【最新版】大学生のインターンシップ事情

Vol.9 早稲田大学 2年 佐野良輔さん

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さの・りょうすけ●大学では学園祭の実行委員約600人の代表を務め、予算集めから11月の学園祭当日の運営までを仕切っている。大学1年の夏に証券業界、大学2年の夏に外資系コンサルティング会社のインターンシップに参加。就活はまだ先だが、複数のインターンシップに参加したことで業界の内情をある程度知ることができ、志望先を考える際の判断材料が増えた。TOEFL iBT(R) テストは120点中102点(TOEIC(R)テスト900点相当)。

高校時代から興味のあった業界が、より身近な存在になった

インターンシップデータ
参加企業の業界:証券 参加のきっかけ:高校時代に株を始め、金融業界に興味を持っていたから エントリー方法:大学のポータルサイトで、大学と企業が連携して行うインターンシップの告知を見つけて応募 選考方法:ポータルサイトから入力するエントリーシートの提出、グループ面接 プログラム期間:6週間(週1回の出社と、任意で行うプロジェクト会議) 報酬:なし

参加期間が6週間と長いので不安はありましたが、「大学1年の夏休みに、自分は何をやりたいか」を考えたとき、最上位にあった選択肢がインターンシップでした。高校時代から金融業界に興味があり、証券業界で働く人やビジネスの現場を見てみたいと思ったのです。

 

プログラム内容は、「若者世代の投資家デビューを促すには」をテーマに、新たな若い顧客層をつかむための新企画を考えること。企業と大学が連携して行うインターンシップなので、参加者は同じ大学の12名。3、4年生が中心で、1年生は僕を含めて2名でしたが、年齢や知識の差は気になりませんでした。なぜなら、僕は高校時代に株を始めていたので、今回の企画のターゲット層でもあり、顧客でもあることが自分の強みになると思ったからです。

 

3人ずつの4チームに分かれ、初日は配属先となったCSR部門の担当者から今後のスケジュールの共有があり、その後職場内を見学しました。6週間のうち、10時から17時まで出社するのは週1回。前半の3回は、証券業界の現状などについて学んだり、金融業界の企業トップの話を聞いたりと、座学が中心でした。

 

後半の3回は、各チームに社員2名の指導役がついて、企画づくりのグループワークがスタート。週1回の出社日以外にも、週2回は大学近くにチームで集まってグループワークを行ったほか、最後の5日間は連日出社して、プレゼンの予行練習も行いました。

 

グループワークが始まってまもなく、社員からフィードバックを受ける機会が。僕は思ったより高い評価でしたが、「淡々と自分の作業だけをやるのではなく、周囲にやる気をアピールすることも、チームのモチベーションアップやチームワークには大切だ」とアドバイスを受けました。

 

僕たちのチームリーダーは、パワーポイントのスキルが高かったことからスライド作成作業が優先になり、グループワークのまとめ役が不在になりがち。そこで僕は社員からアドバイスも受けていたので、自ら進行役を務めることにしました。進む方向が正しいのかわからず困惑しながらも、全体を俯瞰(ふかん)し軌道修正したり、話が停滞してしまったときには社員に助言を求めたりしながら、企画をまとめていきました。

 

プレゼンは1チーム約20分。インターンシップ先の役員、指導担当者、大学の理事などを前に、パワーポイントや配布資料を基にプレゼンを行いました。どのチームもおおむね高評価でしたが、3人で分担した説明の時間配分がうまくいかず、最後が詰まってしまったことが悔やまれます。

 

このインターンシップの成果は、グループ内で議論が発展した先の自分の役割を意識するようになったこと。組織の中では、周囲を見ながら動かなければ評価されないということも理解しました。証券業界の仕事を間近で見たことで、さらに「この業界で働いてみたい」と思うようになりましたね。

 

実際のプロジェクトに参加し、プレゼン力のすごさに感激

インターンシップデータ
参加企業の業界:外資系コンサルティング 参加のきっかけ:フットサルを通じて知り合った日系のコンサルティング会社の社長から勧められた エントリー方法:人事担当者を紹介され、直接連絡を取って 選考方法:エントリーシートの提出はなく、面接時に志望理由などを口頭で答えた程度 プログラム期間: 土日を除く1カ月 報酬:あり(無給と言われていたが、プロジェクトに参加した報酬として30万円)

