WOMAN'S CAREER

Vol.191 小田急不動産株式会社

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かたぎり・よしみ●住宅事業本部 住宅販売部 販売計画グループ チーフ。33歳。神奈川県出身。東京家政学院大学家政学部住居学科卒業。2006年入社。夫と1歳の息子と3人暮らし。

お客さまの生の声を社内に届ける存在でいたい

小さいころから、家の設計や内装デザインに興味を持っていたという片桐佳実さん。就職活動では不動産会社やハウスメーカー、内装デザインを手がける会社などを回り、“住”を支えるものづくりに携わりたいと思っていた。
「実家が自営業で、小学生の時に店舗の内装デザインや建て替えを検討することがありました。両親に連れられて住宅展示場に行ったり、設計業者の方との打ち合わせに同席したりすることが楽しくて『将来は、家やお店づくりをしたいな』と漠然と考えていました。不動産会社の中でも当社に決めたのは、生まれも育ちも小田急線沿線だったから。親近感もあり、出会う社員が皆温かい。そのイメージは、入社してからも変わりません」

 

小田急不動産は、約100社から成る小田急グループの住関連分野の中核企業。「分譲業」「賃貸業」「仲介業」を主体とする総合不動産会社として、小田急線沿線の物件を中心に約50年にわたって事業を展開してきた。入社後、片桐さんが配属されたのは新築分譲物件を手がける住宅販売部販売グループ。製販一体で動く部内には、用地仕入れを担当する「住宅開発グループ」、物件の企画・設計を担当する「商品計画グループ」、建物の品質の維持・向上を行う「品質管理グループ」、物件の広告宣伝を行う「販売計画グループ」、営業部隊である「住宅販売グループ」、そして購入後のお客さまをサポートする「アフターサービスグループ」の6つがあり、物件のフェーズに応じてグループ間のメンバーが連携しながら動いていく。片桐さんは販売グループとして、戸建てからマンションまで、多くの物件の営業活動を担当した。
「入社後1カ月半は研修期間として、不動産の基本的な知識を学んでいきます。研修期間中も営業活動を実践的に学ぶため、モデルルームを訪れたお客さまに対応するなど、仕事のイロハを身につけていきました。初めての成約は、その研修期間中のこと。担当した小田急線沿線・秦野(はだの)駅(神奈川県)の大型物件は、ちょうど販売をスタートした時期で、タイミングがうまく重なった結果でした。それでも、お客さまと関係を築き『片桐さんから買いたい』と言っていただけるのがうれしくて、営業ってなんて面白い仕事だろうとのめり込みました」

 

入社3年目には、販売グループメンバーのチーフとして新築物件を仕切る役割を任され、各メンバーの強みやお客さまの特徴をしっかり理解した上で、どうコミュニケーションを重ねるべきかをアドバイスする立場になった。同時に、把握すべき情報の多さに戸惑いもあった。
「家という大きな買い物を勧め、決意してもらうプロセスにおいて、営業担当はそのお客さまを詳しく知る必要があります。仕事内容や家族構成、将来のライフプラン、生活において譲れない価値観のほか、収入や借金の有無まで。その上で、物件をどう提案していくのかを決めるので、目の前のお客さまに対応するだけでも大変です。チーフは、自分のお客さまも担当しながら、全体をマネジメントする仕事なので、戸建て物件では4~5人、マンションでは8~10人のメンバー全員の売り上げの進捗状況を把握しなくてはいけません。担当する物件も、小田原(神奈川県)に近い自然豊かな場所の戸建てから、ビジネス街に近い都心のマンションまでさまざまで、エリアや物件によってターゲット層がまったく異なります。お客さまによっては、共通の接点を見いだしながらコミュニケーションを取る方がいい場合もあれば、相手への敬意をしっかりと伝えて理解を示す姿勢が好印象に取られる場合まで、ケースバイケース。お客さまのタイプをメンバーと密に共有する必要があり、情報量の多さに慣れるまでに時間がかかりましたね」

 

