外国人学生のリアルレポート

Vol.4 プリンストン大学 ルーカス・ブロイドさん

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ルーカス・ブロイド●1992年生まれ。パリ(フランス)出身。フランス人の父親の日本駐在で、4~7歳まで横浜のインターナショナルスクールで過ごす。その後イギリスへ転居し、ロンドンの伝統的な寄宿舎制男子高校を卒業、プリンストン大学へ。専攻は東アジア研究、副専攻はコンピュータサイエンス。2014年9月からコンピュータサイエンスを学びながら中国語を習得するため香港に短期留学している。

大学生活について

アメリカの大学を選んだのはなぜですか?

両親ともにフランス人なのに、高校までイギリスの学校へ進んだのは、僕と弟の英語教育のためです。卒業後はアメリカとイギリスのどちらの大学へ進学するか迷いました。ケンブリッジ大学(イギリス)とプリンストン大学(アメリカ)に合格したのですが、多様性のあるプリンストン大学の方が自分には合っていそうだと思い、アメリカへ渡ることを決めました。ケンブリッジ大学は日本の大学と同じで、入試の段階で専攻を決めなくてはいけないし、合格には数学など入試に必要な科目のテストで高得点をとることが求められます。これに対して、プリンストン大学は、スポーツなど高校時代に打ち込んだことも評価の対象になる。僕が高校時代に新聞編集に打ち込んだことや、国際的な経験が豊富という点も考慮されていそうでした。同級生を見ていると、いろいろな背景の人が多く刺激を受けますね。

 

大学の専攻はどのように決めましたか?

プリンストン大学では、入学してから2年次終了までに、専攻を決めればいいことになっています。日本語の授業を取ったり、中国語に変えたり、コンピュータサイエンスに挑戦してみたりと、試行錯誤を繰り返しながら、最終的に専攻を絞っていきます。もちろん、3年生で突然、コンピュータサイエンスを専攻しようと決めると、1、2年のときにとるべき単位が不足して、4年間で卒業するのは難しくなるなどの自己責任はつきまといますが、専攻を決める際、選択の幅が広く、自由度は高いですね。

 

東アジア研究専攻はどんなことを勉強するのですか?

主に、中国、日本、韓国の3カ国についての研究です。韓国はまだ行ったことはありませんが、2013年に、北京(中国)に中国語を習う目的で2カ月間滞在しました。中国語は発音が難しいですね。日本語は文法が難しいと言われていますが、僕は日本に住んでいたし、高校時代に日本語の授業を受けていたので、発音は聞き取りやすい。大学での日本語の授業は、1、2年次で、年間で50時間くらいあり、3年次からは、週3コマの授業があります。宿題がたくさんでるので、予習や宿題に追われる毎日です。

 

日本研究の授業ではどんなことをしますか?

例えば、ある授業では、毎回日本のテレビドラマを教材にしています。あらかじめ先生が、ドラマに関する質問のプリントを配り、それに答えていくのが宿題。ドラマは1時間くらいなのですが、日本語字幕を読みながら、スローモードや一時停止をしながら繰り返し見るので、3時間くらいあっという間にたってしまいます。授業でドラマの展開や日本の社会のシステムについて、先生や生徒同士でディベートします。

 

卒業論文は大変ですか?

かなり大変で、1年かけて仕上げます。ダブルスペース(1行空き)で100枚くらいでしょうか。卒業論文のテーマを決めるまでが一苦労ですが、プリンストン大学東アジア研究には多岐にわたる分野でとても優秀な教授陣がそろっていて、いつでもどの先生にも気軽に質問に行けるので、この大学を選んで本当によかったと実感しています。卒業論文は英語で書きますが、そのために読む膨大な資料は日本語で書かれているので、やはり日本語の知識がきちんとついていないと大変です。

 

プライベートについて

毎朝何時ごろ起きますか?

授業がある日は、大体11時に始まるので、朝は10時くらいに起きます。早起きの方ではないですね。間にランチをはさんで、15時ごろ終わり、宿題や読書をしたり、友人と会ったりして過ごします。夕食はルームシェアしている家の食堂でとることが多い。大学の図書館やカフェで勉強する友人も多いですが、僕は自分の部屋で勉強するのが一番落ち着きます。

 

休日は何をして過ごしますか?

