外国人学生のリアルレポート

Vol.5 プリンストン大学 オバフェミ・ファダイロさん

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オバフェミ・ファダイロ●1996年生まれ、ニューヨーク出身。ナイジェリアから移民としてアメリカに渡った両親のもと、妹とニューヨークで生まれ育つ。小学5年生でプリンストン大学のあるニュージャージー州へ転居し、公立高校から一番近い同大学へ進学。幼いころから、アニメやゲームからJ-POPまで、日本文化に親しみ、東アジア研究を副専攻に選び、日々、膨大な量の漢字と電子辞書で格闘中。

大学生活について

プリンストン大学を選んだ理由は?

僕は、友人と比べるとかなり早い段階でプリンストン大学を第1志望に決めました。いろいろな大学を調べましたが、奨学金の種類が多く、一番自分に合った奨学金制度に合格できそうだったからです。家族にとっても自分にとってもベストな選択だと思えた。プリンストン大学に心を決めてからは、ほかの大学を調べたり願書を出したりするのはやめました。
大都会のニューヨークで育った自分には、プリンストン大学は郊外の小さな大学で物足りなく感じるのではと不安でしたが、今は自分の決断に大満足。家族の住むニューヨークの家から車で30分くらいしか離れていないので、その気になれば毎週でも家族に会えます。

 

入学前に何か準備をしましたか?

僕の高校は、プリンストン大学の近くにあったので、9年生(高校1年)から、夏休みだけプリンストン大学が地元の高校生に対してプレスクールとして開催している夏期コースに通っていました。数学とか小論文とか、大学院生と20人前後の小グループで勉強するのです。入学前に大学の様子や先生もわかるし、その中から同じ大学に進んだ友達がいて、入学式のときにはすでにいろいろな知識があったので気が楽でした。加えて、お互いに新しい友達を紹介し合うので、キャンパスを歩いているとすぐに知っている顔にたくさん会うように。プリンストン大学進学の準備にもなるプレスクールは、すごくよくできたシステムだと思います。今でも困ったことがあったら、そこで相談することもあるほどです。そこでのつながりで、高校生のうちからどんどんプリンストン大学が身近になったことは確かです。

 

入学して感じたことは?

大学には、世界中から優秀な人が集まってきているような気がして、最初は誰に会っても気おくれしていました。最初の3週間は、自己紹介に毛の生えたような話しかしませんが、クラブや授業でたびたび会い、深く話をするにつれて、出会う人全員がすごい人ばかりで、圧倒されてしまう。高校時代にやったことやこれからやりたいことなどを聞くにつけ、とても刺激を受けます。

 

1年生のときはどんな科目を取りましたか?

数学、化学、経済、クリエイティブ・ライティング(小説家やマスコミ志望者などが取る作文教室)、日本語などです。プリンストン大学は、一般教養科目が多彩で、一つの学問に偏ることなく履修できたのはよかった。もちろん、手を広げすぎて、成績が下がってしまうことは許されませんが。クリエイティブ・ライティングはとても好きな教科です。将来、日本アニメのようにワクワクする映画の脚本や小説を書いてみたいので、役に立ちそうです。

 

専攻を決めたのはいつですか?

1年から2年になる夏休みです。1年生のときは自分を試したくていろいろな科目に挑戦しました。それで取った科目を少しずつ生かせる経済学に魅力を感じました。数学的な要素もあるし。経済学が世界を動かしているという気がしたのです。

 

授業のある日の過ごし方は?

授業は10時から始まることが多いので、起床は9時。毎日3~5時間、授業があります。日本語の授業は決まって12時半から開始。日本語の授業は、宿題が多く、覚える量が膨大で大変です。それから、午後はライティングセミナーが多いでしょうか。夜7時半~9時までの夜間クラスも履修。毎日平均7、8時間は宿題に追われています。日本語の勉強と称して、アニメを見ることもあり、寝る時間は平均すると夜中の3時くらいです。翌朝にはもっと早く寝る習慣をつけなくてはと思うのですが…。

 

宿題はどこでやるのが好きですか?

僕は大学構内の寮に住んでいるのですが、そこの居間でやるのが好きです。授業後は、少し休憩して、できるだけ早く宿題にとりかかるように努めています。1年生で選択した科目の中には、将来の自分にとって必要かわからないものも含まれているので、できるだけ要領よく済ませたいと思っています。よほどの調べものでもない限り、図書館へ行って勉強することはないですね。居間を通りかかったルームメートからアドバイスをもらったり、同じ授業をとっている人の話を聞いたりしながらやるのが普通です。

 

高校と大学の勉強、一番の違いは何でしょうか?

