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理系のシゴトバ

Vol.154 株式会社タイカ

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今回の訪問先 【タイカ 常陸那珂工場】
高いところから落としても生卵が割れない、そんなシーンをテレビで見たことありませんか。これを可能にするには、床に衝撃を吸収する素材がなければなりません。このような衝撃吸収のほか、防振、防水・防塵、熱伝導などの多様な機能を持った素材を開発しているのがタイカです。冒頭のことを可能にする同社の多機能素材「αGEL」(アルファゲル)。これを使えば、生卵をビル6階相当の高さから落としても割れることなく、αGELの上で卵をピタリと静止させることができます。αGELは衝撃吸収のほかにも安全性、加工性にも優れており、産業機器や電子機器、スポーツ、文具、介護などさまざまな分野の製品に利用されています。タイカはこのようなαGELをはじめとする多機能素材事業のほか、曲面印刷事業、ウエルネス事業を展開。例えば曲面印刷事業では3次元形状にも適用可能な加飾技術を駆使し、自動車の内装材をはじめ、家電、携帯電話、インテリア製品など幅広い分野で採用されています。中でも自動車の内装材の分野では、世界各国の自動車メーカーに供給するため、自社生産のほか、海外の会社と積極的にライセンス契約し、事業展開を図っています。またウエルネス事業ではαGELの特性を生かし、床ずれ防止マットレスや介助サポート用具など、オリジナルの介護福祉用品の開発、販売を行っています。今回は多機能素材の主力製造拠点である常陸那珂(ひたちなか)工場のシゴトバを訪れました。

 

お客さまが満足する多機能素材を開発する

常陸那珂工場は茨城県ひたちなか市郊外の常陸那珂工業団地の一角にあります。同市は1994年に勝田市と那珂湊(なかみなと)市が合併して発足した、茨城県の中央部からやや北東に位置する街。市の東側は太平洋に面しており、毎年夏に日本最大級の野外ロックフェス「ロックイン・ジャパン・フェスティバル」が開催されることでも有名な国営ひたち海浜公園は、常陸那珂工場から車で約10分という距離です。
最寄り駅はJR勝田駅。工場はそこから20分程の場所に位置し、多くの社員が自動車で通勤しています。

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今回、多機能素材の開発という仕事について説明をしてくれたのは、研究開発本部 研究開発室 素材研究グループの伊地知翔太さんです。

「当社は多機能素材事業と曲面印刷事業、ウエルネス事業の3つを主力事業として展開しています。この3つのうちの多機能素材を製造しているのが常陸那珂工場です。私が所属している研究開発本部 研究開発室のシゴトバは、静岡県の清水事業所の中にあり、素材研究のほか、複合製品、機能製品、光学材料、曲面印刷などのグループに分かれ、お客さまのさまざまな要求に応えるための研究開発を行っています。そんなさまざまなテーマがある中で、私が担当しているのは多機能素材αGELの機能を応用したUV(紫外線)硬化ゲルの研究開発。UV硬化ゲルはスマートフォンをはじめとする小型精密機器のパッキン材(破損を防いだり、水やちり・ゴミの侵入を防ぐためにすき間を詰めるモノ)として使用されています。研究開発と言っても、実験室で素材の開発だけを行っているわけではありません。生産方法の検討や、サンプル品の試作・評価、さらには営業に同行してお客さまと技術的な議論を行うところまで担当します。素材の開発や実験室レベルでの評価などは清水事業所の中にあるシゴトバでもできますが、生産方法の打ち合わせや実際の製造装置を使って試作品を作ったり、その評価を行ったりする場合は、多機能素材の主力拠点であるこの常陸那珂工場で行います」(伊地知さん)
執務エリアには伊地知さんをはじめとする清水地区から出張してきた研究開発室のメンバーが使用するためのデスクも用意されており、ここで評価や分析結果のデータのまとめ、資料作成、図面の確認、メールチェックなどを行うそうです。

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αGELとはシリコーンを主原料とする非常に柔らかいゲル状素材であり、タイカで開発するゲル製品の総称です。この素材の特性を生かして、硬度を調整、加工することで、衝撃吸収、防振、感触、放熱などといったさまざまな用途へ展開しています。写真中央の「αGEL」と表示された白いシートが、生卵をビル6階相当の高さから落としても割れない衝撃吸収性を証明した厚み2センチメートルのαGELシート。
「インターンシップに来た学生にも実際にこのシートの上に生卵を落としてもらい、割れないことを確認してもらっているんですよ」(生産・技術本部 常陸那珂工場長 新庄俊弘さん)
αGELシートの上に乗っているボールペンのグリップ部分もαGELの応用製品です。そのほかにもスポーツシューズに使用されていたり、ポンプやコンプレッサー(圧縮機)、測定機器などの産業機械においては、振動伝達を防いだり、振動から来る騒音対策製品、さらには太陽光パネルや液晶ディスプレーのカバーなどにも用いられたりしています。

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開発した素材がお客さまの要件を満たしているか、試験をするための、サンプル作りも行います。写真は産業機器の下に敷くことで、機械の振動を低減する防振材「SNシート」です。もちろんこのシートもαGELが用いられています。

