キャリアの「決断」、どう決めましたか? 経済産業省

いでみつけいすけ●2009年入省。資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課 課長補佐。原子力政策の企画・立案に携わっている。長崎県出身、京都大学総合人間学部総合人間学科卒業。大学時代は勉強や研究に励む一方、吹奏楽団でトランペットの練習に打ち込んだ。バイクで全国をツーリングするなどアクティブな一面も持つ。
【経済産業省】 「日本の経済・産業の発展」をミッションとする省庁。経済政策のデザインや法人税改革、エネルギー資源の獲得から、身近な例では製品のJISマークの制定やQRコードの開発も経済産業省による仕事。経済、外国との商取引からエネルギーまで幅広い分野の政策の立案・法整備などを行っている。

自分のやりたいことを実現できる就職先をどうやって判断しましたか?

「これ以上、自分が生まれ育った地域が衰えていくのを見たくない。どうにかできないか」――私は長崎で生まれ育ち、商店街がシャッター街化していく様子など地域経済の衰退を目の当たりにして、高校時代から「地域活性化のために何かをしたい」という思いを持っていました。大学進学のために地元を出てからもその思いに変わりはありませんでしたが、いざ就職活動となると、自分がやりたいことが何なのか、どういう職業ならそれが実現できるのかが具体的にはわからず、悩みましたね。

そこでまずやったのは、徹底的に自己分析して自分を知ることです。自分が日々考えていることをノートに片っ端から書き出し、時間をおいて繰り返し見返して自分の思考プロセスを把握。次に、友人や家族に尋ねながら、他者と比較した自分の強みや弱みを知り、どういう仕事なら自分の力を発揮しやすいかを考えました。その上で、いろいろな方の話を聞いたり本を読んだりしていろいろな職業に関する情報を集め、自分がやりたい「地域活性化」を実現できる仕事とは何かを整理していきました。

実は、就職活動を始める前は、自分が霞ヶ関の「官僚」になるなんて想像もしていなかったんです。身近に「官僚」がいたわけでもなく、どんな仕事をしているのかイメージがまったくなかったので、最初は地元・長崎の企業か自治体で働くことしか考えていませんでした。経済産業省に興味を持ったきっかけは、大学で開かれた合同企業説明会。たまたま入ったブースが経済産業省で、職員から「日本の一人当たりGDPは世界で何位か知っていますか?」と問われ、「2位か3位ですかね」と答えたのですが、「違うよ。27位だよ」と教わったんですね。それを聞いて愕(がく)然とし、「日本の経済全体をどうにかしなければならない」という気持ちが芽生え、霞ヶ関で働くことを意識するようになりました。しかし、地元で働きたいという思いも強く、葛藤がありました。

経済産業省で働くことを決めたのは、自己分析と情報収集を繰り返し、本当に自分がやりたいことは何かを突き詰めた結果です。地元で働くことにこだわらなくても、むしろ、霞ヶ関で日本全体、世界全体も視野に入れて地域経済・社会が抱える課題に一つひとつ向き合っていく方が、根本的な「地域活性化」につながるのではないか、と考えて決断をしました。

後悔のない就職をするために、学生時代に準備できることを教えてください

自分が熱中できることをとことんやるということを徹底していただくと良いのではないかと思います。仕事の質というのは、結局、どれだけ熱中できるかに左右されるところもあります。自分の好きなことに熱中できない人が仕事に熱中できるかというと、そうではないと私は考えています。私の場合は、大学のときトランペットを吹くことに熱中しましたが、熱くなれるものがあるというのは就職活動でも大きかったです。面接で採用担当者に自分を知ってもらいやすいというのもありますが、それ以上に、とことん何かに打ち込むことで、自分の弱みや強みが見えやすくなる。結果、素の自分が何をやりたいのかを見極められるというのが、後悔のない就職のために大事だと思います。

出光さんから学生の皆さんへ

私自身がそうでしたが、学生時代は身近な世界しか知らず、視野が狭くなりがちです。本当に自分が進むべき道は、この瞬間自分の視野に入っていないかもしれません。いろいろな情報に触れ、いろいろな人と話し、自分と徹底的に向かい合うことで、後悔のない決断をしてください。その過程で経験したことは、就職活動だけでなく、社会人として仕事をする上でも生きていくと思います。それから、採用担当者は、皆さんがどういう人なのかを知るため、皆さんと本気で向き合い、ぶつかります。ぜひ皆さんも「ガチンコ勝負」でぶつかって、本当の自分を出していただけたらと思います。

取材・文/泉彩子 撮影/刑部友康

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