知れば世界が広がる!「学生団体」活動レポート

Vol.9 田畑と森と海でつながる学生団体~いろり~

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団体プロフィール
設立
:2012年 活動内容:「食と農林漁業の祭典」での学生企画の運営ほか 人数:8人(男女比=5:5/学年構成=2年生3人・3年生5人) 活動拠点:都内(国立オリンピック記念青少年総合センター) 活動日数:週1日

「全国の学生とともに日本の一次産業を盛り上げる」という壮大な理念を掲げて活動する「いろり」。2012年に、農林水産省が主催する「食と農林漁業の祭典」での学生企画「農林漁業学園」「食と農林漁業大学生アワード」を運営したことから始まり、全国の食と農林漁業関連のサークルや学生団体をつなげる団体として活動を続けています。

全国の学生たちの農林漁業への思いを集めて、小さな“火種”を大きな“炎”にしていきたい。「いろり」にはそんな思いが込められているのだそう。都内の農学部生を中心に集まった「いろり」の代表メンバーに話を聞きました。

 

全国の「おいしい」が集結する「祭典」、その運営を担う

まるで大規模な学園祭! 「農林漁業学園」を運営

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毎年11月に開催される農林水産省主催の「食と農林漁業の祭典」。2014年は「JAPAN FOOD FESTA 2014」のイベント名で、丸の内仲通り(東京都)に全国のおいしいものが集結しました。丸の内周辺の飲食店とタイアップした「一ノ蔵SAKE BAR」、「福井メニューフェア」などイベントも多数開催。「いろり」は、その中の学生企画として「農林漁業学園」を運営し、全国から集まった食にかかわる27の学生団体が各ブースを出展。自ら収穫した農産物や、企業との連携で開発を進めてきた加工食品などが集まりました。学園祭さながらの盛り上がりを見せる「農林漁業学園エリア」に農林水産大臣も訪れ、産地直送のみずみずしい野菜や地域特産品をうれしそうに食べられたそうです。

 

農林水産省が主催する「食と農林漁業大学生アワード」を企画運営

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祭典中には、食と農林漁業にかかわる学生団体による「食と農林漁業大学生アワード」を開催。日ごろの取り組みをプレゼンし、独自性のある優れた団体には農林水産大臣賞が贈られます。発表するのは、書類審査で選ばれた10団体。京野菜の卸を行う「株式会社キシュウ 農鞠」(京都大学)の活動や、大臣賞を受賞した「キッチンの科学プロジェクト」(食と科学のワークショップ)を実施している日本女子大学の活動など、ユニークな試みがたくさん。「キッチンの科学プロジェクト」では、食育の一環として、例えば「よくかんで食べよう」と言われるのはなぜなのか、かむとお米にはどんな化学反応が生まれるのかなど、子どもたちが目で見てわかるような科学実験を企画。科学館や児童館とコラボレーションし、親子で参加して食事がより楽しくなるようなワークショップを行っているそう。その斬新な発想力に、審査員として来ていた名古屋大学大学院農学部教授の生源寺(しょうげんじ)眞一先生は「若者ならではのパワーに頼もしさを感じる」とコメントしてくださったそうです。

 

1泊2日で、食と農林漁業を考えるワークショップを企画

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毎年6月に全国の学生約50名を集めてワークショップ「Leader’s Camp」を企画。林業から漁業、農業まで、一次産業に興味のある学生や団体が参加し、日本の一次産業を盛り上げるための施策について、グループに分かれて1泊2日で話し合います。ワークショップの最後には各グループがプレゼンテーションを行い、コメンテーターとして来ていただく農林水産省の方や農業系の事業に携わっている社会人の方に意見をもらいます。「学生には、全国から高い交通費を出して参加してもらっているので、絶対に『来てよかった』と思ってもらいたい。ディスカッションが盛り上がるように、農林水産省が出している白書など資料を集めたり、準備にも気合いが入ります」と代表の霜田さん。

 

地域の魅力を体感する、夏のスタディーツアー

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夏は、実際に地方に足を運んで自然の豊かさを感じてもらう「石徹白(いとしろ)スタディーツアー」を開催。岐阜県群上(ぐじょう)市の石徹白村を2泊3日で訪れ、地元の方から林業への取り組みを学んだり、「フルーツほおずき」の収穫作業を手伝ったり。机上で勉強していてはわからない、大自然の厳しさと美しさを体感する機会を作っているそうです。

 

代表者インタビュー

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写真左から

伊藤陽香さん/明治大学農学部 食料環境政策学科 3年

霜田直人さん/2代目代表 東京農業大学 農学部畜産学科 4年

宗方真美さん/広報担当 実践女子大学 生活科学部食生活学科 2年

 

Q1 活動の目的や活動するうえで大切にしていることは?

