【最新版】大学生のインターンシップ事情

Vol.12 上智大学 3年 矢崎杏奈さん

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やざき・あんな●大学生活で力を入れているのは、3年から始まった都市社会学のゼミ。インターンシップではできるだけいろいろな企業を見ようと考え、身近にあるものを扱う業界に着目して、食品メーカーやフードビジネス、銀行など約10社にエントリー。4社のインターンシップに参加した。中でも印象に残っているのは、食品メーカーと銀行。複数の業界で体験したことで、就職しないであろう企業の仕事も幅広く知ることができた。

新企画は思いつきだけでは実現しない。ビジネスの厳しさを知った

インターンシップデータ
参加企業の業界:食品メーカー 参加のきっかけ:日常的に口にする親しみのある食品を扱っているから エントリー方法:リクナビで見つけ、企業のホームページから 選考方法:エントリーシート提出のみ プログラム期間:2日間 報酬:なし

この食品メーカーのインターンシップは、長野で1泊2日というプログラム内容と、50年続いている企業であることに興味を覚え、3年の時に参加しました。関東在住の学生には交通費一律5000円が支給され、残りは自己負担。食事代はかかりませんでした。

 

参加したのは約20名で、全員3年生。男女比はほぼ半々でした。初日は長野の本社に朝10時に集合し、事業内容や職種についてのオリエンテーション。ランチは、支給されたお弁当を食べながら、どこから来たのかなど、参加者同士でおしゃべりをしながら親交を深めました。

 

午後は、5人ずつのグループに分かれて、課題に挑戦。参加する約2週間前に「その会社の商品を通年で食べてもらうアイデアについて考える」という課題を与えられていたので、各自が事前に考えてきたアイデアを持ち寄り、メンバーの意見をグループとしてまとめ、発表するというものです。

 

その日は16時ごろまで本社で課題に取り組んだ後、宿泊先の研修所に移動して夕食。4名の社員も同席して、一緒に食事をしながら、「営業として、どうすれば商品が売れるのか?」「入社後、大変だったことは?」など、いろいろな質問をしました。夕食後は自由時間でしたが、メンバーと遅くまで発表準備の作業をしていましたね。

 

大変だったのは、意見のすり合わせ。それぞれ自分のアイデアに信念を持っているので、簡単には譲れませんし、かといってすべてを盛り込むことは無理。そこで、まずはどのような視点で攻めるかというコンセプトを決めることに。コンセプト決めにかなり時間がかかりましたが、2日目の午前中にはアイデアがまとまり、模造紙に手書きして完成させました。

 

午後は発表会。制限時間約15分で、社長や役員も出席しました。私たちのグループは、「子どもの夏休みの自由研究用に栽培キットをつける。季節ごとにパッケージの色を変えて、色で注目させる」などを提案。素晴らしいアイデアだと自信を持って発表しましたが、社員からは「コスト面などを考えると難しい」と現実的な意見が出され、「新しい企画は、単なるひらめきでは実現できない」というビジネスの厳しさを痛感しました。

 

このインターンシップの収穫は、グループの人たちと仲良くなれたこと。初対面ではお互いガチガチに緊張していたのに、グループワークを通してつながりができ、2日目のランチは机を大きな輪にしてみんなで食べたほど。初めて出会った人たちと仲良くなることの素晴らしさを知りました。反省点を挙げるなら、会社について事前にもっと調べておくべきだったということ。そうすれば、もっと良いアイデアが出せたかもしれません。

 

お金を扱う銀行も、人と人とのかかわりが基本なのだと実感

インターンシップデータ
参加企業の業界:銀行 参加のきっかけ:自分のメインバンクとして身近だったから エントリー方法:リクナビで見つけ、企業ホームページから 選考方法:エントリーシート提出とグループ面接 プログラム期間:5日間 報酬:なし

正直、銀行にはそれほど興味がありませんでしたが、参加することで興味や知識が増えるに違いないと考え、参加しました。参加者は72人で、全員3年生。金融の基礎知識を持った経済学部の学生が多くて、気後れしましたが、「インターンシップなのだから」と自分を励ましました。

 

プログラムは毎日13時から17時。初日は、会社や業務内容について説明を受けた後、6人ずつのグループに分かれて、すごろくのような銀行シミュレーションゲームに挑戦。ゲームは楽しかったものの、法人に対して銀行がどのようなサービスを提供しているのかがピンとこなくて、グループのメンバーに助けてもらう場面もありました。

