【最新版】大学生のインターンシップ事情

Vol.10 東洋大学 3年 戸田裕貴さん

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とだ・ゆうき●大学生活では、先生の学会テーマなどに関するグループワークやプレゼン力を磨くゼミ活動に力を入れている。“命”に着目し、医薬品メーカーや医療機器メーカー、生命保険など80社以上にエントリー。約20社のインターンシップに参加した。中でも印象に残っているのは、医薬品メーカーと生命保険会社。複数のインターンシップに参加し、多くの社会人と接してきたことで、目上の人とも緊張せずに話すことができるようになった。

MRを体験し、間接的に人の命を救う誇りの持てる仕事だと思えた

インターンシップデータ
参加企業の業界
:医薬品メーカー 参加のきっかけ:がんの治療を受けた身内がいることから、がんの治療薬に注力している企業に興味を持った エントリ方法:リクナビから 選考方法:エントリーシートの提出とグループ面接 プログラム期間:5日間(9月に3日間、12月に1日、2月に1日) 報酬:なし

社名を知らない企業でしたが、がんの治療薬の研究開発に力を入れていることがわかり、大学3年の時にインターンシップに参加しました。参加者は40名。3年生が中心で、理系の大学院生や薬学部の学生が目立ちました。9月に行われた3日間プログラムの初日は、11時にスタート。配布されたワークシートを記入して自己分析を行いました。午後は、5人ずつのグループに分かれて自己分析を発表し、その後は会社や事業内容、自社製品などの説明を受け、16時ごろ解散となりました。

 

2日目は、9時45分スタート。新たな5人グループを編成し、MR(医薬品メーカーの医薬情報担当者)になったつもりで、毎月どんな薬をどのようなスケジュールで医師に提案していくかを考えるグループワークを行いました。3日目の午前中もグループワークを続行。模造紙と付せんを使って提案スケジュールをまとめ、各グループ約10分の発表に臨みました。

 

僕が担当したのは花粉症薬。花粉症シーズンに先駆け、1月に薬を紹介するスケジュールを組んだのですが、「それではタイミングが遅い」とMR経験のある人事担当者に指摘され、「そうなのか」とビックリ。全グループの発表を聞いて、花粉症からがんの治療薬まで扱う薬が多岐にわたることがわかり、MRの忙しさが想像できました。

 

午後は、MR出身の人事担当者が医師役となり、模擬MR活動を行いました。僕は、副作用を心配している医師にアプローチしていくMRを体験したのですが、相手を説得する難しさを実感。人事担当者に「早口すぎる」と指摘され、話すスピードを意識するようになりました。

 

12月は、ほかの参加者と2人でMRの営業に1日同行し、千葉県にあるクリニックと病院を回りました。訪問したクリニックの医師は終始硬い表情でしたが、ナンバーワンMRを目指しているその社員は、そっけない対応にもめげることなく誠意を持って対応。そんな姿に心を打たれました。2件目は、他社のMRも多く出入りしている病院へ。ライバル企業に勝つためには、自社製品の優位性を理解し、簡潔に説明することが重要なのだと理解しました。医師と話せるのは昼休みと診療の終了後で、そこがMRのゴールデンタイム。同行した日も、昼食をとったのは15時ごろでしたね。

 

5日目は、2月に行われました。午前中は、医師による「医師から必要とされるMRとは」をテーマにした講演。午後は、参加者各自が「どのようなMRになりたいか」を発表。僕は「あきらめないMRになりたい」と発表しました。医師に何度断られても、その先に苦しんでいる患者さんがいることを忘れずに、あきらめないMRになりたいと思ったからです。

 

発表の後は、病院担当MR、女性MR、新人MR、就活担当者などがブースを構え、各自が好きなブースに行って話を聞く場が設けられました。僕は、病院担当MRとクリニック担当MRの違いや、MRになった後のキャリアプランなどについて質問。経験者に具体的な話を聞くことができて、とても有意義な時間でした。

