WOMAN'S CAREER

Vol.190 株式会社オンワード樫山

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しげふく・ゆみ●商品部 商品課 課長代理 販売促進担当。34歳。東京都出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2004年入社。夫と2人暮らし。

細やかな確認業務が求められた新人時代の経験が、キャリアの軸を作ってくれた

23区、組曲、五大陸など、数多くのオリジナルブランドを育ててきたオンワード樫山。洋服が好きで、大学時代にファッション誌の編集アルバイトをしていたという重福さんは、その「ブランドや職種の幅広さ」に魅力を感じ、入社を決めたという。

 

以来10年間、営業・商品担当として組曲キッズ(子ども服)、レディースライセンスブランドを経験。担当エリアの店舗で、どのアイテムをどれくらいの点数置くべきか判断し、バイイングを行ってきた。華やかなイメージを抱かれがちなバイヤー業務だが、実際は「地道な行動が成果につながる泥臭い仕事」と話す。
「営業・商品担当は、MD(※)による商品会議に参加し、サンプル品を見ながら、自分の担当店舗ではどのアイテムが売れるのかを検討していきます。会議には担当エリア内で好業績をあげている店長も同席し、『これからの季節は、半袖のデザインが売れる』『後ろにボタンがあるトップスは、子どもだと着にくい。(頭から)かぶれるデザインにならないか』など、お客さまのリアルな声が反映されたデザイン修正案が次々と飛び出します。作り手であるMDとデザイナー、売り手である店長らが、ものづくりの最終段階で活発に意見を出し合い、新商品デザインが決定。商品担当は、その中から、売れる商品に目星をつけ、年間予算を考えながら、バイイングするのです。店舗での売れ筋商品はなにか、どんなお客さまが来店されているのかといった現場の状況がわからなければ、バイイングはできません。担当店舗に足しげく通い、販売スタッフとして接客業務につきながら『この店舗では、この洋服がよく動く』などと経験に基づいた知識を増やすことが、何よりも大切です」

 

(※)MD(マーチャンダイザー)。商品開発から販売計画、予算管理などに責任を持ち、商品計画を決定、管理する人

 

入社後半年たったころには、MD会議に出席し、2年目には毎週月曜日にある「店長会」を仕切ることになった重福さん。4年目まで担当していた組曲キッズでは、東京23区以外の関東エリアにある30店舗を管轄しており、30人の店長の前で商品の販売戦略について話すのが、商品担当の仕事だった。
「組曲キッズを買いに来るお客さまは、お子さんがいらっしゃる30代以上の方が多いので、店長さんも皆、お客さま層に合わせて、しっかりと落ち着いたベテランの方がほとんどでした。その30人の前で、前週の売り上げ状況や今週の販売戦略を入社2年目の私が話すのですから、『私なんかが偉そうに…』と毎週逃げたくなるくらい緊張していました。とにかく、できるだけ多くお店に足を運び、店長さんとの信頼関係を築くしかない。そう考え、お店に顔を出しては店長さんに売れ行きをヒアリングしたり、お客さまが最も多く来店する土日に接客をしたりと、現場の声を拾っていきました。社内にいる時は、各店舗の売り上げ状況を品番ごとに細かくチェックし、売れている店舗はほかと何が違うのか、他店舗がマネできることはないか陳列や接客内容を見に行っては分析。店長会で『この店舗は、こんな取り組みをしています』など現場で撮ってきた写真を共有し、接客方法の改善を提案することも。地道な取り組みにより全体の売り上げが上がったときは、『少し認めてもらえたかな』とほっとしたのを覚えています」

 

入社5年目からは、「婦人服ブランドを担当したい」と会社に出していた希望がかない、婦人服ライセンスブランドの営業・商品担当に。それまで担当だった子ども服は、0歳から12歳まで、10cm刻みでサイズが変わり、どのサイズも欠品がでないようにバイイングをコントロールすることが非常に重要だった。「この商品は120cm(のサイズ)が売れる」など、商品の売れ行きに特徴があり、きめ細かな分析と確認をするクセがしっかりと身についていた。一方、婦人服のサイズ展開はS、M、Lが基本。「子ども服で鍛えられたから、スムーズに仕事になじむことができた」と実感したという。

 

現在は、レディースライセンスブランドの営業・商品担当を経て、販売促進を担っている重福さん。海外に本店を持つ人気ブランドのレディース商品を、オンワード樫山がライセンスをとり、日本での販売を手がけているのだ。企画から開発、デザイン、販売まで一貫して社内で行っていたオリジナルブランドの担当から、ライセンスブランドの担当になったことで、仕事の進め方は大きく変わっていったという。
「ライセンスブランドが持つ世界観、デザイン性を大切にした上で、当社としては、日本のマーケットで売れる商品にしていく必要があります。例えば、日本では百貨店で店舗展開し、レディーススーツを積極的に売りたいというニーズがあります。しかし本国で作られるスーツは、スタイリッシュさを重視して、とてもタイトなスカートだったり、生地がかたくてゴージャスだったりと、湿度の高い日本で着るには適さないことが多々あります。そこで、本国と年に2回、直接交渉しているMDに、現場のニーズを報告し、来季以降の商品開発に生かしてもらうのです」

 

