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Vol.374 株式会社日能研

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みやした・はなえ●学習実践本部。青山学院大学文学部史学科卒業。2013年入社。金融系や美術関連など、幅広い業界を見て回る就職活動の中、日能研の説明会にも参加。選考過程で出会った先輩社員や面接担当者と会話し、「素のままの自分で話ができる」と感じた。最終選考時、思考を深めてくれるような問いかけに答えていく中、人と向き合うことが好きなのだと実感し、「この会社で子どもの指導に携わりたい」と考えて入社を決意。

理科の教科担当となり、学びの面白さと授業作りの難しさを実感。1年後、生徒の心をつかめた

子どもにかかわる仕事に興味を持っていた宮下英恵さん。しかし、学生時代、個別指導塾でアルバイトをし、中学生に向けた全教科の指導を担当した結果、「接し方が難しく、全教科を勉強する大変さを味わったから、もう塾では働きたくない」と思っていたという。そんな彼女が日能研に入社しようと思ったのは、「一人ひとりと向き合い、思考を育む“学びのプロセス”を大切にする教育方針」に引かれたからだ。

 

入社後の新人研修を経たのち、本部で半年間の教務研修を受ける中、早くもこの会社ならではの“学びの面白さ”を強く実感した。
「小学生向けの国語、算数、理科、社会の全4科目を半年かけて勉強しました。この研修を受ける中、学生時代にはまったく興味のなかった理科の面白さにどんどん目覚めていきました。例えば、植物の単元では『花びらの枚数で仲間かどうかわかる見方』を教えるなど、詰め込み式で学ばせるのではなく、生活の中で興味を持てるような視点をもたらしてくれるんです。星について学ぶ単元でも、星座や星の動きを学ぶことが面白くて、夜空を見上げる楽しさを感じたり。『理科ってこんなに面白いものだったのか』と感じましたね」

 

また、この研修の中で模擬授業も繰り返し行い、集団の生徒たちへの伝え方、場の作り方を学んでいった。授業は、テキストを基に1回分の単元を進めていく方式だが、ただ知識を教えるのではなく、単元ごとに生徒たちに実践させる“学び”のテーマがあるという。
「例えば、昆虫に焦点を当てる単元では、『同じところやちがうところに着目する』というテーマがあります。これを生徒たちに実践させるために、どう伝え、自ら考えさせる部分をどう作るのか、思考をどう深めていくのかという指導方法は各自に任されているんです。知識として『胸から足が6本出ているのが昆虫である』と教えながら、さらに『いくつか比較して、同じところ、違うところを探してみよう』と投げかける工夫で、学びを実践させながらより深い興味と自主的に考える力を身につけてもらうんです。4〜5人の先輩たちに模擬授業を見てもらい、フィードバックしてもらっては自分なりにブラッシュアップしていくことを続けました」

 

教務研修が終了したのは入社1年目の2月のこと。宮下さんが理科の教科担当として、横浜校の3年生と5年生、みなとみらい教室の2年生、藤沢校と日能研小田原の4年生への指導を任される。
「1週間のうち、3日間は横浜校、1日はみなとみらい校、残りの1日は藤沢と小田原に隔週で行くというスケジュールです。授業初日、『生徒たちの顔をしっかり見よう』と意気込みましたが、緊張と焦りでまったく見ることができなくて。1コマ70分間の中でやらなくてはならないことを追いかけるだけで精いっぱい。汗をかきながら乗り切りました(笑)。2カ月間、とにかく必死で授業を続け、次第に『あ、今、笑ってくれた!』を気づけるようになり、そこから話を広げてやりとりしていく授業作りが少しずつできるようになっていったと感じます」

 

