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Vol.355 タカラトミーグループ(株式会社タカラトミー他3社)

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ねぎし・さやか●ボーイズ事業部 ボーイズ第2企画部 マーケティング課 主任。法政大学法学部政治学科卒業。2007年入社。学生時代に都市政策について学んでいたため、就職活動では不動産や公共交通事業にかかわる業界を志望。一方、イベントのアルバイトで、現社のおもちゃショーのブースを経験し、社員の人柄の良さに触れたことをきっかけに興味を持つ。面接選考の中、自分の気持ちを素直に話すことができ、「ありのままの自分を受け入れてくれる会社だ」と感じて入社を決意。

配属1カ月後にイベント企画を任される。入社3年目には自身の企画したPRが世間の評判となり、売り上げに貢献

根岸さやかさんが現社に入社したのは、面接選考時に「自分を飾ることなく、ありのままの姿で仕事ができる」と感じたためだ。入社後、2カ月の基礎研修を受けたののち、新入社員研修の一環として、1年間、フィールドサポートチームにて店舗でのプロモーションサポートを経験した。
「お客さまである小売店舗を巡回し、店頭ディスプレーの設置やイベントの開催、商品の売れ行きの確認などを行うチームです。同期15人と一緒に、先輩の下で仕事の流れについて勉強したのち、自分が担当する店舗を巡回しながら現場を学んでいきました」

 

入社2年目、子どもから大人まで、幅広い世代に向けた新商品のマーケティング企画やプロモーションを手がけるニュープロダクト マーケティングチームに配属。
「志望していた部署だったこともあり、『これからドンドン提案していこう!』とモチベーションが上がりましたね。配属1カ月後には、『貯金伝説バンククエスト』という新商品のプロモーションイベントを提案しました」

 

これは、ロールプレイングゲームのような仕掛けを持つ貯金箱で、100円玉を投入すると、それが100ゴールドに換算される仕組みになっている。貯めたお金で、ゲーム内のさまざまなアイテムが購入でき、ストーリーも進んでいくため、「これはゲーム好きにうける!」と確信したという。
「商品発売前の社内プレゼンテーションを聞いた時点で、イベントの企画がひらめきました。『ゲーム好きが集まる秋葉原で、インターネット上で話題になるようなイベントをすれば広まる』と。そこで、秋葉原で人気の女性コスプレーヤーに女戦士の衣装を着てもらい、秋葉原にある量販店の店頭でプロモーション用のうちわを配布し、商品を体験してもらうイベント企画を提案したんです」

 

根岸さんは企画を任せてもらえることになり、先輩の指導の下、パワーポイントで企画書を作成していった。
「先輩からダメ出しされながら何度も作り直し、使用する文字の書体から画像のレイアウトまで、細かく修正していきましたね。最初は、『文章で伝えればいいのに、なぜそこまでやるのか』と思いましたが、どんなに内容が良くても、それが伝わる見せ方をしなければOKは出ないもの。プレゼンテーションの基本を身につけることができたと感じます」

 

イベントを実施する店舗と卸会社に向けたプレゼンテーションも自ら行ったが、丁寧に作り込んだ提案資料のおかげもあって、評判は上々だった。そこから3カ月かけて、コスプレーヤーとの交渉や衣装の手配、プロモーション用のうちわのデザイン考案やデザイン会社とのやりとりなどの準備を進めた。
「予算が少ない部署でしたから、広告会社などの手を借りることはできず、すべて自分でやらねばならなくて。でも、そのおかげでコスト感覚が養われましたし、一つひとつの作業の内容と流れを理解できたと感じます」

 

イベント当日、根岸さんは「売り上げ目標を達成できるのか」という不安でいっぱいだったという。実際、初日の昼過ぎまではまったく売れなかったそうだ。すると、コスプレーヤーの女性たちが「私たちにできることがあったら、何でも言ってください」と声をかけてくれた。
「すごく励まされましたね。彼女たちが一生懸命に商品をアピールしてくれたことで、インターネット上でイベント風景の写真が拡散され、最終的には2日間で目標数を達成することができました」

 

