人事部長インタビュー

Vol.58 株式会社LIXIL

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「住生活」の総合的なソリューションを提供していく

私たちは衣食住のうち、住に関係するビジネスを展開しています。LIXIL(リクシル)という社名は、LIVING(=住まい)とLIFE(=生活)にある2つの「LI」を組み合わせたものです。この社名には、生活を取り巻く優れた製品とサービスを提供し、豊かな暮らしに貢献していくという私たちの思いを込めています。

 

建材や住宅設備機器を提供する会社はたくさんありますが、LIXILの特徴はプロダクトを製造・販売するだけでなく、住に関する総合的なソリューションを提案できること。1社で家に関するすべてを提供できる会社です。

 

そうしたことが可能な理由は会社の成り立ちにあります。LIXILは、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアという5つの会社が統合して誕生した企業です。日本において設備・建材のさまざまな分野でトップクラスのシェアを持ち、先進的な技術を持つ会社が集まりスタートしました。少しずつ大きくなった会社ではなく、住生活市場をターゲットに、みんなで新しい会社をつくり上げようと挑戦を重ねています。

 

LIXILのもう一つの大きな特徴は、「世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献する」というミッションを持っていることです。自ら世界に出て行くだけでなく、American Standard Brands(アメリカ)、GROHE Group(ドイツ)、Permasteelisa(イタリア)といった外国企業も、グループに加わりました。

 

世界で通用する会社になるために、グローバルなビジネス、積極的なM&Aが展開できるような経営の体制をつくり上げました。かつてGE(ゼネラル・エレクトリック社)で活躍し、国際ビジネスにおける経験が豊富な藤森義明を経営者として外部から招いたこともその一つです。また、M&Aでグループ入りした会社の経営層が、LIXILのマネジメントチームに加わりシナジーを出しています。

 

世界の叡智(えいち)を集めて、世界で勝てる企業を目指す。日本発の会社ではありますが、日本人に限らず世界の人たちとも一緒にタッグを組んで、世界企業を目指そうとしている。こういう会社は、なかなかないと思います。

 

LIXILが誕生した2011年4月から3年半、社員は大きな変革の日々を過ごしてきました。社外の皆さんが驚くようなチャレンジに社員は日々取り組んでいます。結果的に、統合時に1兆円ほどだった売上高は、今や1兆6000億円以上の規模になっています。大きなビジネスを創出してきたということです。

 

LIXILをわかりやすく言えば、日本から世界を目指すというチャレンジを本気で実践している会社です。売り上げ規模のみならず、利益でも圧倒的な世界一を目指す。世界の超優良企業を目指す。日本で一番になって満足するのではなく、グローバルで金メダルを取りに行くことを真剣に考え、そのための手を次々に打っています。

 

変化を恐れず、大胆に、フレキシブルに、スピーディーに変わる。「変革」と「スピード」がLIXILの重要なキーワードです。そして、社員から次世代のリーダーを輩出するため全世代でリーダーシップトレーニングに力を入れています。目指すべき方向がはっきりしているため、無駄なく成長できる仕組みをつくり上げています。

 

外部からも、内部からも、世界からもビジネスリーダーが集まり、最強のマネジメントチームができつつあります。アフリカや中南米など、まさにこれから成長するマーケットもあります。ワクワクするような世界が私たちを待っているのです。

 

グローバルに通用するリーダーを育成したい

人材戦略の特徴は、リーダーシップ教育に力を入れていることです。特に日本で過ごしてきた人は、「主張をする」という点を伸ばす必要があります。グローバルビジネスの世界に出て行くと、日本人が真っ先に直面する問題が、主張の弱さです。

 

背景にあるのは、子育てに関する考え方の違いだと私は思っています。日本以外の多くの国では、自分を出せ、というのが子育ての基本方針です。一番になれ、自分らしく生きろ、と。ところが日本では、自分を抑えろ、人に迷惑をかけるな、仲良くしなさいと言われて育ちます。まったく違う方針で育てられた子どもが成長してグローバルビジネスの場でぶつかるとどうなるか。日本人は徹底的に抑圧されてしまうのです。これが大きなフラストレーションを生む。だから、もっと主張することを学ぶことが大切になります。

 

もう一つ、日本の問題点は働いている人が勉強をしなさ過ぎだということです。欧米やアジアのトップリーダーは、ごく普通にビジネススクールにも行くし、必死にさまざまな教科書で戦略やファイナンスを勉強しています。

 

しかし、多くの日本人がやっているのは、ただ経験を積むことです。一生懸命に仕事をしているだけでは、世界で活躍するリーダーたちには勝てません。頭を働かせて、世界中のリーダーたちと同等の知識を学び、知恵やアイデアを出していくべきです。そう教えることで、日本のリーダーをグローバルで戦えるリーダーにしていこうとLIXILは考えています。

 

