Vol.3 キャリアの「決断」、どう決めましたか? A.T. カーニー株式会社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
かわさきたけし●1978年生まれ。2000年東京大学理学部地球惑星物理学科卒業後、大手通信会社入社。13年、経営コンサルティング会社・A.T. カーニーに入社。現在は通信メディア業界のコンサルティングを担当するチームのマネージャーを務めている。大学時代は塾講師のアルバイトに打ち込み、生徒たちの成長にやりがいを感じた。愛読書は将棋をテーマにした漫画『3月のライオン』(羽海野チカ著)。

A.T. カーニー
1926年に米国・シカゴで創立された、40カ国61拠点を持つ経営戦略コンサルティング会社。米経済誌『フォーチュン』の世界企業売上高番付上位500社にランキングしている企業の3分の2以上を顧客に持つ。経営戦略立案から運営まで一貫したサービスが特徴。2014年の営業収益は11億米ドルを超えた。

これまでのキャリアで、最も大きな決断を迫られたのはいつですか?

新卒で入社した大手通信会社を30代半ばに退職し、経営戦略コンサルタントにキャリアチェンジした時です。転職前の会社ではシステムエンジニアといった現場の仕事に始まり、経営企画、海外留学とさまざまな経験をさせていただき、非常に恵まれたキャリアを歩んでいました。

 

ところが、30歳を機にこの先、自分がどんな社会人でありたいのかを考えてみた際に、ふと、このまま同じ会社で働き続けていいのだろうかと疑問を持つようになったんです。入社して10年もたつと職場でのポジションもそれなりに上がり、仕事は大変充実していました。「頑張れば、50代には会社組織を率いる立場になるかもしれない」という感触もありましたね。でも、「気力・体力共に充実する40歳の時点で、自分の力で世の中にインパクトを与える仕事をしたい」と考えると、現状に甘んじず、自分をもっとストレッチして成長したいという思いが膨らんでいきました。その思いにぴったり合っていると感じたのが、経営戦略コンサルタントという仕事でした。

 

経営戦略コンサルタントというのはお客さまの会社の抱えている課題に対し、一定期間で答えを出すことが求められます。お客さまの多くは企業の社長や経営陣で、内部では解決できないことをお金を払って依頼するわけですから、コンサルタントの仕事に対する期待値は当然高くなります。それに対して価値を提供するには、相応の努力や勉強が必要ですから、決してラクな仕事ではありません。でも、だからこそ、自分が成長し続けられると考えたんです。そこで、いろいろなコンサルティング会社の方とお会いしてお話を聞いてみた結果、私にとって「この人たちと一緒に働けば、最も成長できる」と感じた会社が当社でした。

 

経営戦略コンサルタントというのはそれまで私がやってきた仕事とはまったく違う職種です。一般的には30代になってからの大胆なキャリアチェンジはリスクが大きいと言われていますから、「家族を路頭に迷わせるリスクを背負ってもいいのか」と悩みました。しかし、「後から後悔するよりは、チェレンジして後悔したい」という思いが強かったことから、当社への入社を決意。家族が私の思いを理解してくれたことも、背中を押してくれました。

 

30代半ばで未知の世界に入り、ゼロから新たな仕事を積み上げていくのは大変なこともたくさんあります。まだまだ理想の自分からは距離がありますが、日々自分の成長を実感しながら、目標とする40歳の自分に向けて一歩一歩前進している手応えを感じられるのがうれしいですね。あの時キャリアチェンジを決意して本当に良かったと思います。

 

学生時代の経験で、現在のお仕事に役立っていることはありますか?

当社では、3、4人から、多くても5人ほどのコンサルタントでチームを組み、お客さまの抱えている課題を解決していきます。マネージャーとしてチームのメンバーを叱咤(しった)激励したり、たまには一緒に食事に行ったり、コミュニケーションを取りながら、プロジェクトを管理するのが私の仕事。何かを成し遂げてお客さま企業の成長に貢献できた時に、自分一人が達成感を味わうのではなく、チームで喜びを分かち合える。自分が一生懸命頑張ることが、みんなの成長につながることに大きなやりがいを感じています。

 

私には学生時代から人と共に成長できることに喜びを感じ、何かを頑張るというところがありました。大学時代は学業に励むタイプではなかったのですが、塾講師のアルバイトだけは4年間続けました。生徒一人ひとりの個性を知って教え方を工夫することで、自分が評価されるだけではなくて、教え子の生徒たちが勉強を「楽しい」と言ってくれるようになる。そこに魅力を感じてアルバイトを頑張れました。経営戦略コンサルティングの仕事にはハードな面もありますが、「大変なことがあっても、最後まで踏みとどまって頑張れる」という思いを持って仕事ができているのは、学生時代のこの経験で人と共に成長する喜びを知ったからだと思います。

 

もう一つ、私自身の反省から、学生のうちにぜひやっておくと良いと思うのが、英語の勉強です。私の場合は、30歳を過ぎてから初めて海外留学をしたので、その時に大変苦労しました。今でもプロフェッショナルとして仕事をしていくための十分な英語力があるかというと、残念ながら、まだまだです。今は英語の必要な仕事も増えていますから、時間のある学生時代のうちに、受験英語ではなく、コミュニケーションやプレゼンテーションのための英語を身につけておくと、きっと役立つと思いますよ。

 

川﨑さんから学生の皆さんへ

「働く」ということは、大人の世界で一人前であると認められることです。そのためには、多くの大人から話を聞くことが大変重要です。同世代の友人とのつながりも大切ですが、学生の間になるべく多くの「自分が尊敬できる社会人」「きちんとした社会人」と接する機会を持ってほしいと思います。学生は良くも悪くも、失敗が許される立場であると言えます。「あの時、話を聞いておけば良かった」と後悔するよりは、恥ずかしがらず、積極的に社会人とかかわるよう心がけてみてください。

 

“社会を知る”イベントに興味を持った人は、ココをチェック→キャリフル!

 

取材・文/泉彩子 撮影/刑部友康

  • このエントリーをはてなブックマークに追加