内定者インタビュー

Vol.181 精密機器メーカー内定 早稲田大学大学院 倉持匡佐さん

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就活データ
志望業界
:メーカー 説明会参加:10社(うち合同企業説明会5回) 先輩訪問:なし エントリーシート提出:12社 面接:7社 内定:1社 活動費用:約13万8000円(交通費1万5000円、スーツ・靴・カバンなど10万円、外食費7000円、証明写真3000円、書籍代1万円、郵送代など雑費3000円。特に節約を意識して活動していたわけではないが、説明会や面接は自宅で昼食をとってから出発して間に合う回を予約することが多かった。出先で普段と違うものを食べるより、家で普段通りの食事を取り、落ち着いて準備をして臨むようにしていた。結果的に食費は抑えられたように感じる)

 

練習で受けた選考で違和感を持ち、脚色のない正直な就活を決意

子どものころから家電やカメラ、自動車といったメカが好きでした。そういったモノづくりに携わりたいという思いから、志望は初めから乗用車の研究開発職を中心に、BtoCのメーカーに絞っていました。会社選びの基準は至ってシンプルで「そこが作っているものが好きかどうか」という点です。普段の生活の中で使っているときに「この会社はこういう部分に強みを出して、こんな人たちに使ってもらいたいんだな」というコンセプトやターゲットがしっかり伝わってくるものに魅力を感じていたので、そういった製品を作っているなと思える企業を探していきました。

 

本格的な就活は11月半ばから、自動車部品メーカーの工場見学からスタートしました。現場の作業風景を見て、想像以上に工場で作業している人が少なくて驚きました。検品や部品の移動などを除いて、ほとんどの製造過程はオートメーション化されていたんです。もちろん、知識として製造ラインの機械化が進んでいることは知っていましたが、実際に自分の目で確かめることで、「人が携わるべきなのは単純作業ではなく、もっと創造的な部分なんだ」と気づかされました。

 

12月からは業界内の説明会が解禁され、学内・学外の会社説明会に参加するように。自分が受けようとしていた会社の製品情報については大体把握していたので、製品のコンセプトや会社の姿勢について思うところがある会社は、なるべく説明会に参加して、会社の方の話を直接聞くように心がけていました。その会社が、他社や他業界などの現状や将来をどのように認識していて、自社の現行製品の過不足を積極的に見つける姿勢があるかどうか、そしてそれらを会社のビジョンに基づいて改善していく姿勢があるかどうか…といった点に注目。「その会社が何をしたいのか、なぜそうしたいのか」を知り、自分が共感できるかどうかを、企業選びのポイントにしていました。

 

12月末には、外資系の金融で選考の早い会社にエントリー。金融商品の仕組みづくりに興味があったのと、「就活ではうまくごまかしたり、ときにはウソをついたりすることも必要だ」と思っていたので、そういった場慣れの意味で受けました。しかし、Webテストやエントリーシートは難なく通過したものの、面接がうまくいかなくて。志望理由について聞かれると深い話ができず、少し気を抜けばいつの間にか自動車や機械の話にすり替わっていることもありました。それからは「自分に脚色は向かない。志望動機をまっすぐ語れる企業に絞ろう」と決意を固め、自分が本当に行きたいと思っている企業以外の選考はすべてキャンセルしました。

 

思わぬ落とし穴にはまったのは、2月半ばのころ。志望度の高い自動車系の会社の選考で、Webテストがありました。金融系のWebテストを簡単にパスできていたことによる慢心もあって、事前対策をまったくせずにテストを受けたんです。そしたら、今までやったことのない問題形式に焦ってしまい、散々な結果に終わってしまいました。また、エントリーシートも締め切りの前日から書き始めたために、清書が間に合わず修正液を使ったものを提出してしまって。結果、そこは面接までたどり着くことができませんでした。この経験から「完全に就活をなめていたな」と自省し、以後はWebテスト前には対策本を熟読するなど、選考に対しての事前準備を怠らないようになりました。

 

これまでの経験を順序よく正確に伝えれば、人間性は自ずと伝わる

面接も、最初のうちはどういった話し方をすればいいのか要領を得られず苦労しました。自分の都合の悪いことを聞かれたときには、意図的に質問の論点をずらしたりしてごまかしていたのですが、「都合のいいことを言っているな」と思いながらしゃべっていることは、こちらの表情や空気や相手にもちゃんと伝わってしまっているように感じてしまって…。「聞かれた質問に正面から答える。わからないことは、素直にわからないと言う」と気持ちの整理ができてからは、自分のアピールしたいことを過不足なく言葉にできるようになったなと思います。

 

