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Vol.349 株式会社フォーミュレーション

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かめだ・たかせい●調査一部セクションマネージャー。大阪芸術大学芸術学部放送学科卒業。2007年入社。テレビ業界を目指し、放送学科に入学。ドキュメンタリーの制作を学ぶ中、下調べの大切さを実感。就職活動時、インターネットで企業を調べていた際、テレビ業界におけるリサーチの老舗である現社を知り、その仕事内容に興味を抱いて入社。常時数百本のテレビ番組を手がけ、各放送局のさまざまな番組に携われることにも魅力を感じた。
リサーチャーとしてTBS「水曜日のダウンタウン」「クレイジージャーニー」「オールスター感謝祭」、フジテレビ「とんねるずのみなさんのおかげでした」「笑っていいとも」、日本テレビ「中井正広のブラックバラエティ」「24時間テレビ」など、数多くの人気テレビ番組のリサーチを担当。

入社後、バラエティ番組リサーチャーに。幼いころから見続けてきた大型特別番組のリサーチも経験

さまざまなテレビ番組におけるリサーチ業務を行う株式会社フォーミュレーション。亀田さんが入社したのは、学生時代にドキュメンタリー番組の制作について学んだ際、「事前に綿密な調査を行うことが制作の鍵になる」と実感した経験があったからだという。

 

入社後の新人研修を受けたのち、配属先のチームでリサーチ業務に携わりながら仕事を学んでいくことに。
「最初に任された仕事は、バラエティ番組で取り上げるB級グルメのリサーチでした。先輩から『デカ盛りの面白い店を探して』と言われ、インターネットで検索をかけ続けましたが、出てくるのはすでに有名な店ばかり。先輩に教えてもらいながら、検索キーワードを変えたり、雑誌を読んだりするなどし、候補となる店や企業への電話取材も行いました」

 

亀田さんが携わったのは、深夜帯に放送する尖ったバラエティ番組だ。B級グルメや食品製造の機械などを取り上げることが多く、毎週テーマに合わせたリサーチを担当することに。単に調べるだけではなく、それに携わる人たちの視点や思いなどの背景まで取材し、面白い切り口の提案をすることが求められたという。
「この番組の制作チームは、プロデューサーもディレクターも放送作家も、みんな独特の視点を持つ人ばかりでした。毎週、制作チームが集まるテレビ局での定例会議で提案をしますが、面白いと思ってもらえなければ却下されますし、情報が足りなければOKは出ない。会議でプレゼンをするのは上司と先輩なので、自分のリサーチがしっかりしていないと恥をかかせることになりますし、そもそも会議に提出する以前に上司からダメ出しされることも少なくはなかった。リサーチ資料を作成するときは、詳細の解説だけでなく、取材対象者をアピールできるポイントやエピソードを簡潔に盛り込むように心がけました」

 

この時期、並行して幼いころから見続けてきた、毎年夏に放送される大型特別番組における出演者のリサーチも手がける。番組内の「野球選手が難病の子どもに野球を教える」という企画に出演してもらう子どもを探すことになった。
「ネットや雑誌、新聞などから100名ほどの候補者を探し出し、その中から、野球に思い入れのあるお子さんを探すことに。難病というデリケートなテーマで、ご家族やお子さんへの電話取材も行うので、まずは病気についてしっかり下調べ。さらに、過去にそのお子さんが掲載された新聞記事や資料などを読み込み、背景やご家族とのかかわりなども把握して候補を絞り、約30名の方へ電話取材を行いました。最大限の事前準備をしましたが、社会人になったばかりの自分の話し方や接し方が失礼になったらどうしようかという不安も感じましたね」

 

電話取材は、一回につき、短くても1時間、長ければ3時間にも及んだ。というのも、候補となる子どもはもちろん、母親をはじめとする家族一人ひとりに話を聞くためだ。1家族に対し、何度も電話取材を行いながら、丁寧に話を聞いていったという。
「電話取材にまだ慣れないころ、『いつごろの出来事だったか』『何がきっかけでそれをしたのか』など、大事な部分を聞き漏らしたことがあって。先輩に『再取材の時間の分、あちらに迷惑がかかる』と指摘され、そこまで考えていなかったと痛感。以来、それぞれのご家族の背景をもとに切り口やテーマを考え、取材時の会話のシミュレーションをしてから質問項目を書き出す準備をするようになりました。僕らの手がけるリサーチは、単なる調査ではなく、ストーリーをしっかり考えること、そこに自分の視点を持つこと、そして、相手の気持ちを尊重する心構えが重要なのだとあらためて認識しましたね」