また、配属から2カ月後、早くも保護者に向けて春期講習前のガイダンスを行うことに。理科の科目担当として学習計画について説明した。
「わずか15分間という短い時間でしたが、当日までの1週間は食事も喉を通らないほど緊張しました(笑)。まだ生徒のことを2カ月しか見ていない自分でしたから、先輩から生徒たちの学習記録のデータを基に、『これからの授業でこんなふうに成長していくと話せば安心してもらえる』と教えてもらいました。当日は、準備したことを出し切ったつもりでしたが、先輩からは『話はできていたけれど、より聞かせる工夫が必要だね』というフィードバックがあって。どういう場を作るかというビジョンを持つことが大事なのだと学びました」

 

手探りの中、授業と生徒への学習指導、定期的に開かれる保護者会の対応を担当した入社2年目の1年間。生徒から「つまらない」と言われて落ち込んだ日もあり、「授業作りを任せてもらえるやりがいは感じるけれど、果たして自分の進め方が正しいのだろうか」と悩むこともしばしばあったという。
「大人の視点で面白いと思うことを、子どもにそのまま話しても興味を持ってもらえません。必死に話すほどに生徒たちの気持ちが授業から離れていく様子をひしひしと感じ、どう切り替えたらいいのかがわからずに苦しみました。同じ教科担当が集まる勉強会などで、先輩に相談してはヒントをもらい、自分の授業に取り入れていきました。自分なりに工夫したことが伝わり、キラキラした目でこちらを見てくれる生徒の姿を実感した時、本当にうれしかったです!」

 

さらに、保護者会においても、1年間生徒たちを見てきたことで、それぞれの様子を自分の言葉で伝えることができるようになったという。
「『この子は、こんな状態からこう成長した』と実感を持って話すことができたんです。おかげで、保護者の方々にもより安心してもらえたと感じ、自分の成長も実感できました」

 

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授業の際には、「面白いと感じてもらえる機会」をなるべくたくさん作るように意識。生徒の反応に合わせ、クローズアップする箇所を変え、生徒同士でやりとりできる時間も作る。

 

入社3年目、「授業力向上プロジェクト」に参加。自らの授業にも生かし、手応えを実感

入社2年目が終わるころ、宮下さんは日能研小田原の2〜6年生と、みなとみらい教室の4〜5年生を担当することに。
「いろんな教室の生徒を見る面白さを実感してきました。クラスによって雰囲気は違いますし、同じ授業内容でも生徒の反応や質問によって深めていく部分も変化します。一人ひとりに個性があるから、どう話し、どう理科の面白さをわかってもらうかを考えていくことに強いやりがいを感じるようになりました。また、毎週テストを実施するので、その結果を見ながら『どこがわかりにくかったのか』を分析したり、伸び悩んでいれば何があったのかを聞いたり、伸びている箇所をほめたり、それぞれに声がけをしていく指導を心がけていきました」

 

また、業務と並行しながら、本部による「授業力向上プロジェクト」にも参加。6名のメンバーと一緒に、「自宅での学びにおいて、生徒が自主的に取り組むためにはどうすればいいか」を考えていった。
「生徒に配布するシラバス(講義の内容や進め方を示す計画書)を生かしながら、自宅学習にどうつなげるかを考えていくことが主なテーマでした。年に2度開催される全社での勉強会の企画・運営も経験できましたし、自分自身の授業にもこの考え方を生かすことができましたね。例えば、『同じところやちがうところに着目する』というテーマがある単元なら、『整理整頓で靴下をそろえる』『男女で家族を分けてみる』など、自宅でできることまで授業に盛り込んだり。生徒が家で調べたことを持ってきてくれたこともあり、手応えを実感できました」

 

こうした工夫を重ねていった結果、生徒からうれしい言葉をもらうことができた。入社3年目が終わるころ、1年間担当していた6年生の生徒から「理科は不得意だったけれど、この1年で楽しくなりました。宮下先生のおかげです」という手紙を渡されたのだ。
「私自身、大人になって初めて理科の面白さを実感し、その楽しさを感じてほしいと思って取り組み続けていたので、この手紙を読んだ瞬間、泣きそうになってしまいました。『この授業の進め方で本当にいいのか』という不安の中、自分なりに工夫してきた授業を楽しいと感じてくれたことが本当にうれしかった。この手紙は、今も大切に持ち歩いています」