高校の勉強というのは、まず暗記。そして次に、暗記したことをテストする。ある意味、その繰り返しですね。でも、大学では、物事を記憶しなくてはいけないという点では同じですが、次のステップとしてそれをどう応用して、どう使って、難問を解決していくか、そこが問われる。つまり、記憶してそれを理解するというレベルまでは高校と同じでも、大学では、分析し、どの部分をどの問題を解決していくのに有効に使うのか、が求められる。そこがわからないと、暗記と理解に意味がないということになる。でも、実はそこが一番難しい。教育の次のレベルに上がったなという実感があります。

 

プライベートについて

課外活動は?

プリンストン・アニメクラブ、プリンストン・アフリカ系学生クラブ、教会活動など、たくさんのクラブに属しています。友達と付き合いながら、クラブに属し、勉強もしっかりやるのはとても大変です。運動部に入っている人たちはすごく優秀で、朝早くから練習し、世界記録に届こうかというくらいの成績を残しながら、勉強もすごくできる。非常に集中力があるんですね。そういう絶対にかなわない同級生を目にすると、プリンストン大学ってすごい大学だなってあらためて思います。

 

何か趣味はありますか?

高校まではテニスをやっていました。小さいころから父親がテニスや卓球の相手をしてくれたので、球技は得意です。テニスは、所属クラブで2位までいきましたが、どうしても1位の人に勝てなくて。高校生でその限界を知ったから、プリンストン大学ではテニス部には入りませんでした。でも、今でもテニスはやるのも観るのも大好きで、特にフェデラー選手の試合が好きで、よく観ますよ。

 

日本文化で好きなものは?

一番好きなのは、アニメの『NARUTO』です。子どものころ、『ポケモン』で日本アニメに出合い、『ポケモン』を卒業したら、次は『ドラゴンボール』や『遊戯王』。これが日本アニメにはまっていく、一般的なアメリカ人の子どものパターン。アメリカ社会に受け入れられやすいキャラが強いヒーローがいて、彼をとりまく周辺の物語が展開していく。アニメ以外にも、AAAなどのJ-POPも聴いていますよ。プリンストン大学のDJに挑戦してみたいなという密かな野望があり、そのときは、J-POPを紹介したいと思っています。日本語を勉強して、日本のアニメを観て、J-POPを聴いている僕に、友人や家族はそこまでするかと驚いていますね。

 

高校時代の友人に会うことはある?

高校卒業後は、友人はそれぞれアメリカ各地の大学に進学したのでなかなか会えなくなりましたが、夏休みになると、僕は実家がプリンストン大学に近いので、帰省中の同窓生が集まってきます。映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』などスーパーヒーローものの映画を一緒に見に行って久しぶりにのんびりしました。

 

ガールフレンドはいますか?

いません! いたら両親にすごく怒られちゃいますよ(笑)。学生は勉強が本分でしょって。

 

宝物はありますか?

家族や友達など、お金で買えないものの方が価値があるように感じます。あえて、モノをあげるとすれば、プリンストン大学に合格した時に、母が買ってくれた靴でしょうか。「アイビーリーグの大学生はみんなこういうのを履いているのよ」とうれしそうにプレゼントしてくれました。

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将来の夢は?

僕の両親はナイジェリア人ですが、僕と妹の前では一切ナイジェリアの言葉を使いませんでした。自分の子どもを完璧なアメリカ人として育てたいとの思いが強かったのでしょう。そのせいで、僕と妹はナイジェリアの民族語をひと言もしゃべれないのです。だから日本語をマスターしたら今度は両親の母国語に挑戦したいと思っています。アメリカではハーバード大学にしかその講座はないのですが。僕は2度ナイジェリアに行ったことがあるのですが、妹は一度もないので、いつか最愛の妹に両親の祖国を見せてあげたい。会社経営などのビジネス界での成功にはあまり興味が持てません。自分が勉強したことを、世界の人々、とりわけアフリカの人々を助けるために役立てたいと思っています。

 

INFORMATION

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今回取材協力してくれた学生は、株式会社アクティブラーニングのインターンシップ生として来日。『Active Summer Camp2014』では、来日中の海外大生と日本の学生のインターンシップ生で、5日間にわたり日本の小中高校生向けに能動的な学びを推進するワークショップを実施した。アクティブラーニングは、ハーバード大学で指導経験のある羽根拓也氏が代表を務め、定期的に世界トップレベルの大学の学生をインターンシップ、フルタイムスタッフとして招聘している。海外の優秀な人材をアジアのトップベンチャー企業とつなげるNEXGENプロジェクトなどを進行。最近では、アジア各国に進出し、能動人材の育成、イノベーションの創出、デジタル教育などの普及に努めている。(HP:http://als.co.jp)

 

取材・文/川瀬美加 撮影/刑部友康

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