ハイパー学生のアタマの中

Vol.21 群馬県立女子大学 吉崎詩歩さん

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よしざき・しほ●1990年生まれ、石川県出身。中学生までのコンプレックスだらけの自分を変えたいと一念発起し、海外留学できる地元の高校を選び進学。高校2年の時に1年間ニュージーランドに留学し、そこでの経験をきっかけに、積極的な性格に。インターナショナルコミュニケーションに興味を持ち、群馬県立女子大学の国際コミュニケーション学部に進学。3年時にアメリカ・オクラホマ州立大学のアントレプレナーシップ学部に交換留学生として派遣。さらに南アフリカの「起業家支援プロジェクト」に参加するなど、これまでに5回の海外留学を経験する。現在大学5年生で、2013年秋に卒業予定。

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海外留学で知り合った仲間たちは、今でも貴重な友達。「力を合わせて一緒に何かをやり遂げた仲間たちは、一生大切にしたい一番の財産ですよね」。

高校に入ったら留学し、「絶対に自分を変える」と決断

中学までの私は、コンプレックスの塊でした。家族のことや友達との関係など、自分の力だけでは変えられない環境に対して「どうしたらいいのだろう?」と思っていたんです。だから、常に自分の立ち位置について考えていましたし、必死でした。ただ、「何かを変えよう」と努力しましたし、もっと人に認められたい、自分を見てほしいという気持ちは強く持っていましたね。

 

高校への推薦入学が決まってからも、苦手な数学を克服するため、死ぬほど勉強しました。すると、それまで赤点ばかりだった私が、クラスでトップになった。将来のためだけではなく、努力すれば結果がついてくる。その繰り返しが自信に繋がりました。

 

そんな自分を変えたいと思ったのは、高校への進学を考えた時です。自分の性格を考えたとき、まったく見ず知らずの場所に一人で行くことが挑戦になると思いました。そこで「留学」という選択肢もあると知り、幸い、県内に海外留学に力を入れる学校があったので、迷わず進学しました。

 

念願の留学は高校2年生の時。ニュージーランドの高校に1年間通いました。留学前に「私はここで自分を変えるんだ!」と決めていましたから、どんなことが起こっても、チャンスをもらったんだから、絶対最後までやり遂げる覚悟でした。

 

ニュージーランドでは誰一人私のことを知りません。日本にいたときの殻を破り、学生同士の集まりがあれば、積極的に参加しました。友達と英語でちゃんと話したいと思ったので、一つひとつの細かいアクセントから、英語を勉強し直しましたね。

 

そうして1年後に日本に戻ってきたら、「変わったね」とみんなから言われました。空港まで迎えに来てくれた母も、私に気づかなかったみたいで…。それはかなり太っていたからです(笑)。

 

何が変わったかといえば、まず自分に対して、「大丈夫だよ、いいんだよ」と自分で自分を認められるようになったこと。そして、「自分から人に話しかけることができるようになった」ということです。以前のように周囲との壁を作るようなことはなくなりましたし、学級委員長に立候補することもできるようになりました。大学に入ってからも、英会話サークルの代表や結婚式場のアルバイト、セミナーやイベントの企画など、とにかくいろんなことにも挑戦できるようになりましたね。

 

そんな中で出合ったのが、アントレプレナーシップ(起業家精神)という考え方です。まさに私の原体験である「異質なものを受け入れ、多様性を認める文化」があり、ありのままの自分で戦える分野だと理解したのです。だから、起業家になりたいとか、こんなビジネスで成功したいということよりも先に、自分自身の思いや気持ちから始められる生き方に強く共感しました。そういう流れで、大学3年でアメリカのオクラホマ州立大学・アントレプレナーシップ学部の交換留学生に申し込んだのです。

 