ほかにも、販売計画グループと連携を取りながら、どのエリアにどんな広告を出すと効果的か、戦略立案にも携わった。営業を始めた1年目から「数字を意識しろ」と言われてきたことが、この時になって非常に生きたという。
「先輩や上司から、『自分の担当物件に、広告費がどれくらい使われているのか、そのためにどれだけの人が動いているのか考えなさい』といつも言われていました。用地仕入れから、購入後のアフターサービスまで全体の業務をきちんと見ていると、お客さまに対応する際の責任の感じ方が違います。他グループのメンバーとのコミュニケーションを心がけていたので、グループ間の連携も円滑に進めることができました」

 

営業を7年経験したのち、次に配属されたのは商品計画グループ。用地仕入れ後に物件を担当し、企画・設計を行う戸建て専門の部署だった。設計会社の専門家たちとの家づくりは、仕事を進めながら学ぶことが多かったが、7年間の営業経験から得たヒントも大いに役立ったという。
「営業時代、お客さまから『この空間がもったいない』『ここに壁がなければリビングがもっと広くなるのに』『もう少し窓が大きかったらよかったのに』といったさまざまな声を頂いていました。現場の生の意見をたくさん聞いてきたからこそ、設計のプロと対等に意見を交わすことができ、実際の設計に意見を反映させたケースもありました。一方、配管や断熱材の入れ方によって、設計上どうしても造らなくてはいけない壁や空間もあります。その際は『こういう理由からこの空間ができてしまった』と現場の営業担当に丁寧に伝え、お客さまに納得感をもって話せるようにフォローしていきました。営業経験があるからこそ、設計上の理由がわかっていればお客さまにもご案内しやすいだろうと想像することができる。商品計画グループと販売グループをつなぐパイプ役でいたいと思いながら仕事をしていました」

 

その後、1年2カ月の産休・育休を経て、2016年5月に時短勤務で復帰した片桐さん。現在は、営業をサポートするWebサイトの運営のほか、18年に10周年を迎える自社の新築分譲住宅ブランド「LEAFIA(リーフィア)」の浸透と会員育成を担当している。
「スマートフォンやタブレットで物件情報にアクセスする客層は、今や全体の半数を超えています。Webサイトの担当になって初めて、営業サポートとしてできることがたくさんあると気づきました。私たちの最大のミッションは、潜在顧客層に対して効果的なWeb広告を行い当社の顧客化を図り物件への送客を行うこと。実作業を2名という少人数で行っているので、今後はマーケティング・オートメーション(購買行動の段階に合わせたマーケティング活動を効率的に行うソリューションツール)の導入などを進め、Webサイトによる販売促進戦略をより効率的に、しっかり成果につなげるように仕組み化していきたいですね」

 

入社以来一貫して、新築物件を担当し、さまざまなグループ業務を担当してきた。その経験から、「事業部内のコミュニケーションをつなぐ懸け橋でありたい」というのが、片桐さんの思いだ。
「営業だった時に感じていた物件への疑問は、設計に携わって解消されました。Web開発を手がける今、こんな機能があれば営業はもっと売りやすいはずだと気づくことがたくさんあります。今まで携わった部署のそれぞれの視点を持っているからこそ、他部署からの相談に応じやすくなり、業務改善につなげるヒントを見つけられるのではないかと思っています」

 

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新築分譲住宅ブランド「LEAFIA」の会員向けに、メルマガを作成。配信する物件情報を確認する。

 

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「LEAFIA」の新たな広告展開について、チームメンバーと打ち合わせ。

 

片桐さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目、住宅事業本部住宅販売部第1販売グループに配属される

入社後、1カ月半の新人研修期間中に、大規模分譲戸建の成約をとり、営業の楽しさを知る。「研修後も、契約時の細かなところは、先輩にフォローしてもらいながら仕事を覚えていきました。仕事ができる先輩にしてみれば、新人である私に任せるのは忍耐力が必要だったと思います。それでも、お客さまとどう信頼関係を築くべきか、『答えを教える』のではなく『自分の頭で考えさせる』ように、いつもヒントやアドバイスだけにとどめ、自主性を大切にしてくれました。自分で答えを見つけたことには能動的に取り組める。そう経験できた、貴重な新人時代でした」。

