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Vol.353 ヤーマン株式会社

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てらお・はるか●営業本部 第五健康機器事業部 課長。首都大学東京都市教養学部都市教養学科卒業。2010年4月入社。早い時期から裁量ある仕事を任せてもらえる会社で働きたいと考え、業種は問わず、鉄道、ホテル、ショッピングセンターなど、約30社にプレエントリー。およそ20社の選考に進み、5社から内定を得た。現社の面接で実際に社長と話す機会があり、仕事の現場でも社長と意見交換できる環境であることを知り、入社を決意。

「売るために何を考えるべきか」を学び、新商品を考える力を養った通販時代

ローラー美顔器「プラチナゲルマローラー」、痛くない脱毛器「no!no!HAIR(ノーノーヘア)」などのヒット商品で知られるヤーマンは、1978年に創業した美容家電市場のリーディングカンパニー。美容健康関連事業は、雑誌やテレビで販売を行う通販会社への卸売業を行う通販、家電量販店やバラエティショップ向けに卸売業を行う店販、インフォマーシャルや雑誌、新聞、Webサイトなどの媒体を利用して個人向けに販売を行う直販、海外という4つのチャネルで、利用客を増やしている。ちなみに、インフォマーシャルとは、インフォメーション(情報)とコマーシャル(広告)を組み合わせた造語。テレビCMの一種で、番組の放送枠を購入して一つの商品を数十分かけて紹介する自社制作番組だ。インフォマーシャルは視聴者が多いだけに、その反響が売り上げを大きく左右する。

 

2010年に入社した寺尾悠さんは、通販を担当する第二健康機器事業部に配属となった。ミッションは、通販会社に自社商品を提案し、テレビ通販やカタログ通販などで取り上げてもらい、売り上げを獲得すること。1年目は先輩の下で、仕事の進め方や売るための施策の考え方などを学んでいった。
「この仕事は、通販会社に自社商品をいかに提案していくかがポイント。商品の長所はもちろん、他社製品との比較・紙面や映像での見せ方も交えて差別化ポイントをアピールし、通販会社に『売れる、売りたい』と思ってもらうことが重要です」

 

提案前には営業部内でミーティングを重ねて資料を準備し、提案が通ったあとは、撮影の手配や立ち会いを行う。テレビやカタログに商品が露出したあとは受注状況を把握し、その結果を分析するのも営業の仕事だ。期待通りの反響が得られなければ、セット内容や商品の見せ方などのクリエイティブ変更を提案し、追加オンエアの交渉を行っていく。

 

2年目に入り、自分でクライアントを持つようになった寺尾さんは、自分の発案で提案できることに心を躍らせた。しかし、担当した通販会社は、メールや先方のシステムを利用して提案する習慣になっており、担当者と顔を合わせて話すことはほぼないに等しかった。
「2カ月がたっても営業数字が動かない様子を見かねた上司に、『このままでは売り上げは伸びないぞ』とはっぱをかけられ、意を決してお客さまを訪問することにしました。最初はなかなかアポイントが取れませんでしたが、何度も連絡を取るうちに、ようやく会ってもらえたんです。担当者と直接話ができたことで、先方が何を求めているのかをつかむことができました」

 

独り立ちした当初は、会話のキャッチボールの中で自分が言いたいことのすべてを伝えきれず、悔しい思いをした寺尾さんだったが、3カ月が経過するころには、話の順序を組み立てて自分のペースで話を進められるように。担当者との信頼関係も徐々に深まっていった。
「通販部門での2年間で学んだのは、『どうすれば売れるのか。そのためには何をするべきか』を考え抜くこと。部のメンバー全員で、他社商品を徹底的に研究しました。そして、例えばミスト美顔器なら、霧の粒子の細かさが肉眼でもわかるよう、いろいろな素材を集めて吹き付けてみるなど、効果的な見せ方をとことん追究しました」

 

