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理系のシゴトバ

Vol.152 パナック株式会社

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今回の訪問先 【パナック 生産本部 開発部・製品化技術部】
スマートフォンや携帯電話、タブレットの画面を保護するためにプラスチックフィルムを貼っている人も多いのではないでしょうか。プラスチックフィルムはこのような画面を保護する用途のほか、店舗のガラス窓に貼るPOP、ディスプレーやタッチパネルなどの光学部材、OA機器や家電、音響機器、通信機器などの電磁波のシールド、絶縁材、包装材、建材、シールなどの一般雑貨というように、その優れた特性からさまざまな分野で使われています。パナックはこのような機能性プラスチックフィルムのプロとして、お客さまの用途に合わせて最適な形で提供しています。パナックの最大の特徴は、商社機能とメーカー機能を併せ持っていること。商社機能により、お客さまにとって最適なフィルムを調達し、そしてメーカー機能により、コーティングやラミネートなど、お客さまが求める機能を開発したり、最適な形状へ加工したりというように、調達から加工までを一貫して提供できるのです。また従業員数411人という規模の組織ながら、国内に2カ所の加工拠点と5カ所の営業所を設け、お客さまの要望にスピーディに対応できることも同社の強みとなっています。今回は、そんなプラスチックフィルムの新たな機能材料、機能製品の開発を行っているパナック 生産本部 開発部および製品化技術部のシゴトバを訪れました。

 

「こんな機能を持ったプラスチックフィルムが欲しい」に応える

パナックには国内に生産拠点が2カ所あります。一つは富士宮工場(静岡県富士宮市)で、主にプラスチックフィルムに粘着剤やハードコートなどの機能性を付与するコーティング加工、さまざまな機能性フィルムを貼り合せて積層するラミネート加工を行っています。もう1カ所は亀山工場(三重県亀山市)で、主にお客さまの使い勝手が良いようにお客さまの要求に合わせてロール状のフィルムに対してスリット(機械を使って刃を入れることによりフィルムの幅を狭くする)やカットなどの加工を行っています。今回、訪問した生産本部 開発部および製品化技術部のシゴトバは、前者の富士宮工場構内にある研究棟の一画にありました。同工場は富士宮北山工業団地という内陸型の工業団地内にあります。社員のほとんどが車で15分ほどの距離にある市街地から自動車で通勤しているそうです。