STEP2 入社3年目、同グループのチーフとしてマネジメントを任される

販売グループのチーフとして、戸建て物件の際は4~5人のメンバーを、新築マンションを担当する際は8~10人のメンバーを束ねた。「都心のマンションを担当した際、順調な販売成績を挙げていたメンバーがスランプに陥ったことがありました。都心の高価格帯のマンションの場合、年収が高く、勤務先で上の役職に就いているお客さまが多くいらっしゃいます。お客さまとの信頼関係を構築するためには、尊敬の気持ちをしっかり表現した上で話を聞くことが大切。『私もそうでした』『わかります』と、気軽に共感の言葉を口にすることが逆効果になる場合もあり、コミュニケーション上、意識すべきことをメンバーと共有していきました。一方、お客さまの要望をすべて聞いていては、購入後のアフターサービス担当メンバーが『営業担当は全部やってくれたのに』と比較されて苦労する可能性もあります。できることとできないことをはっきりと伝える強さも大切だと教えていきました」。

STEP3 入社8年目、住宅事業本部商品計画部第2商品計画グループに異動

商品計画グループに異動し、住宅開発グループから引き継いだ物件の設計を担当。物件が決まると、2~3カ月かけて販売ターゲット層を具体的に想定していく。そのために、地域住民を対象にライフスタイルに関するアンケートを実施し、回答結果を分析したり、住民数名に協力してもらい座談会を開いて、リアルな声を集めたりとやることはたくさんある。アンケートが難しい場合は、これまで販売してきた物件の中から、親和性の高い物件の購入者情報を分析し、ターゲット像を絞り込む。その後、設計会社とデザインを詰めていく。「営業時代、部屋に入ったお客さまの心をつかむのは『玄関に足を踏み入れた瞬間』だと感じていました。その経験から、設計を考える際も、家に入った時に感じる部屋の開放感、玄関の広さや使いやすさを重視できないかと提案していきました。設計についての知識が足りず、周りに教わることの方が多かったものの、7年間の営業経験から『お客さまの生の声』を届けることができました」。

STEP4 入社10年目、1年2カ月の産休・育休を経て現部署へ

2015年に息子を出産し、1年2カ月間、仕事を離れたのち、9:30~16:30までの時短勤務で復帰。「残業もできず、仕事も持ち帰れないので、時間内にいかに効率的に動くかを今まで以上に考えるようになりました。聞きなれないカタカナ(Webの専門用語)の知識がまだまだ追いついていなくて、覚えることはたくさんあります。Webから営業へアシストする方法はたくさんあり、より当社に合ったWeb施策を検討し進めていく予定です。Webマーケティング領域は組織としても、成長の余地があり楽しみです」。

ある一日のスケジュール

6:00 起床。朝食を食べる。やんちゃな息子にお皿をひっくり返されるのは日常茶飯事。
7:50 夫が息子を保育園に連れていく。その間に夕食の準備。
9:30 出社しメールチェック。Web開発メンバーと進捗状況共有。
11:00 システム開発会社と打ち合わせ。Webサイトの設計について意見を交わす。
12:00 ランチ。
13:00 自社ブランドLEAFIAの広告戦略について社内で打ち合わせ。
15:00 外部のセミナーに参加。新しいWebソフトについて情報を得る。
16:30 退社。
18:00 保育園に迎えに行く。
19:00 夕食。息子をお風呂に入れ、寝かしつけ。
23:00 家事を済ませて就寝。

片桐さんのプライベート

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2015年9月、幼なじみ4人全員がママになった年に大集合(写真左前が片桐さん)。「どんなことでも話せる大切な親友とは、時間がいくらあっても足りません!」。

 

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2016年4月、職場仲間とその家族とお花見。仕事以外でもワイワイ楽しく盛り上がれるメンバー。

 

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2016年5月、動物大好きの息子のために多摩動物公園(東京都日野市)へ。キリンを見て大興奮していたので、キリンのかぶり物をつけて記念写真。しかし、当の息子は嫌がってつけてくれず。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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