WOMAN'S CAREER

Vol.179 パラマウントベッド株式会社

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しばた・あやこ●さいたま支店 ホームケア課 主任。群馬県出身。37歳。千葉大学法経学部経済学科卒業。2001年入社。学生時代から社会保障について学び、医療介護業界に興味を抱いていた。現在、5歳と2歳の息子と夫の4人暮らし。

会社初の営業職のワーキングマザーとして、あとに続く後輩に、背中を見せていく

世界100カ国以上で利用されている、医療介護用ベッドメーカー・パラマウントベッド。高度な技術で快眠をもたらし、利用者の自立支援から介護家族の負担軽減までを考えた商品は、自宅や有料老人ホームなどの居住型施設から、医療施設、特別養護老人ホームなどの社会福祉施設、病院内のICU(集中治療室)など急性期医療の現場まで、幅広い場所で活用されている。

 

学生時代から日本の社会保障問題、少子高齢化についてゼミで学んでいた柴田さんは、「高齢者がイキイキと生活できる社会をつくりたい」と、パラマウントベッドの選考を受けたという。

「イキイキとした生活の基盤は住環境にあり、その中でもベッドは、1日の始まりとなる大切なものだと思っていました。選考では、最初の面接から1対1で話を聞いてくれて、人に温かい会社だなと思ったことが、入社の決め手でしたね」

 

入社すると、1カ月間の研修後にさいたま支店に配属され、長野県の官公立病院、福祉施設の担当営業になった柴田さん。当時の医療福祉業界は女性営業がほとんどいない、いわゆる“男社会”であり、さいたま支店でも、女性の営業担当は柴田さんが初めてだった。お客さまや同僚に、いかに“女性”を意識させないか、「気を使わせたくなくていつも気を張っていて、今思うとあまりかわいげがなかったかもしれないですね」と笑う。

「配属後間もなく、火曜日に新幹線で長野県に入り、金曜日の夜大宮に戻る、という出張生活がスタートしました。教育担当の先輩と、担当の病院や福祉施設を回り、商品知識、営業としてのお客さまとの接し方、社会人としての振る舞い方まで今の基盤となるあらゆる常識を学ばせていただきました。支店初の女性営業だったので、先輩もどこまで厳しくしていいのだろうかと戸惑うことがあったと思いますが、今の私があるのもその先輩のおかげです。荷物が多い時には気を使って『重そうだから持とうか?』と言ってくれたことも。優しさに甘えればいいものを、初めはどこまで甘えて良いのかわからず、『いえ、持てます!』と強がったりもしましたね(笑)。でも、苦手なことは助けてもらい、そのかわりに女性ならではの気配り、心配りをしていこうと、だんだんと気持ちが変わっていきました」

 

2年目になると、病院や施設ではなく、福祉用具を取り扱う販売・レンタル業者に対して営業を行うことになった。パラマウントベッドの商品を販売店に卸すための営業活動だが、「お客さまと一緒に売り上げアップを目指す」という視点で事業に伴走することで、お客さまと信頼関係を築く喜びを知っていった。

「営業は“モノを売る”だけではなく、お客さまの事業成長を目指し、同じ目標を共有することにある。そう知ったのは、福祉用具貸与事業に新規参入した、ある会社の社長との出会いからです。その社長は、まだまだ新米だった私のマーケット情報に真摯(しんし)に耳を傾け、『貴社の顧客層には、こういった福祉用具のニーズがあります。パラマウントベッドの、このような商品を取り入れませんか』といった提案にも、『まずはやってみよう』と行動力を持って取り組んでくださいました。私も期待に応えようと、顧客ニーズに合った接客スタイルや業績アップのための施策を提案するなど、社長と一緒になって事業成長を考えていった結果、会社の業績は右肩上がりで伸び、私の営業成績も好調に。何より、提案を通して営業の仕事の幅が広がったことが、大きな財産となりました」

 