「食と農林漁業大学生アワード」や他イベント、ワークショップの企画運営を通じて、全国の学生同士がつながる場を作りたいと思っています。同じ興味・関心や問題意識を持った全国の学生と出会うチャンスはなかなかない。「いろり」は、人と人とのネットワークを生み出すことで日本の一次産業を盛り上げる、“つなぎ手”でありたいですね。(霜田さん)

Q2 団体に入ったきっかけは?

小学生のころに3年間伊豆大島に住んで以来、豊かな自然を守る仕事がしたいと思うように。農学部に進んだのは、日本の農業を守ることが自然保護につながると思ったからです。「いろり」のことは、大学の「農業経済」の授業で紹介されて知り、農業に興味を持つ全国の大学生とつながりが持てるかもしれない、と興味を持ちました。(伊藤さん)

僕は農業に強い関心があったわけではなく、何となく受かった東京農大に入りました。でも、入学してすぐにできた友人が農家の息子で、彼の生き方がすごくかっこよかったんです。東京生まれの僕は知りもしなかった農家の暮らし、農業高校での生活の話が面白くて、「実家で食べるものが世界一おいしい」と言い切る姿に憧れを抱きました。農業をもっと知りたい、一次産業を学びたいと思い「いろり」に入ったんです。(霜田さん)

Q3 活動を通じて何を学んだ? どんなことを得ている?

「いろり」は全国の食と農林漁業に関連する学生団体をつなげる存在。出会う学生も多く、「いろり」に入って人見知りがなくなりました。初対面でもどんどん話してみよう、話さなくちゃもったいないと思えるようになったのは大きな変化です。(宗方さん)

全国の学生団体を巻き込んでイベントを作っていくので、各団体への事前連絡、出欠確認などが欠かせません。「いろり」の活動を通じて、細々とした調整業務の積み重ねがイベントを成功させる、ということを学んでいます。(霜田さん)

Q4 ズバリ、いろりに入って良かった?

はい。同じ興味関心を持つ全国学生と出会えるのは、本当に刺激になります。例えば「農林漁業学園」に出展した全国の学生団体と都内の宿泊施設に泊まり、その懇親会で熱い議論が繰り広げられるとき。「食への意識を高めるにはどうすべきか」「一次産業の跡継ぎ不足が深刻。学生と生産者とをどうつなげて、技術を継承していくべきか」など、消費者目線から生産者目線までさまざまな問題意識が出てきて、みんな自発的に意見をぶつけていくんです。こんなに意識の高い同世代の子たちがいるんだ、私も頑張らなくちゃ、と思えるのがうれしいです。(伊藤さん)

Q5 逆に大変だった・つらかったことは?

ミーティングにメンバーがそろわないときは、モチベーションを保ちながら活動を続けていく難しさを感じますね。学業やバイトなどそれぞれ活動の優先順位があるので、飲み会など楽しい場でのコミュニケーションも大切にしています。(宗方さん)

「食と農林漁業の祭典」で、農水省と学生団体の板挟み状態になること。イベント自体は農水省が主催しているので、学生団体からの問い合わせには、農水省の意思決定を待ってからすることが多いんです。例えば、「食と農林漁業大学生アワード」では、農水省に書類選考に通過する団体を選んでもらいますが、その決定が遅れたりすると学生団体側から「早く決めてほしい」と要望が…。農水省側もさまざまな他事業で多忙なのがわかっているので、いつも焦燥感があります(笑)。(伊藤さん)

 

《社会人との出会い・つながり》

「食と農林漁業の祭典」では、各ブースに出展する地方自治体の方や周辺の飲食店、企業など関係者が非常に多く、大きなお金も動いています。農水省の方の仕事の進め方を見ていると「絶対に失敗があってはいけない」「事前確認を徹底してミスを起こしてはならない」という姿勢を感じ、お金を動かしてプロジェクトを進める責任の重さ、社会人であるとはどういうことかを実感させられ、刺激になります。また、あいさつやメールの返信など、学生にもできる当たり前のことをきちんとできている方こそ、仕事もできるんだなと実感することが多いです。学生、社会人に関係なく、礼儀を大切に活動を進めていこうと気が引き締まりますね。(霜田さん)

 

《これから団体・サークル選びをする皆さんへ》
「いろり」で全国の学生と話すたびに、人からもらう刺激の大きさに驚きます。ぜひいろんなサークルや学生団体に顔を出して積極的に人と話し、多くの刺激を得てほしいです。(伊藤さん)

世の中には、面白い活動をしている学生がたくさんいます。視野を広げ、さまざまな活動をしている学生を見に行ってみるといいと思います。(霜田さん)

大学4年間をどんな時間にするかは自分が決めること。周りに流されてなんとなく決めるのではなく、「私はこれがやりたい」と興味を引かれる団体に入ってほしいですね。(宗方さん)

 

取材・文/田中瑠子 撮影/早坂卓也

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