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今回のシゴトバは、開発部の五十嵐基浩さんと製品化技術部の村木峻さんが紹介してくれました。実はこの両部署は2016年4月の組織変更までは一つの部署だったそうです。 「開発部は私の所属する処方開発課、製品開発課、企画管理課の3つの課で構成されています。製品開発課はその名の通り、新しい機能性製品の開発を行います。企画管理課は材料や製品などの表面分析業務、特許申請、調査など、知的財産関連業務を担当しています。そして処方開発課ではフィルムに新機能を付加するための処方設計を行ったり、材料開発を行ったりしています」(五十嵐さん)
村木さんの所属する製品化技術部は試作開発課という1つの課で構成されています。
「私の所属する製品化技術部試作開発課は、主にお客さまが抱えている課題を短期間で解決しなければならない案件を担当します。例えば『こんな物性のこんな機能を持ったフィルムが欲しい』と言われると、その物性を持ったフィルムを探し、数カ月後には機能を付加して試作品を提供する。そういったより短い期間でお客さまの要件に合った機能を持ったフィルムを提供していくのです」(村木さん)
写真は開発部と製品化技術部のオフィスです。
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パナックで生産している機能性フィルムの適用例です。
「パナックのほとんどのビジネスがB to B(企業間取引)。したがって私たちの携わるフィルムのほとんどがお客様の製品の重要な一部となっているため、残念ながら一般にお見せできるものがほとんどないのです。これは本当に一例ですが、右上のシート状になっているのは、携帯電話の画面用のフィルム。そのほかにもコースター(犬柄)、シール(金魚柄)、カードの情報保護シール(チンアナゴ柄)などに私たちの技術が活用されています」(五十嵐さん)
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五十嵐さんは現在、自動車関連の部材に使われる接着剤の開発に取り組んでいるそうです。
「今は新しい接着剤の処方開発に取り組むため、関連する特許を調べている時間が多いですね。自動車はさまざまな部材で構成されています。新しい自動車に搭載される部材も、これまでとは異なる性能や機能が求められます。そこでそれらの機能を可能にする接着剤の処方などに関して調査しているんです。そのため、一日の業務のうちデスクでの仕事が6割を占めますが、調査の仕事が一段落すると、評価や分析、測定など、実際に製品の開発をするために手を動かす時間が増えると思います」(五十嵐さん)
一方の村木さんが現在携わっているのは、自動車の内装部材や家電製品の筐体(外装部材)に用いられるハードコート剤の開発。
「今の部署ができたのは今年の4月。それまでに所属していた製品開発課の業務をそのまま担当しているんです。実機での試作も終了し、量産化まであと少しの段階までこぎ着けました。今は求められた要件を満たした加工ができているか、加工時のデータを分析し、量産化に向けた生産技術の開発を行っています」(村木さん) 写真は五十嵐さんがデスクのパソコンで関連特許を調べているところです。
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「開発部も製品化技術部も、この部屋で塗剤の試作開発を行います。開発する塗剤は使用目的によって変わり、接着剤だったり、粘着剤だったり、コーティング剤だったりします」(五十嵐さん) 写真は村木さんが塗剤を調合しているところ。お客さまが求めている機能を実現するため、濃度や配合割合が異なる複数のパターンの塗剤を作成します。
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試作した塗剤は写真のような塗布機(五十嵐さんが手にしている棒。この棒にはワイヤーが巻かれており、そのワイヤーとワイヤーのすき間の大きさによって塗布量が決まる。ワイヤーバーと呼ばれる)で、均一な厚みに塗布していきます。
「製品化技術部の場合、基材となるプラスチックフィルムは、お客さまから指定されることが一般的です。開発部の案件の中には、お客さまが求める機能が満たせるよう、当社でフィルムから検討し、お客さまに提案する場合もあります」(村木さん) 「薄いフィルムに塗布するので、初めての時はかなり苦労しました。でも私たちの業務においてこの作業は必須。経験を重ねていくうちにうまくできるようになりました」(五十嵐さん)
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求められている性能が発揮できているか、性能測定も行います。写真は開発した粘着剤でガラスと貼り合わせたときに、どのくらいの強度があるか、引張試験機で破壊試験を行っているところです(写真は村木さん)。
「このように自分たちで測定をすることもありますが、当社には測定を専門に担当する測定員の方がいるのでその方にお願いすることが多いですね」(五十嵐さん)
測定結果の整理、評価はオフィスのパソコンで行います。
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顕微鏡で異物が入っていないか、外観に欠損がないかなどを調べることもあります(写真は五十嵐さん)。この顕微鏡では最大1500倍まで拡大できるそうです。
「お客さまによっては、例えば1ミリメートルの10分の1の異物であっても、混入してはいけないという要求もあります。このような小さな異物は肉眼では確認が難しいため、顕微鏡を使って、確認します。万一、異物の混入があった場合は、それがどこから、どんなふうに入ったのか、原因を探ります」(村木さん)
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ハタラクヒト お客さまの課題を解決するモノづくりが面白さ

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引き続き、五十嵐さん(写真右)と村木さんにパナック 生産本部 開発部および製品化技術部というシゴトバの魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてうかがいました。

 

五十嵐さんは2011年に明治大学大学院理工学研究科応用化学専攻を修了し、パナックに入社しました。
「大学時代、化学を専攻していたため、化学メーカーに絞って就職活動をしていました。パナックに決めたのは、会社の雰囲気の良さを感じたからです。約1時間行われた2次面接が、あっという間に感じられ、素の自分で話すことができ、この会社なら自分らしく働けると思ったのです。もちろん開発するフィルム製品にもひかれました。パナックのフィルムは私たちの身近なさまざまなところで使われており、それを開発できる点も魅力的に感じました」(五十嵐さん)

 

