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Vol.330 ゲーム(ソフトメーカー)編

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スマホ向けゲームに注力する企業が増加。「VR」など新技術を生かしたゲームに注目しよう

ゲーム業界は、家庭用ゲーム機などのハード分野、家庭用ゲーム機向けソフトの分野、スマートフォンやタブレットPC向けに作られた「スマートデバイスゲーム(以下スマホゲーム)」分野の3つに大別できる。今回は、家庭用ゲーム機向けソフトと、スマホゲームについて取り上げる。一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)がまとめた『2016CESAゲーム白書』によると、2010年における家庭用ゲーム機向けソフトの国内市場規模は3442億円。ところが、その後は5年連続で減少しており、15年は前年(2356億円)より17パーセント減の1949億円だった。また、ゲーム総合情報メディアの『ファミ通』がまとめた『ファミ通ゲーム白書2016』によると、15年の家庭用ゲームプレイユーザーは2118万人。14年(2612万人)から約2割減っている。

 

家庭用ゲーム機向けソフトの市場が縮小している原因の一つとして、スマホゲームの台頭が挙げられる。CESAによれば、15年におけるスマホゲーム市場規模は9453億円と、家庭用ゲーム機向けソフトの市場規模(1949億円)よりはるかに大きい。また、『ファミ通』によると、スマホゲームのみをプレイするユーザーは前年比約3割増の3460万人となっている。国内では少子高齢化が進んでゲーム人口そのものが頭打ちになっている上、スマホゲームにユーザーを奪われているため、家庭用ゲーム機向けソフトの比率が大きいメーカーは苦戦を強いられるかもしれない。

 

そこでゲームソフトメーカー各社は、スマホゲームへの対応を強化している。例えば、これまでスマホ向けゲーム市場への参入に消極的だった任天堂は、16年3月、初めてのスマホアプリ「Miitomo」の配信を開始。同年12月には、スマホ向けアクションゲーム「スーパーマリオラン」の配信を始めて話題となった。同社は今後も、家庭用ゲーム機向けゲームをそのままスマホに対応させるのではなく、スマホのプレイスタイルに合わせた形に修正しながら、「どうぶつの森」など人気シリーズを配信する予定だ。他社でも、スマホゲーム重視の傾向は強まるとみられる。

 

大手ゲームソフトメーカーにとって、豊富なIP(知的財産。キーワード参照)の創出・活用も重要なテーマだ。例えば、バンダイナムコホールディングスは15~17年度の中期経営計画の中で、「IP軸戦略」を打ち出した。これは、「機動戦士ガンダム」や「太鼓の達人」といった同社の人気シリーズを、最適なタイミングで最適な事業(ゲームやアニメ、各種アミューズメント機器)に展開し、より幅広いユーザーを取り込もうという考え方だ。こうした流れが進めば、アニメなど他事業への目配りが強く求められていくだろう。また、社内の企画・開発部門を強化して有力なIPを生み出そうとしたり、有力なIPを持つ企業を買収したりするなどの動きも活発化するとみられる。

 

新たな技術で斬新なユーザー体験を提案し、市場拡大を目指す動きも活発だ。特に注目したいのが「VR」(キーワード参照)。16年、頭部に装着したディスプレーで遊べるゲーム機器「PlayStation VR」が登場して大きな話題となった(下記ニュース参考)。『ファミ通ゲーム白書2016』では、世界のVR市場規模が17年に3000億円を超えると予測しており、これに伴ってVR対応ソフトの市場も拡大が見込まれている。同様に、「AR」(キーワード)を生かしたゲームや、新たなプレイスタイルを提案するゲームの開発にも期待が集まるところだ。

 

ゲーム(ソフトメーカー)業界志望者が知っておきたいキーワード

IP(知的財産)
Intellectual Propertyの略。発明者や創作者の財産を一定期間保護する権利のこと。ゲームソフトメーカーにおいては、ゲームソフトそのものの知的財産権だけではなく、ゲームキャラクターの知的財産権の活用が重要となっている。

VR
Virtual Realityの略。仮想現実、人工現実と訳される。ユーザーの五感を刺激することで、コンピュータにより合成された3次元空間を体感できる技術のこと。2016年はPlayStation VRの登場などでVRの普及が進み、「VR元年」と呼ばれることもある。

AR
Augmented Realityの略。拡張現実と訳される。人が感じている現実世界の情報を、コンピュータを使って拡張する技術のこと。例えばスマホゲーム『ポケモンGO』では、実際の風景にスマホを向けると、現実世界の中にモンスターが存在するかのように表示される。

ライセンス事業
キャラクター、グラフィック、ロゴといった知的財産の使用権を貸与し、使用料(ロイヤリティ)を得るビジネスのこと。商品化権許諾業とも言う。任天堂は人気ゲーム『ポケットモンスター』のライセンスを、マンガ、カードゲーム、アニメなどを制作する企業に貸与して収益を上げている。

このニュースだけは要チェック <新型ゲーム機の登場はソフトメーカーにとって好機>

・任天堂が、新型家庭用据え置き型ゲーム機「Nintendo Switch」を、2017年3月に発売すると発表。テレビにつないで末尾機器として遊ぶだけでなく、テレビのない場所や、外出先でも遊べるという新たなプレイスタイルを提案。スマートフォンと連携できる機能も搭載されている。(2017年1月19日)

 

・ソニー・インタラクティブエンタテインメントが、PlayStation4向けVRシステム「PlayStation VR」の発売を開始。プレイヤーの全方向を取り囲む3D空間の中で、さまざまなゲームをプレイすることができる。(2016年10月13日)

 

この業界とも深いつながりが <広告とのつながりは依然として強い>

おもちゃ
ゲーム関連のキャラクター玩具は、おもちゃ会社にとって売れ筋商品

レジャー施設
ゲームのキャラクターを活用したアミューズメント機器などを開発する

テレビ
ゲームキャラクターをアニメなどに起用して収益を上げるケースは多い

 

この業界の指南役

日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門成長戦略グループ コンサルタント
堀内くるみ氏

horiuchi_sama

ケンブリッジ大学大学院化学工学科修士課程修了。企業のビジョン作り、経営戦略・事業戦略策定支援、マーケティング戦略策定支援などのコンサルティングを中心に活動。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/千野エー

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