内定者インタビュー

Vol.182 出版社内定 早稲田大学 小川利奈子さん

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就活データ
志望業界
:出版 説明会参加:13回(うち合同企業説明会3回) 先輩訪問:5人(出版5人) エントリーシート提出:10社 面接:8社 内定:1社 活動費用:約20万4000円(交通費2万円、靴代1万円、カバン代2000円、外食費2万円、証明写真7000円、書籍代2万円、封筒・郵送代5000円、就活塾費用12万円。就活中は交通費をかけないよう、大学の近くのルームシェアに引越し。スーツは従兄弟にもらった。書籍代は、受ける出版社の雑誌や新書を頻繁に購入したため割高に)

憧れの業界に入るため、就活塾で徹底的なインプットを

高校時代、私は柔道部に所属していました。全国大会を目指して毎日練習漬けの日々を送っていたので、周りの同級生の女子たちのように、オシャレをして遊びに行ったりすることがほとんどできなくて…それで、ファッション誌をよく読むようになったんです。華やかな世界がページいっぱいに広がっていて、読んでいるだけで幸せな気分になりました。多いときには、月に10冊ほど購読。このころから「出版社に入ってファッション誌作りに携わりたい」と思うようになっていました。

 

大学2年の3月から、就活を見すえて何かしらやっておこうと思い、出版社のインターンシップに参加。週2回ほどで半年間、編集関連の雑用や誌面で使う街角スナップの撮影などをやらせてもらいました。実際に雑誌を作る現場に携われたことで、仕事の仕組みやノウハウなどを学べたこと、同じく出版業界を志望する同級生の友達が増えたことは、それ以降の就活に大きく役立ちました。

 

10月ころから就活の対策本などを読んだり企業情報などを調べたりし始めて、あらためて出版業界の実情や採用枠の少なさを把握し、「本当に出版社に入れるだろうか…」と不安に。そんなタイミングで、大学内で無料の出版業界向け就活セミナーが開催されることを知って、試しに参加してみたんです。エントリーシートの書き方や筆記試験の傾向など、初歩的なレクチャーがメインだったのですが、それが思いのほか勉強になって。セミナーの最後に、就活塾卒業生の進路一覧を見せられて…安易かもしれませんが、ここに入って頑張れば、なんとかどこかの出版社には入れると思ったんです。費用が高くて迷ったんですが、「大学の予備校と同じ。自分は天才でも何でもないから、ちゃんと勉強しないと、優秀な学生たちには勝てない」と、通う決心を固めました。

 

就活塾では、出版の歴史についての講義をはじめ、筆記試験のための新聞精読や作文演習など、一人では到底できなかっただろうなという部分まで、しっかりと知識と対策を深めることができました。中でも新聞精読は大変で、毎日振り分けられた新聞1紙を読んでその日のニュースのサマリーをまとめ、さらに1日あたり5題ずつジャンル別(政治・文化・スポーツなど)に問題を作り、それを週1回持ち寄ってグループで問題の出し合いをしました。「エントリーシートはまだ触るな、今はアウトプットよりもインプットだ」という指導のもと、年内はとにかく手と頭をフル稼働させていました。

 

 

礼儀をわきまえた上で、いつも通り“ヘラヘラ”とした自分で臨んだ面接

年が明けてからは、エントリーシート作成に集中。ネタとしてほり下げてほしい部分を太字で書くなどの工夫をして、「面接で相手が必ず詳細を聞いてくる“ツッコミどころ”を意図的に入れる」ように意識して書きました。そうすることで、いつでも自分のペースで落ち着いて会話をすることができますし、聞かれることを想定できれば、そこに合わせて自己アピールを盛り込んだ回答を準備することができます。「学生時代に頑張ったこと」の項目では、実際に自分が一番頑張ったことを書くのではなく、相手に頑張ったことが一番伝わりやすいエピソードを選ぶように。書いたエントリーシートは志望先の内定者の先輩に見せてアドバイスをもらうなどして、徹底的に「他人目線」を重視して推敲(すいこう)しました。

 

また、企業研究の一環として、国会図書館に週に1回通って、志望する会社のファッション誌やマンガ誌のバックナンバーをチェック。国会図書館には創刊号からすべての雑誌がそろっているので、媒体研究にはとても重宝しました。普段から知識を詰め込むような勉強が多かったので、好きなものを読めるこの時間は就活中のいい息抜きにもなりました。

 

筆記試験や面接が始まり、選考が本格的になってきたのは3月からです。出版社の筆記試験では芸能ニュースなども時事問題に盛り込まれるので、試験前に『日経エンタテインメント』などをチェックしてカバーしました。作文でよく出題される「三題噺(指定された3つのキーワードを入れて作文を書く課題)」は書くネタの大部分…“起承転結”で言えば“承転結”の部分を前もって準備しておいて、どんなキーワードが来ても“起承”あたりでうまく盛り込んで作成し、文章の質を安定させていました。

 

