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Vol.307 リース編

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再生エネルギーや医療、航空機リースなどが好調。業界再編の動きには注意が必要だ

リース会社とは、情報通信機器・事務用機器・産業用機械・建設機械などを顧客企業に貸し出して利益を挙げる企業のこと。特定の出資元を持たず独立した経営を行う「独立系」、銀行とのつながりが強い「銀行系」、メーカーとのつながりが強い「メーカー系」に大別できる。独立系で業界最大手のオリックス、銀行系の三井住友ファイナンス&リースや東京センチュリーリース、三菱UFJリース、メーカー系の日立キャピタルなどが代表格だ。

 

公益社団法人リース事業協会によると、2005年度のリース取扱高は7兆7413億円だった。ところがリーマン・ショックなどの影響で、10年度には4兆5553億円にまで縮小。その後、11、12、13年度と3年連続で市場は拡大したが、14年度は消費税引き上げの影響で前年度より7.9パーセント減となった。15年度のリース取扱高は5兆393億円で、前年度比4.4パーセント増。前年度の落ち込みを完全にカバーするほどではなかったが、各社の業績は比較的堅調だったと言える。

 

中でも好調だった分野は、工作機械(対前年比29.2パーセント増)や産業機械(対前年比12.4パーセント増)。また、16年4月に電力自由化が行われ、需要拡大が見込まれる再生エネルギー関連設備(太陽光発電設備や風力発電設備など)や、各社が新しい成長分野として取り組んでいる医療関連機器も伸びた。ただし、今後は日本企業がさらに海外進出を進めることが予想され、国内市場の成長性には限界がありそうだ。

 

そこで各社は、海外展開に力を入れている。とりわけ成長が期待されているのが、航空機のリース。航空機はとても高価なので、資金力に乏しい、あるいは急激な路線拡大を目指す航空会社にとって、機体を購入するよりリースの方が向くケースが珍しくない。一方、リース会社は多くの機体を一括購入することで、購入費の割引を期待できる。そのため、「リース会社が航空機を大量購入し、それらを航空会社にリースする」というビジネスが成り立つのだ。現在、成長著しいアジアなどでは航空需要が急激に拡大中。以前から航空機リース分野に力を入れてきた三井住友ファイナンス&リース、三菱UFJリース、オリックスなどでは、すでに収益への貢献度が高まってきている。また、興銀リースのように、新たに参入を表明する企業もある(ニュース記事参照)。

 

16年1月に導入された「マイナス金利」(金融機関が日本銀行に預けているお金に対して、マイナスの金利をつけるもの)は、リース業界に大きな影響を及ぼしている。リース会社が設備などを購入する際に調達する資金の金利が下がったことで、リース事業全体の利回りが高まることが期待できる。一方、これまでリースを利用していた企業が、銀行から低金利でお金を借りて設備を購入する可能性が高まるのはデメリットだ。また、企業がリース会社にリース料の値下げを要求するケースも増えるだろう。各リース会社は、金利の状況を考慮しつつ、顧客と付き合っていく必要がある。

 

企業再編や提携の動きにも、注意が必要だ。下で示したように、大手リース会社であっても、資本提携や買収・統合によってさらに競争力を高めようとする動きが見られる。

 

リース会社による提携・買収の例

三菱UFJリースと日立キャピタルの提携

2016年5月、三菱UFJフィナンシャル・グループと日立製作所が、リース分野で資本・業務提携すると発表。将来的には、両社の傘下にある三菱UFJリースと日立キャピタルを統合する方向で検討中と伝えられている。

三井住友フィナンシャルグループによるGEリース事業の買収

16年4月、三井住友フィナンシャルグループが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が保有していたリース事業の買収を完了。これにより、三井住友ファイナンス&リースは総資産額でリース業界2位に浮上する。

このニュースだけは要チェック <航空機リースの分野で活発な動き>

・興銀リースが、米大手航空機リース会社のエアキャッスルと合弁会社(複数の企業・組織などが共同で出資し、設立した会社のこと)を設立し、航空機リース事業に本格参入すると発表。16年夏にも、格安航空会社のエアアジアに航空機をリースする見込み。航空機リースの分野では、他社でも新規参入・事業拡大の動きが活発だ。(2016年2月18日)

 

・三井住友ファイナンス&リースが、年率マイナス0.001パーセントのコマーシャルペーパー(CP。短期の運転資金を調達するために企業が発行する証券のこと)を発行。「借金をして利息を受け取る」という状況になった。低金利で資金調達できることは、リース会社の経営にはプラスとなる。(2016年3月28日)

 

この業界とも深いつながりが <電力、航空分野とのつながりが深まりそう>

電力・ガス
電力事業に新規参入する企業が増えており、電力関連設備のリースが需要増

空運(旅客)
アジアを中心に航空需要が拡大中。航空機のリース事業は将来有望な分野だ

メガバンク
リース会社の中には、メガバンクと同じ金融グループに属しているところも

 

この業界の指南役

日本総合研究所 シニアマネジャー 高津輝章氏

gyoukai_vol226_高津さん

一橋大学大学院商学研究科経営学修士課程修了。事業戦略策定支援、事業性・市場性評価、グループ経営改革支援、財務機能強化支援などのコンサルティングを中心に活動。公認会計士。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか

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