高校時代から続けている趣味のロッククライミングです。ヨーロッパにいたころはフランスのアルプスでロッククライミングを楽しみましたね。山登りは大好きで、2年前には富士山に登りご来光を仰ぎました。時間があるときは、プリンストン大学の近場のニューヨーク州の北側にある山で、ときどきインストラクターのアルバイトをしています。写真は11年11月にノースカロライナ州の山で撮ったもの。

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日本に興味を持ったきっかけは何ですか?

小さいころ日本に住んでいたので、日本文化にはずっと興味がありました。『ドラゴンボール』や『DEATH NOTE』などをフランス語で読み、とても面白いと思いましたね。フランスは日本文化のファンが多く、アニメや漫画など多くが翻訳され受け入れられています。イギリスに引っ越してから、日本文学は英訳よりフランス語訳の方が多いと感じたほどです。高校は有名なロンドンのボーディングスクール(全寮制高校)だったのですが、日本語の授業を週3時間取りました。どこの国でも英語が通じるので、イギリス人は得てして外国語の授業が苦手ですが、高校の日本語授業は特に厳しかったですね。

 

日本の好きな本を教えてください。

村上龍の『限りなく透明に近いブルー』や安部公房の『他人の顔』『砂の女』です。プリンストン大学で日本文学を教えていたことのある村上春樹の本も好きで、『1Q84』を読書中。文学の中に垣間見える第2次世界大戦後の日本人の精神構造の変化に興味があります。正反対の文化ともいえるアメリカ人に占領されて、日本人がその影響を受けるという点が興味深い。横浜に住んでいた影響でしょうか。

 

ご家族は日本のことをどう思っていますか?

実は父はここ3年、日本で仕事をしています。僕が小さかったころと違い、互いにビジネスの話をするようになりましたが、日本でのビジネス習慣はアメリカとはずいぶん違う。例えば、新しい仕事があるとき、日本は上司が仕事の全体像を把握して部下に「ここをやりなさい」という指示を出しますが、アメリカの場合は上司が部下に「こういうことがしたいけど、あなたは何かできるか」と聞きます。日本の社員は自分のやらなくてはいけないことは明確に把握できるけれど、全体像はわからない。アメリカはその逆。父も日本語を勉強中で、一緒にJLPT(日本語能力試験)のアプリをスマホにダウンロードしてどちらが上級になれるか競争しています。弟は、ロンドンの僕と同じ高校で日本語の授業をとっていましたが、14年秋からUCLA(カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校)に留学することが決まっています。

 

将来の夢はありますか?

14年の9月から12月まで香港に留学しています。コンピュータサイエンスを専攻しながら中国語をみっちり勉強する予定です。その後、プリンストン大学に戻り残りの単位を取り、15年6月に卒業します。卒業後のことは、今は、明確に決めてはいません。ただ、東アジアに関する仕事に就きたいなと思っています。大学で勉強した言語を扱いたいんです。日本や中国に住みたいというわけではなく、アジアの文化が好きなので頻繁にアジアに出張するような仕事がしたいですね。

 

INFORMATION

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今回取材協力してくれた学生は、株式会社アクティブラーニングのインターンシップ生として来日。『Active Summer Camp2014』では、来日中の海外大生と日本の学生のインターンシップ生で、5日間にわたり日本の小中高校生向けに能動的な学びを推進するワークショップを実施した。アクティブラーニングは、ハーバード大学で指導経験のある羽根拓也氏が代表を務め、定期的に世界トップレベルの大学の学生をインターンシップ、フルタイムスタッフとして招聘している。海外の優秀な人材をアジアのトップベンチャー企業とつなげるNEXGENプロジェクトなどを進行。最近では、アジア各国に進出し、能動人材の育成、イノベーションの創出、デジタル教育などの普及に努めている。(HP:http://als.co.jp)

 

取材・文/川瀬美加 撮影/刑部友康

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