【最新版】大学生のインターンシップ事情

Vol.11 東京工業大学大学院2年 廣川真輝さん

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ひろかわ・まさき●大学4年から約3年間、顧客満足度に関する研究に力を入れてきた。コンサルティング、IT、メーカー、金融、アパレル、小売専門店、など10社に、リクナビなどを通じてのべ12回エントリーし、アパレル企業や小売専門店など4社のインターンシップに参加。中でも印象に残っているのは、小売専門店と生命保険会社。同じ業界の複数企業のインターンシップに参加したことで、1社だけの印象で業界全体のイメージを決めつけずに済んだ。また、企業を比較することで、カラーの違いを知ることができた。

報酬重視の参加者の中には、モチベーションの低い人もいてガッカリ

インターンシップデータ
参加企業の業界:小売専門店 参加のきっかけ:接客業に興味があり、職場体験ができる上に報酬ももらえると知って エントリー方法:リクナビから応募 選考方法:エントリーシート提出のみ プログラム期間: 5日間 報酬:あり(4万円)

インターンシップ先を選ぶ際に重視したのは、参加期間が1週間程度あること。理系の仲間は就活でIT系やメーカー、コンサルティング会社などを目指す傾向にあるので、そうした業界にもエントリーしましたが、大学3年時にはアパレルなどの接客に興味がありました。また、当時は報酬があるかどうかもかなり重視していました。

 

大学3年の9月に参加したのは、家具や雑貨などを扱う小売専門店での5日間のインターンシップ。初めてのインターンシップでしたが、緊張感よりもワクワク感の方が勝っていました。参加者は約50名で、ほとんどが大学3年生。初日は本部に集合し、インターンシップ中にどのようなことをするのかレクチャーを受け、店舗での注意点などを聞いた後、今回の参加目的についてレポートを作成。6名ごとのグループに分かれて自己紹介をした後、グループ内で参加目的を発表しました。

 

2日目と3日目は、6名のグループごとに店舗に配属されました。僕たちが配属されたのは埼玉県の店舗。店舗で業務全般についてレクチャーを受け、さっそく、社員の指示に従って業務がスタート。仕事は、商品棚に少なくなった商品の補充が中心で、期待したほど接客チャンスはありませんでしたが、入社2年目の社員の素晴らしい接客サービスを間近に見て、若手の意識の高さに「すごいな」と思いました。

 

午後は、グループディスカッション。実務に携わってみて、見えてきた自分の課題を発表するのです。僕は、社員の指示に従って、漫然と商品を出して並べていた自分の仕事ぶりを振り返り、作業効率などをもっと考えながら行動すべきだったと気づきました。3日目は、社員と一緒に商品棚のレイアウト変更にも挑戦。想像以上に肉体労働であることに驚きましたが、初めての経験でとても興味深かったですね。

 

4日目は、「他社との違いを参考に、改善点を提案する」という課題を与えられ、グループの6名と社員1名で同業他社の他店を視察しました。僕が感じたのは、店づくりの違い。インターンシップ先の店舗は、欲しい商品にすぐたどりつける“買うための場所”、同業他社の店舗は商品の配置に特徴があり、“見るための場所”という印象を受けました。

 

4日目の後半と5日目の午前中は、実務体験と視察を受けてのグループワーク。僕たちは、商品棚の種類が多すぎて管理しきれず、あるはずのパーツが見つからなくてディスプレー変更の作業効率が落ちていると感じたことから、商品棚の種類の簡素化を提案・発表しました。

 

グループワークを通して痛感したのは、参加者のモチベーションの違い。頭の回転が速く、話す内容も明確で、見習いたいと思う人がいる一方で、「提案内容の質に関係なく報酬はもらえるのだから、適当に終わらせればいい」という考えの人たちもいて、正直がっかりしました。

 

その場は何となく流されてしまいましたが、今思えば、自分がまとめ役となってみんなの気持ちを盛り上げるよう、もっと努力するべきでした。有意義だったのは、発表後の懇親会です。人事担当者に、エントリーシートの書き方や人事担当者が着目するポイント、面接のマナーやポイントなど、就活に役立つ情報を聞くことができました。

 

興味のなかった業界が、インターンシップによって志望先になった

インターンシップデータ
参加企業の業界:外資系生命保険会社 参加のきっかけ:興味のない業界を知って、知識を広げたいと思った エントリー方法:リクナビから応募 選考方法:エントリーシート提出、Webテスト、グループディスカッション プログラム期間: 5日間 報酬:なし

大学3年の時に報酬を重視してインターンシップ先を選んで失敗したので、大学院1年の時は別の視点で選ぶことに。それは、あえて興味のない業界を選ぶということでした。生命保険会社に対しては、命でビジネスをしているようなネガティブな印象を持っていたので、実際はどうなのか知りたいという思いがありました。

 

