理系のシゴトバ

Vol.181 <前編>【株式会社スリーボンド】シゴトバ紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

工業用シール剤、接着剤を開発・提供する「スリーボンド」のシゴトバ紹介

-基本情報-
【本社所在地】東京都八王子市
【従業員数】2780名(2016年12月末現在、グループ従業員数)
【事業内容】スリーボンドグループの中核を担っている企業。工業用シール剤、接着剤およびその塗布装置の開発・製造・販売に関する企画・管理などを担う。
-スリーボンドのすごいトコロ-
世界23カ国155カ所に拠点を構える、世界有数のシール剤の総合メーカー。特に強みとしているのが自動車産業向けのシール剤。創業者が自動車から路上に漏れ落ちたオイルを見たことがきっかけで、最初の商品である液状ガスケット(シール効果のある液状の物質)を開発したことから、シール剤メーカーとしての歴史が始まった。現在は、自動車だけでなく、スマートフォンやタブレットなどの電子機器、ガスや水道管など身近なところでスリーボンドの商品が活用されている。特にスマートフォンやタブレットなどのディスプレーを構成するパネルを貼り合わせるシート状の接着剤は、同社ならではの技術によって実現できている。

スリーボンドの会社概要・沿革

私たちが日ごろ携帯しているスマートフォン。そのディスプレーは1枚のパネルでできているわけではありません。カバーパネルやタッチパネル、表示パネルというように複数のパネルを貼り合わせることで、指によるタッチ操作を可能にしているのです。そんなパネルの貼り合わせに使われるシール剤を開発、製造しているのがスリーボンドです。

 

スリーボンドの歴史は1955年、創業者の鵜久森税氏が東京・京橋の雨上がりの交差点で自動車から一滴のオイルが漏れ落ちたところを見たことから始まります。そのオイルのしずくを見た鵜久森氏は「このような漏れを防ぐことができれば資源の節約になり、日本経済の復興にも大いに貢献することができるだろう」と開発したのが液状ガスケット「スリーボンド1号」です。しばらくは液状ガスケットを中心に展開していましたが、徐々に工業用シール剤の開発、製造に移行します。そして現在、同社製品の適用分野は多岐にわたり、自動車を中心に輸送機器、電気電子、工材公共、建築・建材、ハイテク分野へと展開、約1600種類以上もの商品を提供しています。

 

現在、スリーボンドはホールディングス制を採用しており、スリーボンドは商品開発から製造・販売に関する企画・管理を担うスリーボンドグループの中心的な企業として、国内外事業所と連携してマーケットに対して深耕する役割も担っています。

 

研究開発部 開発二部 機能材料開発課のシゴトバ紹介

今回はスリーボンド 研究開発部 開発二部 機能材料開発課のシゴトバを紹介します。
スリーボンド 研究開発部があるのは、神奈川県北部に位置する相模原市。最寄り駅はJR横浜線、京王相模原線の橋本駅で、そこから10分ほど歩くと、研究開発部の拠点に着きます。同じ敷地内には、国内における化成品・加工品の製造を行うスリーボンドファインケミカルの本社工場もあります。
研究所がこの地にできたのは2012年。本社や岡山県などの拠点に分散していた研究部門がここに集まりました。現在、この研究所で働いている社員は、約100人(知的財産部や業務部に所属している社員も含んだ人数)。スリーボンドが扱っているほぼすべての商品がここで生み出され、グローバルに展開されています。

photo1

 

研究開発部 開発二部 機能材料開発課ではどんな仕事をしているの?

