【上海編】手柄は自分だけのもの!? 情報共有しない中国の人々

Reported by GT2000 Shanghai
中国・上海にある日系企業の現地法人で営業を担当。仕事のかたわら上海にある大学のビジネススクールにも通っている。現地での楽しみは、フランス租界など、上海の街を散歩すること。

「仕事を通じて得た情報や人脈は自分の資産」と考える

初めまして、GT2000 Shanghaiです。中国・上海にある日系企業の現地法人で中国市場向けの営業を担当しています。

同僚の8割が中国籍で、残りは製造拠点のあるタイからのスタッフが1割、日本人が1割。取引先は、半数が中国系企業です。残りは、世界各国の企業の現地法人で、アメリカ、フランス、ベルギー、スウェーデン、シンガポール、オーストラリア、台湾、香港、韓国、日本など、多岐にわたります。

このような環境ですので、4種類の言語を相手によって使い分けています。中国系企業以外の取引先とは英語で、中国系企業や現地スタッフとは北京語で、広東省にある取引先とは広東語で、日本人とは日本語で、という具合です。比率にすると、英語が3割、北京語が5割、広東語が1割、日本語が1割というところでしょうか。

現地スタッフのマネジメントで最も苦労を感じているのは、彼らが情報を共有したがらないこと。人口の多い中国では競争が激しく、いかに自分のポジションを作り、スペシャリストになるかが重要とされるケースが多々あるため、中国人スタッフは、「仕事を通じて得た情報や人脈は自分の資産」と考える傾向にあるのです。

とはいえ、個々人に情報がとどまっていると業務の進捗を管理できませんから、情報を共有せざるを得ない仕組みを作ってマネジメントしています。具体的には、年間の新規顧客の発掘件数や、売上金額達成状況などの指標を明確にし、定期的に達成度合いをチェックするのです。彼らを信頼できればよいのですが、情報共有をしたがらないという彼らの傾向だけでなく、国内のさまざまな組織で情報漏えいや賄賂、詐欺などの不祥事が起こっていることも考慮すると、ある程度性悪説にならざるを得ません。

また、特定のスタッフと親しくし過ぎると、ほかのスタッフから「ひいきをしている」と非難を買うため、等しく、適度な距離感を意識して接しています。

このような工夫をするものの、残念ながら、人事異動を拒否される、情報を共有しない社員が突然転職して引き継ぎができない、といったことがたびたび起こってしまいます。人事異動は、彼らにとっては築き上げた人脈やノウハウを失うことになるという認識のようです。

「スーツにネクタイ」という文化がない

中国のビジネスシーンの特徴の一つに、「スーツにネクタイ」という文化がないことが挙げられます。企業のトップであっても、ポロシャツで打ち合わせに参加してくることがあるのです。もちろん、ネクタイを締めるという文化もありません。日本のVIPを呼んで会議をすると、スーツにネクタイ姿の日本人とラフな服装の中国側トップという、対照的な光景を目にすることも多いですね。決して中国側トップが無礼な対応をしているわけではないので、日本側のVIPには、顔に出して怒ることがないよう、あらかじめ説明しています。

ちなみに、私の職場では、基本的には短パンやジーンズは禁止していますが、それ以外は、おかしくない服装であれば常識の範囲で認めています。私自身、普段はスーツにネクタイで勤務していますが、夏場はポロシャツで出勤することもあります。

次回は、中国と日本のビジネススタイルの違いなどについてお話しします。

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租界にあるブックカフェ。租界には、当時の建物をリノベーションしたホテルやカフェ、レストラン、ギャラリー、ブティックなどが多くある。また、住居として賃貸できる建物も。

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上海では今、ザリガニ料理がブーム。十数種類のスパイスで煮込んで食べ、味は、淡白なエビという印象。中国の人たちは、おなかを壊す可能性があるにもかかわらず、好んで食べている。

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出張先の内モンゴル自治区でのランチ。左から、水餃子、ホイコーロー、肉団子の土鍋スープ。羊肉を使った料理が多いのが内モンゴルの食事の特徴だが、中国化が進み、調理方法は中国料理と変わらなくなっている。

構成/浅田夕香

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