外国人学生のリアルレポート

Vol.1 ハーバード大学 アニー・ルーさん

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アニー・ルー●1993年生まれ、テキサス州(アメリカ)出身。全米12大学に願書を出し(※)、合格通知が届いた中でハーバード大学が一番伝統ある大学でいろいろな世界に挑戦できると思い入学。高校時代から将来は弁護士になりたいと思っていたが、ハーバード大学で心理学や経済学を学び、クラブ活動を通じて実社会のことを学ぶうちにビジネスの世界にも興味が出てきた。日本へは、台湾在住の祖父母に会いに帰省した際に立ち寄ったのがきっかけで興味を持った。

※ アメリカでの大学進学には、一般的に、日本のような入学試験ではなく、それまでの学校における各科目の成績が参照されることが多い

大学生活について

ハーバード大学での1年について教えてください

大学は2期制です。新学期は9月に始まり、感謝祭休暇(11月末)から1週間ほどで前期試験が始まります。試験の前になると、“reading week”と呼ばれる週があり、学生はそれぞれ図書館などでレポートを書いたり試験勉強をしたりして過ごします。試験が終わると1月末まで冬休み。後期は2月1日から始まり、イースター休暇(4月中旬)から1週間ほどで、“reading week”に続いて後期試験になります。試験が終わると5月中旬から夏休み。母は「ハーバード大学は学費が高いのに、休暇が長い学校ね」と苦笑いしますが、その通りかもしれませんね。でも、大学側は、長い休暇には、インターンシップなどさまざまな体験をして将来を考えてほしいようです。

 

将来についての相談は誰にしますか?

ハーバード大学には、将来の仕事に関する相談窓口や専攻や単位について相談する部署、健康について、また授業料など金銭的な問題について相談する担当などそれぞれの問題に対応できる部署が細かく分かれているので、具体的な悩みに応じて専門のカウンセラーを訪ねます。総合的には、人生の先輩である母に相談することが多いかもしれません。

 

一日の平均勉強時間は?

特に決まっていません。勉強する時間の量だけを比べたら授業数も多く拘束時間も長い高校時代の方が勉強時間は多かったかもしれません。週12時間くらいの授業をとっていますが、準備が必要な授業は、週8~9時間くらいの自習が必要です。宿題は、数学のように問題を解くだけのものもあれば、長い時間を要するレポート提出もありますが、私は、エッセーやレポートを書くのが得意なので苦になりません。

 

インターンシップの経験は?

高校時代から弁護士になりたかったので、高校卒業後の夏休みに、地元テキサスの法律事務所のインターンシップを経験しました。大学1年の夏休みは、テキサスのマーケティング会社で、大学2年の夏休みは、日本で教育関係のインターンシップに挑戦しました。ハーバード大学の長い休みは、インターンシップを経験する人が多く、一年に複数の会社で働く人もいます。私は、冬休みは家族とゆっくり過ごしたいので、インターンシップは夏休みだけと決めています。

 

大学に入って良かったこと、驚いたことは?

私が生まれ高校まで育ったテキサス州は、「車で10時間走ってもまだ州外へ出られない」と言われるような大きな州で、州外との交流は少ないのですが、ハーバード大学には世界中から優秀な学生が集まってくるので、世界で起こる出来事について、いろいろな意見を直接聞けるのが新鮮です。それから、テキサスには雪が降らないので、ハーバード大に入学して、雪国の暮らしを初体験。初めてのホワイトクリスマスには感激しましたね。ボストンは、どんなに雪が降っても除雪が施されていて、教室や寮など建物の中は暖房が完備されています。その分、気温の差が激しく、最初の年は着るものに苦労しました。

 

大学生活を有意義にするために、意識していることはありますか?

大学生活は、実は授業より課外活動の方が楽しくて、熱中しています。ハーバード大学にはいろいろな種類の課外活動があるんです。中でも、私が一番力を注いでいるのは、ハーバード大学模擬国連。3000人の学生が世界中から集まり、国の代表として世界で起こっているさまざまな問題について討議します。私たちはその会議の企画運営を担当。準備に要する時間は膨大で大変ですが、その分、うまくいったときの喜びは格別です。世界中の高校や大学で同じような活動をしていると思いますが、1923年に始まったハーバード大学の模擬国連は、世界中で一番大きく伝統があるクラブ活動です。写真は模擬国連の仲間と企画会議をしているところ。

それからハーバード・ダンス・マラソンの運営もやっています。12時間夜通し踊る大会で、参加者の寄付が、ボストン市民病院の小児がん患者への募金活動につながっています。

こうしたクラブ活動は、すべて学生に運営が任されていますし、マーケティングから、広報、収益まで、実社会とほぼ同じことが体験できるのが魅力。課外活動は、自分で所属期間を決めることができるので、1年ごとに部を変えたり、複数をかけもちしたりすることができます。私は、来年度は、アートクラブに入る予定です。高校の時に、演劇部に属していたので、大学でも同じように歌やダンスをしながら演劇をやってみたいと思っています。

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大学生活で一番大切なことは何だと思いますか?

