知れば世界が広がる!「学生団体」活動レポート

Vol.11 特定非営利活動法人アイセック・ジャパン

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団体プロフィール
設立
:1962年(2001年特定非営利活動法人格取得) 活動内容:海外インターンシップの受け入れ、送り出し事業 人数:1600人(男女比=5:5/学年構成=1年生1050人・2年生400人・3年生100人・4年生50人) 活動拠点:都内、全国の各大学 活動日数:週2~3日

アイセック・ジャパンは、126の国と地域で活動する学生組織AIESECの日本支部。日本の学生を海外に送り出し、就業経験やNGO活動機会を提供する「送り出し事業」と、海外の学生を日本に受け入れる「受け入れ事業」の2軸を中心に活動しています。世界最大級の学生組織AIESECがヨーロッパで誕生したのは1948年。第二次世界大戦後、「二度と同じ過ちを繰り返さぬように」と、国を超えて学生交流を図り、宗教・文化・言語の異なる者同士が相互理解を深めるために設立されました。現在は、毎年約1万6000人の学生がAIESECの海外インターンシップに参加。異国での経験から国際的視野を身につけ、世界で活躍する人材の育成を進めています。

 

違いに触れ、違いから学ぶ。グローバル視点で物事を考える人材を生み出していく

年に1回、30カ国のメンバーと議論を交わす国際会議を実施

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アイセック・ジャパンを構成するのは、北は北海道、南は大分県まで全国25の大学支部。多くの学生が集まるのは、年に4回の国内総会です。海外インターンシップの「送り出し事業」「受け入れ事業」運営のために、各大学を統括する代表メンバーが集まり、日本のインターンシップ生を集める広報活動や、海外のインターンシップ生を受け入れる企業との調整を進めていきます。そのほか、夏には世界約30カ国100人のAIESECメンバーが東京に集まる、アイセック・ジャパン主催の国際会議も開かれます。4泊5日の合宿形式でさまざまな国籍のメンバーとグループを組み、エネルギー問題や、水・食糧問題など世界規模の課題をテーマにディスカッション。「各国で抱える問題や、考え方の違いをぶつけ合いながら、グループでひとつの答えを見つけていくプロセスは本当に刺激的。自分が見ている世界の狭さを痛感しながら、物事を多角的にとらえる大切さを学びます」(渡邊さん)

 

約290人のインターンシップ生を、日本から海外に送り出す

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「送り出し事業」を通じて、夏休みや春休みなどの長期休暇を利用し、日本から毎年約290人の学生が海外インターンシップに参加しています。2014年2~3月には、フィリピンで、学校に行けない貧困層の子どもたちへ音楽教育を提供するボランティア活動を行いました。「ほかにも、子どもたちに日本語を教える活動などさまざまな内容があります。インターンシップ生がどんな経験をしたいのか希望を聞きながら、126の国と地域の海外メンバーとメールやテレビ電話で情報共有しながら、渡航先や活動内容をマッチングしていきます」(河西さん)

 

海外インターンシップ生を受け入れ、日本での就業体験を斡旋

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「受け入れ事業」では、年間200人弱の海外インターンシップ生を受け入れ、日本での就業体験を進めています。日本に来たいと言ってくれる学生の願いを少しでもかなえるため、企業へ受け入れをお願いし、提携企業を増やすのも、アイセック・ジャパンの役割。「来日をきっかけに日本の大学への留学を決めた学生もいました。その人の人生を揺るがす経験になる、という責任感を持ち、企業側にとってもインターンシップ生にとっても貴重な時間となるようマッチングを図っています」(中里さん)

 

代表者インタビュー

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写真左から

中里梓さん 慶應義塾大学法学部3年生 2015年度事務局 受入研修事業担当

渡邊拓さん 慶應義塾大学商学部4年生 2015年度専務理事 兼 事務局長

河西沙央理さん 国際基督教大学教養学部4年生 2015年度事務局次長 兼 送出研修事業統括

荒川恵太さん 名古屋大学法学部4年生 2015年度事務局次長 兼 広報ブランド戦略統括

 

Q1 活動の目的や活動するうえで大切にしていることは?

アイセック・ジャパンが目指すのは、「人々の可能性が最大限発揮された社会の実現」。海外インターンシップ経験を通じて、多様な文化に触れ、あらゆる“違い”から学ぶ姿勢を大切にしています。大学支部内での大小さまざまな議論においても、一人ひとりの意見や考えを尊重し、“可能性”を引き出すことに重きを置いています。(渡邊さん)

Q2 団体に入ったきっかけは?

