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理系のシゴトバ

Vol.156 三甲株式会社

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今回の訪問先 【三甲 営業本部 商品設計部】
コンビニエンスストアでおにぎりやお弁当などの商品を補充するシーンに出合ったことがある人も多いと思います。補充されるおにぎりやお弁当などはプラスチック製のボックスに詰められて、台車に載せられて運ばれてきます。コンビニ業界だけではありません。スーパーなどの流通業界はもちろん、農業では収穫した野菜の運搬、水産業では水揚げした魚、工業では工場内の部品や製品の運搬にプラスチック製のボックスやコンテナが使われています。このように、今や物流には欠かせないプラスチック製品の開発、製造を行っているのが三甲です。三甲は1951年に毛芯(けじ)糸紡績製造の会社として設立されました(三甲紡績有限会社)。61年に株式会社化され、産業資材に特化したプラスチック製品の製造・販売の事業をスタートさせました。それ以降55年間、プラスチックを材料とした物流機器に特化して製品開発を手がけ、国内物流を支えてきました。三甲の強みは全国25カ所に工場を構えていること(今年度に26カ所目の工場が長野に稼働予定)。これにより、全国のお客さまにできる限り短期間で必要な製品の提供が可能です。しかもどの工場でもお客さまのさまざまなニーズに対応できるように、超大型から超小型精密成形機、射出成形のほかブロー成形、真空成形などさまざまな成形機を用意しています。今回は同社にて、物流に欠かせないプラスチック製品の開発を行っている営業本部 商品設計部のシゴトバを訪れました。

 

物流シーンで欠かせないコンテナやパレットを設計する仕事とは?

