に立つと思います。

海外駐在は、単身の場合、自分の家族や親、友人と会う機会が少なくなる点でつらいものですが、その分、新たな出会いや刺激も多くなります。その結果、仕事面でも生活面でも、自分の中に「変化」が起こり、確実に成長している実感が得られるはず。短くて一度しかない人生、思い切って海外に飛び出ることをお勧めします。

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ヒンディー語学習に使っている教材。ヒンディー語は、中国語、英語、スペイン語に次いで世界で4番目に多く話されている言語と言われている。

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ヒンディー語学習のために自分で作ったノート。ヒンディー語の読みをカタカナで、その意味を英語で併記した実践的な会話集だ。

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自宅近所で開かれたお祭り。サリー姿の女性も少なくない。

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街角で売られている果物。インドでは、マンゴーやメロンなど、果物がおいしい上に安いので、毎日食べてしまう。

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首都デリーにあるクトゥブ・ミナール。世界有数のミナレット(イスラム教寺院に付随する礼拝時刻告知のための塔)であり、世界遺産にも登録されている。

構成/日笠由紀

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