しかし、実際にアメリカに行って感じたのは「挫折」でした。高校時代の留学経験から自信もあり、意見をガンガン言える自分にはなっていたはずですが、いざアメリカに行ってみると思うようにバリューが発揮できませんでした。向こうの授業はグループワークが多く、リーダーシップやチームワークを重視するものが多いうえに、自己主張が強い人ばかりでなかなか入り込む余地がない。「あなたは交換留学生だからどうせ1年で帰るんでしょ」「成果主義だから、何も話せないのはバリューを発揮できていないのと同じ」、そんなふうに言われながら、「そもそも私の意見って何? 私は何を考えているんだろう?」といったことで悩んでいました。

 

そこで発想を変えてみました。自分にしかできないことをやろうと。パワーポイントで資料を作るのが早いとか、デザインが得意でまとめ方が上手とか、そういう部分で少しずつ認められればいいんだと考えるようにしました。授業は一番前の席で聞き、わからなければすぐに質問する。ノートはしっかりとる。議論のときには調べておいた資料を発表する。とにかく、頑張る姿勢は常に持ち続けました。

 

その結果、私の努力が周囲に認められ、学部内で表彰されるまでになりました。すごくうれしかったですね。だって私はただの日本から来た交換留学生。国籍とか宗教とか性別は一切関係なく平等にチャンスがもらえて、結果も残せた。それが自分への大きな励みになったんです。コツコツやっていれば、やっぱり見てくれている人がいる。頑張ってきてよかったなって思いました。

 

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努力の先に見えたもの

初めて社会というものを強く意識したのが、アメリカへの留学時に体験した「南アフリカ起業家支援プロジェクト」への参加でした。25人のアメリカの学生と、25人のアフリカの学生が5、6人でチームを組み、南アフリカの起業家に対してコンサルティングするというもの。その中に交換留学生の私が交じっているというのがあり得ないですよね。

 

プロジェクトとはいえ、私たちは学生ですから、仮に目の前の起業家が失敗したとしても損害を被るわけではありません。社会的信用も利害関係もないけれど、「でもやるしかない」って思って取り組みましたね。それが逆に面白かったです。未来をつくっていく意識というか。ビジネスが確実に動き出し、その基盤をお手伝いできたのは楽しかったです。

 

そういったダイバーシティなプロジェクトを社会人と同等のフィールドで経験できたことで、「異質なものも必要」という私の考えは、今の日本でこそ求められるはずだという手応えにつながりました。就職活動をしていても、異物を排除する文化はすぐにわかるし、それはつらいことです。少数派の考えも認めようというような「グローバルな視点」を大切にしたい気持ちはいっそう強くなりました。

 

将来のことはまだ決めていないのですが、大学を卒業したら5年から10年は日本で働こうと思います。26歳くらいで結婚し、30歳までに出産も経験したい。もちろん仕事の面でも、修業のつもりでしっかりとベーシックを学び、成果を出し続ける人間になりたいです。

 

その後は海外に挑戦したい。日本で活躍できた力は世界でも通用するのか?というチャレンジですね。最終的には日本に戻って、スタートアップ支援でもいいですし、興味のある人材育成などの仕事にかかわりたい。今はそんなふうに考えています。

 

一般社会ではあたりまえかもしれませんが、私には、基本としている3つのテーマがあります。「アントレプレナーシップ(当事者意識)」「ホスピタリティ(奉仕の心)」「エンパワーメント(人材育成)」 です。アントレプレナー的に生き、すべてを自分のことのように捉えながら何事にも全力でコミットし、リーダーシップを発揮しながら周囲を巻き込んでいく。 人に仕えるというか、利害関係なく「For You」の仕事をし、そしてそういう考え方を私自身が体現することで次世代にもつなげていきたいです。これらを常に持ち続けたいと思っています。仕事をするうえで、いかに自分自身を生かせるか。なおかつ必要とされる存在でありたい。そのための努力は惜しみません。これからどんな困難な道が待っていようとも、どんなに苛酷な境地に立たされても、自分の信念を貫き、自信を持って強く生きて行きたいと思います。

 

最後に、今の私がいるのは、すべて周りのいろんな人たちの支えがあったからこそです。そういったすべての人に、そして「生かされている」ことに感謝し、自分も含め、自分とかかわるすべての人を幸せにするために、私は強く前に進みます。

 

吉崎さんに10の質問

Q1. 好きな異性のタイプは?

