知れば世界が広がる!「学生団体」活動レポート

Vol.10 Bela Virino(ベラ ビリーノ)

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団体プロフィール
設立
:2013年 活動内容:美容をテーマにした国際協力活動。発展途上国での「ミス・ドリーム・コンテスト」企画運営 人数:20人(男女比=1:9/学年構成=2年生5人・3年生10人・4年生5人) 活動拠点:都内 活動日数:週1日

すべての女の子が自分らしく輝ける世界を作りたい。そんな思いから2013年10月に発足したBela Virino(ベラ ビリーノ)は、「美容」を切り口に国際協力を行う学生団体。創設者の大塚杏里さん(津田塾大学 国際関係学科3年)が13年夏にネパールで、ネイルや化粧品を使って現地の女性をきれいにメイクアップした際、彼女たちの表情が明るく華やいでいく様子に「これだ」と直感。美容の力が、女性の自尊心を高め、パワーを与えてくれると、団体の設立を決めたといいます。

15年3月末にはフィリピンのセブ島で「ミス・ドリーム・コンテスト」を主催し、セブ島に暮らす貧困層の15歳前後の女性5人が、美しいドレスを身にまとい、200人の観客の前で自分の夢を語りました。美容の力で美しく変身させることで、自分に自信を持ってほしい。外見だけではなく、内面からきらきらと輝けるようにサポートしたいと、女子大学生を中心に20人のメンバーが、「自分たちにできる国際協力とは何か」を真剣に考えています。「ミス・ドリーム・コンテスト」の第1回開催まで奮闘した代表メンバー4人に、活動の魅力と苦労を聞きました。

 

コンテスト開催を通じて、メンバーも強くたくましくなっていく

フィリピン・セブ島で「ミス・ドリーム・コンテスト」を企画運営

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団体名Bela Virinoはエスペラント語で“美しい女性”という意味。「生まれ育った環境に関係なく、女性は輝くパワーを持っている」という団体信念のもと、そのパワーを引き出し、自分を誇れる女性を増やそうと、2015年3月28日にフィリピン・セブ島で第1回「ミス・ドリーム・コンテスト」を開催しました。コンテストでは、セブ島に暮らす、貧困層の15歳前後の女性5人が、自分たちの夢をスピーチし、ダンスを披露。会場に集まった200人の観客による投票でグランプリを選出していきます。主要メンバーはコンテストの2カ月前から現地に入り、出場候補者5人を選ぶため、各NGO(非政府組織)、NPO(非営利組織)に候補者を紹介してもらえるようお願いしたり、会場となる講堂を探したり、セブ島で暮らす日本人の宿を転々としながら準備に明け暮れたといいます。「物資支援的な国際協力とは違い、一人ひとりの女の子の心に寄り添うようなアプローチを行うのがBela Virinoの特徴」。そう話すのは副代表の大原光保子さん。コンテスト1カ月前からは、候補となった5人のスピーチやダンス練習に付き合うことも多く、コミュニケーション力が上がり、表情がやわらかくなっていく様子を感じたといいます。

 

発展途上国を訪れる「スタディーツアー」を開催

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2014年8月には、団体内で希望者を募り10日間のスタディーツアーを開催し、フィリピン・セブ島を訪問(訪問地は今後変更の可能性あり)。現地のNGO団体に話を聞いたり、小学校を訪問してメイクのワークショップを行ったりと、ただの旅行では終わらせないさまざまな企画を実施しました。NGO団体を通して集まった貧困層の女の子にお化粧体験をしてもらい、写真に収めたところ、多くの子が顔を輝かせ「今までこんなにきれいにしてもらったことがなかった」「私ってかわいいかも…と少しだけ自信が持てるようになった」などの感想が寄せられたそうです。

 

週1日、都内でミーティング。活動内容の詳細を考える

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発足から日が浅いBela Virino。事例は自分たちで作るしかないため、スタディーツアーの内容やコンテストの詳細の決定、協賛いただける企業への営業活動もすべて手探りの中進めてきたのだそう。例えば、コンテストの開催場所を決める際、「セブ島内で一番大きなショッピングモール内のステージでやろう」という声も出たが、「通りすがりのお客さん大勢に見られるよりも、会場が小さくてお客さんが少なかろうと、大切な人にじっくりと聞いてもらえるコンテストにしよう」と話し合って方針を決めたことも。コアメンバー5人が、ほかのメンバーに仕事を割り振りしていくことで、活動を円滑に進めています。

 

代表者インタビュー

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写真左から

中島賢太さん/日本大学経済学部 3年

田中絢子(あやこ)さん/早稲田大学政治経済学部 3年

大原光保子(おおはらみほこ)さん/副代表 上智大学総合人間科学部 3年

小柳岳(がく)さん/武蔵野大学経済学部 1年

 

Q1 活動の目的や活動するうえで大切にしていることは?

Bela Virinoのコンセプトは「すべての女の子が自分らしく輝ける世界へ」。大好きな洋服やドレス、メイクで着飾ったときの、心がわくわくする一瞬を、世界中の女の子に提供したいと考えています。美しくなることで自信が生まれ、何か行動を起こそうという気持ちにつながるかもしれない。行動を起こした先に、社会的・経済的自立に結び付く道があるかもしれない。私たちが生み出すものは小さな瞬間だったとしても、美容の力は国際協力につなげられると信じています。(大原さん)

Q2 団体に入ったきっかけは?

