人事のホンネ

Vol.10 人事500人に聞いた「どちらの学生を採用したい?」<アルバイトvs部活・サークル編>

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採用に関する人事のホンネを聞いてみる企画。これから3回にわたって、「どちらの学生を採用したい?」をお題に人事500人へのアンケートの結果を紹介します。今回のテーマは、「アルバイトに没頭していた学生と、部活・サークルに熱心だった学生、どちらを採用したい?」。人事500人は、どんな回答をしたのでしょうか?

「アルバイトに没頭」「部活・サークルに熱心」、どちらの学生を採用したい?

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「アルバイトに没頭していた学生と、部活・サークルに熱心だった学生、どちらを採用したいと思いますか?」と質問したところ、「アルバイトに没頭していた学生」と答えた人事が33.0%、「部活・サークルに熱心だった学生」と答えた人事が67.0%となる結果に。

 

世代別に見ると、30代、40代で「アルバイトに没頭していた学生」と答えた人事がそれぞれ47.5%、41.2%だったのに対し(「部活・サークルに熱心だった学生」と答えた人事は、30代で52.5%、40代で58.8%)、50代、60代では、それぞれ23.2%、20.7%と低く(「部活・サークルに熱心だった学生」と答えた人事は、50代で76.8%、60代で79.3%)、世代間で差が出る結果となりました。なお、20代では、全体の結果に近い比率でした。

 

「部活・サークルに熱心だった学生」を採用したいのはなぜ?

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先輩・後輩との接し方や、相手の気持ちを察する力が磨かれるという点で、部活・サークル経験を評価したいと思います。というのは、年々、集団の中での振る舞い方を知らないのかな、打たれ弱いな、と感じる若手社員が増えているからです。例えば、「報・連・相(報告・連絡・相談)」をせず、また、わからないことを「わからない」と言わず、結果、仕事を一人で抱えて体調を崩してしまうなど…。また、私自身、部活経験がなく、規律が厳しい環境でもまれてこなかったため、若手社員時代は先輩との接し方に、役職についてからは部下や後輩との接し方に戸惑いました。年齢や世代の異なる人の考えに触れる経験をもっと積んでおけば…と後悔しています。

 

<「部活・サークルに熱心だった学生」を採用したいと答えた人事のホンネ>

部活動を通して団体生活の大切さや上下関係など体験することにより、責任感、計画性、意欲、態度などを養うことができるため。(ホームセンター・60代男性・人事歴7年)

 

仲間と一つの目標に向かって頑張った経験は、仕事をする上でもプラスになると思うから。(官公庁・30代女性・人事歴3年)

 

人との輪、人との関係に気をつかえるから。また、精神的な強さを身につけている可能性があるから。(デザイン業・60代男性・人事歴10年)

 

特に体育系の部活で活躍していた学生は、体力もあり、礼儀・上下関係が身についている。また、生活にメリハリがあり、はきはきした印象を受ける学生も多い。(アパレルメーカー・20代女性・人事歴6年)

 

部活やサークルでは、上級生として新入生勧誘、資金調達、意思決定、下級生指導、OB・OG対応などを自ら指導・けん引する機会が必ずあるから。指導役として自分で目標やゴールを設定して、達成方法を主体的に考える過程で悩み、葛藤した経験や、周りと調整してやり遂げた経験は、仕事に生かすことができる。一方、アルバイトの場合、店長や上司の指示のもと動くことが多いため、部活やサークルほど自分主導で行動する経験を積めないように思う。(官公庁・30代男性・人事歴5年)

 

「アルバイトに没頭していた学生」を採用したいのはなぜ?

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店長や上司、先輩から指示されたことだけをやってきた人ではなく、勤務先の経営に興味を持って積極的にかかわってきた人に魅力を感じますね。例えば居酒屋なら、売り上げや利益、客単価、回転率を上げるにはどうすればいいのかを考え、自分ができることに自発的に取り組む。そういう人は、社会人になっても「なぜこの仕事をするのか?」「この仕事を通じてどのように会社に貢献できるのか?」と考え、主体的に仕事に取り組めますし、商売の感覚も多少生かせると思います。このような自主性は、部活・サークルではなかなか身につかない姿勢ではないでしょうか。とはいえ、ここまで考えていた学生にめったに出会えないのが残念ですが…。

 

<「アルバイトに没頭していた学生」を採用したいと答えた人事のホンネ>

社会人としてのマナーやルール、お金を稼ぐ大変さ、協調性などが身についていると推測できるから。(コンサルティング業界・40代男性・人事歴15年)

 

一つの企業で長く働くには、会社の良いことも悪いことも受け止め、周りの人とうまくコミュニケーションをとっていかないと務まらない。アルバイトは、その予行演習になると思う。(不動産業界・50代男性・人事歴10年)

 

接客のアルバイトなどを通して、クレーム客への対応など、嫌だなと思うことを自分の中で消化して対応する経験を積み重ねているから。そういう経験があると、仕事で嫌だなと思う人や仕事に携わることになっても対応できる。(官公庁・30代女性・人事歴6年)

 

部活・サークルは、同年代、せいぜい2~3歳異なる人たちとの付き合いだが、アルバイトは、もっと幅広い世代との付き合いが必要になり、それだけ人間関係構築力やコミュニケーション力が向上する可能性が高いから。(ソフトウエア業界・50代男性・人事歴10年)

 

編集部より

ほかの人事からは、こんな意見も挙がりました。「一概に選べない。各々の活動をどんなふうにやっていたかが注視すべき点」(印刷業・50代男性・人事歴25年)。「“何に没頭していたか”が重要ではなく、“没頭したのはなぜか?”という理由が大事」(専門商社・40代男性・人事歴14年)。部活・サークルにも、アルバイトにも、それぞれに得られるものがあります。どちらかが絶対的に優れているというわけではないので、「活動を通して何を得たいか」という点から注力するものを決めてもいいかもしれませんね。次回のテーマは、「大学の成績のいい学生と、資格取得に励んだ学生、どちらを採用したい?」です。お楽しみに!

 

文/浅田夕香 イラスト/斎藤ひろこ(ヒロヒロスタジオ)

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