【ベルギー編】駐在で「当たって砕けろ」精神が身についた

Reported by コーラル
ベルギーのブリュッセルにある多国籍企業のオフィスに勤務。ワインや産地直送の新鮮な食材のおかげで、現地での食生活も充実中。週末を利用して、パリ、ロンドンやそのほかのヨーロッパの都市を気軽に訪れる小旅行が、気分転換にもなっている。

英語を使って仕事をすることにためらいがあった

こんにちは。コーラルです。今回は、海外駐在を通じて得たものなどについてお話しします。

もともと、海外で働きたいという強い希望があった私は、日本の大学を卒業後、まずイギリスの大学院に留学。その後、フランスに渡ってフランス語を学び、フランスのビジネススクールに入学しました。そこで最低6カ月のインターンシップが義務づけられていたことから、ブリュッセルでのインターンシップを経験。その際に知り合った今の会社の社長から誘いを受けて入社しました。イギリスの大学院を卒業したのち、普通だったら日本に帰国して就職活動をするところを、あえてフランスに渡り、一から新しい言葉を学んで仕事を得ようとしていたわけですから、仕事に就くまでは大変でした。日本で就職して活躍している同級生とわが身を比べて、精神的につらくなるときもしばしばありましたが、自分の選択に自信を持ち、信じる道に突き進みました。今の仕事は、これまでの経験が存分に生かせるので、この仕事に巡り合えたことは、とても幸運だと思っています。同時に、この経験・選択をしていなかったら、こんなにやりがいのある仕事には出合えていなかったとも感じています。

現在の仕事に就く前に日本で受けたTOEIC(R)テストの点数は955点。その後は受験していないので、現在のスコアはわかりませんが、それでも仕事を始める前は、ビジネスの場において英語を話すことに少し抵抗や躊躇(ちゅうちょ)を感じました。特に、電話対応には身構えてしまったものです。もしかすると、ビジネス文書の書き方など、「正しい」方法を教わることもなく、現場に投げ出された形で働き始めたからかもしれません。加えて、何事も型にはめて正解を求める日本人にありがちな「このやり方は間違っているのではないか」という不安があったからだと思います。

しかし、そんなことを言ってはいられない環境に飛び込み、英語を駆使して説明をしたり、自分の考えを述べているうちに、それがいつしか自分にとって当たり前のことになりました。今でも、「こういう言い方をした方が良かったかな」と反省することは日常茶飯事ですが、日々、同僚などから届く英語のメールや資料を参考にし、相手に伝わりやすい書き方、ビジネス英語の表現などに出合うたびに、自分のものにしてやろうと心がけています。話し方についても、同僚の使う言い回しなどで、いいなと思うものがあれば、その後自分でも使いこなせるように同じような状況を想像し、頭の中で繰り返したりしています。

そして、私が「わからない」と思っていることは、自分だけでなく、同僚も同様に「わからない」と思っているのだということも発見しました。この発見をきっかけに、言葉の壁を理由に不安を覚えることはやめようと思えるようになりました。このように、逃げずに体当たりで挑戦していくうちに、「当たって砕けろ」精神が身についたことも、海外駐在の意外な収穫だったと思います。

自然にワーク・ライフ・バランスが実現できている

ベルギーでは、働く女性が多く、結婚・出産後も仕事を続ける傾向があるので、ここでは女性であることが仕事のハンディになっていないことを痛感します。男性の同僚もごく自然に子育てに参加しており、子どもが病気になったときには、子どもを病院に連れて行った後に出社したり、早退して病院に連れて行ったりといったことを当たり前に行っています。職場には、それに対して不満を言う人はまったくいません。こうして、同僚たちが上手に仕事と家庭を両立しているところを見ていると、今の日本にも学ぶべきヒントがたくさんあるように思います。そもそもこちらの人は、「家庭を仕事の犠牲にしている」という感覚はなく、むしろ「仕事は、生きるためにやらなければならないことではあるが、あくまでもバランスが大切。仕事以外の生活も当たり前に楽しむべき」という感覚で生きているように思えます。彼らの働き方、暮らし方を身近に見られたこと自体が、私にとっては海外駐在の大きな収穫の一つと言えそうです。

また、小さなことではありますが、困難にぶつかったときでも、やり終えたときには「やって良かった」と思えるような経験がたくさんできました。こういう小さな成功体験を積み重ねていくことで、以前はできなかったことが、いつの間にかできるようになっていたりするものなんです。そうした自分の成長に気づいたときは、うれしかったですね。

将来、海外で仕事をしたいと考えている皆さん。語学の勉強は、しておくに越したことはありませんが、そもそも、相当やる気がないとなかなかできることではありません。本気で身につけたい人は言われなくてもやっているでしょうし…。それよりも、時間のある学生時代の間に、海外旅行や語学留学することをお勧めします。語学留学は、短期でも構いません。旅行も、できればツアーではなく、自分で予定を立てて行くような旅行をしてみるのがいいと思います。海外で自分の知っている英語を使ってみて、それが通じる経験は思った以上にうれしいもの。自然とどんどん勉強することになると思いますよ。そして、この感覚があるのとないのとでは、英語に対する捉え方、取り組み方がまったく変わってくると思います。

海外駐在のつらさは、日本にいる家族に何かがあったときにすぐに駆けつけられないことや、気の置けない友人にすぐに会えないこと。特に、駐在先に着いて最初の3カ月くらいは、すべてが新鮮で楽しいのですが、3カ月がたってその新鮮味がなくなってくると、気楽に会える友達がいないことを寂しく感じるようになってくると思います。その後は少しずつ知り合いが増えてくるので、いずれは解消されると思いますが…。

一方、海外駐在の良さはと言うと、駐在先によって違うので一概にまとめることはできませんが、とりわけヨーロッパ駐在は、気楽にさまざまな国を訪れることができるので、見聞を広げたり、いろいろな価値観で生活している人と接することができたりする点が魅力だと思います。海外だと、日本人同士というだけでつながる縁もあり、日本ではありえないような方との出会いがあったりします。そういう分野を超えた知り合いができるという点も、海外ならではの利点だと思っています。

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恒例のインラインスケートのイベントは、自宅の窓から眺めることもできる。音楽をガンガンに鳴らしながら滑るので、近所迷惑もいいところではあるが、街を盛り上げる大切なイベントだと思う。

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ベルギーの南部にあるワロン地方には、「美しい村協会」という組織があり、観光価値の高い田舎の小さな村の観光を促進している。この「La Foret」村も、そんな「小さな村」の一つだ。

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2014年9月にブリュッセルの中心にある大広場「グランプラス」で行われたビール祭りの様子。多くの種類のビールを一度に味わうことができる。

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ステンドグラスが美しいこのレストランは、もとは銀行だった建物が転用されており、地下には、頑丈な金庫部屋の扉なども残されている。このときはクリスマス仕様の装飾が施されていた。

構成/日笠由紀

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