ビジネスパーソン研究FILE

Vol.370 レンゴー株式会社

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あずま・ゆうじ●パッケージング部門東部第一営業本部営業第二部営業課。明治大学理工学部応用化学科卒業。2007年4月入社。化学を専攻していたので研究職も考えたが、長年続けてきたサッカーで培ったコミュニケーション力を生かせる営業職を志望するように。製薬会社、化学メーカー、素材メーカーなど約20社にエントリー。4社から内定を得たが、世の中に不可欠な包装を扱うトップクラスの企業である点に魅力を感じ、現社への入社を決意した。

既存クライアントとの取引拡大に加えて、新規顧客の獲得で営業目標を着実に達成

日本で初めて段ボール事業を開始し、段ボールという名称の名付け親でもあるレンゴー。現在は、段ボールを主力に板紙、紙器、軟包装、重包装など、幅広い事業を展開し、輸送包装から消費者包装まであらゆる産業の包装ニーズに応えている。

 

2007年に入社した東さんが配属となったのは、紙器・軟包装部門の営業部。

「紙器とは、例えば、菓子や食品、飲料、雑貨などの小箱やギフトパッケージなどを指します。軟包装とは、飲料ラベルや菓子袋、コンビニエンスストアに並ぶおにぎりやサンドウイッチのフィルム包装などのこと。日常生活でよく目にする、消費者に向けた包装の営業担当です」

 

営業の仕事は、菓子メーカーや食品メーカー、飲料メーカーなど、自分が担当するクライアントを訪問してコミュニケーションを深め、ニーズを聞き出すこと。新商品や季節商品用の包装パッケージのコンペ(※)情報をキャッチしたら、コンペの準備に取りかかる。

「東京・葛飾工場の包装技術部の設計担当者に仕様設計を依頼し、東京本社のデザイン・マーケティングセンター(DMC)の担当者に素材決めやデザインを依頼。そして、見積書を作成し、提案を行います」

(※) コンペティションの略。複数の設計者に設計案を出させ、優れたものを選ぶこと

 

コンペに勝って受注が決定したら、仕様書を作成して工場に生産を依頼するのも営業の仕事だ。要望通りの製品に仕上がるよう、工場や協力会社とコミュニケーションを取り、品質チェックのために工場の立ち会いに行くこともある。

「営業が、デザインや設計、工場手配の起点となっているので、商品の発売日に合わせて納期を守りながら、提案通りの製品を納品するまで気が抜けません」

 

入社以来営業の第一線で活躍し、着実に営業成績を伸ばしてきた東さんだが、入社当初は戸惑うことも多かった。

「何より不安だったのは、手配です。ギフトパッケージは、ふた、身箱、仕切りなど、いろいろな部材で構成されていて、1つでも手配ミスがあれば、パッケージとして完成しません。一つひとつ先輩に確認してもらって何とか進行できましたが、先輩のようにテキパキと進められない自分が、すごくもどかしかったですね」

 

先輩から引き継いだ仕事を把握するまでに1年かかったが、入社4年目になると、既存クライアントとの取引拡大に加えて新規顧客へのアプローチが実を結び始め、東さんは中堅の食品メーカーなど数社から新規案件を受注した。

「営業として日々実践しているのは、クライアントからの依頼にスピード感を持って対応する、約束や納期を守るといった基本です。それに加え、新規訪問した企業からは、宿題をもらって帰るようにしています。そうすれば、宿題の答えを持って再び訪問できる。これが付き合いを継続させていくコツだと思っています」

 

そして、もう1つ意識しているのが、同業他社とは異なる提案を持っていくことだ。

「当社の強みは、開発部門が充実していること。実績やノウハウも豊富に持っています。レンゴーならではの新しい技術や実績が培ったノウハウを生かすことで、他社にはできない提案ができるのです。そして、それが受注や信頼に結び付いているのだと思います。新しい技術情報は、社内でイントラネット(企業内ネットワーク)やニュースレターで共有しているので、お客さま訪問時の話題や別の分野での契約の糸口としても活用しています」

 

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DMCのメンバーとミーティング。既存製品のサンプルを参考にしながら、新しいパッケージ提案について話し合う。

 

ペットボトルのラベル受注を突破口に、大手飲料メーカーとの取引を3倍に拡大

東さんが仕事の醍醐味(だいごみ)を感じるのは、コンペで他社に勝ったとき。

「営業として、前年を上回る目標数字を達成するには、どうすればいいのかを考えます。達成するためには既存顧客の取引拡大と新規顧客の獲得が必須であり、そのためにはコンペで勝たなくてはなりません。勝つために知恵を絞り、いろいろな方向から提案を考えることで、コンペに勝てるうえ自分の知識も増えていく。私は、そこに面白さを感じています。だからこそ数字への執着心を持って、この仕事に取り組めているのだと思います」

 

中でも印象に残っているのは、13年に大手飲料メーカーからペットボトルのラベルを受注した時のことだ。以前から他部署では、飲料を詰める段ボールケースでの取引があったが、ペットボトルのラベルは新規受注だ。

「アプローチを始めたのは10年ごろなので、受注までに3年かかりました。ペットボトルのラベルは、熱を加えてボトルの形状に沿わせて縮めるシュリンクラベルが主流でしたが、このころからボトルに巻くだけのロールラベルに移行し始めていました。ロールラベルに使用するフィルムが当社で多く扱っている素材だったため、コストを抑えられたことも、他社よりも魅力のある提案ができた要因だと思います」