選考の中で、自分が最もうまくいったと感じているポイントは「自分が何者で、何をやりたいのか」ということを正確に相手に伝えられた点です。それは「自分のアピールしたい人間性については直接言及しない」ということでもあります。「自分が誠実である」というひとつのことを示すための説明をするのではなく、自分の思想が色濃く反映されているエピソードについて、「直面した課題に対して何を思ったのか」「その課題を解決する選択肢の中から、どのような思想でそのうちのひとつを選んだのか」「その結果何が起きて、どう感じたのか」というプロセスを丁寧に伝えます。そうすることで「自分は誠実で、思慮深くて、優しくて、強くて、新しい発想を生み出すことができる」というような複数の人間性を、一度に伝えることができるからです。その上で、“これからやりたいこと”を平易な言葉で順序よく伝えきれたとき、面接担当者の反応はとても好意的でした。

 

最終的に決まった内定先はメーカーの技術職。それぞれの製品に会社の伝統が反映されていて、コンセプトが一貫しているところにひかれました。配属希望はカメラ機器の開発をする部門に出すつもりです。かねてから僕には、消費者にモノ自体ではなく、モノを通じてよりよい“体験”を届けられるような仕事がしたいという気持ちがありました。カメラは、人々の思い出作りにわかりやすく貢献することができます。入社後は新しい技術を利用してより高性能で本当に使いやすい製品作りに尽力し、将来的には写真の撮影フローが変わるような機能を創造して、一人でも多くの人の体験を今よりもっと豊かなものにできればと考えています。

 

低学年のときに注力していたことは?

大学ではアニメ研究会に所属し、アニメーション作品の音響監督をやっていました。アニメーションの制作においては、作業の分担と情報・思想・作品の方向性の共有が非常に重要です。機械的に担当を振り分けただけでは、最後にそれらをひとつにまとめたとき、統一感のない作品になってしまいます。僕は音響監督という立場から、声優とアニメーターのコミュニケーションを促して、それぞれがお互いの意図を酌んで最大のパフォーマンスを発揮できるようにサポートしました。最初は自分の我を強く出しすぎて、相手の気持ちを推し量る配慮に欠けていたこともありましたが、ひとつずつ経験と信頼を積み重ねていって意思疎通に時間をかけて、最後には自分たちが納得のいく作品を仕上げることができました。

 

就活スケジュール

修士1年11月
自動車部品メーカーの工場見学から就活準備をスタート
志望優先度の高かった自動車部品メーカーの工場見学のチラシが研究室に来ていたので、実際の生産現場をこの目で見たいと思い参加。その後も志望している企業の生産・開発現場の見学会には必ず参加し、技術系社員の働く雰囲気を感じ取るよう努める。
修士1年12月
会社説明会に参加して企業研究を詰める
第1希望の職種がメーカーの研究開発であることは就活前からはっきりしていたが、自分自身の可能性の探求として、ほかに興味を持てる職種がないか広く調べた。同時に、学内の合同企業説明会に積極的に参加し、気になる会社の製品や今後の方針については、積極的に質問した。
修士1年2月
適性検査受験のピーク
序盤に受験した1社は準備不足で落ちてしまう。反省を生かして、選考を受ける企業のテスト形式を調べ、それぞれの形式に合わせた対策本で問題演習をするように。その後は適性検査で落ちることはなかった。
修士1年3月
エントリーシート提出のピーク
学生時代に力を入れたことを書く場合でも、研究内容を書く場合でも、「直面した課題をどう解釈し、それをどんな思考で、どういったプロセスで解決したのか」ということを簡潔にまとめるように。少ないスペースで効率よく自分自身の人間性を相手に伝えること、大量のエントリーシートを素早く読まなくてはならない人事担当者へ配慮することを念頭に置いていた。
修士2年4月
面接が本格的にスタート
面接で気をつけたことは、エントリーシートを書くときと同様に、「課題認識と解決策の選択をどのように行ってきたか」を、順序よく話すことに努めた。また、学生時代に力を入れたことや自己アピールを聞かれたときは、人と共同してものを作るエピソードを多く用いて、「チームの中で最適解を導き出すために、自分がどのように貢献したか」という点にフォーカス。
修士2年5月
内々定をいただき、就活を終える
最初のうちの面接は要領を得られずに落ち続けたが、自分の話す内容をすべて最適にコントロールできるようになった時点で、志望企業から内定をいただいた。「心から働きたいと思える企業」にのみエントリーシートを提出していたので、1 社から内々定が出た時点で速やかにそれを受諾し、就活を終了。

就活ファッション

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実年齢より上に見られることが多かったので、服装はフレッシュで若々しい印象を持たれるように意識。細身でシャープなシルエットのスーツに、糊でパリっとさせたシャツを常用。そのため、シャツは自宅で洗濯せずに毎回クリーニングに出し、スーツも2着用意して交互にクリーニングに出すようにした。髪形は短めにし、健康的で誠実な印象を持ってもらえるよう努めた。シンプルにまとめ、表情がはっきりと見えやすいように。

 

取材・文/西山武志 撮影/鈴木慶子

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