9年目まで、担当エリアが埼玉県から新潟県、栃木県へと変わりながらも、在宅ケア向け製品の営業を続ける中で「商品を売りに行く」のではなく、お客さまの事業成長のために「自分ができる提案をする」という明確な軸ができたと話す。

「お客さまが社内の人材育成に悩んでいると知れば、自分が受けた研修やマネジメント教育について共有し、経営者同士の交流が少ないという声を聞けば、自分が担当する経営者のお客さまをエリアがかぶらないように他県から数人、食事に誘い、お互いの悩みを共有できるような機会を設けました。担当を離れた今でも食事会は続き、ほかでは相談できないような悩みを言い合う仲になっているようです。お客さまのことを真剣に考えて行動すれば固い信頼が生まれ、商品を提案した際に『柴田さんが言うことなら』と受け入れていただけるようになる。それが営業の醍醐味(だいごみ)なんじゃないかと思います」

 

10年目に第1子を出産。現在は、社内初の「営業職で復帰したワーキングマザー」として、5歳と2歳の息子の子育てをしながら、時短勤務で在宅ケア向け製品の営業を続けている。仕事を通じて成長させてもらったという思いが強く、結婚、出産を経て、仕事を辞める選択肢はなかったという。

「営業としてワーキングマザーの先輩はいませんでしたが、お客さまにはワーキングマザーも多く、病院の看護師さんや介護スタッフさんも女性が大半でした。第1子出産後に施設向け製品の営業として復帰し、担当していたある病院では、2児の母の事務長がいました。息子さんを2人、社会人まで育て上げた人生の大先輩で、私の子どもが体調を崩して訪問をキャンセルした際も、経験者ならではの温かい言葉をかけてくださいましたし、いろいろなアドバイスも頂きました。社内の理解はもちろん、お客さまに勇気づけられたこともいっぱいありましたね」

 

今所属するホームケア課では、在宅ケア向け製品の営業の軸である介護保険市場にかかわりながら、一般市場向けの電動ベッドの販路を広げる営業活動も積極的に行っている。家具店への新規開拓営業で、「リラックスできる電動ベッド」を取り扱ってもらうなど、新しい分野へのチャレンジを進めているという。

「『チームで協力し合おう』という課の方針の下、稼働時間、担当顧客数など、さまざまな点で配慮してもらっています。例えば、ケアマネージャー(介護支援専門員)への商品勉強会が遅い時間に開催される際はメンバーに任せ、情報共有は電話やメールで行っています。2015年4月からは、新入社員の教育担当として人材育成に携わり、『何があってもメンバーの味方でいよう』『本音で接しよう』など、考えられることも増えました」

 

今や営業メンバー7人中、4人が女性と、柴田さんが新人だった時代から様変わりしている。性差を意識せず、それぞれの個性を見ていきたいと話す。

「私がワーキングマザーとして働き続けることで、『あの人ができるなら、私にもできる』と思ってくれる後輩が増えてくれれば。そんな思いで背中を見せていきたいですね」

 

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福祉用具貸与事業者のお客さまに実際にベッドに寝てもらい、操作方法をレクチャー。快適さを体感してもらう。

 

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家具店への販路を広げるため、作成した提案書についてメンバーと意見を交換する。

 

柴田さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目、さいたま支店営業一課に配属され、長野県の施設向け製品の営業を担当

配属前の1カ月研修で、今も仲良しの同期と共同生活。千葉工場での研修では、原材料の加工から組み立てまでを国内自社工場で一貫生産している現場を経験して、パラマウントベッドの品質へのこだわり、安心・安全への高い意識を実感した。研修後、官公立病院や福祉施設の営業に配属され、半年後には先輩同行ではなく一人で営業に行くようになった。「長野県の特別養護老人ホームや病院を訪問し、ベッド周りでの安全対策についての提案などを行いました。知らない土地を一人で回り、山奥で道に迷ったことも今ではいい思い出です(笑)」。