若い人について、批判的な意見が聞こえてくることがありますが、私は若い人たちの可能性を信じています。スポーツの世界では、若い人が大いに活躍をしている。中高年以上の世代で、果たして世界に飛び出した人がどれだけいたか。若者の方が、よほどグローバルだということです。

 

ビジネス分野で、若者たちが十分に実力を発揮できていないとすれば、彼らの可能性が花開くようなビジネスの面白さを提示しきれていない企業側に問題があると私は思っています。何もしなくて可能性が育つわけがない。そもそも年齢や性別に関係なくやらなければいけない時代に、年功序列が今なお残っているのは、どこの国か。ダイバーシティが圧倒的に遅れているのは、どこの国なのか。

 

若い人には大きな力があります。インターネットの世界をはじめ、中高年以上の世代にはできなかったことがきっとできる。若者をいかに生かしていくか、それこそ経営層が考えねばならないことなのです。

 

そして若者には自信を持ってほしい。いい人なのに、主張ができなくて負けてしまうつらさを、これから味わうことになるかもしれない。でも、いい人は勝たないといけないのです。自分の価値観をしっかり持って、知恵で武装して、自信を持ってビジネスの分野で生きていってほしい。だから、努力が必要になります。

 

LIXILでは、体系化された教育カリキュラムを用意しています。しかし、正直なところ、トレーニングを受けて自然とリーダーが育つわけではありません。会社の教育だけで、リーダーは育たないということです。

 

大事なことは、自分で勉強をし自分で考えることです。そのためのスタートアップとして、会社のプログラムを使ってもらえばいいと考えています。本物になるには時間がかかります。でも、それは当たり前のことだということは、おわかりいただけるはずです。

 

こうした話をすると、若い人はすぐに理解し反応してくれます。社内でも、「自分でMBAの勉強を始めました」という声があちこちから上がってきています。1日10分でもいいのです。その積み重ねが、やがて圧倒的な差を生むのです。

 

学生の皆さんへ

学生時代までは、問いには答えがあります。○や×がつけられるし、点数もつけられる。しかし、社会に出たら「これだ」という答えが必ずしもあるわけではありません。しかし、会社経営に代表されるように、ビジネスの世界では答えがない中で答えを出していかなければいけない。そのための訓練になるのが、自分の考えを常に持とうとすることです。例えば、世界で起きている社会問題には、簡単に答えが見つからないものもある。民族の紛争もその一つ。そうした問題に対して、自分で答えを持とうと努力をする。そのためには、いろんな体験が生きてきます。人の話を聞く、書物で学ぶ、外国人と議論を交わす、あらゆる手を尽くしてみる。こうして、考える基礎はできていくのです。この基礎こそが、答えのない状況で、答えを導いてくれます。常に学び、自分で考えること。その訓練をしっかりとしておくことです。

 

同社の歩み

1923年にトステムグループとして創業。24年、伊奈製陶株式会社を設立し、タイル・陶管・テラコッタを製造。01年にトステム株式会社が株式会社INAXトステム・ホールディングスに社名変更し、純粋持株会社となり、株式会社INAXと株式を交換。その後も着実にグループを拡大し、11年に株式会社LIXILが誕生した。

LIXILは、住宅サッシ、玄関ドア、エクステリア、ビルサッシなどの金属製建材、システムキッチン、バスルーム、洗面化粧台、衛生陶器などの水まわり製品、タイル、住宅用外壁材、内装建材、カーテンなどの建材・設備事業を展開。多くの商品で国内トップのシェアを持つ。高性能と高いデザイン性を備えた商品群と、トータルな提案力で、グローバルを視野に入れたさらなる高みを目指している。

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2011年
トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアが統合し、LIXILが誕生。イタリアのPermasteelisaをはじめ海外企業を子会社化。
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2012年
セコムとの合併会社、くらしテルを設立し総合生活サービス「生活太助」を提供開始。住宅リフォームフランチャイズ・ボランタリーチェーンを構築。流通販売店向けのフランチャイズチェーン「LIXIL FC マドリエ」本格スタート。ベトナムに現地法人LIXIL GLOBAL MANUFACTURING VIETNAM COMPANY LIMITED.を設立し、成長著しいASEAN諸国などへアルミ製品の安定供給を図る。環境省より「エコ・ファースト企業」に認定。
2013年
INAXエンジニアリングほか6社が合併し、LIXILトータルサービスに商号変更。インドネシアにPT. LIXIL ALUMINIUM INDONESIAを設立。米国のAmerican Standard Brands、インドのStar Alubuildを子会社化。「LIXIL Diversity宣言」を社内外に発信し、女性管理職(課長職相当以上)が11年から2年間で約3.5倍に増加。
2014年
GROHE Groupを関連会社化(日本政策投資銀行と共同で発行済株式の87.5パーセントを取得)。GMC(Global Management Committee)のもと、グローバルマネジメントをより強化、推進する体制に移行。女性が働き続けるための環境整備、女性人材の活用を積極的に進めている企業として、なでしこ銘柄に選定。

 

取材・文/上阪徹 撮影/刑部友康

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