“グローバルメーカー”で働くとは?

Vol.3 三菱電機株式会社 領家 輝幸さん

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[INTRODUCTION] 幼い頃に乗ったエレベーターと、今乗るエレベーター。かすかな記憶をもとに比較してみると、「待たない」「揺れない」「速い」など、改めて気づく点は多いのではないだろうか。身近な存在のインフラ、このハイテクシステムの進化は、こうしてひっそりと、しかし確実に未来をつくり出し続けている。領家の仕事は、施主やゼネコン、設計事務所などにエレベーターを提案する営業。ほぼオーダーメードに近い製品は、まさに営業の意志から生み出されてゆく。

 

自社製品から逃げられないメーカー営業。だから生まれる全社一体感が僕は好きだ

自分たちの力でモノをつくっている会社にしか興味がなかった。就職活動を始める前からずっと。メーカーの営業は、自社製品から逃げられない。自分たちの力が劣っていれば、世の中からしっぺ返しを食らうし、優れていれば、賞賛が待つ。「そんな縛りなんかなく、その時々で最善のモノを持ってきて社会に提供できる仕事がいい」それも一理あるし、そう考える人は、そうした業界に進めばいい。

しかし、僕は今ふり返ってもメーカーがいい。製品の良し悪しは、技術者にしか頼れないと思うなら、それは大きな誤解だ。社会との接点の真ん前に立つ営業が、つくるべき製品像を技術者に伝えなければ、いい製品など生まれない。だから製品力を技術者のせいになどできない。自社のポテンシャルから逃げられない以上、一体になって頑張るしかない。僕は仲間と流すこの汗が好きだ。そして自分たちでつくるからこそ持てる「うちのが一番」という愛、だからこそ世界中に広めたいという揺るぎない誇りが好きだ。自分たちで考えて、自分たちでつくって、自分たちで売る。それは社会に対する大きな責任を背負う。でも、その責任の重さが人を磨き上げる。14年目。僕はそう思う。

 

三菱電機の看板を汚すな。そしてそこに、あぐらをかくな。

「まあ、挨拶だけでもいい。とにかく足を運んで”三菱電機の人間がウチを見ていてくれる”という安心感を残してこい。お前の足跡を残してこい」研修期間があけた2年目の4月、先輩にそれだけ伝えられて、僕はいきなり超大手の電鉄グループへの営業を一任された。エレベーターの営業先には、ビルの所有者であるオーナーと設計事務所、そして建設を請け負うゼネコンの3方向がある。すべてに認められなければ、受注は難しい。

営業に出て、僕は初めて三菱電機という看板の重みを知った。「三菱電機さんなら安心だ」という重み。命を乗せるエレベーターには、まず製品、工事、保守という全面的な安心感が求められる。長い長い時間をかけて先人たちが磨き上げてきた看板を、僕の代で汚すわけにはいかないと思った。僕は生まれも育ちも鹿児島の薩摩隼人だ。真っ直ぐに生きる会社の様が、僕自身と重なった気がした。「でも、看板にあぐらをかいていてはダメだ」と思う。「新しい価値を世の中に生み出さなければ!」誰よりも新しく、誰よりも早く。

 

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世の中への新しい価値提案をした。友は朝寝坊ができるな、と笑った。

ある年、営業、設計、保守、工事、工場のメンバーが集まった会議で僕たちは、わくわくしながら議論していた。数年後のエレベーターをどうするか?という委員会の場だった。「うちのエレベーターとさ、うちのセキュリティーゲートシステムを連動させたらどうだ?」セキュリティーゲートとは電車の改札機のようなもので、そのビルのオフィスで働く社員はゲートにIDカードをかざして入館する。文字どおりセキュリティーのためだが、これをエレベーター待ちの行列解消に使えないかというわけだ。

「うちも朝はひどいからなあ」朝8:40から9:00。出勤ピークともなれば、驚くほど長い行列がビルの共用部分まで埋め尽くしてみんな困っていたのだ。「で、どうやって?」こんな話だ。IDには各人の降りるべきフロアが登録されていて、たとえば8階なら8階行きのエレベーターに乗るよう人を誘導する。「あなたはA号機」など。つまり同階の人を集めて、止まる階をなるべく少なくさせて運転する。行列の原因は、さまざまな階の人が同乗することで、すべてのエレベーターが各階停まりになってしまうからだ。電車で言えば、各停から急行へ。「なるほど・・・これは効果あるぞ」3~4年後、いよいよ僕たちはチームをつくって早速、導入を計画した。

第一号の客先は、本社のある東京ビルだ。僕の役割はビルオーナー、社内総務部門との調整役だった。そして2010年1月、新しいシステムは稼働を始めた。効果は絶大だった。同じフロアの同僚が言った。「これはすごいよ!これで一本遅い電車で来ても間に合うよ。ありがとな!」今、このシステムは世界中の職場を変えようとしている。未来には、こうやって一歩一歩、でも確かに近づける。自分たちの力で。

これは俺の仕事だ、という想い。それこそが仕事を楽しくし、未来をつくる。

エレベーターの営業という仕事。案件が持ち上がってからエレベーターが動き始めるまで、小さなビルでも2年。大型再開発プロジェクトに至っては、20年30年越しで営業が続く。ひとりじゃ所詮、無理。仲間から仲間へバトンを渡して、夢と責任をつないでゆく。ズルしたら終わる。途切れたら先人の汗は無駄になる。その重すぎる責任を背負いながら、でも僕はこの仕事が楽しくてしかたがない。たぶん、仲間たちもそう。きっとそれは、「このプロジェクトは俺たちの仕事だ。俺たちが次の世の中をつくるんだ」という想いを仕事に叩き込んでいるからだと僕は思う。

街に出てカミさんや子供と一緒でも、エレベーターに乗るとつい「ん?どこのだ?」と見てしまう。「ふーん。こんな工夫してるのか・・・」と。ハッピーな公私混同とでも言うのかな。僕はその力が君の仕事を楽しくして、そしてそれが未来をつくっていく原動力になるのだと信じている。

 

 

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