その後、3カ月ごとに1〜2商品のマーケティング企画を担当。商品開発部署と連携し、購買ターゲットの設定や、それに合わせた商品デザインの変更など、商品そのものの企画にも携わっていく。
「営業担当者と一緒に、小売店舗や卸会社に向けたプレゼンテーションも行っていきました。パッケージデザインやプロモーションへの要望などを直接聞いて反映させていく中、どういった商品が売れやすいのかという売り場の状況も把握でき、それを商品の企画に反映していくことができましたね」

 

大きく印象に残っているのは、入社3年目の終わりに手がけた『ポテチの手』という雑貨系商品のマーケティング企画だ。
「ポテトチップスを食べるときに使うマジックハンド型の玩具です。手が汚れないように一枚一枚つまみ上げることができ、指についた塩をこすり落とすリアルな動作もできる。企画段階から、『面白い!これは売れる』と感じました」

 

最初に社内の幹部に向けたプレゼンテーションをした際は、面白がってくれる人がいる一方、雑貨的な商品だから難しいという反対意見もあった。そのため、翌月に行う小売店や卸会社、メディアに向けた商談会でのお客さまの反応を見て生産数量を決めることになったという。
「『バンククエスト』での成功を踏まえ、『メディアが取り上げてくれるよう、一目で面白さが伝わるプレゼンテーションをしよう』と考えました。そこで、海外の通販番組をパロディ化したプロモーションビデオを作ることに。少ない予算で実現させるため、知人経由でイメージに合う外国人を探し出し、通販番組風に商品紹介をしてもらう内容としました」

 

このプロモーションビデオが評判となり、発売前からメディアに取り上げられ、Twitterやブログなど、一般の人たちがどんどん拡散してくれたという。
「商品が店頭に並ぶ前に世間の話題になったことで、注文数も増え、実際の販売にもつながったんです。それまでは、どんなに商品の面白さをアピールしても、なかなか注文数につながらないケースも多かった。けれど、お金をかけないプロモーションでも、仕掛ける内容とタイミング次第では成功するのだと実感し、会社に貢献する喜びを味わいました」

 

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ボーイズ事業部のメンバーと打ち合わせ。互いが担当する開発中の商品について、客観的に意見を交わし、次のアイデアに役立てる。

 

入社5年目から海外向けの商品企画を手がける。8年目、男児向け商品に携わり、市場のスケールの大きさを実感

入社5年目、根岸さんはグローバルビークル先行企画グループに異動する。『トミカ』をはじめ、世界で受け入れられるミニカー商品を企画する部署で、根岸さんは北米向けの商品を企画することに。
「それまでの国内マーケティングとは異なり、まったく知らない海外の市場に向け、一から商品企画を手がけることになりました。最初は何をやればいいのかもわからず、国内の『トミカ』がどこでどう売れているのか、アメリカではどういう玩具が売れているのかを調査することからスタートしました」

 

日本の『トミカ』の魅力を生かしながら、アメリカの子どもに受けるものとは一体何なのかを模索する中、「ダイナミックさがポイントになる」という結論を出した。
「北米のトミーインターナショナルと協力して進めるプロジェクトで、アメリカを訪れて現地調査を実施しました。子どもを集め、試作品で遊んでもらいながら反応を見ていくうち、アメリカの子どもはリアルなものより空想の世界が好きで、例えば橋と橋の間をかっこよく飛ぶようなダイナミックな車が好まれると気づいた。日本の子どもは、見たことのある車を欲しがり、現実の街の中をイメージして遊びますから、ここまで文化の違いが出るものかと驚きました」

 

しかし、このプロジェクトはさまざまな課題の中で、実現まで至ることなく中断することになってしまう。ただ、翌年に配属されたアジアマーケティングチームでこの時の経験を生かすことができたという。
「アジア各国に向けた『トミカ』のマーケティングやプロモーション提案を行う担当になりました。アジアでは、現地の販売代理店が日本の商品を輸入して、パッケージなどもそのまま販売しており、マーケティングも基本的に彼らが行っています。現地での販売を促進していくため、最初の1年は日本のカタログやDVD、トミカ博などのイベントを各国向けにアレンジして提案していきました」

 