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新規開発したUV硬化ゲルが狙ったとおりの形状になっているか、分析室に設置された顕微鏡をのぞいて確認しているところです。
「このほかにも分析室では、針を押し込んでその変形量を測定する硬さ試験を行ったりします」(伊地知さん)
例えば伊地知さんが担当しているUV硬化ゲルが使われるのは小型精密機器分野。この分野では小型・薄型化が進んでいます。スマートフォンであれば、筐体(きょうたい:メイン部品を収納している箱)が薄くなればなるほど、強度が弱くなるため、UV硬化ゲルも本来のパッキン材としての機能に加え、中の部品を守るための機能も求められます。つまり硬度を柔らかくして緩衝性や防振性を上げる必要があるわけです。それを評価するためにも、試験は欠かせません。

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写真はインシュレーターと呼ばれるポンプやコンプレッサーなどの振動を発する機器の下4カ所に設置することで、振動を除去するための部品です。2キログラムから300キログラムの機器に対応できるよう、幅広いラインナップをそろえています。
「設計通りの寸法に仕上がっているか、マイクロメーターを使って測定を行います。このように研究開発といっても、実際に製品になるところまでを担当していきます。この仕事の幅広さが当社で働く魅力の一つと言えるでしょう」(伊地知さん)

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製品化に至るまでの全工程を担当していくため、営業や技術などのメンバーと密接なコミュニケーションは欠かせません。写真は工場長の新庄さん(前出)とゲルを製造する装置の前で、新規製品の生産方法について相談しているところ。作業服は拠点で色が異なり、伊地知さんの清水事業所はブルー、常陸那珂工場はグレーの作業服を着用しています。
「若手でも海外の工場で製造されている製品を担当しているメンバーは、アメリカや中国、カンボジアなどの海外へもひんぱんに出張しています」(伊地知さん)
研究開発でも海外出張が多いと聞くと、語学ができなければ務まらないのではと思うかもしれませんが、「不安に感じる必要はありません」と新庄さん。というのも、通訳がつくので、語学ができなくても安心して仕事ができる状況になっているからです。大事なのはその国に触れたい、文化を知りたいという気持ちがあることだそうです。

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ハタラクヒト 社長も「さん」付けで呼ぶ、経営陣との距離が近いシゴトバ

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引き続き、伊地知さんにタイカで働く魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてうかがいました。
伊地知さんは早稲田大学大学院先進理工学研究科応用化学専攻修了後、2014年タイカに入社しました。
「化学を専攻したのも、モノづくりをしたかったからです。就職活動をしているうちにタイカのαGELという素材を知り、興味を持ちました。そしてこの会社に入り、これまでにないものを作ってみたいと思ったのです」

 

入社後、現在の部署に配属され、UV硬化ゲルの開発に携わっている伊地知さん。学生時代の専門は大別すると化学ですが、カビの研究という生物化学の分野だったため、現在のようなゲルの開発の知識はなかったと言います。
「多機能素材の開発に携わるには、やはり化学の知識は欠かせません。しかし私たちが開発する素材が主として使用されるのは、産業機器や精密機器などの機械や装置。したがって機械や機構、電気、ロボットなどの知識がある人も活躍できると思います。学生時代に学んだことで一番役立っているのは、研究の進め方や考え方。もちろん、ゴールはお客さまにいただいた課題を期限までに解決することなので、学生時代と比べると非常に大変です」

 

ゲルの研究開発という仕事のやりがいについて次のように語ってくれました。
「私たちが開発している製品は、靴の底の一部の素材に使われたり、また私が担当しているUV硬化ゲルはスマートフォンなどのパッキン材として使われていたりするなど、なかなか表に現れるモノではありません。だからこそ、お客さまが満足できるモノを作るかが勝負。どうすればお客さまが満足できるモノができるか、ゼロから考え試行錯誤をしながら、開発していきます。素材を開発するだけではありません。お客さまの要件に見合うようなコストで提供できることも必要です。つまり素材開発から生産の方法まで検討した上で、最適だと思われるモノをサンプルとしてお客さまに提出するのです。その結果、お客さまから『素晴らしいですね』などという良いリアクションを頂けたときが、最もやりがいを感じる瞬間。私は現在入社3年目です。苦労はつきものですが、若いうちからこのような経験ができることは、当社で働く魅力であり、面白さだと思います」

 

最後にタイカという会社の風土、文化について聞きました。
「私たちの会社は、社長をはじめとする役職者もすべて『さん』付けで呼んでいるため、社員と経営陣との距離が近くフラットな雰囲気。社長とメールで直接、やり取りすることだってできます。そういった風土なので、例えば私のような若手がアイデアを出しても、上司はちゃんと耳を傾けてくれますし、『やりたい』と手を挙げると任せてもらえる空気もあります。いろんなことにチャレンジしたいという人にとっては、働きがいのあるシゴトバだと思います」

 

フットサル大会やゴルフコンペなど、イベントごとが目白押し

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食堂です。持参したお弁当や注文した仕出し弁当を食べたりしているそうです。
「昼食時以外に、休憩時間にも利用しています」(伊地知さん)

 

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「タイカはイベントが非常に多い会社なんです。例えばフットサル大会は2年に1回開催、ゴルフコンペは年4回開催しています」(新庄さん)
フットサル大会は「Festa Taica」という名称が付けられており、日本国内の各拠点だけではなく、海外の子会社のチームなど9チームが参加するという大規模なイベント。この大会が近づくと、各地区では入念な練習が行われているそうです。写真は伊地知さんが所属する清水地区のフットサル部の練習の様子です。

 

タイカにまつわる3つの数字

衝撃吸収材「αGEL」をはじめとする多機能素材や曲面印刷技術、多機能素材を応用したオリジナル介護福祉用品の開発を行っているタイカ。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 18メートル

2. 84カ所

3. 1000回

前回(Vol.153 株式会社東光高岳)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美  撮影/臼田尚史

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