コンサルティング業界にそれほど興味はありませんでしたが、その企業から転職した大学の先生から「いろいろな業界を知ることができて、良い経験になった」という話を聞いたので、知人の紹介もあり、大学2年の夏に参加してみることにしました。

 

最初の3日間は、企業の歴史、業務内容、入社後のキャリアステップなどについて、マンツーマンでオリエンテーション。ほとんど知識のないまま参加しましたが、「一般的な企業は実働が仕事だとしたら、コンサルティング会社は思考が仕事だ」と聞き、考えることが好きな人には魅力的な仕事なのだなと思いました。

 

その後は、実際のプロジェクトに参加。僕が携わったのは、海外参入が思うように進んでいない国内の食品メーカーへのコンサルティングで、3週間後にクライアントにプレゼンすることが決まっていました。メンバーは社員3名と、先にインターンシップを始めていた大学3年生と僕の5名。

 

8日ほどかけて現状分析を行い、必要なデータを自社やクライアントから入手するなどして、情報を収集。その後は、5日ほどかけて課題を洗い出して解決策をまとめ、人的パワーやコスト面などを含めて実行の可能性をクライアントに打診。フィードバックを受けて、プレゼン資料をまとめていきました。

 

クライアントはすでに海外展開をしているので、スカイプ(無料のテレビ電話アプリ)で海外支社のマネージャーとの英語ミーティングに参加したことも。とにかく社員は頭の回転が速くて、専門知識も豊富。彼らについていけないこともありましたが、ときどき「大丈夫?」とフォローし、説明を補足してくれたので助かりました。

 

目を見張ったのは、プレゼンの素晴らしさです。客観的で整合性がとれていて、説明がストンと腑に落ちる。突っ込まれたときのために予備資料も準備して、理論武装している。「物事はこういうふうに論理的に考えるのか」「人に説明するとは、こういうことなのか」と、とても感動しました。

 

このインターンシップを通して、コンサルティング業界を理解できただけでなく、どんな仕事にも通用する論理的思考力を知ることができたのは、僕にとって大きな収穫でした。社員と食事を共にする機会が何度もあり、「就活に備えて、どんな準備をしておくべきか」を質問したところ、「自分に足りないものは何かを探し続け、自分自身を磨くことだ」との回答が。その言葉にならって、今は、自分に足りないと感じた“相手が何を求めているかを察する力”を意識するようになりました。

 

インターンシップスケジュール

大学1年5月
大学と企業が提携して開催しているワークショップの一環としてインターンシップがあることを知り、大学のポータルサイトから証券業界にエントリー。
大学1年6月
証券業界の選考に呼ばれ、グループ面接に参加。大学での活動内容、志望理由、自分の長所と短所、将来的に証券業界とどうかかわっていきたいか、などの質問を受けた。
大学1年7月
証券業界から、インターンシップ前に勉強しておくべき書籍や資料が到着。
大学1年8月
証券業界の6週間のインターンシップに参加。9月中旬までだったが、学業に支障はなかった。
大学2年6月
日系のコンサルティング会社の社長から、外資系コンサルティング会社のインターンシップがあることを聞く。
大学2年7月
紹介された外資系コンサルティング会社の人事担当者に連絡を取り、数日後に面接。その日の夜に合格の連絡を受ける。
大学2年8月
8月末から9月末まで、週5日間、10時から15時ごろまで外資系コンサルティング会社のインターンシップに参加。夏休み期間だったので授業は休むことなく、参加することができた。

インターンシップ時のファッション

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大学に入学する際に、入学式や成人式などハレの日用の高級スーツと、就活などを意識した安価なスーツの2着を購入。インターンシップには安価なスーツで参加。証券業界は「クールビズでOK」と聞いていたので、ノーネクタイで参加。プレゼンの日だけはネクタイを締めた。コンサルティング会社は、スーツとネクタイで参加。急きょクライアントに会うこともある仕事なので、接した社員もネクタイとスーツ姿だった。

 

これからインターンシップをする皆さんへ

就活を意識している3年生は、社員との関係づくりなど目先のことに必死で、視野が狭くなっているように見えました。その点、状況がひっ迫していない低学年のうちにインターンシップに参加すると、心に余裕が持てて得られるものも多いような気がします。それに、低学年から参加しようとする意欲は、選考時のプラスポイントになることはあっても、マイナスになることはないはず。何年生で参加するにしても大切なのは、インターンシップに参加することを目的にするのではなく、自分が得たい情報や知識を身につけられる企業やプログラムを見極めて参加することだと思います。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/鈴木慶子

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