研究開発部 開発二部 機能材料開発課のシゴトバを同課所属の岡山竜大さんが案内してくれました。

photo2

 

研究開発部 開発二部 機能材料開発課が担当しているのは、導電性接着剤やシート状接着剤など、機能性を付与した接着剤の研究開発です。前者の導電性接着剤とはその名の通り、電気を通す機能が付いた接着剤。各種電気接点の接続、導通に使われる接着剤です。近年、スマートフォンやタブレット、パソコンなどの電子機器は、微細な部品を構成して作られています。それら部品を導電接着するために用いられているのが導電性接着剤です。同社では約30年前から、このような接着剤開発に取り組んでいます。
後者のシート状接着剤とは、食品用ラップフィルムのような見た目と形状で、さまざまな膜厚が用意されています。主な用途は、スマートフォンやタブレット、パソコン、音楽プレーヤーなどのディスプレーを構成するパネルの接着です。

 

新たな接着剤の開発は、お客さまであるスマートフォンやタブレットなど、デバイスメーカーの要望から始まります。営業がお客さまにどんな性能・特徴を持った接着剤を求めているのか、要求特性などをヒアリングし、その内容を研究開発のメンバーに伝えます。お客さまが求める機能が達成できるよう、材料を手配して配合し、複数種類の接着剤の原液を作ります。その原液で接着試験を行い、評価、お客さまのフィードバックを得て、量産化へと進みます。研究開発のメンバーは、その一連の流れを担当します。
「仕事の中でも最も多くの時間を割いているのが配合です。したがってラボ(実験室)にいる時間が一番多いですね」(岡山さん)
配合は上記の写真のように、保護眼鏡をつけて行います。

 

研究開発部 開発二部 機能材料開発課 岡山さんのおシゴト紹介

photo3

 

岡山さんが担当しているのは、シート状接着剤の開発です。
「シート状接着剤の歴史は浅いんですよ」(岡山さん)
シート状接着剤の主な用途は、ディスプレーを構成するパネルの貼り合わせ。従来、パネルの貼り合わせには液状接着剤が用いられてきました。しかし液状接着剤は手軽に扱える半面、塗布する場所や量を少しでも誤ると、はみ出してしまったり、膜厚が均一にならなかったりという課題がありました。この課題を解決する手段として、スリーボンドが開発したのがシート状接着剤です。
シート状接着剤を用いるメリットは、接着剤がはみ出す恐れがない、膜厚が均一になるだけではありません。大面積で貼れることも大きなメリットだそうです。
何種類もの配合のパターンの原液を作成し、シート状にします。そして出来上がったサンプルが求められている性能を満たしているか、引っ張り試験や環境試験、温度衝撃試験(高温と低温を交互に繰り返し、温度変化に対する耐性を評価する試験)などを実施します。また電子顕微鏡を使って、貼り合わせがきれいに行われているかをチェックしたりもします。特にシート状接着剤で問われるのが、透明性と耐久性です。
「透明であることはもちろんですが、日光にさらされても変色しないことなども求められます。要求は厳しいですね」(岡山さん)

 

研究開発の過程では苦労することもたくさんあるそうです。液状接着剤は、材料を配合すればサンプルが出来上がります。一方、シート状接着剤はもう一つ、配合した原液をシート状にするという工程が入ります。例えば、原液でお客さまが求める性能を満たしていても、シート状にするとその性能が満たされなくなる可能性もあるそうです。また性能を満たしていても、効率的にシート状に加工できなければ、量産には向きません。
「このようにシートにする工程で乗り越えるべき課題はたくさんありますが、シート状接着剤自体、液状接着剤と比べると歴史が浅い技術なので、社内にノウハウがない場合も少なくありません。難しいですが、それが面白さでありやりがいにつながっています」(岡山さん)

 

入社以来、同部署でシート状接着剤の研究開発に携わっている岡山さん。最近は任される範囲も広がってきたと言います。
「お客さまは海外の方も多いので、海外に出張することもあります。研究開発というと、ラボに閉じこもってひたすら研究する、というイメージがあるかもしれませんが、当社の場合はお客さまに近いのも特徴です。営業に同行してお客さまの所にうかがうこともあります」(岡山さん)

photo4

 

前編では【スリーボンド 研究開発部 開発二部 機能材料開発課】のシゴトバを紹介しました。
後編では岡山さんに入社の決め手やシゴトバの魅力、これから就活を迎える学生さんへのアドバイスなど、お話しいただきます。

次回へ続く

(後編 7月19日更新予定)

取材・文/中村仁美  撮影/平山 諭

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
1年生も、もちろん!
大学生・院生・短大生・専門学校生になったら!

リクナビで詳しく見てみよう!

この企業についてリクナビで研究する