アジアでは、カタログやDVDを作成することに対し、「コストを投下してまでの効果があるのか」と懐疑的な意見もあった。
「そこで、まずは『トミカ』の売り上げと予算が最も大きく、親日派である台湾の代理店と協力し、そこで成功例を積み重ねることに。費用対効果の実例をたくさん作り、これをもとにほかの国も説得し、アジア全体に広めていくことができました」

 

配属2年目以降は、インドネシアの子どもに向けたオリジナル商品の企画に携わる。
「現地の子どもが買い求めやすいように現地の経済状況を考え、より手頃な価格の商品を企画することになりました。そこで、“紙”を素材とした玩具を作ろうと。1年のうちの半分はインドネシアに出張し、どんな遊びをするのか、どんなキャラクターが好まれるのか、現地の子どもたちへの調査を重ねました」

 

調査の結果、現地ではおはじきのように指先を使って対戦する伝統的な遊びがあることや、動物をモチーフにしたキャラクターが好まれることがわかった。
「インドネシアの国章であるガルーダをはじめとする動物と、車を掛け合わせたキャラクターを考案。いくつかのデザインを現地の子どもに見せて調査したところ、反応が良かったので、これを使って低価格のキャラクター・メンコを作り、対戦ゲームを提案していくことに決めました。また、インドネシア全土に展開するコンビニチェーンに導入してもらい、販売経路も広げることができたんです」

 

発売後は、対戦を楽しむ大会イベントを各地で開催。根岸さん自ら、企画から運営まで手がけ、大会前日には会場の設営まで行ったという。
「現地の販売代理店やイベント会社にも手伝ってもらいましたが、日本のように時間や納期を正確に守る文化が根付いていないので、予定通りに必要なものが到着しないこともあり、スケジュールを管理することが本当に大変でしたね。けれど、大会当日に子どもたちが遊んでいる姿を見ることができた。異文化の中でも、自分が一から考えたものが購入され、楽しんでもらえる。それを肌で実感し、商品企画に携わる大きな喜びを味わいました」

 

入社8年目を迎えた2014年、現部署であるボーイズ第2企画部マーケティング課に異動。現在までに、赤外線でコントロールするロボット玩具『ガガンガン』や、16年10月からアニメ化される『タイムボカン24』の関連商品など、さまざまな商品に携わっている。
「開発部署と一緒に、主に男の子向けのおもちゃの商品開発からプロモーションまで手がけています。市場が大きいため、受注する数の規模はこれまでの数十倍にもなりますし、そこからさらに広めていくための施策を考える面白さがあります。また、アニメのコンテンツの関連商品では、版権を持つテレビ局や制作会社など、より多くの人とかかわるので、そうした意味でも仕事のスケールの大きさを感じています。玩具はエンタテインメントであり、人の笑顔を生み出すもの。自分の仕事を通じて、たくさんの笑顔を見ることができるやりがいは、本当に大きいです!」

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営業担当者に向けて、販促プロモーションの内容を伝える資料を作成。店頭用の販促物のチェックや、出版物に掲載される内容の確認なども行う。

 

根岸さんのキャリアステップ

STEP1 2007年4月 新人研修時代(入社1年目)

2カ月間の新入社員研修を受け、社会人マナーや会社の制度について学ぶ。「各部門の紹介もあり、現場で働く先輩たちの話を聞く中、『同じ会社でも部署ごとに雰囲気が違い、バラエティに富んでいる人々が働いているんだな』と感じました」。こののち、店舗でのプロモーションサポートを行うフィールドサポートチームで約1年間現場を経験。担当店舗を巡回し、各店の『トミカ』商品の在庫数を数えてリスト化したり、週末の店頭イベントで新商品の遊び方を実演。現場で経験を重ねる中で、消費者の動きを見ることができたという。「イベントでは、ビル型の新商品にミニカーの『トミカ』を並べ、スイッチを押して走らせるなど、子どもたちに遊び方を紹介していきました。親御さんがどういったきっかけで購入に至るのかを目の当たりにできましたし、子どもたちが商品のカタログを何度も一生懸命に見返していると知り、『大人が思うより、子どもにとってカタログは重要な意味を持つものなのだ』と実感しました」。

STEP2 2008年4月 幅広い世代に向けた商品企画や販促企画を担当(入社2年目)