 

大きな手応えを感じた入社4年目直前、今度は中央林間校の5〜6年生と、相模原校の3年生の授業を担当することになる。
「6年生のクラスは、最も成績優秀な生徒たちが集まった上位クラス。テキストを理解する力が非常に高いので、そうした生徒の力をさらに伸ばしていくためにどんな要素が必要なのかを考えることが難しかったですね。しかし、授業を続けるうちに『この子たちは、一つの議論が始まればそこからどんどん広げていくことができる』と感じて。それからは、みんなで話し合い、各自から出てきた知識を広げてつなげていくような授業展開を実践しています。また、難関校の受験を目指している生徒たちなので、各校の分析を行って校風や教育方針などの特徴をつかむように努力しました。『この学校に行きたいというこの生徒には何が必要か』『試験の記述でどう考え方を表現すればいいのか』などを考えながら指導に生かしています」

 

また、宮下さんは本部による「低学年プロジェクト」のメンバーとしても活動し、10人のメンバーと一緒に1〜3年生の学びの質を上げる施策を考えていった。「私が主に携わったテーマは、『新規開講する講座について、どんな授業を展開していけばいいか』でした。本部に集まって、各教室でどんな勉強会が必要なのかを話し合ったり、アクティブラーニング(学習者が能動的に学習に参加する学習法)を取り入れる仕掛けを考えたり。1年前に勉強会の企画を経験した時には、右も左もわからずに流れを学ぶのみの自分でした。でも、今回は自分も中心になり、ゼロから企画していく経験ができたんです。勉強会を開催した当日、大きな達成感を味わいました」

 

入社5年目を迎える現在、宮下さんはこの仕事のやりがいについて「子どもたちとの時間の中で、自分も学びながら一緒に成長していけること」だと話す。
「私は教える立場ではありますが、多様な学年の子どもたちの視点から多くのことを発見させてもらっています。一人として同じ子どもはいませんし、彼らから返ってくる言葉の一つひとつに『なるほど』と思ったり、『そういうことを考えるのか』と感心したり。やりとり自体がすごく面白いんです。いろんな子とかかわりながら、成長していく姿を目の当たりにするやりがいがありますし、自分自身も彼らから学んで成長を続け、『次にはこんなことをやってみよう』と進化していける喜びを味わっています」

 

自らも変化と成長を続け、より深い授業の展開を目指し、多くの生徒たちに「学ぶことの楽しさ」を伝えていきたい。それが自分の目標だと、宮下さんは笑顔で語ってくれた。

 

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翌週の授業プランを作成。テキストに直接書き込みながら、やりとりの流れを押さえる。また、テストの答案には、個々に対するアドバイスやコメントを丁寧に書き込んでいる。

 

宮下さんのキャリアステップ

STEP1 2013年4月 新人研修時代(入社1年目)

入社後、同期10名と一緒に、会社概要や生徒の学習データの見方、教材の使い方などを学ぶ1カ月の基礎研修を受ける。また、5泊6日の合宿研修では、森の中で同期と共同生活しながらチームワークを学んだ。この後、2カ月間の教室研修があり、仮配属された教室で生徒の対応や電話対応などをしながら教室業務の流れを学んだ。ここからさらに半年間、本部で教務研修を受け、小学生向け4科目の勉強と模擬授業を行った。「合宿研修は、『低い位置に張られた一本のロープの上を、同期10人全員落ちないで渡りきる』などの課題をクリアしていく内容でした。トライ&エラーを繰り返しながら、すごく濃い時間を過ごしましたね。自分自身の考え方に向き合いながらチームワークを学ぶことができたと思います。4科目を勉強した教務研修でも、同期と一緒に学んだので、いろんな発見を共有できたし、苦手な科目を学ぶ苦しさも共にできました(笑)。同期とは今でもすごく仲がいいですね」。