面接のモットーは「質問に答えすぎない」こと。先輩に模擬面接をしてもらったときに、「普通の会話だったら、そんなに聞かれてないことまで勝手にしゃべらないでしょ?」と指摘されてから、強く意識するようになりました。それと、笑顔を絶やさないこと。私なりの主義なんですが、“ニコニコ”ではなく、“ヘラヘラ”するように心がけていました。取り繕ったように“ニコニコ”するよりも、いつも通りの“ヘラヘラ”した私を見せる方が、相手も自分も肩の力を抜いて、自然体で楽しくコミュニケーションが取れると思ったんです。もちろん、その際に最低限の礼儀と敬語だけは外さないように。結果的に面接は順調に進んだので、真面目でこわばった表情をして、ハキハキとしゃべる就活生が多い面接の場では、いい意味で差別化を図れたんじゃないかなと感じています。

 

出版業界の採用は本当に数が少ないので、私は「99.9パーセントが落ちる就活」と思って、考え得る努力を愚直に積み重ねていきました。説明会で目立つように私服で行って、少しでも社員さんに顔を覚えてもらえるように個別に話を聞きに行ったりもしました。その代わり、わかりやすく目立つ分、内実である振る舞いや言葉づかいはできる限り謙虚に。あらためて振り返ると、常に人とは少し違う行動を選んだことが、総じていい方向に転がった就活でした。“奇をてらう”わけではなく、“やった方がいいと思ったことを素直にやる”というモチベーションでしたね。将来的にはファッション誌の編集に携わり、多くの人に夢を持ってもらえるようなコンテンツを作れるよう、これから地道にキャリアを積んでいきたいと思います。

 

低学年のときに注力していたことは?

これまでにサークルは5つ所属し、バイトは10個ほど経験してきました。自分の知らない世界があるのがイヤなんです。だから、人がやっていて面白そうなものは、とりあえず自分もチャレンジしていました。ただ、中途半端に辞めたりするのもイヤだったので、例えばサークルでは「学祭まではバンド、次の大会までは合気道に集中する」というように、それぞれ期間を決めて打ち込んでいました。そういう意味では、サークルは「習いごとのスクール」という感覚が強かったですね。

また、母校の柔道部のコーチをボランティアで引き受けていて、今でもたまに部活に顔を出しています。定期的に体を動かすのは、頭を働かせるためにも大事だなと、最近あらためて実感しています。

 

就活スケジュール

大学2年3月
志望業界でインターンシップを開始
出版社のインターンシップに参加。半年間、編集業務の補佐や撮影などを経験し、業界の仕事のフローを学ぶ。
大学3年10月
就活塾に通い始める
大学内で開催された無料セミナーに参加したのをきっかけに、就活塾に通い始める。新聞や週刊誌をひたすら読み込み、政治経済の基本的な知識や時事ニュースをインプットする日々。塾生で自主ゼミを開いて、漢字や語彙の問題を出し合ったりもした。
大学3年12月
企業へのエントリーを開始

出版社はリクナビなどの就活サイトを介さないで募集する企業が多いので、好きな雑誌・書籍を出している出版社のホームページを探して、直接エントリー。出版だけに視野がかたよるのは危険だと思い、学内の企業説明会にはよく通うようにしていた。本命の選考が始まる前の練習として、選考の早い企業もいくつかエントリーした。
大学3年1月
エントリーシートの準備
エントリーシートを書き始める。最初から質を求めてもしょうがないと思い、各項目に対して3~4つのエピソードを考え、就活塾の先生や志望する会社の内定者の先輩に添削をしてもらった。 出版社はエントリーシートが長いので、時間をかけて作りこもうと意識。 内定者の先輩は、知り合いづてに探して見つけた。直接の先輩ではなくても、熱意をしめせば好意的に対応してくれる方が多かった。
大学3年2月
エントリーシートの提出ラッシュ
マスコミは一般企業よりも選考が早いので、まだ余裕のある大学の友人たちを横目に、必死に手書きでエントリーシートを清書した。締め切りギリギリまで推敲することが多かったので、24時間営業している新宿郵便局にはとてもお世話になった。 一度、速達でも間に合わないタイミングになってしまい、エントリーシートを直接本社に持ち込んだことも。おそらく心象はよくないので、オススメはしない。
大学3年3月
筆記試験・面接のピーク
就活の一番の山場。3日間に第1志望群の筆記と面接が4つ重なったときは、ろくに寝食もできなかった。 3月後半になっても毎日面接があり、体力的にも精神的にもきつかった。身近に出版志望の学生が少なかったので、選考で会った人とはなるべく連絡先を交換して、後に集まって面接練習をした。
大学4年4月上旬
就活終了
第1志望の出版社から内々定をもらい、ほかの企業の選考を辞退して、就活を終了。

就活ファッション

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もらい物のスーツをメインに、寒かったらパンツスーツに変えることもあったが、特に着回しなどは意識しなかった。カバンはネットショッピングを利用して安く購入。髪形は大人っぽく見せるために、前髪を伸ばして横分けにした。

 

取材・文/西山武志 撮影/刑部友康

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