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理系のシゴトバ

Vol.142 セントラル硝子株式会社

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今回の訪問先 【セントラル硝子 川崎工場 製造部 工務課 技術グループ】
今や私たちの生活に欠かせないノートパソコンや携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、携帯用音楽プレイヤー…。これらの充電池として搭載されているのがリチウムイオン電池です。リチウムイオン電池はほかの電池に比べ軽量でコンパクトという特徴を持っています。そのため搭載されるモノは先のような小型軽量な製品を思い浮かべがちですが、ハイブリッドカーや電気自動車、航空機やロケットなどにも搭載されています。一般的にリチウムイオン電池は、正極にリチウム金属酸化物、負極にグラファイトなどの炭素材を用い、そして その2つの電極の間に セパレータと電解液とが配置されたものが主流となっています。正極と負極の間で、電解液中に含まれるリチウムイオンが移動することによって、電子を生み出します。そして充電、放電によってリチウムイオンが移動することで、電気を蓄えたり、電気を放出することができます。今後、さらなる拡大が予想されているリチウムイオン電池に欠かせない電池電解液を製造しているのが、セントラル硝子です。セントラル硝子は1936年に山口県宇部市に設立された宇部曹達工業が母体。当初はその社名の通りソーダ灰や苛性ソーダの製造を行っていましたが、58年に旧セントラル硝子(子会社)を設立し、ガラス事業に進出。63年には宇部曹達工業が旧セントラル硝子を吸収合併し、新たにセントラル硝子としてスタートしました。84年に、次の事業の柱とすべく、ファインケミカル事業に本格進出。そして現在の主要製品の一つがリチウムイオン電池電解液なのです。今回はリチウムイオン電池電解液を製造しているセントラル硝子 川崎工場 製造部 工務課 技術グループのシゴトバを訪ねました。

 

より安全・効率的な電池電解液の製造プロセスを設計する

セントラル硝子 川崎工場は京浜工業地帯の一画、川崎市川崎区浮島町にあります。浮島町は石油化学コンビナート地区となっており、実は川崎工場も2003年までは塩化ビニルモノマーの製造工場として操業していました。しかし、現在は塩化ビニル事業から撤退し、全身吸入麻酔剤やフルオロカーボン(炭化水素の水素を一部フッ素に置き換えた化合物。主にエアコンなどの冷媒や発泡断熱材の発泡剤として使用される材料)製品、フッ化物ガス、電池電解液、半導体向けフォトレジストなど、付加価値の高いファインケミカル製品の製造を行っています。石油化学コンビナート地区らしく、周辺は石油精製工場が建ち並んでいます。また工場の西端は多摩川に接しており、その対岸には羽田空港が見えます。したがって首都高速を使えば羽田空港までは約10分。また京急大師線か路線バスに乗ってJR川崎駅まで出てしまえば、JR東海道線で東京駅には約20分、横浜駅には約10分で行けるなど、非常に交通の便の良いところにあります。そのため社員は全員、公共交通機関を利用して通勤しています。

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川崎工場 製造部 工務課 技術グループのシゴトバを森哲志さんが案内してくれました。

「私たち工務課は、新規プラントの建設、既存プラントの保全・改造などを担当する部署です。技術グループ、電気計装グループ、機械グループという3グループで構成されています。例えば新たにプラントを建設する場合、技術グループが担当するのは、化学的な製造プロセスの設計。どうすれば安全で効率的に目的の製品が品質良く製造できるのか、化学的知識を駆使して、製造プロセスを設計するのです。もちろんプラントには電気設備や計装(製造工程を制御するための測定装置や制御装置を配置すること)が欠かせません。そのような電気計装関係の設計をするのが電気計装グループ、そして製造工程に必要な装置を設計するのが、機械グループとなります。このようにプラント建設においては、それぞれの専門分野の設計を担当しますが、これら3グループの中で中心としてプロジェクトをけん引するのが化学的な製造プロセスを担当する私たち技術グループ。工務課の他グループのメンバーをはじめ、製造現場の人たち、化学研究所などの関係部署と連携して一つのプラントを作り上げていくわけです。もちろん既存のプラントをより効率的かつ高品質になるよう改善を行うのも私たち工務課の重要な仕事。毎日、現場に赴き、担当者と話をし、困っていることや危ないところなどがないか確認し、もしそういう箇所があれば、改善を検討します」(森さん)

写真は工務課の執務室です。

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川崎工場ではさまざまなファインケミカル製品が製造されていますが、森さんが担当しているのはリチウムイオン電池電解液です。

「リチウムイオン電池の用途で今、急激に拡大しているのが、自動車向けです。例えば写真のような電気自動車にも搭載されています。電気自動車がより普及するには、走行可能距離を伸ばしていくことが重要な課題のひとつとなっています。そのために私たちを含む電池関連の材料メーカーはリチウムイオン電池のエネルギーの高密度化や高出力化、さらには長寿命化、安全性の向上などのための技術開発に取り組んでいるのです」(森さん)

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電池電解液は写真のような形で出荷されます。

「電池電解液を製造する工程ではフッ酸(フッ化水素)を使います。川崎工場にとって非常に重要な材料ですが、フッ酸は体に触れると非常に危険な材料で、毒物および劇物取締法の医薬用外毒物に指定されているんです。そんな危険な材料を扱うからこそ、いかに安全な現場を作るかを常に考えています」(森さん)

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「現場に出ることも多いですが、意外に書類づくりも多くて、一日中デスクワークしているときもあります」(森さん)

