【メキシコ編】自分の常識を一度壊してみる経験を

Reported by アガベ
メキシコにある日系企業に勤務。現地での楽しみは、週末の食べ歩きや旅行など。車で2~3時間で行ける範囲に魅力的な地方都市が多いため、この機会にメキシコの文化に触れようと、週末ごとに小旅行を楽しんでいる。

海外駐在のポジションに一歩ずつ近づいた

こんにちは。アガベです。今回は、海外駐在で得られる収穫や、そのためにできることについてお話しします。

海外駐在員として選ばれようとするとき、選ばれやすさのようなものは、会社ごとにまったく違うと思います。海外駐在が採用の前提だったりする会社もあるでしょう。当社について言えば、海外駐在は決して当たり前ではなかったので、選ばれるための工夫や「縁」が必要でした。私の場合、「何でもいいから海外に行きたい」というわけではなく、海外でこれをやりたいという具体的な夢があったので、自分なりに作戦を練って臨みました。

当初は、やりたいことが実現できるようなポストとはまったく異なる部署・役職にいたので、目的とするポストを狙って、実績と人脈を築きながら一歩一歩近づいていきました。そうして2ステップほどの行程を経て、海外駐在員として選ばれるようなポジションに就くことができたのです。どうすれば選ばれるのか、選ばれるまでのストーリーを自分なりに作り、人事に認識してもらおうと努めた結果です。

幸い、英語は赴任前から問題のないレベルに達していたので、さほど苦労はしませんでした。とはいえ実際に毎日の業務で使うのは初めての経験だったので、「話す」ということに関しては、仕事を通じての実践に。そのおかげで、以前よりも流暢(りゅうちょう)になったのではないかと思います。

一方、メキシコの公用語であるスペイン語は、赴任前にごく短い間、スクールに通ったぐらいの状態で赴任したので、赴任後は週に2回、平日の昼休みに1時間半~2時間程度のプライベート・レッスンを受けています。家庭教師に職場まで来てもらっているのですが、いかんせん、日常業務では英語中心で対応しているためか、上達スピードは正直遅いような気が。業務で必要なのはもちろん、メキシコでの暮らしを楽しむ意味でも、身につけたいと思っているので、これからも学び続けたいと思っています。

学生のうちに幅広い層の人と接しておく

海外、とりわけメキシコで仕事をしたことで、私自身は一回りも二回りも成長できたと思っています。一般的に、大企業に勤めている人というのは、30歳くらいだとまださほど高いポジションにはなかなか就かないことと思いますが、海外にある事業規模の小さな拠点の駐在となると、組織が一気に中小企業の規模になるため、日本にいたときは考えられないような上位のポストに就いて仕事ができることになります。日本で係長だった人なら経営陣の一人、課長だった人ならトップ経営者になってしまうようなものです。採用も解雇も自分の決断で行わなければならなくなり、ダイレクトにビジネスを動かしているという実感、生々しさを存分に味わうことができます。

また、異文化経験を積むこともできます。なにしろ海外は、それまでの自分の常識が必ずしも通じない世界。自分が正しいと思ってきたことが相手に伝わらなかったり、ひっくり返されたりすることを通じて、文化の多様性を身をもって学ぶことになるでしょう。それまでの自分を外から眺める絶好の機会でもあります。また、日本だったら、「1」言えばたちまち相手が「10」わかってくれたところを、海外では「10」言って、ようやく「1」わかってもらえるかどうか。そんなもどかしさの中で、何を求めて、何をあきらめるのか、優先順位をつけながら仕事をすることで、絶妙なバランス感覚を養うこともできるでしょう。

メキシコのようなハードシップの高い(生活の苦労が多い)新興国だと、この地で暮らしていくことそのものが家族にとっての試練となり、自然と結束が強まるという利点もあります。私もメキシコでは、日本にいたときよりもいっそう、家族と助け合いながら暮らしているという実感がありますね。

そんな海外駐在だからこそ、学生の皆さんにはぜひチャレンジしていただきたい。そのためには、語学力はやはり必要です。英語ができるだけでどうにかなるわけではありませんが、言葉(英語)ができないことには何も伝わらないからです。

そして、語学力とはまた違う意味での「コミュニケーション能力」を高めること。今は、メールやSNSが全盛ですが、そうしたデジタルの世界ではないところで、幅広い層の人々、なるべく自分の常識とは別の尺度・視点を持った人とface to face(=顔を合わせて)で接する経験を積んでください。そうして、総合的なコミュニケーション能力を磨いておくことは、将来、必ずあなたの糧となることでしょう。応援しています。

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スペイン語の教材。ラジオの語学講座や語学学校の教材など、目的に応じた多様な教材で勉強している。

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光の加減によって、こんな夕焼けの風景が撮影できる日もある。

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市場にあるタコスの屋台。ここのタコスがメキシコ一おいしいと断言する日本人駐在員もいるが、言葉の問題と衛生面からまだ試したことはない。

構成/日笠由紀

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