 

2日目は、信託などの仕組みについて説明を受けた後、不動産仲介業務を知るグループワークを体験しました。銀行役と企業役に分かれ、「海外進出するにあたって、どこに支店を出すのが望ましいか」を、企業側の意見を参考に銀行が提案するというもの。私は企業役で、銀行に伝える意見のとりまとめを担当。社内の折衷案を出すのに苦労しましたが、提案を受けるのは初めての体験で、とても興味深かったですね。

 

3日目は、事業継承のグループワーク。今度は、中小企業に事業体制を提案する銀行役でした。現社長の父親に、経営ビジョンの異なる長男と次男のどちらに継がせるべきかを提案するのですが、私は長男と次男のアイデアを両方採り入れ、共同経営できる道を探っていました。ところが、グループワークの途中で「仲良く続けることは不可能」と社員に指摘され、自分の考えの甘さを知りました。

 

4日目は、2グループに分かれ、人事や法人営業、個人営業などを経験している社員との座談会に参加。仕事のやりがいや、この仕事をしていて良かったと思う瞬間などに、話題が及びました。長らく法人営業を担当していた社員から、「自分の異動を多くのお客さまが惜しんでくれた」という話や、「社長から、キミを雇いたかったと言われた」という話を聞き、「お金を扱う銀行も、人と人とのかかわりが重要なのだな」と実感。銀行に対する印象が変わりました。

 

座談会の後は「新しい銀行の形」をテーマにしたグループプレゼンの準備。メンバーでまとめた意見を模造紙に書いて、最終日に発表を行いました。

 

金融知識のない私には難易度の高い5日間でしたが、不動産仲介業務や事業継承はやりがいのある仕事だとわかりましたし、いろいろな社員と接し、若いうちから仕事を任せてもらえる企業風土を感じることができました。自分の中の銀行に対する堅いイメージが払拭され、志望業界の1つになりましたね。

 

インターンシップスケジュール

大学3年6月
就職ガイダンスで、2014年はインターンシップを実施する企業が多いと聞き、人気企業ランキングなども参考にしながら、リクナビなどでエントリー先を探し始めた。
大学3年7月
就職先としては考えていなかった企業にも行ってみようと考え、“身近に感じられる業界”を軸に、フードビジネスや食品メーカー、銀行など9社に、サイト経由や郵送でエントリーシートを提出。5社は書類選考で落ちたが、銀行はグループ面接に進んだ。面接では、志望動機や銀行に対するイメージなどエントリーシートにあった質問のほか、「どんな社会人になりたいか?」という予想外の質問も受けた。
大学3年8月
7月にエントリーし、選考のなかったフードビジネスの1dayインターンシップに参加。会社概要や独自の強みなどの説明を聞いた後、自社が運営するレストランで社員と食事をしながら懇親会。サービス業ならではのおもてなしの心を感じ、企業に対する好感度がアップ。その後、エントリーのみで選考のなかった自動販売機の開発・管理を行う会社の1day(半日)インターンシップに参加。人事担当者がマンツーマンで事業や仕事内容について説明してくれた。月末に、長野での1泊2日の食品メーカーのインターンシップに参加。
大学3年9月
埼玉の研修所で行われた銀行の5日間のインターンシップに参加。

インターンシップ時のファッション

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入学式の時に、就活を意識したスーツを購入。泊まりがけのインターンシップはリュックサックと小型スーツケースで参加したが、銀行のインターンシップに参加する前にビジネスバッグを購入した。夏だったので「クールビズでOK」という企業が多く、ジャケットの下は半袖シャツを着用。長袖シャツの学生は暑がっていたので、快適さを優先して半袖を選んで正解だった。

 

これからインターンシップをする皆さんへ

志望業界だけに絞ってインターンシップに参加するのもいいけれど、「会社を見る」というつもりで、少しでも知っている企業にエントリーしてみるのもいいのではないでしょうか。私自身も、それほど興味のなかった企業のインターンシップに参加した結果、その企業や業種に対する理解が深まり、思い入れも生まれました。幅広い業界のインターンシップに参加することで、自分の興味の幅や可能性が広がると思います。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/鈴木慶子

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