 

3カ月かけてリサーチや電話取材を行い、最終的に2人の候補者を提案。ほかのリサーチ会社も提案を行っていたが、亀田さんの探し出した人物が選ばれたという。
「しかし、残念ながら野球選手の方のスケジュールが合わず、結局、ほかの会社が提案した候補者に決まってしまったんです。何度も取材し、ご家族にもお子さんにも自分としての思い入れがあったので、取り上げてもらえなくて悔しかった。それでも、自分が幼いころから見ていた番組に携われたことには、大きな感動がありました。この番組のロゴが入った資料を作っている最中、夢がかなったような気持ちを味わうことができたんです!」

 

その後、レギュラーのテレビ番組2〜3本のリサーチを担当すると同時に、単発の特番を常時3〜4本手がけ、先輩の番組の手伝いもしながら経験を積んでいった。
「この1年間で、自分の仕事がそのまま会社の商品になることをひしひしと実感しましたね。学生時代には課題に対して『こんなもんでいいかな』という気持ちがありましたが、プロとして全力を尽くそうという姿勢が芽生えたと感じます」

 

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自分のチームのメンバーと打ち合わせ。特番のリサーチ内容について、途中経過の報告を受ける。資料の改善点やリサーチ方法についてのアドバイスも行う。

 

入社5年目、大規模プロジェクトを経験。入社6年目には史上最年少のマネージャーに昇格

入社2年目、これまで携わってきたバラエティ番組のテレビ局での定例会議に参加できることになり、制作チームへの提案も任される。
「自分の提案を自分でプレゼンするため、それに対する反応を肌で感じ、責任の重さも強く感じるようになりました。最初は緊張しすぎてうまく伝えることができず、ディレクターから『それの何が面白いの?』と厳しいツッコミが入ったこともありました。やがて、単に資料を読み上げるだけではダメで、自分の言葉で面白さを伝えなくてはならないと気がついたんです。要点をまとめてストーリーを作り、それをどうインパクトある言葉で伝えるかまで考えることが大事だと。もちろん、そこまで考えるようになってからも、ウケるときもあれば、スベるときもあり、常に緊張感がありましたね(笑)。また、何度もプレゼンするうちに、自分の視点を膨らませ過ぎてもダメだということがわかりました。テーマを考えるのはあくまで放送作家の仕事で、僕らはそれを実現するための材料を提供する立場ですから。テーマから外れずに自分の発想を盛り込んだプラスアルファの提案をする難しさも感じました」

 

提案を会議に持ち込む前には、上司からOKをもらわねばならないが、半年後にはある程度通るようになり、会議そのものにも慣れてきたという。
「妥協しない人ばかりが集まった制作チームだったので、会議で自分の提案がウケるとすごくうれしかったですね。資料を見ただけで『何これ!』と笑ってもらえたり、『このネタなら演出を入れず、そのままで十分面白い』と言ってもらえたり。自分もチームの一員として頑張れているんだという大きな手応えを感じるようになりました。何より、自分が『この切り口で見せたら面白い』と意図した内容が、そのままテレビで放送されることがうれしかったです」

 

入社5年目には、「変わった経歴を持つ一般人」を50人集める特番の担当になり、部署を超えて若手メンバー12名をまとめるプロジェクトを経験。
「霊能者やハッカー、匿名ブロガー、水商売で働く現役の女性やスカウトマン、さらには軽微な犯罪で刑務所に入ったことのある人まで、変わった経歴を持つ人たちに顔出しNGで業界のきわどい話をしてもらう企画内容でした。最初は一人で担当していましたが、企画について考える内に自分に想定できる『変わった経歴』のパターンには限界があると気づいたんです。そこで、部署を横断して若手メンバーでチームを組み、みんなの視点を生かしながら進めることになったんです。自分一人では思いつかないような候補者がたくさん出て、『いろんな人の視点を入れることで、もっと面白くできるんだ!』ということを学びました」

 