 

このペットボトルラベルの新規受注を突破口に、東さんは、キャンペーンや季節商品の資材も受注するなど、その飲料グループとの取引額を3倍近くに押し上げた。

「キャンペーンなどの情報は広告代理店がつかんでいるので、広告代理店の担当者とも密に連絡を取り合って情報を収集し、提案のタイミングを逃さないようにしています。また、花見用や夏向けなど季節商品のパッケージはデザイン性が重視されるので、DMCとの連携も欠かせません。15年にオフィスが移り、DMCと同じ事務所になったので、対面ですぐに打ち合わせができるようになりましたし、時には客先に同行してもらうなどしています」

 

現在、東さんは大手飲料メーカーグループなど6社を担当。以前より担当社数は減ったが、大手企業だけに競合が多く、提案の難易度も上がっている。さらに、16年4月からは、自身の営業活動に加えて、後輩社員の営業に同行するなど、後進の指導も任されている。

「営業の先輩として、仕事のスピード感やタイミングの見極めなど、後輩ができていないことは指摘しながらフォローし、常に目配りするよう心がけています」

 

初めてのマネジメントに試行錯誤しながら、営業メンバーとしての成果も求められている東さん。

「仕事はプロセスも大事ですが、営業は『どれだけ会社に利益をもたらしたか』という結果がすべて。だからこそ、営業の一員としてこれからも数字にこだわっていきたい。数字を達成しながらマネジメントを学び、利益だけでなく強い組織づくりにも貢献していきたいと思っています」

 

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デスクワークは、午後帰社してから行うことが多い。見積書の作成、設計やクライアントからの依頼の手配などを行う。

 

東さんのキャリアステップ

STEP1 2007年 新入社員研修で同期との絆を深め、工場実習や営業同行を経験(入社1年目)

4月、入社。同期約40名と1カ月間の新入社員研修に参加し、ビジネスマナーや事業内容などを学んだ。研修は大阪本社で実施され、その間同期と寝食を共にしたことで、仲間との絆が生まれた。大阪での研修後、東京・葛飾区にある紙器・軟包装部門に仮配属となり、約2週間の葛飾工場現場実習を経て、先輩の営業に同行。約1カ月半、いろいろな先輩に同行して、さまざまなクライアントを回りながら、自社の営業スタイルを広く学んだ。

STEP2 2007年 先輩に同行し、紙器・軟包装の営業ノウハウを学ぶ(入社1年目)

7月、仮配属先だった紙器・軟包装部門東部営業部営業第二課に本配属となる。仮配属先にそのまま本配属となったので、職場にスムーズに溶け込むことができた。本配属後も先輩の営業に同行しながら、OJTで営業ノウハウを習得。08年1月から、先輩が担当するクライアントの引き継ぎをスタートした。工場の発注手配など、営業以外にも覚える業務が多く、指示されたことをミスなく行うことに精いっぱいで、先のことを考えて行動する余裕がなかった。

STEP3 2008年 独り立ちし、予算を持って営業活動を開始(入社2年目)

4月、予算を持って独り立ち。飲料メーカーや食品メーカーなど10社の担当として、営業活動をスタート。目標数字を持つプレッシャーや責任の重さは感じたが、自分の考えで自由に行動できることにワクワクした。10年ごろから、中堅の食品メーカーや飲料メーカー、ペットフード会社などの新規開拓が実を結び始める。既存顧客の取引拡大と新規顧客の開拓で、目標数字を着実に達成。12年には成績優秀者に贈られる社長表彰を初めて受賞、その後も3度受賞することができた。

STEP4 2015年 包装パッケージ全般の営業活動に携わる(入社9年目)

4月、組織改編によりパッケージング部門東部第一営業本部営業第二部営業課に所属。それに伴い、勤務先が葛飾工場から東京本社となる。段ボールを担当する第一部と紙器・軟包装を担当する第二部が同じ本部になったことで連携しやすくなり、情報交換しながら資材にとらわれない包装パッケージ全般の営業活動を行う。16年4月からは、後輩社員2名の指導も担当。月1回は大阪へも製造立ち会いのために出張している。

ある日のスケジュール

8:30 出社。メールと本日のスケジュールを確認する。
9:00 週例部会に出席。メンバー11名で売り上げ状況、アポイント、取り組み事項の確認などを行う。
11:00 営業のために外出。クライアントを訪問し、提案や打ち合わせを行う。
12:00 昼食。移動途中に外食することが多い。
14:00 別のクライアントを訪問し、提案や打ち合わせを行う。
16:00 葛飾工場に行き、設計担当者とクライアントの要望について相談する。
18:00 工場内でメール確認などのデスクワークを済ませ直帰。

プライベート

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大学の研究室の仲間たちとは、年1回程度、家族ぐるみで集まっている。写真は16年10月、アメリカ人女性と国際結婚した仲間の帰国に合わせて集まった時。前列左から2人目が東さん。

 

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小学校から大学まではサッカー、社会人になってからはフットサルを始めた。写真は16年秋、仙台の友人と東京で集まった時。「忙しくて、フットサルからは3カ月ほど遠ざかっています」。

 

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息子が生まれてからは、子どもと遊ぶのが週末の楽しみになった。写真は、横浜のみなとみらいに家族で出かけた時。「私はサッカー少年だったので、息子にもそうなってほしいですね(笑)」。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

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