WOMAN'S CAREER

Vol.188 株式会社コスモスイニシア

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たかさき・まゆみ●レジデンシャル本部 流通事業部 リニューアルマンション部 二課 課長。神奈川県出身。37歳。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2001年入社。現在、夫と6歳の息子と3人暮らし。

新築マンションから中古マンションのリノベーションまで、あらゆる物件を世に提供する

分譲マンション累計供給戸数10万戸を突破し、業界でも高い実績を誇る不動産デベロッパー、コスモスイニシア。就職活動時、不動産についてまったく無知だったと話す髙嵜さんが入社を決めたのは、「人生で一番大きな買い物のお手伝い」という仕事に興味を抱いたからだった。
「やりたい仕事も行きたい会社もわからないというのが、当時の本音でした。ただ、飲食店でのアルバイト経験から、お客さまをその瞬間だけのサービスで満足させるのではなく、相手と深く長く関係を築くような接客をしたいという気持ちがありました。コスモスイニシアの会社説明会でマンション営業の話を聞いた時、『人生最大のお買い物』を提案する仕事は、自分が求めていたお客さまとの関係を築けるものではないかとピンときたんです」

 

入社後、すぐに新築マンションの営業担当となり、入社10年目に長男を出産するまで、数々の新築物件を担当してきた。1年目は、担当する物件のチラシを自ら作成し、徒歩と自転車で地道にポスト投函するところから始まった。新人は、自分で開拓したお客さまは自分で担当できるというルールがあり、開拓方法は個人の判断に任されていたという。
「チラシはワードアートで作成して、手作り感満載(笑)。今では法的にも社内ルール上もNGだと思いますが、ローン返済を1日単位で計算すると、1000円ちょっとなので『毎日のランチを手作り弁当にしたら、マンションが買えますよ』なんてキャッチコピーを考えたりして、すごく自由な環境でした。上司が『うちの新人が面白いコピー考えましたよ』と周りに伝えて話題にしてくれることも多く、泥臭い仕事も楽しくできていましたね」

 

若いうちからどんどん裁量権を与えるコスモスイニシアでは、2年目、3年目にはプロジェクトマネージャー(PM)を任されるケースが少なくない。髙嵜さんも2年目の後半に、リニューアルマンションのPMに抜擢(ばってき)され、販売を専門に行うリビングアドバイザーと数名のチームを組み、1棟のプロジェクトを担当。短期間に完売させた実績で全社表彰を受けた。
「PMに任される業務範囲は広く、物件の広告作成、モデルルームの家具手配、備品購入、リビングアドバイザーの業務分担、経費管理、社内への稟議書(りんぎしょ)作成など多岐にわたります。まるで、小さな会社の経営者のよう。2年目の私では、まだできることの方が少ないので、経験のあるリビングアドバイザーに教えてもらいながら業務を進めていきました。仕事のスピードだけは意識していましたが、短期間で完売できたのは、周りがサポートしてくれたおかげです」

 

400戸近い大型物件をはじめ、都心から郊外までさまざまな物件に携わった中、最も印象的だったのが、9年目に担当したある物件だった。それは、高嵜さんから見ると決して住環境のよいとは思えない郊外の新築マンション。2月の販売開始から完売目標の9月末まで1カ月を切った段階で、6割しか売れていない状況だった。
「当時のコスモスイニシアは『半期ごとに完成在庫を持たない(半期終了時には物件が完売)』経営を続けてきたことで、社会的な信頼を築いてきました。ですので、9月末での完売は全社的に必須。プレッシャーは日に日に大きくなっていきました。他支社や本社から応援に駆け付けてくれたメンバーと早朝から駅前でティッシュを配ったり、チラシを作成したり、必死に動いていた時、ふと、完売した時のことをイメージしてみようと思いました。すると、残っている各部屋をどんなお客さまが購入するか、とても具体的なイメージが浮かんできたんです。『この50平方メートルの部屋は、こんなご夫婦が住むんだろうな』と絵が描けると、そのご夫婦に届くようなチラシを作れていなかったことに気づきました。1戸1戸それぞれのチラシを作成し、お客さまに対しても、購入後の生活イメージを想像しながら説明すると、2週間の間にすべての物件が売れていくという奇跡のような出来事が起こりました。そして、忘れもしない期末の最終日である9月30日に、最後の1戸が売れて完売となったのです。『ゴールからの逆算で考えた』初めての成功体験であり、『想像できることは必ず実現する』と思えた鮮烈な経験となりました」