また、番組で話してもらう内容がきわどいため、取材や出演交渉の進め方も難しかった。
「相手のキャラクターを把握しながら、気分良く話してもらえるような会話の雰囲気を作るように配慮しました。最終的には、約200名の候補者の中から約30名の出演が決定。番組の当日には彼らをスタジオに案内する役割も引き受けましたが、直前でドタキャンする人もいたんですよ。焦りましたが、用心して予備枠の人を用意していたので、乗り切ることができました。難しいテーマの大規模なプロジェクトをやりきったことで、自分自身も成長できたと思います」

 

入社6年目、亀田さんはフォーミュレーション史上最年少のセクションマネージャーに昇格し、社員や準社員など、合わせて十数名のメンバーをまとめる立場に。自身の担当番組のリサーチを行う一方、常時60〜80本分のリサーチ内容をチェックしていった。
「このころから営業活動も任され、テレビ局のディレクターやプロデューサーと親交を深めながら、これから始まる番組の情報を入手し、仕事をもらえるようにお願いしていきました。リサーチの仕事は、基本的に信頼関係で成り立っているので、期待に応えて次につなげることが大事なんです。それまでは仕事は勝手に降ってくるものと思っていましたが、期待以上の結果を出してこそ、次につながる。一つの番組を任せてもらうまでには、信頼を積み重ねることが大前提なんです。そこに気づいてからは、リサーチの精度をより高める意識を持ち、メンバー全員に共有していくようになりました」

 

入社10年目となる現在、イベントや映画、CM、ライブ、展示会、写真展など、さまざまな領域に積極的に仕事の幅を広げている。
「リサーチの仕事は、提案次第で幅広い業界に広げていくことができます。例えば、有名自動車メーカーの屋外イベントに使用するための最新技術を探したり、映画の原作となりえる漫画を発掘したり、写真展を開催するに当たっての展示パネルの情報を探ったり、CMのロケ地を提案するなど多岐にわたります。また、TV番組で培った人脈を生かして、ある有名アーティストのドームライブにパフォーマーを仕込むプロデュース業も始めました。培った人脈を生かしながら、いろんなことに挑戦できる面白さがあるんです」

 

この仕事の面白さは、自分の調べたことが番組にダイレクトに反映されること、そして自らブームの発信源となれるところにあると話す。
「表舞台には出ない仕事ですが、自分が発掘した面白い人やモノを世の中に広めていけるので、実はスケールが大きい仕事です。情報を発信する立場として、しっかりと裏付けを取ることを大切にしながら、幅広い領域で『面白いこと』を発信していこうと思います」

 

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自身の担当番組のリサーチ作業として、候補者への電話取材を行う。また、リサーチ資料や営業に向けた企画書の作成、チームのメンバーが作成した資料のチェックも行う。

 

亀田さんのキャリアステップ

STEP1 2007年4月 新人研修時代(入社1年目)

亀田さんの入社当時は、約3週間の新人研修を経て、現場に配属された。「リサーチのマニュアル書を基に、一般の方へ取材する際の心構えや、調べ物をする際に使える施設、リサーチそのものの進め方などを学びました」。最初に配属されたのは調査三部で、1年間はアシスタントリサーチャーとしてリサーチの基礎を学んだ。「バラエティ番組1本と特番数本を担当し、常時4本程度のリサーチに携わっていました。電話取材のときには、社名を名乗っただけでガチャッと切られることもありましたね。顔が見えない相手なので、声のトーンや言葉遣いなどで信頼してもらえるように努力していきました。先輩からは『あらゆるトラブルを回避するためにも、規模の大きな特番などは、前もって信頼できる団体の協力を得たり、周囲に根回しすることでリスクを減らす』と聞き、いい番組を作る背景には細やかな配慮と事前準備があるものなのだと実感しました」。また、仕事に慣れたころ、予定していた一般家庭への取材撮影が中止となる事態に直面。うっかり先方に取材中止の連絡を忘れ、好意で時間を割いてくれていることに対して配慮が足りなかったことを大反省したこともあった。

STEP2 2011年11月 部署をまたぐプロジェクトで、メンバーをまとめる立場を経験(入社5年目)