国際協力に興味があり、学校建設を行う別の団体でネパールに行くなど活動していました。途上国の女性支援をやりたいと思っていた2014年夏に、代表の大塚に出会い意気投合。「美容」という、私たちにも身近なもので国際協力をするという発想にひかれて入りました。(大原さん)

大学に入ったら国際協力団体で活動したいと、さまざまな団体に足を運びましたが、小学校建設や寄付活動など、建てたあと、寄付したあとはどうなっているのかわからないと感じることが多くありました。そんな中、Bela Virinoの「美容」という切り口にぴんときて…。高校時代から、将来は化粧品メーカーで働きたいと思っていたほどメイクが好きで、この活動なら自分の興味関心や強みを生かして活動できると思いました。(田中さん)

僕も国際協力と美容やファッションの両方に興味があり、「まさに自分のためにあるような団体だ!」と意気込んで2014年6月に入りました。当時、中島がまだ入っておらず男は1人で、週1回のミーティングでも「男性が意見してはいけないのではないか」と気を使っていましたね。(小柳さん)

Q3 活動を通じて何を学んだ? どんなことを得ている?

得たものは、度胸と勇気。「ミス・ドリーム・コンテスト」開催に向け、企業から協賛金を頂くため電話やメールでアプローチするものの、一度も開催したことがないので説得力がない。「いきなり海外でやるのは無謀では?」「長期的な視点で考えて、やる意味あるの?」などと批判されることばかりでしたが、行動してみないと始まりません。とにかく訪問し、時に冷ややかな目で見られても、やりたい熱意を伝え続けました。心身ともに大変でしたが、一歩踏み出す勇気は確実につきました。(田中さん)

15歳前後の女の子たちと触れ合い、コンテスト当日にスピーチを聞き、人生にきちんと向き合っている彼女たちを心から尊敬しました。屈託のない笑顔を向ける彼女たちは、スピーチをしながら涙を流し、自分が味わってきた苦しみや悲しみを語ります。でも、終わればまたすぐに笑顔に戻る。「笑顔で周りを明るく照らせば、いつか自分に返ってくるから」だと言うのです。いろんな思いをいったん封じ込めて笑顔でいる、その強さを知り、「こんなにたくましく生きている子がいるんだ」と思えたこと。彼女たちに出会えたことが、最大の学びです。(大原さん)

セブ島で出会う女の子たちは、メイク道具ひとつ、髪飾りひとつという、僕らからしたら“小さなもの”に、いつも感動してくれます。その姿勢に触れて、僕もどんなことにも感動できる人でありたいと思うようになりました。(中島さん)

Q4 ズバリ、Bela Virinoに入って良かった?

もちろんです。実際に活動して、美容が与える力の大きさを実感しています。「ミス・ドリーム・コンテスト」で優勝した18歳の子は、幼いころ父親が刑務所に入って以来、ストリート・チルドレンとしてお小遣い稼ぎをしていた女の子です。ドレスを着てメイクをして表舞台に立つことがなく、口数も少なく引っ込み思案だった彼女が、コンテスト出場が決まった1カ月前から、明るく話し笑顔を見せるようになり、女性としての美しさが出るように。さらに、シャンプーも買えないような経済状況の中、水洗いとくしで毎日毎日髪をとかし、コンテスト当日には、ストレートパーマをかけたかのようにサラサラにしてきたんです。うれしそうに髪を触る彼女の表情が本当に美しくて、“美容”とは、人を内面から変えていくものなのだと驚きました。(中島さん)

Q5 逆に大変だった・つらかったことは?

コンテスト準備のため2カ月前から現地入りし、慣れない環境や連日の準備活動で体重が9kg減ったこと。宿泊場所は、現地で観光関連の仕事をしている日本人のツテで提供いただくことが多く、とても助かりました。しかし、劣悪な衛生環境の場所も多く、台所のシンク一面にアリの大群がうごめいていて、茶色く変色していた時は声を上げそうになりましたね(笑)。また、セブ島では日本人のコミュニティーが根強く、そこに入っていくのにも苦労しました。関係を築くためにホームパーティーの準備を手伝うこともあり、コンテスト開催準備とは直接関係のないことに、多くの時間やエネルギーを割くことも。滞在の疲れから「どうしてこんなことをしているんだろう」と思うこともありましたね。(中島さん)

代表・大塚と、中島が先に現地入りし、僕と大原、田中は日本に残っていましたが、現地で常にネットがつながるわけもなく、日本とセブ島間のコミュニケーションが滞ることも。どんな活動をしているのか把握できないので、サポートもできないというもどかしさがありました。(小柳さん)

 

《社会人との出会い・つながり》

団体が発足した当時から、活動を応援してくれる神原太郎さん(株式会社リトルクラウド・代表取締役社長)には、企画の進め方をはじめさまざまな意見を頂きました。当初、コンテストの開催時期を決めず、環境が整ってから始めようとのんきなことを言っていた私たちに「やる時期(期限)を決めなければ絶対に実現しない」と喝を入れてくれたのも神原さんでした。ミーティングに関しても「メンバー一人ひとりが発言できるように進めなければ、みんなが集まっている意味がないよ」と意見を下さるなど、とても勉強になっています。(田中さん)

 

《これから団体・サークル選びをする皆さんへ》
直感が大事! 直感を信じて行動し、合わなかったらやめればいい。シンプルに行動的に。(田中さん)
アンテナを広く持ち、自分の興味範囲を最初から狭めずにいろいろな団体に顔を出してみるといいと思います。そして、「これだ!」と思ったらやり続けること。何事も続けなければ面白さも大変さもわかりません。(小柳さん)

 

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

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