大学院1年の9月に行われた5日間のインターンシップの参加者は10名。院生は僕ともう1名、あとは大学3年生で、ほとんどが文系です。初日は自己紹介の後、生命保険の仕組みや自社商品についてレクチャーを受けました。「生命保険は、かつて小さい村の住民が少しずつお金を積み立て、困った人を助けていた」という助け合いの発想に基づいているという話を聞き、それまでのネガティブな印象が変わりましたね。

 

2日目と3日目は2つのグループに分かれて、4つの事業部門の業務について学びました。僕たちのグループは、コールセンター、保険金部門、契約事務部門など、契約後に生じる業務にかかわる4部門の担当者から説明を受けました。

 

2つのグループが別の4部門について学んできたので、5日目は、別のグループに対して自分たちが学んだ部門の紹介をするプレゼンの場が用意されていました。4日目は、そのための資料をパワーポイントで作成し、5日目の午前中はプレゼンの練習。午後から行われた発表を通して、もう1つのグループが学んだ契約書類の処理や健診結果の記録など、保険契約にかかわる前半部分の業務内容も知ることができ、保険業務全般の流れを把握することができました。

 

夕方から社内で行われた懇親会では、社員に「どんなタイプの社員が多いのか」を質問。なぜなら僕にとっては、どんな人たちと一緒に働くのかが重要に思えたからです。また、同じ業界から転職した社員もいたので、他社との違いなどについても質問しました。

 

同じ月に、日本の生命保険会社のインターンシップにも参加したので、企業カラーの違いも肌で感じることができました。最初は興味もなく、ネガティブな印象さえ抱いていた生命保険会社でしたが、インターンシップに参加したことで、保険金の支払い制度の公平さなども理解。理系らしい論理的思考や説明は、保険の営業にも生かせそうですし、将来的には資産運用部門など数字を扱う部門へのキャリアチェンジも可能だとわかり、志望先が定まりました。

 

4社のインターンシップに参加した一番の収穫は、文系の友達ができたこと。理系の大学では得られる就活情報がどうしても理系寄りで、周囲に自分と同じような業界を目指す人たちはいませんでした。ですから、インターンシップで仲良くなったほかの大学の文系の友達から、就活先の企業でどんな質問を受けたかなどの情報を得られたことは、とても役立ちましたね。

 

インターンシップスケジュール

大学3年6月
コンサルティング、IT系、電機メーカー、アパレル、小売専門店の5社に、合同企業説明会やリクナビを通じてエントリー。エントリーシートを提出。
大学3年7月
テストセンターに出向いて、6月にエントリーしたコンサルティング会社のテストを受けたが、個人面接は受けずに辞退。6月にエントリーしたアパレル企業の個人面接を受けた。
大学3年9月
6月にエントリーシートを提出した、小売専門店の5日間のインターンシップに参加。
大学3年12月
大学院に進学することは決めていたが、将来のために就活を経験しておこうと考え、大学3年時にインターンシップにエントリーしたアパレル企業の会社説明会に参加。選考の過程でインターンシップがあり、エントリー。
大学3年1月
12月に会社説明会に参加してエントリーした、アパレル企業の個人面接に参加。
大学3年2月
アパレル企業の選考の一環である5日間インターンシップに参加。
大学院1年6月
損害保険会社、銀行、一般消費材メーカー、大学3年時にエントリーした電機メーカーに、リクナビを通じてエントリー。銀行はWebテストとグループディスカッション、面接(グループと個人)を受けた。損害保険会社はWebテストとグループ面接を受けた。一般消費財メーカーのWebテストとグループディスカッションも受けたが、提出課題の難易度が高く、大学院のテストと重なったため、学業を優先させて断念。
大学院1年7月
リクナビを通じて、外資系生命保険会社と日系生命保険会社にエントリー。エントリーシートを提出後、Webテストとグループディスカッションの選考を受けた。
大学院1年9月
7月にエントリーした外資系生命保険会社と日系生命保険会社で、それぞれ5日間のインターンシップに参加。

インターンシップ時のファッション

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大学の入学式用に購入した黒のスーツと靴を着用。ビジネスバッグは、大学2年の時に塾講師のアルバイトをする際に購入した。面接はすべてスーツで臨んだが、アパレルのインターンシップはそのブランドの服が制服代わりに借し出されたので、私服で参加。小売専門店のインターンシップは、チノパンかジーンズと襟付きシャツで参加し、支給された店舗用エプロンを着用。生命保険会社はクールビズだったので、半袖シャツとノーネクタイで参加した。

 

これからインターンシップをする皆さんへ

“食わず嫌い”で自分の可能性を狭めてしまうことのないよう、興味のない業界にも参加してみてください。僕自身も、インターンシップに参加したことがきっかけで、興味のなかった業界への印象が変わり、外資系の生命保険会社に就職することにしました。また、同じ業界でも企業のカラーはかなり異なるので、複数参加して比較してみることも大切。僕も日系の企業の印象だけで判断していたら、この業界を選ばなかったかもしれない。日系と外資系と両方を見たことで、企業カラーの違いがわかり、外資系を選びました。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/鈴木慶子

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