調査五部に配属され、常時、レギュラー番組5〜6本、特番10本を担当。後輩のリサーチ内容のチェックや判断も任されるようになる。また、顔出しNGのちょっと変わった経歴を持つ一般人50名を集める特番を担当した際に、部署をまたいでチームを作り、メンバーをまとめる立場を経験。「当時、4つの部署があったので、各部署から3名ずつ、若手メンバーに協力を仰ぎ、プロジェクトチームを作りました。みんなの意見を持ち寄ったことで、面白い候補者を挙げることができたと思います。取材時には、ここではちょっと話せないようないろんな業界の裏話を聞けたので、すごく面白かったですね。例えば、ある高級マンションのコンシェルジュの方から話を聞くことがありましたが、国会議員から大物タレントまでが住んでいるため、人脈がものすごく幅広くてびっくりしました。僕自身も、こうした取材の中で仲良くなった方に『こんな人はいませんか?』と聞いて、候補者出しに協力してもらうこともあるので、人脈作りは本当に大事だと感じています」。

STEP3 2012年10月 史上最年少でセクションマネージャーに昇格し、自分のチームをまとめる(入社6年目)

正社員6名、準社員を含めて十数名のチームをまとめ、常時60~80本の番組を管理する。また、この時期から番組を自ら受注しに行く営業活動も任される。2013年には1社提供の5分番組を担当し、大手広告代理店スタッフも番組会議に参加。この人脈により、テレビ番組以外にも、大手広告代理店の案件受注も増えていった。また、同年3月には、過去の仕事で仲良くなったアシスタントディレクターが出世し、初演出する特番のリサーチを任せてもらえた。さらに、テレビ番組以外にも仕事の領域を広げ、ニュージーランドの星空をテーマとした写真展において、展示パネルに掲載する補足情報をリサーチする仕事を受注したり、有名アーティストのライブに出演するパフォーマーのオーディションを手がけたりするようになる。

STEP4 2015年 営業担当として初のゴールデン枠レギュラー番組の仕事を受注(入社9年目)

リサーチャーとして今までに数多くのゴールデンタイムのレギュラー番組に携わってきた亀田さん。また、営業担当としては深夜帯のレギュラー番組や単発の特別番組を受注してきた。そして、2015年には営業担当として自身初のゴールデンタイムのレギュラー番組を受注。「すごくうれしかったです!視聴者の数も違いますし、予算規模も大きくて、やりがいもさらに大きくなりました。人気の芸人さんが司会を務める番組では、毎回、変わったテーマを取り上げています。例えば、『大事にされていない歴史的な場所』を取り上げる際には、大阪・御堂筋の道路の中央分離帯のど真ん中にある松尾芭蕉終焉の地や、チャップリンの生家に没年を間違えたプレートがかかっていることなどを調べ上げて提案し、実際にその一部が放映されています。お題に合わせて、何でも柔軟に調べ上げ、自分が面白いと思ったものがネットのニュースで話題になる。本当にやりがいがあります」。現在は、ドラマ、イベント、映画、ライブ、展示会、写真展などにおける幅広いリサーチの仕事を受注し、広告代理店や官公庁の仕事にまで広がっている。

ある日のスケジュール

11:00 出社。管理職が集まる社内会議に参加し、各部の状況のすり合わせや情報共有を行う。
11:45 メールチェック後、チームのメンバーの作業の振り分けと調整を行う。デスクで簡単に昼食を済ませる。
13:00 六本木の制作会社を訪問。特別番組の会議に参加する。
15:00 お台場のフジテレビでレギュラー番組の会議に参加。
18:00 番組のプロデューサーと一緒にお台場のレストランで夕食を取る。
19:00 赤坂のTBSで企画会議に参加。新たな企画を一から考える会議を行う。
20:00 帰社。担当番組のリサーチ作業と、メンバーが作成した資料のチェックを行う。
22:00 退社。

プライベート

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仲の良い同僚3人で毎年1回、海外旅行へ出かけている。写真は14年11月に台湾を旅した時のもの。「芸人の旅番組に影響されました(笑)。これまで、シンガポールなどに行きましたが、各自で役割分担して事前にリサーチするので、リサーチャーならではのベストな旅程を組むことができますね」。

 

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海が好きで、沖縄を中心に年間に何度も海のある土地に出かけている。15年からは妻とダイビングも始めた。写真は15年7月に石垣島を旅した時のもの。「長期休暇や有給を利用して3泊くらいの日程で出かけています。今後は世界のきれいな海も潜ってみたいですね」。

 

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海上保安庁が大好きで、横浜海上防災基地や羽田の特殊救難隊の基地などを定期的に見学している。「海上保安庁の特殊救難隊を題材にした漫画が好きで、海上保安庁に憧れを抱くようになったんです。特に用事はなくてもついつい出かけてしまいますし、特殊救難隊の訓練を見に行ったりもしています」。

 

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

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