 

仕事の厳しさを目の当たりにしながらも、実感したのは、「MRは、間接的に人の命を救う誇りの持てる仕事であり、それがやりがいだ」ということ。MR職への関心が、参加前より高まりました。

 

加入者や社員、その家族…人の幸せのために頑張るやりがいを発見

インターンシップデータ
参加企業の業界
:生命保険 参加のきっかけ:人の生命に関連する仕事として興味を持った エントリ方法:情報サイト経由で企業の担当者からインターンシップ募集の連絡があった 選考方法:エントリーシート提出のみ プログラム期間:5日間 報酬:なし

僕が参加したのは、オフィス長や営業部長、支社長と、組織管理職となる職種のインターンシップ。参加者は60名でした。初日は、会社の説明を受けた後、7人のチームになって言葉を交わさずに、日本地図のピースを組み合わせて完成させていくゲームを体験。

 

2日目から5日目までは、学生10名と社員4、5名で行う座談会。2日目は生命保険会社内定者、3日目は入社2、3年目、4日目は入社4年目、5日目は入社5年目以上と、社員の社歴が徐々に上がっていきました。6年でオフィスの長となることを目指している職種であることから、こうしたプログラムになったのだと思います。事前にプログラム内容は聞かされていませんでしたが、いろいろな立場の人の話を聞き、その仕事のキャリアステップ像を描くことができ、とても参考になりました。

 

内定者は、明るくておしゃれな人が多いなという印象。生命保険会社なので生真面目な人たちが多いのだろうと想像していたので、意外でした。内定者には、どのような就活をしたのか、なぜこの会社への入社を決めたのかなどを質問。年齢の近い人と接する機会を持てたことで、会社に親近感を持てました。

 

入社2、3年目の社員には、就活の経験談や仕事の苦労について聞きました。感じたのは、僕たちの話をしっかりと聞いて答えてくれるなということ。保険商品の営業は、お客さまの話にじっくり耳を傾け、その人に最適な商品を紹介する仕事だからなのだと感じました。

 

入社4年目になると、社会で鍛えられてきたせいか、前日の社員と1年しか違わないのに、かなり落ち着いていることに驚きました。その人たちには、どのようなキャリアを積んできたのかを質問。仕事の厳しさも隠さず話してくれ、本音を聞けた気がしました。

 

最終日は、入社5年目のオフィス長補佐、6年目のオフィス長だけでなく、キャリア20年の社員も参加。これまでのキャリアステップや後輩の育成についてなどを質問しました。「オフィス長として、自分の組織で働く社員だけでなく、社員の家族の生活も支える気持ちで働いている」という話を聞いて、加入者の幸せはもちろん、社員やその家族の幸せも背負っている仕事であり、人の幸せのために頑張ることがやりがいになっているのだと実感しました。

 

