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Vol.371 キーコーヒー株式会社

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はしもと・けいすけ●経営企画部広報チーム 係長。明治学院大学経済学部経済学科卒業。2005年4月入社。大学時代に飲食店でアルバイトをしていて、おいしい料理にお客さまが喜ぶ姿を見てきたことから「食」に興味を抱き、食品メーカーを中心に流通業など約20社にエントリー。約10社の選考に進んだが、インドネシアの農場を開拓から手がけてトアルコ トラジャコーヒーを作り出した情熱と、人事担当者のレスポンスの速さに魅力を感じ、現社への入社を決意。

必死で数字を追った4年間を経て、自らの提案で新規顧客を開拓する喜びを実感

橋本さんが最初に配属となったのは、大阪支店(現:近畿ユニット)。4年間、家庭用コーヒーを担当する部署で、スーパーマーケットや百貨店に商品提案を行う営業を担当した。さまざまな先輩に同行して商談手法を学び、半年後には一人で商談を行って初受注。個人経営のスーパーマーケットへの特売の提案だった。
「資料と見積書を作成し、サンプルを手に必死に説明しました。今振り返ると、コーヒーのトレンドもわからないまま、価格と商品の説明に終始していた。新人への情けで、納入を決めてくれたのかもしれませんね(笑)。納入後はとにかく売れ行きが気になって、特売の期間中は何度も店舗に足を運びました」

 

入社からの4年間は、前年の提案を踏襲しながら目標数字を追うのが精いっぱいで、仕事の成果を喜ぶ余裕などなかったという橋本さん。営業として心がけてきたのは、トレンドを把握することだ。
「自社が売りたい商品をいくら提案しても、お客さまにとってのメリット、つまりその先にいる消費者のニーズと合致していなければ、うまくいきません。『今、何が売れているのか』というトレンドを踏まえて品ぞろえを提案すれば、売り上げは伸び、それがお客さまのメリットとなる。そう考えて、小売店の商品棚や競合他社の商品リサーチ、トレンドの把握に努めました」

 

5年目からはギフトやノベルティの提案に携わることになった。主な仕事は、慶事や弔事、出産祝いなどの贈答品用のギフトカタログ問屋や、ノベルティを必要とする企業への商品提案だ。中元や歳暮などの習慣が薄れ始め、ギフト業界は苦戦していたことから、橋本さんはコーヒー単品での提案には限界を感じた。そこで、コーヒーを飲むときに多くの人が口にするクッキーなどのスイーツとセットにする提案で、需要拡大を目指した。
「ギフトカタログ問屋を対象に行ったのが、スイーツを扱う企業とコラボし、キーコーヒーと組み合わせたギフトの提案。キーコーヒーのブランド力とスイーツの魅力をセットにして需要を伸ばす作戦です。これまでの営業は家庭用コーヒー単体の提案でしたが、今度は多種多様なものと組み合わせて、新しい提案ができる。コーヒーの可能性を広げることができるところに面白さを感じました」

 

入社6年目、橋本さんは生命保険会社の営業担当が利用するノベルティの提案に成功した。生命保険の営業は、訪問先にお菓子などのちょっとした手土産を持って行く慣例があり、こうしたノベルティのカタログも存在するほど。
「ノベルティのカタログ制作会社に売り込みを行ったのですが、先方と長くお付き合いのある業者と競合することもあって苦戦。そこで、生命保険会社の事務所を訪ね、ニーズを直接ヒアリング。その上で、先方の要望を取り入れた見栄えのいいパッケージに入ったコーヒーを提案しました。バレンタインの時期だったこともあり、すぐに契約が決まりました」

 

こうして、橋本さんは生命保険会社以外にも、新聞販売店への勧誘用ノベルティ、私立学校の贈答用の商品など、さまざまな提案にチャレンジした。
「自分が企画した提案が受け入れられた喜びもさることながら、ゼロからのスタートとなる新規開拓は、その先の伸びしろが期待できるので、大きなやりがいを感じました」

 

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社外の取材対応にあたり、カフェの企画担当者と事前に打ち合わせ。次の出店計画や取り組みなど、取材記者に提供する情報をヒアリングする。