新入生歓迎時期に、日本人なのに英語で話しかけてくる一風変わった先輩に連れられ、アイセック・ジャパンの説明会に行くことに。そこで出会った仲間が世界に目を向けていることに衝撃を受け、自分も視野を広げたいと入会を決意。登山家の父を持ち、小さいころから世界の貧困問題などをリアルタイムに聞いていました。世界とつながりを持ちたいという思いは、各国を飛び回っていた父親の影響だと思います。(荒川さん)

中学から高校までバトントワリング一筋でやってきました。同じ熱量で向かえる何かに出合いたいと思っていた時に、アイセック・ジャパンの新入生歓迎チラシを見て、説明会へ。部活ばかりやってきて世界の動きに疎かった私には、まさに未知の世界。ここで世界を広げたいと思いましたね。(河西さん)

Q3 活動を通じて何を学んだ? どんなことを得ている?

大学2年生の時、スリランカでの国際会議に参加し、同い年で起業しているインドの学生に会いました。その子に「何のために大学に行っているの?」と素朴な疑問を投げかけられ、答えに窮したことが忘れられません。大学に行くのが当たり前だと思っていた自分にとって、行動一つひとつの意味を考え、目的を持って行動していこうとする彼はすごくかっこよかった。「当たり前」を疑う大切さを学んだ経験でした。(荒川さん)

もっともっと多くの学生に、国際交流経験をしてもらうために、私が実際にインターンシップ生としてベトナムに行った経験から、何がよかったか、自分がどう変わったのかを伝えていかないといけません。新入生に向けた説明会などで、経験を語る機会は多くあるのですが、どんな話をすれば伝わるのか、主観的な経験を言葉にする難しさをいつも感じています。異なる考え方や価値観を持った国内外の学生と会話を重ねることで、コミュニケーション力はとても鍛えられていると思います。(河西さん)

Q4 ズバリ、アイセック・ジャパンに入って良かった?

はい。アイセック・ジャパンに入らなければ、専務理事(学生代表)としてメンバーを束ねる経験をすることはなかったでしょう。僕の人生を変えてくれました。歴代の代表を務めた社会人の先輩とは毎年欠かさず会う仲になり、年代を超え、仕事もさまざまな方とつながりを持てることは、とても恵まれているなと思います。(渡邊さん)

何事にも自分の考えを持とうとする仲間に出会え、刺激的な毎日を送れています。臆病だった私が、一人で海外に出ていこうと行動できるようになったのは、アイセック・ジャパンに入ったから。大学1年生の時に、「中国が抱えるこの課題に対して、こんなアプローチをしていきたい」と堂々と話し、実際に中国を訪れていった4年生の先輩に出会い、私も外に出ていこう!と思うきっかけになりました。(河西さん)

Q5 逆に大変だった・つらかったことは?

インドネシアの学生を受け入れてくれる企業がなかなか決まらなかった時。宗教上の理由から断られた際は、相互理解の現実的な難しさにぶつかり、無力さを感じました。違いを個性として受け入れる土壌は、まだまだ広がっていないのだと痛感。海外からインターンシップ生を迎えることが企業にとってどんなメリットをもたらすのか、私たちがしっかりと伝えていかなくてはいけないと身が引き締まる思いでした。(中里さん)

特定非営利活動法人としてアイセック・ジャパンが社会にどんなインパクトを残せているか、なかなか可視化できないところです。インターンシップに参加した学生たちが、数カ月の海外経験を経て「やりたいことが見つかった」と引き締まった表情で帰国する姿を、たくさん見てきました。でもそれが、どう具体的に社会のためになっているのかを数字ではかることができないんです。何らかの指標を作るべくメンバーと議論を重ねていますが、答えが見えないのはつらいですね。(荒川さん)

 

《社会人との出会い・つながり》

インターンシップ生としてベトナムに行った時、現地に駐在している社会人の方と話す機会がありました。アイセック・ジャパンとしてやりたいこと、思いのたけを熱く語っていたら「君の情熱はわかった。これからは、その言葉一つひとつに重みを持つことが大切だよ」と言ってくださいました。「言葉を一人歩きさせず、本当に志を持ってその言葉を発することができるかを常に考えなさい」と。それは、情熱だけが先走っていた僕への貴重な助言でした。その方のことは今でも思い出し、「きちんと考えて言葉を発しているか」、常に自問するようにしています。(渡邊さん)

 

《これから団体・サークル選びをする皆さんへ》

皆さんに伝えたいのは、自分の可能性を自分でつぶさないでほしい、ということ。新しいことにどんどんチャレンジして、今までにない自分を発見していってほしい。そのために、挑戦を恐れないメンバーがたくさんいる団体を見つけてください。(河西さん)

大学4年間でどんな経験をしてきたかが、その人の将来を作っていくと思います。「大学卒業時にどんな自分になっていたいか」、なりたい姿をイメージして所属団体を選んでみてはいかがでしょうか。(中里さん)

 

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

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