STEP2 入社4年目、さいたま支店ホームケア課に配属。新潟県の在宅ケア向け製品の営業担当に

福祉用具貸与事業者への営業として、新潟県を一人で担当。ベッドを売るだけではなく、「どうしたらお客さまの業績を伸ばせるか、そのために自分は何ができるだろうか」と考えるようになった。経営にかかわる相談を受けることも増え、仕事の幅の広がりを感じたという。「社内においても、会社の今後の方向性を考える新規プロジェクトや新商品プロジェクトに参加させてもらいました。全国から集まった優秀な先輩たちから、他エリアの市況や独自の取り組みについて話を聞き、とてもいい刺激となりましたね」。

STEP3 入社10年目、第1子出産。産休・育休取得後に施設向け製品の営業として復帰

会社初のワーキングマザーとして復帰した際は、上司や同僚と共に試行錯誤しながら働き方を考えていった。「既存の病院や福祉施設を回り、使用している当社商品の更新業務を担当しました。今後も継続してご利用いただけるよう、安心・安全な療養環境の提案や、お客さまの抱える問題点を見つけて解決するのが仕事です。単にベッドを販売するだけでなく、病院やパブリックスペースの床、壁、天井などの内装の改修をはじめ、壁紙からカーテン、家具、絵画にいたるまでトータルでご提案する『リモデル』に取り組み、患者さんやそのご家族が快適に過ごせるお部屋にするべく力を注ぎました」。

STEP4 入社13年目、第2子出産。産休・育休を経て、現職に復帰

育休中は子どもたちとの時間を満喫。「リモデル」の仕事でインテリアにもかかわったことから、「カラーコーディネーター検定試験(R)2級」の資格を育休中に取得した。「夜泣きの合間、静かな時間を見つけて勉強する毎日。思っていた以上に大変でしたが、何か少しでも吸収しておきたいという思いで、乗り切りました」。現在は、新人教育担当として、営業活動のほかに、さまざまな業務の相談に乗ることが多い。社内でのミーティングはもちろん、移動中や訪問の合間に、帰宅後にも、電話やメールを活用してリアルタイムに情報を共有するという。「家では、電話の間も、私の周りで子どもたちが走り回ったり泣いていたりとすごく騒がしくて、申し訳ないなと思うこともあります。でも、メンバーは皆よく理解してくれて協力的。ありがたいですね」。

ある一日のスケジュール

5:30 起床。メールチェックなどの事務仕事を終え、朝食、身支度、保育園の準備。
7:00 朝食。平日は夫の帰りが遅いため、朝の食卓が、家族4人がそろう貴重な時間。
8:00 子どもたちを保育園に送り、営業先へ直行。
9:00 担当する福祉用具貸与事業者を数件訪問。市場動向について情報交換、新製品の紹介などを行う。
12:00 ランチ。お客さまと一緒に食事をすることもしばしば。営業先でのおいしいお店の開拓も楽しみの一つ。
13:00 居宅介護支援事業所にて、ケアマネージャーへの勉強会を実施。
14:30 担当する家具店へ。商品バイヤーと新店舗での展示についての打ち合わせ。
16:00 帰社、事務処理、提案書などの資料作成。
17:00 退社。電話で新入社員から活動の報告、相談などを受ける。
18:00 保育園へお迎え。
19:00 夕食・入浴後、子どもたちとの遊びの時間。
21:30 子どもたちを寝かしつけ(一緒に寝てしまうことも)。
23:00 就寝。

 

柴田さんのプライベート

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2015年10月、長男の七五三にて。息子たちが元気に成長してくれることが何よりの喜び!

 

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休日、天気のいい日はお弁当を持ってピクニック(写真は2015年9月)。夏は子どもたちが大好きな虫探しにひたすら付き合うことも…。

 

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家族の誕生日やクリスマスなどのイベントごとには、いつも息子たちとケーキを手作り(写真は2015年のクリスマスパーティーのもの)。大好きなイチゴを、長男がたっぷりとデコレーション。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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