 

大手スーパーのカテゴリーリーダーとしての重責を果たし、広報担当に転身

7年目、東京の広域流通営業部に異動となった橋本さんは、全国展開しているスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの企業担当に。しかも、経験豊富な前任者が引き受けてきたカテゴリーリーダーを引き継ぐことになった。
「スーパーマーケットに設置されているコーヒーや紅茶、ココアなどの嗜好(しこう)品棚全体について、同業各社の意見もまとめながら提案や販促を行うのがカテゴリーリーダー。10~15社の同業各社とバイヤーのパイプ役となる責任ある役割です」

 

スーパーマーケットの営業は入社後4年間担当してきたが、今回はコーヒー業界だけでなく、食品業界全体のトレンドも広く把握しながら、新製品が発売となる春と秋の嗜好品棚の品ぞろえを提案しなければならない。しかも、トレンドに敏感な企業であったため、要求レベルが高く、しっかりと情報を把握していなければ期待に応えられない。
「初めての提案は、バイヤーからの質問にしどろもどろ。結局、バイヤーを納得させることができず、自社のみならず、同業各社のイチオシ新商品が未導入に…。同業各社にも小売店にも迷惑をかけてしまいました」

 

そこで、橋本さんはトレンドと同業各社の新商品情報をイチから研究し直し、次回の品ぞろえ提案に臨んだ。
「ようやく新商品の導入が実現し、売り上げは目に見えてアップ。担当バイヤーからの信頼も頂けた。出だしでしくじってしまい、マイナスからのスタートだっただけに、うれしかったですね」

 

12年目の16年4月、橋本さんは経営企画部広報チームに異動し、現在は主に記者発表や取材対応などのPR活動に携わっている。
「広報は社内全般の業務に精通していなければなりません。これまで携わってきた家庭用コーヒーの知識だけでは太刀打ちできないので、業務用コーヒーをはじめ、グループ会社に至るまで、いろいろな部署と連絡を密に取りながら、全業務内容について勉強している最中です」

 

各部署について知るにつれ、あらためて各社員のコーヒーに対する熱い情熱を実感するようになったという橋本さん。
「キーコーヒーには『コーヒーという情熱』というブランドスローガンがあります。コーヒーの生産現場から商品の開発、製造、物流、営業、管理部門に至るまで、このテーマでつながっています。それぞれの現場にスポットライトを当てながら、PRしていきたいと考えています」

 

日々実践しているのは、各部署に頻繁に顔を出し、対面で話をすること。まずは自分を知ってもらうためだ。そして対外的には、担当する新聞各社の傾向の違いなどを研究し、メディアの特徴を理解したうえで記事になりそうなネタを提供するよう心がけている。
「昨今のサードウェーブコーヒー(※)や、コンビニエンスストアのカウンターコーヒーなども追い風となって、全日本コーヒー協会のデータによると、家庭や店舗などでのコーヒー消費量は3年連続で過去最高を更新しています。その話題性に加えて、当社が開催している平日のコーヒーセミナーにはシニアの参加者が多いことから、先日、シニア向けの話題を探していた新聞社に情報を発信したところ、取材が実現しました」

(※)1杯ずつ丁寧に抽出することで、生産者や農園ごとのコーヒー豆の特徴を楽しむスタイルのこと。

PR担当の橋本さんにとって、新聞に記事が掲載されることはゴールではない。目指しているのは、会社の認知度アップとコーヒー文化の浸透であり、コーヒー会社としてお客さまから最初に選ばれる会社となることだ。
「2020年に創業100周年を迎えるにあたり、キーコーヒーはどうあるべきか社内の意思統一を図り、各部署の情熱を結集することが出来れば、さらに強い企業になると考えています。そして、より多くの人にキーコーヒーを認知してもらいたいのです。『コーヒー=キーコーヒー』とすぐに連想してもらえるよう、これからも社内外の潤滑油となってPR活動をしていきたいですね」

 

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新商品のニュースリリースを作成するため、メンバーと試飲しながら、意見を交換。「ドリップしよう。」をコミュニケーションテーマに、社内でも丁寧にドリップして味わっている。