 

担当する物件の中には、購入されるお客さまをすぐイメージできる“売りやすい物件”もあれば、なかなかイメージが描けない“売りにくい物件”もある。お客さまに納得してもらえるストーリーを描き、それをプロジェクトメンバーに伝え、共有していくことが、PMの大切な仕事だと髙嵜さんは言う。
「どんな物件にもいいところがあります。その要素を探し伝え続けるのが、マンションを提供する側としてやるべきことです。例えば、都心へのアクセスはいいけれど、少し無機質な環境にある新築マンションだとしたら、利便性を重視した共働き夫婦には魅力的な物件になるかもしれません。その場合、例えば共働きの人に便利な『家事代行サービス』をご用意すれば、ニーズに合うのではないかなど、お客さまの生活を具体的にイメージすることがとても大切です。物件のプラスの側面にフォーカスし、そこに住んでいるお客さまの姿を想像しお伝えすることができれば、一見魅力のわかりにくい物件でもご購入いただけるのだと思います」

 

入社10年目に1年半の産休・育休を取得後、時短勤務で復帰した髙嵜さん。14年目からフルタイム勤務に切り替え、現在は、中古区分マンションのリノベーション企画とプロモーションを担当している。新築マンションの販売とは違い、場所も築年も施工方法もそれぞれ異なるマンションの一室を買い取り、リノベーションして販売することで、中古マンションに新たな価値を生み出していく。未成熟の事業で課題は多いが、「中古市場の価値を高めること」が、長期的な目標だ。
「日本の不動産市場では、新築マンションを買えない人が中古マンションを買う、という風潮がありますが、それを積極的に壊していきたいんです。築40年を超える古い物件が施工によって生まれ変わる様子はとても感動的で、古き良きものを生かしながら新しい価値を作っていくことに社会的意義を感じています。リノベーション事業は3年前に始まったばかりでまだまだ規模も小さいのですが、当社が10万戸の新築マンション分譲で培ったノウハウを生かし、コスモスイニシアならではのブランドラインナップをそろえていくのが目下の課題。私たちの商品のファンになっていただける人を増やすために、どんなターゲット層にどんなブランドイメージを届けるべきか、戦略から練っていくのがとても面白いですね」

 

入社以来、周りから与えられた課題を達成し、期待に応えることに一生懸命だったと話す髙嵜さん。6人のメンバーを持つ課長になった今、自分が後輩に何を残せるかを考えるようになったという。
「現在の部署は、私以外みんな建築のプロ。中古マーケットについても私より詳しいし、業務上教わることの方が断然多いんです。その中で、自分は後輩のどんな相談に乗ってあげられるだろう、どんな道を示せば良いだろうと模索しながらチーム作りを考えています。私自身、居心地のよい環境を周りに作ってもらい、育てられてきたから今がある。これからは、返す側になりたいなと思っています」

 

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新しく仕入れた物件に向かう。リノベーションの施工プランを考えるには、実際の部屋を見ながら施工会社と細かく詰める必要がある。

 

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課内ミーティング。コスモスイニシアのリノベーションは何を大切にしていくのか、どういう商品を作るのか、お客さまにどんな価値を提供したいのかなど、大枠のブランディングを形にするため、意見を交わす。

 

髙嵜さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目、新築マンション販売の部署に配属される

入社後、数日の研修を経てすぐに現場へ。チラシ作成、ポスト投函などの新規開拓の数カ月後には、モデルルームに訪れたお客さまを担当するようになり、営業ノウハウを実践的に積んでいった。「お客さまが新居を探す背景や思いをじっくり聞くのが営業なのですが、当時は、自分の方から話してばかりでした。お客さまの気持ちを聞かないまま、『こんないい物件があるんです』とご案内したり、お客さまが求めていた間取りの部屋が売れてしまった時、お客さまのお気持ちも聞かずに『こっちの間取りはどうですか』などとお勧めしたり…。インプットしたことを伝えるだけの姿勢をお客さまに叱責され、自分のふがいなさに泣いたことも苦い思い出です」。