第二健康機器事業部では、新商品開発の企画会議にも参加し、自分のアイデアをぶつけた。
「各自が新商品のアイデアを企画書にまとめ、2週間ごとに提案し合いました。残念ながら私のアイデアは採用されませんでしたが、この会議への参加を通して“新商品を考える力”が養われたと思います」

 

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広告制作会社の担当者とミーティング。「アセチノメガシェイプ」の動きを、どのように見せるのが効果的かを話し合う。

 

商品開発からかかわった「アセチノメガシェイプ」のヒットが自信に

12年4月、第五健康機器事業部に異動した寺尾さんは、直販部門でダイエット(痩身系)商品を担当することになった。これまでは通販会社がお客さまだったが、直販ではエンドユーザーがお客さまだ。
「ダイエット商品は預かる広告費が大きく、億単位の予算をさまざまな媒体に振り分けていくので、その責任は重大。インフォマーシャル、直営Webサイト、会報誌や雑誌、新聞広告など、媒体の活用方法も展開手法も未知の分野だったので、イチから勉強しなければなりませんでした」

 

寺尾さんは前任者が残した資料を検証し、どんな施策を実行してどんな年齢層が購入したのか、どの媒体とどんなWebキャンペーンを組み合わせて顧客を獲得してきたのか、などを細かく分析。また、季節性が大きいダイエット商品は、夏と冬で露出させる商品を替えるなど、直販ならではの戦略も学んでいった。
「注文は電話で受けるので、オペレータが受け答えに利用する原稿を確認したり、ダイエット機器の購入で電話してきたお客さまに、併用すると効果的な商品を一緒にご案内するトーク内容を考えたりするのも、実は営業の仕事なんです」

 

大きな手応えを感じたのは、15年1月に放送を開始した「アセチノメガシェイプ」のインフォマーシャルに携わった時のこと。この商品は、ほかの事業部で売り出した同シリーズの製品が好評だったことを受けて、直販用にカラーと機能をバージョンアップさせたもの。寺尾さんは14年夏ごろからその商品開発にも携わってきた。
「番組制作をゼロから手がけたのも、この時が初めてでした。受注を左右するのは、誰に訴求するのかの見極めと魅力的な商品の見せ方。広告代理店や制作会社と『誰にどのように売っていくか』の会議を重ね、方向性を決めて、撮影や編集にも立ち会いました。大変でしたが、放送後の結果は予想以上に好調で、目標を達成することができました。結果としてその年の社長賞を受賞して大きな自信となりました」

 

放送後は受注データを分析し、実際の反応率や客層などを基に、構成の変更や出演者の入れかえを検討し、より高い効果を狙って番組を改編。時には受注に弾みをつけるために、プレゼントや送料無料の特典を追加することもある。インフォマーシャルの反響があると、直営Webサイトの検索も増えるので、Webサイトでの受注を増やすためのリニューアルも適宜行っていかなければならない。
「1人でも多くのお客さまに当社の商品をお届けするため、さまざまな施策にトライしています。放送枠の選定から改編まで、守備範囲はかなり広がりましたが、その分、裁量権も自由度も増えているので、やりがいを感じています。反響を待つときのワクワク感やドキドキ感は、通知表をもらうときと同じ(笑)。直販はお客さまの反応がすぐ返ってくるので、自分が立てた“売れる仮説”の答え合わせがすぐにできる。そんなスピード感も気に入っています」

 

たとえ予想通りの反響が得られなくても、落ち込むことはないという寺尾さん。
「大切なのは、次に生かしていくマインドです。その結果を分析し、どのように軌道修正しようかと考える。失敗は、商品の見せ方の工夫や次の商品企画につなげていくよう心がけています」

 

現在の目標は、「アセチノメガシェイプ」の成功に満足することなく、それに続く第二、第三のヒット商品を打ち出していくこと。
「詳細は秘密ですが、現在は、これまでにない商品の見せ方や販売方法を企画中です。インフォマーシャルを見て当社の商品を購入していても、ヤーマンというブランドを意識していないお客さまは少なくありません。ですから、企業PRとの連動などでブランド認知度をもっと高め、ヤーマンファンを増やしていく施策も考えていきたいですね」