STEP2 2014年2月 理科の科目担当として授業と保護者への対応を行う(入社1〜2年目)

横浜校、みなとみらい教室、藤沢校、日能研小田原にて、2〜5年生の理科の授業を担当。生徒の学習指導や、定期的に行われる保護者会も任される。「生徒の顔と名前を覚えて一致させるのが大変でしたが、いろんな教室でいろんな個性のある子どもたちにかかわれること自体がとても楽しいと感じました。授業の進め方に悩んだこともありましたが、月に一度、同じ科目担当が集まる勉強会があるので、そこで先輩に相談できましたね。メールや電話でもいろいろと話を聞いてくれましたし、過去の体験や考え方を共有してくれて。本当に感謝しています」。

STEP3 2015年2月 授業力向上プロジェクトのメンバーとして活躍(入社2〜3年目)

日能研小田原、みなとみらい教室にて、2〜6年生の理科の授業を担当。週1日だけみなとみらい教室に通い、それ以外は小田原で授業を行った。授業力向上プロジェクトでは「栄冠への道・クラス別シラバス」チームに所属し、クラスに合わせたシラバスの運用法の事例集作成や、『栄冠への道』(家庭用教材)の活用方法の促進、勉強会の企画運営に携わった。

STEP4 2016年2月 低学年プロジェクトメンバーとして活動。勉強会の企画も手がけた(入社4年目)
中央林間校、相模原校にて、3、5、6年生の授業を担当。6年生のクラスでは難関校の受験を目指す最上位クラスを担当。また、低学年プロジェクトでは学習スタッフと協働して、新規開講講座や2、3年生の授業に関する勉強会の企画運営に携わる。「テストの結果が悪いことを心配し、電話を下さる保護者の方もいらっしゃいます。けれど、日能研では、目先の点数よりも、学びの姿勢を広げながら成長させていくことを大事にしているので、そんな時は、『いかにこの子の授業の受け方が変化したか、どんな成長の過渡期にいるか』を伝えるようにしています。テストにバツがつくことは、決して悪いことではないんです。なぜなら、それは新たな学びに広げていく機会ですから。生徒と一緒に考えながら次のステップに進んでいくことを常に大事にしていきたいと思っています」。

ある日のスケジュール

12:30 出社。
13:00 メールチェック。
13:30 生徒の成績をチェック。週に一度実施するテストの答案にアドバイスのコメントを入力。「低学年プロジェクト」の集まりに向けて必要な資料を作成。当日の授業の準備の再確認も行う。
15:00 遅めのランチタイム。買ってきたお弁当を、学習スタッフと一緒に食べる。
16:00 教室に生徒たちが到着し始める。自習や質問対応などを行い、学習をフォロー。
16:50 70分の授業を2コマ担当。
19:30 授業終了後、授業のふり返りをする生徒たちの質問に対応。
21:30 翌日の授業スケジュールを確認してから退社。

プライベート

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美術鑑賞が趣味で、月に1〜2回は美術館に出かけている。写真は2015年に開催された六本木の「単位展」にて。「体感型の展示は授業にも生かせますね。旅行も好きなので、2〜3カ月に一度は遠方の美術館を訪ねる旅行をしています」。

 

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同期との仲が良く、数カ月に一度はみんなで集まって飲み会を楽しんでいる。写真は16年10月に撮影したもの。「生徒への指導や授業作りなど、同じ悩みを共有できます。たわいもない話をして盛り上がれることも楽しいし、何より、みんな頑張っているので、元気をもらえますね!」。左から4人目が宮下さん。

 

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社会人になってから日本酒のおいしさに目覚める。日本酒好きの先輩に誘われ、14年に「日本酒ナビゲーター」の認定資格も取得。「月に数回、先輩と一緒に日本酒のおいしいお店を探しては出かけています。好きなものを広げていく楽しさを感じます」。

 

 

取材・文/上野真理子 撮影/刑部友康

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