人事のホンネ

Vol.3 「学生時代、やり直せるなら××したい」 三菱食品株式会社

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さまざまな企業の採用担当者に「学生時代をやり直せるなら、何がしたいですか?」とインタビューしてみる企画。第3回は、学生時代にバックパッカーとして世界中を旅して回り、視野を広げたという三菱食品・名尾さんの「やり直せるなら…」です。

1980年生まれ、神奈川県横須賀市育ち。学習院大学経済学部卒業後、2004年に菱食(現・三菱食品)に入社。入社以来10年間人事部に所属し、一貫して人材採用業務を担っている。妻、2歳の娘との3人暮らし。休日には、おにぎりやサンドイッチをつくってでかけるなど、家族で活動的に過ごしている。
三菱食品株式会社 食品産業の中核企業として、従来の中間流通業の領域を超え、食流通の構造改革を主導。そして、生産から消費までつながるバリューチェーンに内在するさまざまな課題を解決し、最適な流通を提供することにより、日本の食文化の豊かさと多様なライフスタイルを支えている。

新しいことにどんどんチャレンジする!と決めた大学時代

大学入学のとき、「大学の4年間は、新しいことにどんどんチャレンジしよう」と考えていました。実際、さまざまなことにチャレンジし、視野が広がった4年間だったと思います。

 

最初のチャレンジは、サークル活動。まったく経験のないテニスサークルに飛び込んでみました。当時、学内で一番大きなサークルで、メンバーは100人以上。人数が多いサークルならば、同じ専攻の先輩がシラバスを組んでくれたり、教科書を譲ってくれたりしそうだな…なんていう狙いもありました。

 

入ってみると、かなり本格的に活動していて、週4日はテニスコートを借りて練習する硬派なサークルでした。初めはラケットの握り方もわかりませんでしたが、真面目にコートに足を運び、シーズンごとの合宿にもフル参加して、少しずつ上達。3年の時には中核メンバーとして、サークルの総務を担当するように。総務の仕事は、コートの手配や合宿の手配、イベントの企画や会場手配、出欠確認、週1回のミーティングの手配と進行などさまざまで、とても忙しかったですね。

 

実はこの時の経験が、今の仕事に生きていたりします。ミーティングでは数十人のメンバーを前に、今週の予定やイベント計画などの伝達事項を話すのですが、1年間それを毎週続ける中で、「情報をヌケモレなく、的確に伝える力」や「大勢の人の注目を集める話し方のコツ」を習得しました。社会人になって採用担当となり、いきなり会社説明会を任されましたが、その席でもアガったりうろたえたりすることなく、堂々と話すことができたのは、この時の経験のおかげだと思っています。

 

もう1つのチャレンジは、海外旅行。4年間、バックパッカーとして、世界のあちこちを回りました。春休みと夏休みはほとんど、日本にいませんでしたね。ヨーロッパやアメリカ、南米、東南アジア…アルバイトをしてお金をためては、海外に飛びました。

 

実は、父は仕事で海外赴任が多く、私が生まれたのはアメリカ。2歳で日本に戻りましたが、小学4年から6年まではタイに住んでいました。タイ在住のときは、かなり頻繁に旅行に連れて行ってもらって。タイ国内はもちろん、シンガポール、マレーシア、トルコ、オーストラリア…タイからだと旅費がとても安いんです。

 

いろいろな国で、さまざまな経験をしたことで、視野が広がりましたし、小学生ながら「人生、何とかなる」と学びました。当時の東南アジアは今よりもまだインフラが整備されていませんでしたから、旅行先のホテルのガスが壊れてシャワーから水しか出ないなんてしょっちゅう。タイの田舎で川下りを体験した時は、船底に穴が開いて沈没し、岸に泳いで渡った、なんて経験もしました。でも、なんとか家に帰ってこられた。度胸が付きましたね。こんな経験をさせてくれた親に感謝するとともに、「大学生になったら、自分でお金を稼いでどんどん海外に飛んで、さらに視野を広げに行こう」と思っていました。それを実行したのです。

 

旅の楽しみ方は、世界遺産を回って当時をしのんでみたり、現地の人に積極的に話しかけてコミュニケーションを楽しんでみたり、現地のバスを乗り継いで目的地を目指したり。現地語で書かれたメニューを見て、わからないながら注文し、何が出てくるかワクワクするのも楽しい経験でした。そのときに感じたのは、「自分はさまざまな人と接するのが好きであり、得意なんだ」ということ。食品中間流通である当社を目指したのも、「人と人との中間に入るこの会社であれば、ほかの会社よりも多く、メーカーや小売業者などさまざまな立場の人とコミュニケーションが取れる」と思ったのが理由です。

