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Vol.366 東京急行電鉄株式会社

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やまなか・りな●都市創造本部 開発事業部 事業計画部 渋谷まちづくり担当。立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。2013年4月入社。3歳からクラシックバレエを始め、中学からは新体操を始めるなど、表現活動が大好き。文化発信を手がける東急電鉄に魅力を感じ、入社を決意した。

鉄道という基盤の上で、文化が根付く街をつくりたい

3歳で始めたクラシックバレエを続け、中学からは新体操、大学は映像身体学科を選択するなど、一貫して、舞台を通した表現活動を続けてきた山中莉奈さん。その経験から、日常的に芸術に触れる経験ができるような、文化が根付く街をつくりたいという思いを強く持っていた。東急電鉄に興味を抱いたのは、鉄道という基盤を持ち、広く街づくりを手がけているから。総合文化施設「Bunkamura」、渋谷ヒカリエの中核施設「東急シアターオーブ」を手がけていることも、大きな魅力だった。
「会社説明会では、東急沿線の街の価値を高めようと長期的な目線で考えていることが伝わってきました。鉄道会社には堅いイメージがあったのですが、『東急シアターオーブ』の劇場開発を手がけた先輩の話を聞き、本当に文化発信に貢献できるんだ、会社としても力を入れているんだとわかり、私も文化の発展のために力を捧げたいと思いました」

 

入社後は、3カ月間のグループ会社研修から始まった。43人の同期が、数人ずつグループ会社に分かれて配属となり、東急沿線の街づくりがあらゆるグループ会社とともに進められていることを学んでいく。

 

山中さんが配属されたのは、東急線沿線エリアに密着した警備・セキュリティサービスを提供する「東急セキュリティ」。サービス案内チラシを地域の病院などに置いてもらったり、子どもの見守りサービスが必要な塾や幼稚園などへ商談に行ったりと、先輩についてさまざまな営業経験を積んだ。

 

その後7カ月間は、武蔵小杉駅(神奈川県川崎市)での現場研修へ。鉄道会社の主軸業務である駅係員として、お客さまの要望に臨機応変に対応する力を鍛えられた。
「遅延や、運転見合わせなど、日々さまざまなトラブルが生じます。意識していたのは、あいまいな情報を伝えてお客さまを混乱させないこと、お客さまの立場になって、どんな情報が必要かを考えること。約10カ月間の研修を通して、相手の立場で考える姿勢の大切さを学びました」

 

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渋谷駅前の案内誘導に関する検討について、社内で共有。関係各社や行政などとの打ち合わせ内容をフィードバックする。

 

2027年竣工(しゅんこう)予定の「渋谷駅周辺開発プロジェクト」で、過ごしやすい街づくりを進める

1年目の2月から配属となった、現部署・都市創造本部開発事業部のミッションは、渋谷の街づくりの全体戦略立案と実行。「エンタテイメントシティSHIBUYA」実現に向けた連携強化、街横断の仕組みやルールづくりが求められている。
「もともと、渋谷の劇場開発をやりたいという思いがあったのですが、渋谷という街全体のことがわかっていなければ、何もできません。まずは、東急電鉄にいる自分には何ができるのかを知るために、街づくりの全体を俯瞰(ふかん)する仕事に就きたいと考えました。配属となった渋谷まちづくり担当部署は、当社以外にも、ほかの鉄道会社、大手ディベロッパー、不動産会社、国土交通省や東京都、渋谷区などの行政と連携することが求められます。街をつくるには、どんな調整業務が必要なのか、プロセスを一つひとつ学んでいます」

 

現在、山中さんが携わる渋谷駅周辺開発プロジェクトは、2018年秋に渋谷ストリーム(旧東横線渋谷駅の線路跡地)の高層複合施設が開業予定のほか、道玄坂一丁目駅前地区、渋谷駅桜丘口地区、渋谷駅街区と2012年に開業している渋谷ヒカリエを含めて5つの街区で2027年までの竣工が予定されている。それぞれの高層施設の再開発には、多くの関係者がかかわっているため、渋谷駅前の発展を考える「渋谷駅前エリアマネジメント協議会」が2013年に発足。山中さんはその事務局として、協議会の運営に携わってきた。
5つの街区が再開発を進める上で、ハード面だけでなく、情報発信やおもてなし等といったソフト面での連携は欠かせません。また長期にわたり事業が進む中で、工事中の賑わい創出も大きな課題です。そこで、渋谷駅前の再開発に関わる事業者と行政、官民が連携し、協議会を設立し、意見をまとめながら開発を円滑に進めていこうと動き出しました」

 

配属された当初から、工事中そして竣工に向けた議論・検討を進めている。しかし、渋谷駅前の発展は、建物が竣工したら終わりではなく、今後永続的に続いていく。そのためには持続可能な組織運営をめざし、自主財源の確保が必要だとの考え方から、一般社団法人設立に向けて動き出した。2年目だった山中さんは「会社に所属しながら、組織づくりのプロセスを学べる絶好の機会」だと、法人化の骨子づくりをやりたいと手を挙げ、規約づくり等を中心となって進めていった。
「弁護士や会計士の先生からアドバイスを頂きながら、規約を作り、総会を開いて50人近くの協議会メンバーから意見を仰ぎました。当時、自主財源の確保に向けた取り組みとして、公共空間における屋外広告物の社会実験に向けた準備を進めていました。その上で、信頼の獲得・透明性の確保といった課題の解決には法人格の取得が必要だった為、約3か月の準備期間の中『一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント』を立ち上げ、ハチ公前広場をはじめとした公共空間における屋外広告物の社会実験を開始できた時は、積み重ねてきたことが形になる喜びを実感しました。」

