【最新版】大学生のインターンシップ事情

Vol.4 早稲田大学 4年 川口 遼さん

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かわぐち・りょう●大学では、PCゲームをつくる理系のサークルに所属。サウンド、グラフィック、プログラムを統合するプロジェクトリーダーを務めた。金融、コンサルティング業界など4社のインターンシップにエントリーし、4社で5回参加。中でも、コンサルティング業界と信託銀行が印象に残っている。複数のインターンシップに参加したことで、異業種や同業種他社を比較できた。台湾で生まれ、マレーシア、シンガポールで高校までの15年間暮らし、TOEIC(R)テスト990点。

実際のプロジェクトに参加し、外資系のスピードと仕事観を実感

インターンシップデータ
参加企業の業界
:外資系コンサルティング 参加のきっかけ:金融業界を就職先として意識する中で、金融業界と併せて志望する人が多いと聞いたから エントリー方法:企業のホームページで見つけて 選考方法:エントリーシート、Webテスト、筆記テスト、個人面接 プログラム期間:土日を除く2週間 報酬:あり(10万円)

就職を意識する中で、外資系企業と日系企業との仕事観や雰囲気の違いを知りたいと思い、外資系コンサルティング会社のインターンシップに大学3年生の5月に参加しました。参加者は15名で、全員3年生。そのうち中国人やオーストラリア人などの留学生が4名いました。5名ずつのグループに分かれ、初日の顔合わせで行ったのが他己紹介。ほかのメンバーを取材してその人の紹介資料をパワーポイントで作成するという試みがユニークで、驚きました。

 

2日目は、全グループの前で他己紹介を行い、午後はコンサルティングの基本であるロジカルシンキングのレクチャーを受けました。3~5日目までは、ほかのグループと問題を出し合って、解決し、スコアを競うグループ対抗を実施。僕たちのグループは優勝し、商品(クオカード1000円)をもらいました。

 

2週目は、実際のプロジェクトに参加しての就業体験です。僕が配属されたのは、旅行会社のプロジェクト。リッチなシニア層が増え、競争が激化しているので、他社との差別化を図りつつも異端扱いされて市場シェアが縮小しないような旅行プランの訴求・提案が課題でした。

 

6名の社員に学生の僕が加わって、6日目はブレストからスタート。みんなから出てくるアイデアをホワイトボードに書き出すのですが、アイデアが出てくるスピードに書くスピードが追い付かず、途中からは2人がかりで書き留めていたほど。社員の頭の回転の速さに圧倒されると同時に、「みんなでブレストをすると、こんなにアイデアが広がるんだ」と感動しました。チームには外国人もいたので、議論が白熱するといつのまにか会話が英語になっていることもありましたよ。

 

7日目は、現状把握と問題の洗い出し。8日目は、同業他社との比較分析と課題解決の優先順位付けおよび分析。9日目は具体的な提案をまとめて、最終日はそれぞれ別の課題に取り組んできた各プロジェクトチームが一堂に会して発表。メンバーの鋭い突っ込みに、応えていくというものでした。

 

周囲のスピード感に最初は戸惑いましたが、黙っていてはその場にいる意味がありませんし、「学生のフレッシュな視点での意見は貴重だ」という言葉に励まされ、自分の旅行体験をもとに臆せず意見を言うようにしました。

 

2週間の就業体験で実感したのは、チームで仕事をしつつも、個人の実力を尊重し、引き出すことに重きを置いた仕事の進め方。日本のチームワークは、1人のけん引役が皆をまとめるというイメージでしたが、個々がそれぞれ引っ張るところが外資系らしさなのかなと思いました。また、社員の話からは、「自分の能力を今一番出せる場所にいる。出せなければここにいる意味はない」という仕事観を感じました。

 

社員や参加者を観察し、入社後はどんな人と仕事をするのかを想像

インターンシップデータ
参加企業の業界
:信託銀行 参加のきっかけ:金融業界を志望する中で、本を読んでも信託とは何かがよくわからなかったので、業界や業務、そこで働く人たちの特性を内側から見てみたいと思った エントリ方法:企業のホームページで見つけて 選考方法:エントリーシート、2回の個人面接 プログラム期間:5日間 報酬:なし

僕が参加した9月のプログラム参加者は48人、全員3年生でした。初日の午前中は、各事業の担当者が行う業務内容に関するプレゼンを聞き、より詳しく知りたいと思う事業領域の希望を各自提出。午後は、8人ごとのグループに分かれて、信託業務をテーマにしたボードゲームをしました。

 

2日目は、あらためてグループ内で自己紹介をした後、自分がその業務を希望した理由をグループ内で発表。午後は、前日希望した事業部ごとにグループを再編。僕は市場国際部門のグループに入り、事業担当者から海外の債券や国債の運用など、詳しい業務内容についてレクチャーを受けました。将来的にやってみたい仕事なので、海外を相手に仕事をする人たちの生活のペースを知りたいと思い、「海外のマーケットが開いている時間に合わせて起きるのか」などの質問をしました。

 