 

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週に2、3回は打ち合わせなどで外出。インフォマーシャルの撮影に立ち会うときは、朝から晩までスタジオに詰めることもある。

 

寺尾さんのキャリアステップ

STEP1 2010年 新入社員研修で活躍する女性の姿に刺激を受ける(入社1年目)

4月に入社した男性3名、女性5名で、2週間の新入社員研修に参加。本社で、各事業部門の業務内容や商品知識、ビジネスマナーの基本などを学んだ。各事業部門の説明に来た先輩社員には女性も多く、エネルギッシュな姿がとても印象的だった。社長も副社長も女性であり、活躍する女性の姿を目の当たりにしたことで、仕事に対する不安よりも、やる気と期待に満ちあふれた。

STEP2 2010年 通販部門で仕事の流れを学ぶ(入社1年目)

第二健康機器事業部に配属となり、通販会社を通して自社商品を販売する業務に携わる。上司のアシスタントとして、通販会社への提案資料の準備、商品撮影の企画・実施、商品モニターの募集・管理などに携わる。入社半年間は仕事全体の流れがつかめていなかったため、制作会社に渡すべき商品情報に不備があったり、商品納品日の調整に難航するなどの失敗も。業務を行う中で、自分の趣味がカメラだったことから、商品の見せ方を提案したところ、新商品の撮影チームに抜擢される。制作会社から「画像の質が上がった」と高評価を得た。

STEP3 2012年 直販部門で売れ筋のダイエット商品を担当(入社3年目)

4月、直販媒体を扱う第五健康機器事業部に異動。インフォマーシャル、紙媒体、Web媒体を活用してエンドユーザーに販売していく直販は新しく学ぶことが多かった。アセチノブランドなどのダイエット商品など、人気の高い既存商品を担当していたため「自分ではなくても商品は売れるのでは…」というジレンマを突破できない日々を過ご

STEP4 2016年 インフォマーシャルのメイン担当に(入社6年目)

ダイエット商品に加えて、部長のサブとしてインフォマーシャルも担当することに。商品のリニューアルからクリエイティブ制作まで、初めて全プロセスに携わった「アセチノメガシェイプ」のインフォマーシャルが15年1月から放送。イチからかかわった商品で目標を達成できたことが自信となり、それまで感じていた壁を突破。16年3月、課長に昇進するとともに、インフォマーシャルのメイン担当として、1シーズンに数本の番組制作に携わる。

ある日のスケジュール

8:40 出社。前日の受注状況の確認とメールチェック。
9:00 社長と商品担当6、7名との週例会議。売り上げ状況や施策の進捗状況の報告を行う。
10:30 新商品の訴求ポイントや販売開始時期など、販売計画を策定。過去のデータを分析し、考察する。
12:00 ランチ。弁当を持参することもあるが、他部署の同期と待ち合わせて外食することも。
13:00 部内で週1回のミーティング。各商品担当チームの進捗報告で情報を共有し、意見を出し合う。
14:00 新商品撮影用のモデルオーディションのため、外出。終了後、制作会社・代理店の担当者と打ち合わせ。
18:00 帰社。他部署と打ち合わせをしたあと、担当商品の制作物チェックや事務処理を行い、19時30分ごろ退社。

プライベート

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13年9月、学生時代の友人3人と初めてのハワイへ。「ハワイに行った人は、口をそろえて『住みたい』と言うので、その真偽を確かめに。実際は…やっぱり住みたいと思いました(笑)」。

 

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高校時代はサッカー部に所属。お正月は、昔の仲間と栃木県の母校に集まってプレーするのが恒例。「年々走れなくなっているので、秋ごろからジョギング量を増やして体を鍛えています」。写真は15年のお正月。

 

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3年前からミニチュアシュナウザーを飼い始め、年1回は犬と一緒に旅行を楽しんでいる。「自然に囲まれたペンションに泊まることが多いですね」。写真は14年9月に行った九十九里浜。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

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