【最新版】大学生のインターンシップ事情

Vol.13 東京大学 1年 池 大樹さん

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いけ・ひろき●大学で始めたサークル活動に力を入れている。ジャグリングサークルは週2回、ハンググライダーサークルは月2回ぐらい週末を利用して活動中。長い夏休みに、何か新しくて面白いことを始めたいと考えていた時、姉から海外インターンシップの情報を聞き、人材関連企業が主催するプログラムに参加。行き先がベトナム・ホーチミンということだけで、企業名は出発前日まで知らされなかったが、特に不安はなかった。英検準1級。

ベトナムの日系企業で現地スタッフの日本語のレベルアップに挑戦

インターンシップデータ
参加企業の業界
:日系IT企業 参加のきっかけ:姉に紹介されて興味を持った エントリ方法:プログラムを主催する企業のホームページから 選考方法:エントリーシート提出、適性検査、面接2回 プログラム期間:14日間(国内での事前研修2日と事後研修2日を含む) 報酬:なし

姉に「無料で参加できる海外インターンシップがある」と聞かされ、軽い気持ちで応募しました。実際、往復航空運賃と現地ホテル代は主催会社負担、ホテルと派遣先企業間の移動はタクシーチケットが配られました。ベトナムに対する知識は、高度成長を遂げていて、昔の日本以上に勢いがあるという程度。あとは、「ご飯がおいしい」というぐらいでした(笑)。

 

参加者は48名。1年生が僕を含めて3名で、あとは3年生が中心。中には大学院生もいました。出発直前に1泊2日で行われた国内事前研修では、8名が6チームに分かれて、自己の内面を見つめるグループワークを実施。「自分はどう思われているか」を周囲にヒアリングする事前課題の結果を基に、自己分析を行いました。先輩に囲まれて、最初はちょっと怖い気がしましたが、敬語を話す雰囲気ではなかったのですぐに打ち解け、年下ということでむしろかわいがってもらいました。

 

事前研修で初めて派遣先の24企業が発表され、僕と3年生の女子学生は、IT企業に派遣されることに。文系でITの知識はほとんどないので「まずい」と思いましたが、とにかく1時間ほど派遣先企業についてリサーチし、翌日、宿泊ホテルからベトナム・ホーチミンへと向かいました。

 

インターンシップ先のIT企業は日本企業の現地子会社で、社長とマネージャー3、4人が日本人。あとは、ベトナム人のSE(システムエンジニア)が30名ぐらい勤務していました。初日は、日本語で企業の成り立ちや事業内容などのガイダンスを受け、滞在中のミッションが発表されました。それは、ベトナム人社員に日本語を教えること。確かに、職場を見てみると、ベトナム人SEとのコミュニケーションに苦労している様子でした。

 

翌日からは、さっそくミッションに着手。日本語のレベル別にクラスを分け、自分たちで考えたカリキュラムに沿って、1時間のレッスンを1日に3回実施。塾講師や家庭教師のアルバイト経験はありますが、共通言語を持たない相手に教えるのは、予想以上に大変でした。

 

工夫したのは、パワーポイントを使ってビジュアルで理解してもらうこと。どうしても通じず、英語を話せるベトナム人に通訳してもらったこともありましたが、初級レベルの人たちが10日後には50音を覚え、簡単な単語の意味を理解できるまでに上達したのは、うれしかったですね。最終日に行ったアンケートでは、レッスンはかなり好評でした。

 

最終目標は、1年後の日本語力テストでワンランク上のレベルに合格すること。ですから、レッスンの合間やホテルに戻った後に、授業内容や教えた結果、習熟度などを分析して、課題を設定し、僕たちが帰国した後も続けられる学習計画をパワーポイントで作成。ベトナムで働いている日本語教師に会って話を聞き、初めて日本語を学ぶ人がつまずきやすいポイントや、ベトナム企業が求める日本語習熟度などのデータも盛り込んだ資料を作成しました。

 

最終日は、40ページ以上の資料を基に、1時間半近くかけて社長や日本人マネージャーに対してプレゼン。実はプレゼン数日前に、日本語学習用のWebアプリを考えるという追加のミッションも与えられたのです。限られた時間でしたが、何とかアプリの概要も提案。プレゼンの準備に30時間以上かかり、追加ミッション達成のために徹夜もしましたが、社長に「やるね!」と好評価をいただき、大きな自信になりました。

 

この経験を通してあらためて気づかされたのは、日本語の美しさと面白さ。同時に、共通言語のない者同士のコミュニケーションの難しさも実感。自由時間はそれほどありませんでしたが、親しくなったベトナム人社員2人と4人でボウリングに行きました。言葉の通じない者同士なので、気合いでコミュニケーション(笑)。僕たちをもてなそうとする優しい気持ちが伝わってきて、うれしかったですね。

 

帰国後は、自己開発をテーマにした事後研修がありました。出発前は、物ごとを客観的に見てしまって熱くなれない自分がいましたが、インターンシップ先では、与えられたミッションに全力で取り組み、力作の報告書で熱のこもったプレゼンをすることができたのです。研修を通して、「全力で頑張れば、冷静さの中からも熱さは自然と生まれる」ということを体感できたことは、僕にとって収穫でした。

 

インターンシップスケジュール

大学1年6月
姉から海外インターンシッププログラムの情報を聞いて興味を抱き、主催する人材関連企業のホームページからエントリー。後日会場に出向き、適性検査とエントリーシートを提出。
大学1年7月
選考通過の通知を受け、東京の会場にて1次面接(学生2名と面接担当者1名)を受ける。数日後に2面接(個人)を受け、数日後に電話で合格の知らせを受けた。
大学1年8月
周囲の人たちに「自分はどう思われているか」をヒアリングするという事前課題が出され、友人や先生など5人にリサーチ。
大学1年9月
成田空港近くのホテルに宿泊して、1泊2日の国内事前研修に参加。翌夕方、その足でベトナム・ホーチミンに向かい、10日間の海外インターンシップに参加。帰国後、2日間の国内事後研修に参加。

インターンシップ時のファッション

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スーツ、ネクタイ、靴は入学式用に購入したものを使用。ビジネスバッグは塾講師のアルバイト用に購入したもの。スーツで面接に行ったところ、周りの学生はみんな私服で少し浮いていた。ベトナムでは私服でOKと聞いていたが、念のためスーツを持参。初日はスーツで出勤したところ、社長に「服装が堅いね」と言われ、翌日からはポロシャツなどの襟付きシャツとロング丈のパンツで通勤した。

 

これからインターンシップをする皆さんへ

1年生で参加するメリットは、就活を意識せずにのびのび活動できること。3年生は就活に関することだけでなく、いろいろな情報を持っているので、そういう人たちと1年生のうちに知り合うことができて良かったと思います。自己分析などで本音を言い合った仲間なので絆が強まり、今も連絡を取り合っています。経験から言えることは、自分ができることとできないことを、きちんと把握しておくこと。僕の場合は、パワーポイントは授業の発表に対応できる程度のスキルだったので、仕事を引き受けてしまってから苦労しました。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/鈴木慶子

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