人事500人に聞いた 「さまざまなことに挑戦」 「一つのことに没頭」 どちらの学生を採用したい?【人事のホンネ】

「どちらの学生を採用したい?」をテーマに人事のホンネを聞いてみる企画、今回のテーマは、「さまざまなことにチャレンジし、多様な経験をしてきた学生と、一つのことに没頭し、継続して頑張ってきた学生、どちらを採用したい?」。人事500人は、どんな回答をしたのでしょうか?
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全体の約6割が「さまざまなことに挑戦」した学生を採用したいと回答

■「さまざまなことに挑戦」「一つのことに没頭」、どちらの学生を採用したい?
「さまざまなことに挑戦」「一つのことに没頭」、どちらの学生を採用したい?アンケート結果(円グラフ)

「さまざまなことにチャレンジし、多様な経験をしてきた学生と、一つのことに没頭し、継続して頑張ってきた学生、どちらを採用したいと思いますか?」と質問したところ、「さまざまなことにチャレンジし、多様な経験をしてきた学生」と答えた人事が63.8%、「一つのことに没頭し、継続して頑張ってきた学生」と答えた人事が36.2%という結果に。

世代別に見ると、20代においては、「さまざまなことにチャレンジし、多様な経験をしてきた学生」と答えた人事の46.4%に対し、「一つのことに没頭し、継続して頑張ってきた学生」と答えた人事が53.6%と上回り、全体とは異なる結果となりました。

さまざまなことにチャレンジし、多様な経験をしてきた学生」を採用したい企業は「異なる環境に適応できる柔軟性」を求めている

■「さまざまなことにチャレンジし、多様な経験をしてきた学生」を採用したいのはなぜ?

「新しい仕事に抵抗なく挑戦できるから」電機メーカー人事回答

当社の事業の特性として、モノづくりをするだけでなく、つくったモノを提供する相手(企業)のビジネスについても幅広く理解する必要があります。その際、さまざまなことに挑戦した経験のある人の方が、新しい知識や技術を学ぶことに抵抗なく挑戦し、スポンジのように吸収できる傾向にあるように思います。また、さまざまなことに挑戦したということは、失敗も経験しているということ。そこで培われた打たれ強さは、仕事で直面する困難を突破したり、失敗や挫折を乗り越えたりするときの原動力になります。この点から、挑戦と失敗を積み重ねた人に期待したいですね。

<「さまざまなことにチャレンジし、多様な経験をしてきた学生」を採用したいと答えた人事のホンネ>

さまざまなことにチャレンジしたということは、失敗や挫折も経験しているはず。加えて、多くの経験がその人の人生観や世界観を広げ、物事を多角的視点で考える能力が自然と身についていそうなので。(化粧品メーカー・20代・人事歴5年)

多様な経験を積み重ねることで、人としての幅も広がるし、自分と異なる考え・価値観を受け止める柔軟性も身につくので。採用活動で学生さんに接していると、「引き出しが少ないな」「視野が狭いな」と感じることが多いです。研究職なら一つのことを継続する力が重要だし、没頭するものがあること自体は悪いことではありませんが、それだけに没入せず、視野を広げてほしいですね。(教育サービス業・30代・人事歴11年)

いろいろとチャレンジしてきた人の方が、同時に3~4の仕事をこなせる資質を感じる。一つのことだけに力を入れてきた人だと、長いスパンの仕事には向くが、融通が利かないし、要領が悪い場合が多い。(機材レンタル業・60代・人事歴38年)

さまざまなことにチャレンジした人の方が、新しいことを抵抗なくやれるから。特に文系は、法務や経理など一つの分野で定年まで働くというよりは、さまざまな仕事を経験して専門性を見極めていくので、まずは、どんな仕事にも適応できる柔軟性が求められる。また、理系でも、一つの製品がずっと存在するとは限らないし、サービスやソリューションとの組み合わせも考えていかなければならないので、例えば「機械設計しかできない」というのではやっていけない。(電機メーカー・40代・人事歴24年)

人生は長いのだから、一つのことに没頭し継続していくことは、もっと後の年齢になってからでもできる。大学時代こそ範囲を決めず、失敗覚悟でさまざまなことにチャレンジしてほしい。(建築資材卸売業・50代・人事歴20年)

「一つのことに没頭し、継続して頑張ってきた学生」を採用したい企業は、「最後までやりきる強い精神力」を求めている

■「一つのことに没頭し、継続して頑張ってきた学生」を採用したいのはなぜ?
「最後までやり通すことが、仕事でも力になる」官公庁人事回答

仕事で成果を出すためには、精神的なタフさや、時に寝食を忘れるような集中力が必要。一つのことに没頭し、成果を出すことができた人であれば、これらを培うことができているのではないかと思います。実際、私の周りの仕事で成果を出している人は、何かしらやり遂げた経験がある人が多い。一方、採用面接で「さまざまなことにチャレンジしてきた」と話す人は、「なぜ?」「何を成し遂げた?」などと聞いても納得できるような具体的な回答が返ってこず、「仕事をやり遂げてくれるだろうか?」と疑問に感じざるを得ないことが多いですね。

<「一つのことに没頭し、継続して頑張ってきた学生」を採用したいと答えた人事のホンネ>

一つの課題を成し遂げたことが、必ずや今後の自信・成果につながるため。(鉄鋼メーカー・40代・人事歴11年)

あれこれ気の多い人は、自分に合わないと感じるとすぐにやめてしまう傾向にあるので。(建設業・40代・人事歴15年)

根気・勤勉さ・誠実さが伴わなければ一つのことを継続できないので。(専門商社・40代・人事歴7年)

継続は力なりをモットーに、仕事を粘り強くやってくれそうだから。(百貨店・20代・人事歴5年)

システム開発などを行う上では、一つのことを継続して頑張るような学生に希望が持てます。(精密機器製造業・60代・人事歴22年)

一つのことに没頭し、継続して頑張ってきた人は、好奇心の赴くままに活動してきた人よりもあきらめない強さやストレス耐性があると思う。一つのことを長く続けていると、いい時期もあれば悪い時期もある。そのときに、嫌だからと辞めるのではなく、どうすれば結果を出せるのかを考え、あきらめずに工夫・努力してきたことが、仕事で結果を出す上でも生きてくると思う。(アパレルメーカー・30代・人事歴14年)

編集部より

いろんなことにチャレンジしすぎてすべてが中途半端になるのも良くないし、一つのことに没頭しすぎてほかが見えなくなってしまうのも良くない、というところでしょうか。また、仕事内容によっても、どちらの経験が重視されるかが異なることもわかりました。いずれにしても、中途半端に取り組んだ結果何も得られなかった、というのは避けたいところ。自分の性格やどんな経験をしたいか、何を得たいかなどを考え、何に挑戦するかを取捨選択していきたいですね。

これまでたくさんの「人事のホンネ」を紹介してきました。日ごろから学生と接する機会の多い採用担当だからこそのコメントも多かったはず。学生生活、就職活動、社会人になってから…後になって「××しておけばよかった」と思わないように、今回の記事を参考に、ぜひ有意義な大学生活を送ってくださいね!

 

【調査概要】
調査期間:2014年3月5日~3月6日
調査サンプル:新卒採用を担当している人事500人
調査協力:株式会社クロス・マーケティング

文/浅田夕香
イラスト/斎藤ひろこ(ヒロヒロスタジオ)


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記事作成日:2014年4月28日 記事更新日:2024年2月13日

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