一方の村木さんは13年に北海道大学大学院総合化学院を修了し入社。
「学生時代は高分子を専攻していました。その知識を生かせるところで働きたいと思っていたのです。そんなときパナックの会社説明会に参加し、『ゲルポリ』という自己粘着フィルムのサンプルを頂いたのです。ゲルポリは貼りやすく・はがれやすいという性能を持った粘着フィルムで、ベタつき感が薄いというのが特徴です。粘着フィルムというとべたべたしている印象を持っていた私は、ゲルポリの意外性にすごく興味を持ち、面接を受けることに。そして面接を担当してくれた方の人となりにもひかれ、入社を決めました」(村木さん)

 

五十嵐さんも村木さんも修士卒で化学の出身です。「学部出身者は少ないですね」と村木さん。それぞれの所属部署ではどんな専攻出身の人が多いのか、聞いてみたところ、「無機化学出身者もいますが、大きく捉えれば皆さん化学系の出身です」と五十嵐さんと村木さんは口をそろえます。とはいえ、仕事で必要となる知識は、「入社して学んでいった」と言います。入社してから学ぶことがほとんどなので、化学系出身ではない方や学部出身者の方でも受け入れているとのことです。

 

お二人に機能性フィルムの開発に携わる面白さややりがいについて聞きました。
「面白さを感じる瞬間は、お客さまが抱える課題を解決できたときですね。さらに、今後大きなやりがいが得られるのではと期待していることがあります。当社では新しい製品を開発したときはもちろん、新しい処方を開発したとき、開発者本人が名前を付けることができるんです。私が名前を付けたモノは、まだ試作の段階で量産まで至っていませんが、近いうちに世に出ていくでしょう。その時、どんなやりがいが得られるのか、今から楽しみです」(五十嵐さん)
「製品化は一筋縄ではいきません。うまくいかないことも多々あります。例えば予想通りにいかなかったことがあれば、なぜ、うまくいかなかったのか、自分で考えるとともに周りの先輩に聞いたりして、検討を重ねていきます。そういううまくいかないことがあると原因を追究し、改善していく。そういうふうに一つひとつクリアしていくところが、開発の面白さだと思います」(村木さん)

 

最後にパナックの社風、文化について聞きました。
「例えば、昼休みなど、上司や先輩ともラフな雰囲気の中で雑談できます。雰囲気の良さは、就職活動の面接時にも感じた通り。風通しはすごくいいですね」(五十嵐さん) 「若手の意見にもちゃんと耳を貸してくれます。仕事も進めやすく、働きやすいシゴトバです」(村木さん)

富士山が望める雄大な環境

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富士宮工場の敷地内からは、富士山がくっきりと見えます。 「これは16年4月に撮影した富士山です。富士山が近いので、冬に積雪があるのではと思われるかもしれませんが、富士宮市は温暖な地域で、雪が降っても積もることはほとんどありません」(生産本部 富士宮工場 総務課課長 小林武志さん)

 

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研究棟の入り口前には鯉が泳いでいる池と「知恵の泉」と呼ばれるオブジェ(写真)がありました。 「池の水は地下水を利用しています。そのため富士山の恩恵を受けバナジウムが多く含まれているんですよ(笑)」(小林さん) ちなみに水道水は地下水を利用していないため、バナジウム水ではないとのことでした。

 

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食堂です。ランチ時間だけではなく、業務中の休憩スポットとしても利用されています。壁には大きな絵画がかかっていました。 「工場からコンビニやレストランまでは距離がありますので、仕出し弁当を用意しています。毎朝、必要な人は注文します。ランチ時間は皆さん、ここでお弁当を食べたりして、くつろいでいます」(小林さん)

 

パナックにまつわる3つの数字

商社とメーカーの機能を併せ持ち、国内外のお客さまが求めるご要望に応じて、フィルムに更なる機能性を持たせることで新たな商品を創り出し、提供しているパナック。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 100パーセント

2. 56パーセント

3. 7

前回(Vol.151 オイレス工業株式会社)の解答はこちら

取材・文/中村仁美  撮影/兼岩直紀

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