今回、訪問した営業本部 商品設計部のシゴトバは岐阜県瑞穂(みずほ)市にある岐阜本社敷地内に敷設されたサンコーテクニカルセンター内にあります。岐阜本社の最寄り駅はJR東海道本線穂積駅。駅からは車で10分ほどかかるため、ほとんどの社員が車で通勤しているそうです。岐阜本社の敷地内には本社研究工場もあり、ここで成形の条件設定から製品のテスト生産、そのほかさまざまな製造実験が行われています。敷地のすぐ横には長良川水系の一級河川、五六川(ごろくがわ)が流れているなど、周辺は非常にのどかな雰囲気です。
瑞穂市は岐阜県南西部にあり、愛知県との県境に近く、JR名古屋駅までも約30分と、アクセスの良い場所に位置しています。
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三甲が提供しているすべての商品は営業本部 商品設計部で生み出されています。ユニークなのはモノ作りをする開発部門が営業部門に組み込まれているところ。
「開発設計の部署が営業部門内にあるのは、常に現場でモノを見てモノ作りをしてほしいという考えからです。当社製品の多くはお客さまとの共同開発から生まれています。営業が引き出してきたお客さまの課題や悩みを、どうすれば解決できるか、お客さまにさらに深くヒアリングし、そのイメージを描き、形にしていくのが商品設計部のメンバーの役割です。営業部門内に開発部門が組み込まれているからこそ、お客さまの要望に的確に合致したモノ作りができます。これは当社の強みの一つです」(後藤利彦代表取締役社長)
写真は三甲が開発している商品です。上に載っている黄色と黒、オレンジと黒というカラフルな製品が「SNコンテナ」です。SNはスタッキング(積み上げる)のSとネスティング(はまり込む)のNを意味しており、コンテナーの色の向きによってスタッキング・ネスティング状態をとることができるというもの。ネスティングによって省スペース化を図ることができるため、様々なシーンで物流の効率化に貢献しています。また、下は通常のスタッキングタイプのコンテナです。これらのコンテナが載っているバックヤード機器も三甲で開発設計しています。
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物流には欠かせないプラスチックパレット(荷物を載せるための荷役台)です。従来は木製のものが多かったのですが、現在は軽量化が図れる、環境に優しいなどの理由でプラスチック製が主流となっているそうです。
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サンコーテクニカルセンターおよび本社研究工場を含めた岐阜本社エリアでは約500人の社員が働いていますが、そのうちの50人が商品設計に従事。同社が提供する商品は、農水産や工業、流通など、ほぼすべての業種・業界で使われています。同じような形状のプラスチック製品でも各業種・業界によって求められる要件は異なります。そこで三甲では業界別の専任制を採用し、その業界の独自ノウハウを生かして設計者が製品作りに当たることで、お客さまの要望に確実に応えることを実現しています。写真は執務エリアで、3次元CADを使ってあるファストフードチェーン向けのSNコンテナの設計を行っているところです。
「私が所属している商品設計部第2部第1課が担当しているのは農水産および食品、スーパー、コンビニなどの流通業向けの製品。今回のお客さまの要件は、従来使っていたコンテナが浅かったため、もっと深いものが欲しいというオーダーでした。お客さまの要望はそれだけだったのですが、現場での使用シーンを見たところ、アスファルトの上でコンテナを引きずったりすることも多く、底の角が削られていたんです。そこで床と設置する部分はすべて丸みを持たせる形状にして提案しました。そういうお客さまが気づいていない課題に気づいてこちらから提案していくことも、私たち設計者に求められていることです」(商品設計部第2部第1課 原田裕也さん)
ちなみに商品設計部第1部では製造業などの工業向け製品を担当。そのほかにも商品設計部にはデザイン課のほか、品質支援グループ、設計支援グループなどがあり、これらの課やグループが相互に協力してお客さまの要望に応える新しい製品の提案を行っています。
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設計ができると試作を行います。同社では積層造形システム(3Dプリンタ)を使い、短時間での試作を実現しています。写真はデザイン課の田中彩央里(さおり)さんが、デザインしたプラスチック製イスの座面の試作品(2分の1スケール)の形状を確かめているところです。
「当社の主流は物流シーンで使われる製品ですが、今回手がけているイスのほか、家庭で使用される生活・趣味用製品など、デザイン性の問われる製品も提供しています。そういったデザイン性が求められる製品の商品設計を行うのが、私たちデザイナーの役割です。今、設計しているイスはイベント会場やショッピングセンターの休憩スペースなどで利用されることを想定しています。座り心地がよく、見た目にもおしゃれなイスになるよう、何度もデザインしては試作を繰り返し、満足できる製品になるよう取り組んでいます」(田中さん)
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デザイン課ではデザイン性が問われる製品の設計のほか、製品カタログやホームページ(製品ページ)など、販促ツールの作成や整備も担当しています。本社社屋にあるショールームもデザイン課が管理しています。
「製品の配置はもちろん、紹介ポスターやポップの作成なども私たちが行います。お客さまが来られた際には、もちろん、商品設計部のメンバーが説明をしたりもします」(田中さん)
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設計したモノが、お客さまの要件を満たしているかどうかを確認するためにさまざまなテストを行います。写真は50キロニュートン(約5.1トン)圧縮試験機でSNコンテナの試験をするためセッティングをしているところです。サンコーテクニカルセンターでは圧縮試験のほかにもさまざまな試験を実施しており、高い品質を確保することでお客さまの信頼獲得へとつなげています。
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落下試験も行います。写真はパレットの落下試験を行っているところ。
「試験方法はJISで定められており、パレットは対角線上に落とします。この試験機では最大2.5メートルの高さから落とす試験が行えます。今回は1メートルの高さから落とす試験を行いました」(原田さん)
このほかにもパレットであれば、1週間1トンの荷重をかけてそのたわみを自動で測定するたわみ試験、そしてたわんだパレットがどのくらい復元するかを測定する復元試験なども行われています。
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ハタラクヒト 観察力や情報収集能力、伝達能力、答えを出すまで取り組む意欲が大事

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原田さん(写真右)と田中さん(左)に三甲で働く魅力、やりがい、職場の雰囲気などについてうかがいました(中央は後藤社長)。

 

原田さんは広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻修了後、2013年に三甲に入社しました。
「モノ作りがしたいと思っていました。三甲の説明会に参加したところ、物流機器では国内トップクラスのシェアを獲得していることを知りました。しかもスーパーやコンビニなど、私たちが普段目にするところで使われている製品もあります。そんな製品を手がけられることに魅力を感じました。化学は学生時代に学んだこととはまったく異なる分野。多少、不安はありましたが、当社の成形機には私が学生時代に携わっていたモノと同じような機構、素材が使われていることを知り、親しみを感じました。これも入社の決め手でしたね」(原田さん)

 

一方の田中さんは三重大学工学部分子素材工学科を卒業し、14年に三甲に入社。
「大学で学んだ有機化学、無機化学など化学全般の知識を生かせる仕事に就きたいと考え、就職活動をしていました。そんな時、地元の岐阜に三甲という化学メーカーがあることを知ったのです。話を聞くと、女性でも技術の分野で活躍できるとわかり、入社を決めました」(田中さん)