自己管理能力だと思います。限られた時間の中で、優先順位を決めて、自分が何に取り組みたいのかをいつも頭の中に入れておくことです。自分の中で優先順位をはっきりさせないまま、毎日を過ごしてしまうと、あっという間に時はたち、4年間で何もできなかったということになってしまいます。大学は機会を与えてくれる場ですが、自分の24時間を管理するのは自分自身。その方法を工夫しながら見つけていく、それがアメリカの大学生にとって一番求められていることだと思います。

 

プライベートについて

どんなところに住んでいますか?

ハーバード大学では、ほとんどの学生が親元から離れて大学側が紹介してくれる“ハウス”に住んでいます。1年生は全員大学構内のヤードハウスに住むことに。そこで寮生活のように、一軒家をシェアして暮らしています。1年生の時の私の家は、女子大生5人で、2人部屋が2つと1人部屋の間取りだったのですが、くじで1人部屋に当たりラッキーでした。食事は寮費に3食分含まれており、リビングで食べます。パスタやサラダなどいろいろ選べるのでとても便利。2年生からは、ウィンスロップハウスというハーバード大学の歴史ある建物に住んでいます。ここは、多くの著名な卒業生が暮らしたハウスとして有名で、男女400名以上の学生が部屋を借りているんです。学期の終わりにはパーティーがあって、多くの友人ができますよ。写真はウィンスロップハウスの仲間と撮影したもの。

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どんなアルバイトをしていますか?

授業があるときは毎日忙しいので、アルバイトをしている学生はほとんどいません。ハーバード大学の学費は高いですが、充実した奨学金制度があるので、親の収入によっては、学費のほとんどを給付してもらっている友達も。私は、毎日ではありませんが、大学の図書館のカフェでバリスタのアルバイトをしています。たくさんの学生と話ができるから楽しいし、コーヒーのレシピも覚えました。

 

よく行く場所は?

大学があるときは、ほとんど構内の課外活動の会議室や図書館のカフェで過ごします。私は、周りに雑音がある方が集中できるタイプなので、よくカフェを利用しますね。

 

どのくらい本を読みますか?

読書は大好きなのですが、今は、授業に必要な本を読まなくてはならないので、好きな本がなかなか読めません。映画も本も、『ハリー・ポッター』に関するものは大好きです。夏休みや冬休みなど長い休みのときには一日中本を読んで過ごしています。

 

宝物は?

特に宝物というものはありませんが、友人と一緒に撮った写真が一番大切にしているものです。

 

ズバリ、成績はどうですか?

大学での成績はA~Bで、高校の時のようにオールAというわけにはいきませんが、私はこれで満足しています。UCLA(カリフォルニア大学)やイリノイ大学のようなアメリカの有名国立大学では、競争が厳しく、Aを取るのがとても難しいそうです。高校時代は授業数が多く拘束時間も長かったので、今の方が睡眠時間は長いくらいです。

 

卒業後は?

大学を卒業したら、2~3年は実社会で仕事をしたあと、大学院へ進みたいと思っています。

弁護士になるためにはロースクールへ、またもう少しビジネスを勉強したかったらビジネススクールへ進むのが一般的ですが、ハーバードビジネススクールは2年間の社会人経験が必要ですから、いずれにしても少し働くことになると思います。

地元テキサスで就職するのか、また、アメリカの会社に就職するのかも、まだ決めていません。専攻の心理学と副専攻の経済学はとても気に入っているので、来年度も変わらないと思いますが、将来の仕事やビジョンはまだ見えていません。課外活動を通じ、私は、人とかかわりながら仕事をするのが好きなことがよくわかったので、マーケティングや広報などの仕事にも興味が出てきました。いろいろなことに挑戦しながら興味の幅を広げて、じっくり将来を見据えていきたいと思いますね。

 

INFORMATION

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今回取材協力してくれた学生は、株式会社アクティブラーニングのインターンシップ生として来日。『Active Summer Camp2014』では、来日中の海外大生と日本の学生のインターンシップ生で、5日間にわたり日本の小中高校生向けに能動的な学びを推進するワークショップを実施した。アクティブラーニングは、ハーバード大学で指導経験のある羽根拓也氏が代表を務め、定期的に世界トップレベルの大学の学生をインターンシップ、フルタイムスタッフとして招聘している。海外の優秀な人材をアジアのトップベンチャー企業とつなげるNEXGENプロジェクトなどを進行。最近では、アジア各国に進出し、能動人材の育成、イノベーションの創出、デジタル教育などの普及に努めている。(HP:http://als.co.jp)

 

取材・文/川瀬美加 撮影/刑部友康

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