STEP2 入社2年目より、プロジェクトマネージャーとして物件管理を任される

大型物件に配属されることも多く、完売するまで2年間、ひとつの物件を担当したこともある。400戸あるマンションでは、400世帯全員の名前を覚え「○号室を購入した者です」と電話が入れば「○○さんですね。こんにちは」と即答して驚かれた。「購入されて時間がたってから、お客さまに『本当に買ってよかった』と言っていただけると、お客さまの幸せをサポートできたかなとうれしくなります。手紙や年賀状のやりとりが続いているお客さまもいてその方とご家族の人生にかかわれていることは、この仕事の大きな喜びです」。

STEP3 入社9年目、販売難易度の高かった新築物件を完売

売れ行きが伸び悩んでいた郊外の新築物件を担当し、完売目標が迫るラスト1カ月で達成した。「どうしたら売れるのかわからず、チームがバラバラだった時期もありました。実力があるのに数字が上がらず悩んでいたリビングアドバイザーに、ちょっとした仕事を丁寧なフォローなくお願いしたことで、『売れないから、販売業務とは関係ない仕事を頼まれたのだ』と、深く傷つけてしまったことがありました。その時フォローしてくれたほかのリビングアドバイザーに『あなたに悪気がなかったことはわかる。でも、人は人であって、髙嵜さんの感性とは違うから、その人に合った対応をしなくちゃいけないよね』と諭されました。この『人は人、自分とは違う』という言葉を今でも強く覚えており、その後は誰とかかわる際も『この人はどう考えるだろう』と相手の気持ちになって考えることを意識するようになりました」。

STEP4 入社10年目、1年半の産休育休後、職場復帰

育休中は、子育てと自分の勉強にじっくり向かう時間を過ごした。10時から17時半の時短勤務で営業推進課(現・事業推進課)に復帰し、物件のコンセプト作成を手がけるプロモーション業務を担当したのち、フルタイム勤務に切り替え、入社15年目に現職へ。「出産前から復帰するつもりではいましたが、育休中の子どもといる時間の穏やかさが心地よく、仕事に戻る必要はあるだろうかと悩んだこともあります。時短勤務を選んだのも、子どもを最優先にして、仕事はできる範囲でやろうという気持ちがあったから。でも1年ほどすると、『時短だからこれくらいでいいか』と甘えている自分に居心地の悪さを感じるようになりました。つい楽な方向に流れてしまう性格なもので…息子が(体調不良などで)保育園を休む頻度も減ってきたので、2014年10月から18時半までのフルタイム勤務に切り替えました」。

ある一日のスケジュール

6:00 起床。身支度を済ませる。
7:45 家族で朝食後、出勤。保育園の送りは夫が担当。
8:30 出社。一日にやることをリストアップ。
9:00 部会で案件情報の共有。
10:00 ブランディングの方向性を決める社内会議。
11:30 ランチ。
12:30 外出。新しく仕入れた物件をどうリノベーションするか、現地で部屋を見ながら、施工会社や販売会社と戦略会議。メールは移動中にチェック。
15:30 帰社。経営報告用の資料の草案を作成。
16:30 販売中の物件の進捗状況を担当各位にヒアリング。お客さまの反響を基に、必要に応じて販売戦略を見直す。
17:30 広告代理店と、準備中の新ブランドのコンセプトについて打ち合わせ。
18:30 退社し、息子を保育園に迎えに行く。
20:00 買い物しながら帰宅後、夕食。
22:00 子どもを寝かしつけ。
24:00 家事や読書後、就寝。

高嵜さんのプライベート 

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2014年10月に山中湖へ。息子とバギーを楽しんだ。子どもの遊びに“付き合う”のではなく、自分も楽しめるものを選び一緒になって全力で遊ぶ。

 

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休日は、自転車に乗りたくてたまらない息子と一緒に緑あふれる公園へ。自然の中に身を置くことがいいリフレッシュになっている。

 

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2015年7月、家族で奄美大島へ。初めてのカヌー挑戦に、冒険感のあるものが好きな息子は大興奮。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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