 

プラスチック製品のメーカーの商品設計部というと、化学系や材料系の出身者が多いというイメージですが、原田さんは理学部、田中さんは化学系とはいえ学生時代は光合成に関する研究を行っていたそうです。
「当社も半数は化学や材料系の出身者で占められていますが、残りの半数の出身学部、学科はさまざま。電気や機械系出身者もいます。プラスチックに関する知識は会社に入ってからでも学べます。それよりも大事なのは観察力や情報収集能力、情報伝達能力。これらの能力をフルに活用して、お客さまの課題を解決していくからです」(原田さん)
「難しい問題に直面しても、答えが出るまで取り組む意欲と根気強さがあれば、出身学部や学科は関係なく活躍できると思います」(田中さん)

 

原田さん、田中さんに商品設計部での仕事の面白さ、やりがいについてうかがいました。
「私が担当している製品は一般消費者の目に付くところで使われることが多いので、実際に使われているシーンを目にすると、自分の設計がお客さまに信頼されていることが実感できる。それが面白いところですね。もちろん、製品として出ていくまでは、お客さまの要件をいかに満たしていくか、苦労の連続。お客さまの要件の中には『耐荷重はそのままに軽量化を図ってほしい』というように、トレードオフの要件を満たさなければならないものあります。それをどうやって実現するか、材料や形状を考えていくのです。そういった生みの苦しみの後に世に出て行くので、本当に『携わって良かった』とやりがいを感じます」(原田さん)
「私も形として表現できたときに達成感を感じます。今、手がけているイスは『丸くて柔らかいデザイン』というコンセプトで、万人が座りやすいと感じるものを作りたいと思い、座面のモデルを何個も設計し、いろんな人に感想を聞いたのです。その時気づいたのは、自分は座りやすいと感じても、体格の異なる人だと感想は違うということ。そこで『座りやすさって何だろう』というところまで突き詰めて考えました。そんなところまで考えて提案できることにやりがいを感じています」(田中さん)

 

原田さん、田中さんに商品設計部の文化、風土について聞きました。
「やる気と向上心があれば、誰もが活躍できるシゴトバです」(原田さん)
「若手のアイデアをすごく大事にしてくれるんです。だから自信を持って仕事に携わることができる。働きやすいシゴトバです」(田中さん)

 

最後に後藤社長にも三甲という会社で働く魅力についてうかがいました。
「当社の製品は対象となる業種が広いので、学生時代のさまざまな経験が生かせると思います。したがって知識も大事ですが、好奇心の旺盛な人がいいですね。私の信条は情熱と創意を持って仕事に取り組むこと。これは社員にも伝えていることで、何でも一生懸命に熱い気持ちを持って取り組んでいる人を求めています。そういう姿勢を大事にすることで新しい発想が生まれ、進化につながると思うからです。まだまだプラスチック物流機器には開発の余地があります。他素材からの切り替えなど、お客さまの困りごとを解決する製品を提供していきたい。そしていつかの将来には日本でつちかった技術を、海外にも展開していきたいですね」(後藤社長)

 

おいしいランチが食べられる食堂

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同志寮と呼ばれる建物の中に、社員食堂と体育館がありました。写真は1階にある社員食堂です。同食堂のシェフは、三甲グループのレジャー部門が展開しているゴルフ場のスタッフ。味も本格的でおいしいと評判です。

 

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取材した日の社員食堂のランチメニューです。メインのおかず(写真上中)はデミグラスソースがかかったミンチカツ。冷やし茶わん蒸し、豚汁、炊き込みご飯、漬け物(キュウリ)がついて300円です。
「この定食のほかに、カレーや麺類などが用意されています。毎週金曜日のメニューはバイキング。デザートまで300円で食べられるので、女性にも大人気。日ごろはお弁当派の私も、金曜日は食堂を利用しています」(田中さん)

 

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同志寮3階にある体育館です。社員であれば誰でも使えます。サークル活動のほか、入社式や賞与式(三甲では感謝を直接伝えるため、賞与は社長から手渡しされるそうです)などに使われています。

 

三甲にまつわる3つの数字

パレットやコンテナなど、プラスチック製の物流機器を開発・製造し、全国に提供している三甲。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1. 1

2. 10000超

3. 387

前回(Vol.155 株式会社マーレフィルターシステムズ)の解答はこちら

 

取材・文/中村仁美  撮影/早川俊昭

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