 

橋本さんのキャリアステップ

STEP1 2005年 新入社員研修でプロの仕事ぶりを実感(入社1年目)

4月に入社し、約40名で新入社員研修に参加。1週間のマナー研修後、3週間の工場実習に参加。豆の受け入れや製造などの各工程を経験し、工場が予想以上に自動化されていること、品質管理が徹底されていることを実感。その後さらに2カ月間、品質管理課での研修が続き、生豆を輸入し、ダメージがある豆をはじく選別工程や味を確認するカップテストなどを経験。微妙な味の違いを見極めるプロフェッショナルの技術を目の当たりにした。

STEP2 2005年 スーパーへの提案営業とノベルティギフトの提案を経験(入社1年目)

8月、大阪支店(現:近畿ユニット)に配属となり、主にスーパーへの商品・販促提案を担当。最初のころは、電話の関西弁が早口で聞き取れず、苦戦。営業先で「毎度おおきに」と堂々とあいさつできるまで、1年近くかかった。3年目には、退職した後輩の取引先を引き継ぐことになり、仕事量が2倍に。プレッシャーに押しつぶされそうになったが、「これを乗り切ってこそ成長できる」という先輩の励ましとフォローで、乗り切ることができ、自信になった。5年目からは、同じ部署でカタログギフト提案や企業へのノベルティ提案を担当。

STEP3 2011年 全国展開する大手企業を担当し、カテゴリーリーダーを経験(入社7年目)

4月、広域流通営業部販促一課に異動。全国的に店舗を持つ大手スーパーマーケットとコンビニエンスストアへの商品・販促提案を担当。経験豊富な先輩の業務を引き継ぎ、カテゴリーリーダーを任される。他メーカーと良好な関係を築き、販売POS(販売時の商品情報)データ分析を行いながらトレンドを把握して提案。カテゴリーリーダーとしての役割を果たした。

STEP4 2016年 経営企画部にて広報活動に携わる(入社12年目)

4月、経営企画部広報チームに異動。キーコーヒーおよびアマンドやイタリアン・トマトなどのグループ会社のPR業務、メディア向け発表会の企画・運営を中心に、社内向け広報サイトの運営や株主向け広報誌の制作などにも携わる。ニュースリリースは多いときは週2本程度作成・配信。各部署の業務を広く認識していくことで、1杯のコーヒーにいろいろな人たちの情熱と努力が宿っていることを再認識。表に見えない仕事にも光を当てて社員のモチベーションを上げていくことも、広報の仕事ととらえて活動中。

ある日のスケジュール

8:30 出社して、メールと新聞をチェック。新聞でコーヒー関連の記事やパブリシティー企画のヒントを拾う。
10:00 制作委託会社と広報チームメンバー4名で、株主向け広報誌『Coffee Fan』の編集会議を行う。
11:00 関係部署と打ち合わせを済ませたキャンペーン施策について、ニュースリリース原稿を作成。
12:00 チームメンバーとランチ。外食しながら情報交換を行う。
13:00 年2回発表される新商品のPRについて、マーケティング本部とミーティング。
15:00 グループ飲食店の新聞社取材のために現場入り。事前打ち合わせや確認を行う。
16:00 グループ飲食店の新聞社取材に対応。
17:30 取材対応を終えて、取材現場から直帰。

プライベート

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広域流通営業部時代のメンバーや食品メーカーの人たちとは、戦友のような間柄。異動後もプライベートで集まっている。写真は15年夏、横須賀でのバーベキュー(後列左から4人目が橋本さん)。

 

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週末は、7歳の長女、5歳の長男と遊んで過ごす。写真は15年12月、長女の幼稚園の友達家族とのクリスマスパーティー。「ホームパーティーは好きなので、自宅でやることが多いですね」。

 

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奥多摩の御岳山近くに住む義理の姉夫婦を、年に1回は訪問してアウトドアを楽しむ。写真は16年夏。子どもたちがカヌーを初体験。「最初は怖がっていましたが、最後は大喜びでした」。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/刑部友康

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