3日目の午前中は、市場国際部門の職場を訪問。そこで働く若手社員と話す機会もあり、自分が関心を持っている株式や債権、金融派生商品を売買するトレーディングやディーリングの話を聞くことができたので、とても有意義でした。午後は、グループ内でペアに分かれ、ポートフォリオ(資産一覧表)を基にリスクを分析。かなり専門的な課題でしたが、大学の授業で勉強していましたし、個人的に株もやっているので、それほど苦労はしませんでしたね。4日目も同様の課題を行いました。

 

最終日は、最初のグループ分けに戻り、自分がその事業領域で体験したことを発表。ほかのメンバーの話を書きとめるための用紙を渡され、それにメモをしながら、自分が体験していない事業についての知識を深めました。夕方からは人事担当者と内定者、若手社員を交えての立食パーティーに参加。気軽に話をできる雰囲気だったので、若手社員の就活体験談や現在のワークライフバランスなどについて、話を聞きました。

 

印象に残っているのは、「入社当初は営業に配属となり、不本意ながらも割り切って頑張り、成果を出したら、希望していた市場国際部に異動できた」という入社3年目の社員の話。それまでは「社会に出て働くというのは、理不尽なことだらけなのだろう」と思っていましたが、「しっかり働けば、正当に評価されるのだ」と実感できました。

 

社会人の話し方も勉強になりました。学生同士の会話は、主語を省いても察してもらえますが、社会人は客先で認識の齟齬がないよう、話し方にも配慮していたのです。その後の就活では話し方に注意するようになりましたね。

 

僕は、インターンシップの参加者にも注目していました。なぜなら、彼らは潜在的同僚ともいえる存在だから。インターンシップ中は、社員はもちろん参加者も観察し、入社したらどんな人たちと一緒に仕事をするのかをイメージしました。インターンシップに参加した4社を含め、8社から内定をもらいましたが、最終的に、物事を落ち着いて考え、理解した上で行動する人が多いと感じられたこの信託銀行への入社を決めました。

 

インターンシップスケジュール

大学2年6月
損害保険を研究するゼミの先輩から情報を聞き、損害保険A社の企業ホームページからエントリー。エントリーシート提出とWebテストの後、グループ面接。「学生時代に力を入れたこと」を聞かれたものの、まだ2年生で学生生活の半ばだったことから、答えに困った。
大学2年7月
6月にエントリーした損害保険A社の個人面接を受ける。
大学2年8月
損害保険A社の5日間のインターンシップに参加。インターンシップ後も、同じ大学出身の先輩社員から就活アドバイスやセミナーの案内などをもらうようになった。
大学2年1月
志望先である金融業界を中心に、コンサルティング業界も視野に入れて、企業ホームページから外資系コンサルティング会社にエントリー。エントリーシート提出とWebテストの後、会社に呼ばれて筆記テストを受ける。
大学2年2月
1月にエントリーしたコンサルティング会社の個人面接を受ける。
大学3年5月
コンサルティング会社の10日間のインターンシップに参加。先輩から評判を聞いて知っていた損害保険B社にも企業ホームページからエントリー。選考は、エントリーシート提出と適性テスト。同時期に信託銀行にもエントリーシートを提出。他社と参加時期がかぶらないよう、9月のプログラムに申し込んだ。2年時に参加した損害保険A社の先輩社員に誘われ、A社の別プログラムのインターンシップにエントリー。今回はエントリーシートの提出のみ。
大学3年6月
5月にエントリーした信託銀行の個人面接を2回受ける。
大学3年8月
損害保険A社のインターンシップ参加生として、グローバル部門にて研修を行い、テレビ会議システムを使って海外支社のスタッフと対話するなど、グローバルに働く現場を体験。損害保険B社の5日間のインターンシップに参加。前半2日間は業界や企業説明を受ける座学、残りの2日間は支店にて社員と営業同行を経験。社会人のイロハを学ぶことができた。
大学3年9月
6月に面接を受けた信託銀行の5日間のインターンシップに参加。

インターンシップ時のファッション

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体にフィットしないスーツでは、どんなに鋭い意見を述べてもキレが伴わないと思い、インターンシップを機にスーツをオーダーした。金融業界で働く親戚や先輩の意見を基に、業界の人が好んで着る3つボタンのジャケットをオーダー。靴も、金融業界に多いストレートチップを購入した。

 

これからインターンシップをする皆さんへ

低学年のうちに、面接のある選考を受けておくといいですよ。なぜなら、3年時のインターンシップや就職活動本番の面接の練習になるからです。僕は2年時に参加した企業の面接で、「姿勢をよくして、もっとゆっくり話した方がいい。こういう言い回しの方がよく伝わる」など、その場で人事担当者からフィードバックをもらい、その後の面接にとても役立ちました。それから、カジュアルな時計やローファーの靴を身につけている参加者を見かけましたが、スーツには不似合い。企業への来訪者にとっては社員もインターンシップ生も見分けがつかないのですから、学生とはいえ服装には配慮しないと、参加先企業に失礼になると思います。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/鈴木慶子

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