何事にも優しく、自分を飾らない人。

Q2. 好きな食べ物は?

ラーメンが大好きです。北陸三県限定のラーメン店、「8番らーめん」の塩をこよなく愛していて、スープに絡み合う太麺がたまりません(笑)。

Q3. 好きな映画は?

『プラダを来た悪魔』。誰もがうらやむ仕事につき、がむしゃらに働き、成功をつかんだ女性が、ふとわれに返り、自分にとって本当に何が重要か気づくというストーリーです。結局、自分の心に従うことが重要と考えさせられます。

Q4.一度会ってみたい人は?

南アフリカにおける人種差別問題に取り組み、ノーベル平和賞を受賞した、ネルソン・マンデラ氏。彼が27年もの間、収監されていたロベン島の牢獄に、2012年、足を運びました。「forgiveness」が彼から私が受け取ったメッセージです。

Q5. 好きな場所は?

銀座。最近観光客が多かったり、若者が多くダイバース(多様)な場となりましたが、一方で、昔から変わらない光景が広がっていて、なんだか帰りたくなる街です。落ち込む日があったら、素敵なドレスを着て、ヒールをカツカツ鳴らせて、自分を高める、そんなパワースポットですね。

Q6.宝物は?

アメリカ在学中に学部長からリーダーシップ賞を頂いた時の、クリスタルの表彰状です。

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Q7.平均睡眠時間は?

6時間くらいです。どこでも一瞬で寝る特技があり、ニューヨークのMacy’sのパレードを見に行った時、待ちくたびれて、すごい人混みで身動きが取れず、立ったまま寝ました(笑)。

Q8. 好きな音楽は?

Adele。彼女の葛藤などが歌に込められていて、魂のこもった思いがストレートに伝わってきます。

Q9.もし過去に行けるとしたら何をする?

昔の自分に、「大丈夫!自信を持って。これからやるべきことが待っているよ」と言ってあげたい。

Q10.座右の銘は?

Where there’s a will, there’s a way.(意志のあるところに道がある)

 

一日のスケジュール

on
6:00 起床。朝食をとりながら一日のスケジュールを確認。
9:30 卒業単位の取得は終わっているので、課外活動に忙しい毎日。この日は、お手伝いをしているスタートアップセミナーの打ち合わせに参加する。
12:00 Facebookを通じて連絡をもらった企業を訪問し、社会人の方と一緒にランチへ。
15:00 都内で開催されるオープンスクールの講座を受講。終わり次第、現在進行中の起業家支援プロジェクトのミーティングへ向けて移動。途中、少し散歩して気分転換。
18:00 勉強会に参加。その後はお食事会へ。会いたい人がいたら、できる限り時間を作って会いに行くようにしている。
23:00 帰宅。一日の疲れをとるために、24時には就寝。

 

off

6:00 起床。朝食の定番は、自分で作るスムージー。シェアハウスに住んでいるので、仲間たちと話したり、新聞を読むなど、のんびりとした朝の時間を過ごす。
9:00 通っているヨガ教室へ行き汗を流す。
11:00 休日のお昼は女子会ブランチへ。仕事や就職活動などのことを忘れて、気兼ねなく話せる友達と楽しく過ごす。
14:00 30分~1時間のウォーキングは日課。都内を散歩しながら思考を深め、その後お気に入りのカフェでノートに考えをまとめる「Quality time」のひと時。
17:00 ネットワーキングイベントに参加し、その後、食事会に顔を出す。
21:00 都内の日帰り温泉でリラックス。
23:00 帰宅。本を読んで、一日の出来事との関連性を楽しみながら振り返り、24時には就寝。

 

 

取材・文/志村江 撮影/早坂卓也

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