デスクワークが最も多くなるのは新しいプラントを建設することが決まってからだそうです。実はプラントを建設するには、官庁にさまざまな書類を出さなければなりません。

「プラント建設の準備は場合によりますが、半年~1年ぐらいかけて行います。例えば消防法には製造する施設に関する技術基準が定められています。それに合致させるにはどういった機材や設備をそろえなければならないか検討したうえで、プラント設計をしなければなりません。実はこの準備段階でプラント設計の8割が終わったとも言われるほど。さまざまな知識が必要になるので、1人ですべてができるわけではありません。わからないことは上司や先輩に助けてもらいながら進めます。どんなに準備を念入りにしても、実際にプラント建設が始まると、机上で考えていたときには思いもつかないトラブルが発生したりします。なかなか想定通りには進みませんが、そこを解決していくことがこの仕事の面白さですね」(森さん)

官公庁への書類の提出は環境安全課の仕事ですが、技術的なことを聞かれることもあるので同行することもあるそうです。

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現場に出向き、作業担当者と資料を見ながら打ち合わせをしたりすることも、日常的に行います(写真右が森さん)。

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工務課の仕事はコミュニケーションなしには成り立ちません。写真は課内のメンバーと新しいプラントについて打ち合わせをしているところです(写真右が森さん)。

「課のメンバーをはじめ、製造現場、新しい材料やプロセスの研究開発を行っている化学研究所、品質保証課、環境安全課などの社内のいろいろな部署とやり取りして仕事を進めていきます。また新しいプラントを建設する際には、プラントメーカーや施工業者さんとも話をします。そのほか、電池を扱う商社など、お客さまとも話をする機会もたくさんあります。またお客さまは国内だけではなく、海外の方も多いです。当社は海外展開も積極的に進めているので、これからは英語力も欠かせません。いずれにしてもコミュニケーション能力は必須ですね」(森さん)

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ハタラクヒト プラント建設はいろいろな人の協力を得て実現。そこに面白さがある

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引き続き森さんに「セントラル硝子 川崎工場 製造部 工務課 技術グループ」というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてうかがいました。

 

森さんは2014年3月に明治大学大学院理工学研究科応用化学専攻を修了し、セントラル硝子に入社しました。

「学生時代は合成の研究に従事。化学の知識を生かしたくて、化学メーカーを中心に就職活動をしていました。その中でもセントラル硝子を選んだのは、教授の推薦もありましたが、川崎工場を見学した時の雰囲気が自分に合っていると思ったからです。川崎工場は本当に若手が多く、40歳未満の従業員が8割を占めています。みんな伸び伸びと仕事をしていたんです。ここなら本当に若手のうちから大きな仕事を任されると思いました」

 

現在の部署に配属後は、プラント設計や製造プロセスの設計および改善などに携わっています。

「この仕事で一番やりがいを感じる瞬間は、新しいプラントを建設して、試運転がうまくいったときですね。プラント建設は準備にも時間がかかりますし、実際の建設も数カ月の時間を要します。その間にはいろいろな問題が起こります。例えば、実際に施工してみると、プラント系内の流体(※)の温度が化学的性質に起因して計算より高くなったりすることもあります。そんなときはどうすれば当初の想定通りになるか自分で考えることはもちろんですが、時間も限られているので、さまざまな人の知恵を借りて解決していきます。また学生時代の参考書で建設に必要となる知識を確認する一方、大学や大学院で習わない内容については、現場で覚えた後に、時間を設けて再度復習したりするため頭を悩ませました。何より製造条件を満たすことはもちろん、それらの計算や知識を基に設置する機器の能力を選定する時は、運転員の安全性や製造で出る廃棄物の処理方法なども両立できるように考えなければならないため、とても苦労しましたね。そんなさまざまな困難を乗り越え、いろいろな人の手を借りてようやくプラントが完成。試運転の成功は、みんなで一つのことを乗り越えたことが実感できる瞬間です。苦労したこともすべて楽しい思い出に変わるんですよ」

※ 液体や気体の総称

 

技術グループは化学的なプロセスを設計するため、メンバーはすべて化学系の出身者となっています。しかし工務課には技術グループのほかにも電気計装グループ、機械グループがあるので、それらのグループのメンバーはそれぞれ電気系、機械系の出身者となっています。

「私も化学系の出身ですが、学生時代に学んだ知識が仕事にそのまま生かせるわけではありません。学生時代の知識はあくまでも基本。仕事で必要な知識は、入社してから覚えることがほとんどです。それよりも大事なのは、コミュニケーション能力。この仕事ではいろいろな年代の人と話をします。現場の作業担当者には10代の人もいますし、お客さまの場合は大概、目上の人となります。そんないろいろな立場、年代の人ともスムーズに話ができることが大切になります」

 

最後にセントラル硝子 川崎工場の文化・風土についてうかがいました。

「入社前に感じていたように、私を含めみんな伸び伸びと仕事をしています。そうできるのは、失敗してもいいからやってみろというような、背中を押してくれる風土があるからです。だからこそプラント設計という大きな仕事でも、恐れずチャレンジできるんだと思います。若手がたくさん活躍しているので、たまにお客さまから驚かれるほど。風通しも良く働きやすいですね」

 

フットサルでリフレッシュ

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敷地内にはフットサル場があります。

「昼休みにはリフレッシュを兼ねて、フットサルを楽しむ人も多いですね。フットサル以外にもイベントを催すこともあり、先日は綱引き大会がここで実施され、盛り上がりました」(森さん)

 

セントラル硝子にまつわる3つの数字

ソーダ工業製品の製造を行う会社として設立され、現在はファインケミカルなどの付加価値の高い化成品事業、およびガラス事業を展開しているセントラル硝子。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 約45パーセント

2. 30歳

3. 80

前回(Vol.141 金属技研株式会社)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史

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