 

「すべてが自由」のゼミで「なぜこうなのか?」と深掘る習慣を身につける

ここまでだと、「大学時代は遊んでいただけ」と捉えられかねませんが、勉強も真面目にしていました。授業において最も力を注いだのは、3年生からのゼミ。玄田有史教授(現在は東京大学社会科学研究所教授)の「労働経済学」のゼミを専攻したのですが、研究テーマはまったくの自由。自分たちでテーマを決めて、それについて取材をして、発表するというものでした。

 

「自由」というのは、実はとても不自由。とっかかりがないから、何から手をつけていいかわからないんです。今興味を持っているものを片っ端から挙げてみてゼミ仲間と話し合い、一つにテーマを絞っていろいろな人に話を聞いて回りました。私のチームがテーマに選んだのは「治験」について。動物を利用した臨床試験に問題意識を持っていた仲間がいたのがきっかけでしたが、動物だけでなく、新薬の治験アルバイトを受けた人に取材するなど治験全体にテーマを広げて研究しました。

 

ほかのチームのテーマは、「ろうそくの揺らぎ」「おみくじ」「横須賀・猿島」など、バラバラ。もはやどれも労働経済学にまったく当てはまっていないのですが、これぐらい「自由」な中からテーマを絞り、研究を進めるには、「なぜ、このテーマなのか」「なぜ、この人に話を聞くべきなのか」「なぜ、この仮説に至ったのか」など、常になぜ?なぜ?と掘り下げていく必要があります。この「なぜ?」を繰り返す習慣が身についたことが、社会人として仕事を進めるうえでとても役立っていますね。仕事には、「これが正解」というものはありません。このやり方でいいのか? この結論でいいのか? 今も常に自問自答しています。

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学生時代に戻れるなら、もっと本を読み、世代の違う人と会い、さらに視野を広げたい

今のキャリアにつながる、充実した学生生活を送ることができたと自負していますが、「これをやっておけばもっとよかった」と少し悔やんでいることが2つあります。

 

1つは、本を読むこと。大学時代、旅行などで国内外のさまざまな人と触れ合うことができ、さまざまな刺激を得ましたが、本からはさらに膨大な情報を受け取れます。目の前に相対する人だけだと情報量に限界がありますが、本ならば、もう亡くなっている人、歴史的な偉人、個人では会うことができない社会的地位の高い人などの意見もすぐに知ることができ、吸収することができます。学生時代に読書の習慣をつけておけば、もっともっと視野が広がっただろうと、考えています。

 

2つ目は、年齢が離れた人と会話をすること。学生時代は、ゼミ仲間やサークル仲間など、どうしても同年代とのコミュニケーションばかりが活発になります。彼らから刺激を得たり、学んだりすることも多かったのですが、社会人経験の長い年長者や、逆に年下の若者の意見なども積極的に取り入れていれば、さらに視野が広がり、多面的なものの見方ができるようになったのではないか…と思います。

 

社会に出ると、上司や先輩、取引先の方々など、さまざまな年代、役割、立場の方とのやり取りが発生します。学生時代は、多少コミュニケーション下手でも怒られることはありませんが、社会人になったらそうそう失敗は許されません。学生時代に違う世代の人ともっと会話をしておけば、初めから円滑にコミュニケーションができ、社会人としての立ち上がりも早かったのではないかと。これは学生の皆さんにも、ぜひ勧めたいですね。

 

名尾さんの愛用品

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なくてはならないのが、手帳。この手帳は、東急ハンズで購入したもの。7~8年はこのシリーズを使っています。毎朝、その日やるべきことをTODOリストとして書き出し、やったら赤ペンで消していきます。このやり方だとヌケモレがないうえ、「今日はこれだけ仕事をした!」という達成感も得られます。また、過去2~3年分の手帳は、会社の机に保管してあります。「去年はいつごろから会社説明会を始めたかな?」などというとき、すぐに取り出して確認し、今年の計画に役立てています。
Outlook(メーラー)などで管理する方法もありますが、「これ1冊で完結する」「持ち歩けて、すぐに見られる」のが手帳のいいところ。手で書き込むためか、読み返すと当時の心理状態まで思い出せるのも魅力です。

 

取材・文/伊藤理子 撮影/刑部友康

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