 

現在は、標識やマップ等の案内誘導に関する検討を進めるのが山中さんの仕事だ。サインの表記や、共通マップ、IT技術を活用したご案内等、検討することは山積。各会社も既にそれぞれの取り組みが進行する中、どうすることがよりお客様のためになるのか、関係者間の調整業務に日々奔走しているという。
「2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、各行政も新たな取り組みを検討しているので、その調整も必要です。初めて渋谷に来るお客さま、外国人観光客の皆さまにも、わかりやすい街、過ごしやすい街だと思ってもらいたい。各開発のスピードに負けずに動いていきます」

 

さまざまな意見を持った多くの関係者をまとめる秘訣(ひけつ)を聞くと「研修でも学んだ通り、相手の立場になること。相手の立場をよく知る為にも、一人一人と関係を築きます。」という。
「みんなが納得する答えを出すのは難しいかもしれませんが、信頼関係が築けていて、相手の立場が分かっていれば、意見をすり合わせながら前に進めることができます。『こうしてほしい』という意見が出たから対応したら、別の角度から違う意見が来るのは日常茶飯事。これからは、意見に耳を傾け、建設的な指摘は取り入れながらも、『こうあるべきだ』という自分の意見がしっかり持てるようになりたい。『私は、この街のために、これをつくりたい』と、自信を持って言える自分であるように、決断して動かしていく経験を重ねたいですね」

 

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関係各社や行政に向け、案内誘導に関する検討の説明資料を作成。決まったことはこまめに資料にまとめ、関係者に説明する機会が多い。

 

山中さんのキャリアステップ

STEP1 2013年 新入社員研修で3カ月間、グループ会社に配属され営業を経験(入社1年目)

入社後の研修は合計10カ月。最初の3カ月は東急セキュリティで営業経験を積んだ。同期4人で、サービス案内チラシを置いてくれる取引先の開拓を競うなどどんどん現場に出ていった。研修期間は、同期全員で一つ屋根の下、寮生活をするのが東急電鉄の伝統。みんなグループ会社にバラバラに配属されるが、帰宅後に共有のリビングスペースで仕事の話をしたり悩みを相談したりと、濃密な時間を過ごした。「同期はまさに、同じ釜の飯を食べた仲間。何でも言い合える関係となれるあの“家”は、本当に貴重でした」。仕事で連携しやすい横のつながりができ、社内でノウハウを共有できる土台になっているという。

STEP2 2013年7月 新入社員研修で、7カ月間、武蔵小杉駅の駅等係員を経験(入社1年目)

グループ会社での研修が終わると、駅研修がスタート。最初の2週間は研修センターで、東急沿線の駅名や地図、駅の窓口業務の基本を座学で学んだ。山中さんは、利用者の多い武蔵小杉駅で、窓口業務を担当。「簡易なキッチンもあり、そこで夕食をつくるのも新人の仕事でした。業務上、窓口や駅構内から離れて食事することができないので、栄養バランスを考えてつくるんです。お客さまが心地よく駅を使えるように、裏ではこんなふうに動いているんだと発見の毎日でした」。

STEP3 2014年2月 渋谷まちづくり担当に本配属(入社1年目)

渋谷駅前エリアマネジメント協議会の事務局となり、開発が進む各街区の事業者と行政が連携しながら、渋谷の街づくりを進めることに。配属された当初は、メンバーが50人ほどいる協議会の会議を運営するだけで大変だった。2014年冬には、工事中の街を活気づけるイベント立案。「建物がなくなると、冬のイルミネーションもなくなって寂しい」という地元の声に応えるべく、工事に使うクレーンをクリスマスツリーに見立てたイルミネーションを作った。

STEP4 2015年 渋谷駅前の再開発に向け、共通ルールづくりを担当(入社3年目)

5街区の開発がそれぞれ異なるフェーズで進む中、2018年秋開業予定の渋谷ストリームも含めた5街区のルール策定を担当。「標識やMAP等の案内誘導に関するルールを検討して、お客様によりわかりやすいと思っていただけるようにするのが私の役割です。その他、5街区が連携して駐車場を運営していく上で、より分かりやすく快適にご利用いただけるよう、システムやルールを1つ1つ決めていきます。各街区の開発がそれぞれ進んでいるので、その進捗に間に合わせないといけないという緊張感がありますね」。

ある日のスケジュール

9:30 出社し、メールチェック。
10:00 鉄道会社3社と社内で打ち合わせ。
12:30 ランチ。社内で買えるお弁当を食べたあとに、少しお昼寝。
13:30 外出し、渋谷区との打ち合わせへ。
15:00 チーム内で案内誘導検討について打ち合わせ。
17:00 協議会に向けた報告資料の作成。
19:00 渋谷ヒカリエで開催されるイベントに立ち合う。
20:30 帰宅。

プライベート

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2015年12月に、友人と3人でバレエ公演を主催。舞台演出、振り付けを担当した。ステージ前の数カ月は、土日に8時間練習を重ねた。

 

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2016年2月に、シェアハウスをしていた友人とグアム旅行へ。シュノーケル前の一枚。

 

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2016年9月に、千葉県へ友人4人でキャンプへ。早くもハロウィーンを意識してテントの周りを装飾した。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/刑部友康

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