インターンシップスケジュール

大学3年5月
官公庁1団体に大学のキャリアセンターを通じてエントリー。エントリーシートを提出。
大学3年6月
地方公共団体の5日間のインターンシップに参加。塾講師のアルバイトと重なる日は、アルバイトを休んでほかの日に入って補った。
大学3年7月
医薬品メーカー2社、医療機器メーカー、人材関連企業など8社にリクナビなどの就活準備サイトを通じてエントリー。6月にエントリーしたコンサルティング会社に呼ばれて、Webテストと筆記試験を受け、約3週間後に個人面接を受けたが、その後連絡はなかった。医薬品メーカーの1社にエントリーシートを提出し、個人・グループワーク、グループ面接の選考を受けた。選考のなかった人材関連企業の1dayインターンシップ(グループワーク)に参加。
大学3年8月
医薬品メーカー3社にリクナビを通じてエントリー。7月にエントリーした1社の医薬品メーカーにエントリーシートを提出し、グループ面接を受け、2日間のインターンシップ(会社説明とワークショップ)に参加。選考のなかった人材関連企業の1dayインターンシップ(会社説明とグループワーク)に参加。
大学3年9月
医薬品メーカー2社と生命保険会社に、リクナビなどの就活準備サイトを通じてエントリー。医薬品メーカーの1社にエントリーシートを郵送し、グループ面接とワークショップの選考を受けた。もう1社の医薬品メーカーA社は選考がなく、3日間のインターンシップ(9月、10月、2月に各1日)の1回目(会社説明)に参加。8月にエントリーした医薬品メーカーB社の5日間(9月に3日間、12月に1日、2月に1日)インターンシップの1回目に参加。
大学3年10月
生命保険や医薬品メーカーなど6社に、リクナビなどの就活準備サイトを通じてエントリー。医薬品メーカーA社の2回目のインターンシップ(MRなどの模擬体験ワークショップ)に参加。
大学3年11月
食品メーカーに就活準備サイトを通じてエントリー。
大学3年12月
百貨店、医療機器メーカー、生命保険会社など15社にリクナビなどの就活準備サイトを通じてエントリー。医薬品メーカーB社の2回目のインターンシップに参加。エントリーシートを提出した生命保険会社の1dayインターンシップ(会社説明とワークショップ)に参加。選考のなかったホテル運営会社C社の1dayインターンシップ(会社説明とグループワーク、食事会)に参加。
大学3年1月
商社や医療機器メーカー、医薬品メーカー、生命保険会社など31社にリクナビなどの就活準備サイトを通じてエントリー。生命保険会社にエントリーシートを提出し、グループディスカッションの選考を受ける。医薬品メーカーにエントリーシートを提出。選考のなかったレジャー・アミューズメント業界の1dayインターンシップ(ワークショップ)、医療機器メーカーの1dayインターンシップ(会社説明、グループワーク、社内見学と食事会)、生命保険会社の1dayインターンシップ(ワークショップ)に参加。
大学3年2月
医薬品商社や調査会社など13社にリクナビなどの就活準備サイトを通じてエントリー。ホテル運営会社C社から連絡を受け、再び1dayインターンシップ(面接練習や内定者座談会など)に参加。12月にエントリーした生命保険会社の5日間のインターンシップに参加。エントリーしていない生命保険会社から連絡があり、エントリーシートを提出して5日間のインターンシップに参加。医薬品メーカーB社の3回目のインターンシップに参加。医薬品メーカーA社の3回目のインターンシップ(模擬面接など)に参加。選考のなかった医薬品メーカーの1dayインターンシップ(会社説明とワークショップ)、医療機器メーカーの1dayインターンシップ(会社説明とワークショップ)、病院の1dayインターンシップ(病院見学、説明会とワークショップ)、医薬品系商社の1dayインターンシップ(会社説明とワークショップ)、調査会社の1dayインターンシップ(会社説明)、電機メーカーの半日インターンシップ(ワークショップ)に参加。

インターンシップ時のファッション

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成人式用に購入した黒のストライプのスーツを着用した。ビジネスバッグは大学の入学式用に、靴はインターンシップ用に購入したもの。スーツを着る際に心がけたのは、ネクタイとワイシャツとの隙間ができないよう、きちんと締めること。毎日同じネクタイで行くのはイヤだったので、4、5本用意して毎日交換した。

 

これからインターンシップをする皆さんへ

1dayのインターンシップでも、インターネットやパンフレットではわからないことが見えてくるし、質問することで自分の知識は増えると思います。僕は、学業に影響しないよう、夏休みや春休み、一日講義がない日、午後から講義がある日は午前の部に参加するなど、“すき間”を最大限活用しました。たくさんのインターンシップに参加したのは、今後何十年も働く企業とのミスマッチをなくしたいと思ったから。多くの企業を見たことで、自分がその会社に勤まるかどうか、少なからず判断できるようになりました。スケジュール管理のコツは、手帳に予定をもれなく記入しておくこと。そうすれば、参加日程を決める際にも、その日が空いているかどうかひと目でわかりますよ。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/鈴木慶子

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