ニュープロダクト マーケティングチームに配属。子どもだけでなく、大人も含めた新たなターゲットに向けた商品の開発やマーケティングに携わる。『貯金伝説バンククエスト』、『パンダバンク』など、遊びゴコロのある貯金箱シリーズを担当した際には、雑貨店への導入や、10月10日を「貯金箱の日」に制定するなどもした。また、『ポテチの手』では食品会社とコラボレーションしたPRを実施。『バウリンガルボイス』『ドッグペッツ』などのペット好きに向けた商品では、ペット商品の流通経路にも販路を拡大した。「子ども向け雑誌などに掲載できる玩具商品とは違い、ジョーク・グッズのような商品には決め手となる販促経路がないため、面白いことを企画してネットなどで広めてもらうことが重要だと学びました。また、商品の情報を露出するタイミングでは、『商品販売開始の直前の方が良い』というセオリーが一般的ですが、露出を早めに行い、発売までにその情報が拡散する時間を作ることも必要です。仕掛けるタイミングを早くするために、広報担当者を説得したこともありましたね」。

STEP3 2012年4月 アジア市場のマーケティングとオリジナル商品の企画開発を手がける(入社6年目)

アジアマーケティングチームに配属。アジア各国に向けた『トミカ』のマーケティングや販促提案、インドネシアに向けたオリジナル商品の企画開発、マーケティングに携わる。「オリジナル商品を企画した時には、各地の人が集まる場で大会を開催していきました。出版社が主催する子ども向けイベントの中で行ったり、フットサル大会の会場の脇にブースを設けたり。トーナメント戦の大会には50人もの子どもたちが参加してくれて、すごくうれしかったですね。 また、すべての商品をコンプリートしていた子が、自分のFacebookにその画像を載せていて、自慢げな姿を目にすることもできました」。

STEP4 2014年9月 国内の男児向け商品の企画・マーケティングを担当(入社8年目)

ボーイズ第2企画部マーケティング課に配属。ロボット玩具の『ガガンガン』のプロモーションでは、子どもだけでなく、父親も楽しめる商品であることを想定し、テレビのCMでは「成人男性もカッコイイと思えるイメージ」を大切にしました。人が乗れる大型ロボット『クラタス』を開発している水道橋重工とコラボレーションし、『ガガンガン』のクラタスモデルも発売。また、『タイムボカン24』の関連商品のプロモーションでは、東京ビッグサイトで開催されるおもちゃショーで、記者発表会を実施した。「2015年の6月に産休を取得し、16年の4月に復帰しました。現在、時短勤務制度を活用しながら、育児と仕事を両立しています。産休前と同じ部署に復帰できたことも、うれしかったです。女性も働きやすい理解ある職場だと感じますね。ボーイズ事業ではスケールの大きな仕事に携わっているので、今後は『大ヒットにかかわるような仕事』を目指し、さらにスケール感を広げていきたいと思っています」。

ある日のスケジュール

9:30 出社。メールチェックと返信。
10:00 『タイムボカン24』関連商品のチームミーティングに参加。開発中の商品の進捗状況や内容をチェック。
12:00 昼休み。社内でお弁当を食べる。
13:00 営業向けのプレゼン資料を作成。上長のチェックを受ける。
14:00 店頭販促物について営業担当と打ち合わせ。
15:00 外出。出版社と商談。担当商品の掲載内容などを打ち合わせる。
16:30 時短勤務の就業時間に沿って、打ち合わせ先から直帰。子どものお迎えに向かう。

プライベート

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社会人になってからマラソンを始めた。写真は2012年10月に荒川タートルマラソンに参加した時のもの。前列中央が根岸さん。「根性をつけるためにスタートしました(笑)。会社の仲間と一緒に皇居ランをしたり、マラソンの大会に参加したりもしています! 」。

 

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週末には、家族で公園や野球観戦などに出かけている。写真は、16年6月に東京ドームで撮影したもの。「夫が野球好きなので、いつも育児に協力してくれることに感謝を込めて、野球観戦のチケットを入手しました」。

 

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独身時代から現在まで、会社の仲間と一緒に遊びに出かけている。写真は16年のゴールデンウィークに撮影したもの。「家族連れから独身者まで集まって、ピクニックを楽しみました。今は子育て中の人も多いので、長期休暇に集まることが多いですね」。

 

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

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