販売促進業務では、担当しているライセンスブランドの日本支社と頻繁(ひんぱん)にやりとりし、新たな顧客層の獲得や、既存顧客への新商品提案を進めるため、イベントの企画・実施までを手がけている。
「2015年4月には、東京と大阪で大規模な“オーダー会”を開催しました。オーダー会というのは、常連のお客さまを百貨店内のカスタマーサロンにお呼びして、来シーズンの新商品をご案内するもの。もともと小さなスペースで新商品を展示していたのですが、毎回好評だったことから、もっと大きな会場で開催できないかと企画し、準備を進めていくことになりました。ブランドの世界観を際立たせるように、会場は無機質な空間を選び、照明や映像にもこだわりました。会場内では軽食も用意しますが、料理の内容からドリンクの種類まで細かく検討。商品の選定や陳列方法はもちろん、お客さまにお送りするDM(ダイレクトメール)の紙の質までこだわりぬき、日本支社に一つひとつ提案し、本国から意見をもらうなど、約半年かけて準備しました。イベントには3日間で約100人のお客さまが来場し、オーダー数の大幅アップという結果につなげることができました」

 

今後、課題である新規顧客層の拡大に向けて、「まだまだやれることがある」と意欲を燃やす重福さん。
「当ライセンスブランドは、現在40代が中心顧客となっています。これからは20代にも層を広げ、親しまれるブランドにしていくために、まずは私が、彼女たちの頭の中をのぞきに行かないといけません。雑誌や本にヒントを見つけたり、話題になった場所に足を運んだり。美術館や写真展など、感性を刺激してくれる場所にもよく出かけます。入社以来ずっと、行動することでインプットを増やしてきたので、きっとこれからも、泥臭く行動を積み重ねていくのだと思います」

 

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販促チームのメンバーと、店内で使う備品の生地について話し合う。

 

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ライセンスブランド全体を管理する日本支社へ向かう。さまざまな部門担当者と打ち合わせをするため、週の半分、日本支社に足を運ぶこともある。

 

重福さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目、組曲キッズの営業・商品担当に配属

「この会社はニューヨーク、パリ、ミラノに拠点を持ち、海外ブランドのM&Aにも積極的。仕事で海外に行けるといいな、なんて思っていました」と、華やかなイメージを持って入社。研修期間を経て、組曲キッズの商品担当に配属されると、商品について誰よりも詳しくなるために、店舗に赴き、現場を知る大切さを実感するようになった。「一番混んでいる土日に、担当エリア内の30店舗をローテーションしながら販売スタッフとして接客していました(平日に振替休日を取得)。店長さんたちと『この商品はこんなふうに売りましょう』と、一丸となって動いた結果が数字になって表れると、どんな行動も無駄じゃなかったと感じられ、達成感がありました」。

STEP2 入社5年目、婦人服ライセンスブランドの営業・商品を担当

希望していた婦人服ブランドの商品担当に異動。オンワード樫山では、1年に1度、希望職種などを記した「自己申告書」を提出できる。婦人服を選んだのは、顧客層に近い自分の感性やアイデアを仕事に生かせるのではないかと、期待したから。「子ども服と比較すると、サイズの種類も少なく、近い年代が多い店長さんとのコミュニケーションにもあまり苦労することなく仕事を進めることができました。最初のキャリアを子ども服で積んだことで、商品点数・サイズともに膨大な量を把握し管理する能力を鍛えられていたと実感。力不足な新人をフォローしてくれていた店長さんにもあらためて感謝しました」。

STEP3 入社6年目、レディースライセンスブランドの営業・商品を担当

世界的に有名なアパレルブランドのレディース商品担当になる。長い歴史を持つブランドが、いかに世界観を大切に守って発展してきたのかを目の当たりにした。「細部へのデザイン、生地へのこだわりのほか、店頭での陳列方法、店頭で使うハンガーなどの備品や、お客さまへのご案内資料の紙の質など、ブランドにかかわるすべてのものに徹底的にこだわります。本国との調整には時間もパワーもかかりますが、『日本の市場では、こういう商品が売れる』という当社の知見もきちんと伝えなくてはいけません。『スーツのスカートがあまりに短いと、仕事で着たい女性にとって機能的ではありません』『洗いやすさも服を選ぶ際の大事な基準です』などを、MDに根気よくフィードバックしていきました」。

STEP4 入社11年目、レディースライセンスブランドの販売促進を担当

商品担当の経験を生かし、販売促進業務を担当。日本で行いたいプロモーションを考案し、ブランドの日本支社に提案。本国からの承諾をもらって実施していく全プロセスを、販促チーム3人で担う。「昨今の取り組みとしては、新たな顧客層の獲得のために、百貨店内の通常店舗とは異なるエリアでポップアップ・ショップを開店しました。来店してくださったお客さまに、どんなノベルティを贈れば効果的かなども考えていきます。今後は、SNSを使ったプロモーション戦略にももっと力を入れていきたい。20代のお客さまに、気軽に手にとってもらえるブランドにするにはどうすべきかが、今後の課題です」。

ある一日のスケジュール

7:30 起床。朝食。
9:30 出社。朝会で毎日の売り上げ状況や週の動きについて確認。
10:00 レディースライセンスブランドを管轄する日本支社とメールでやりとり。
12:00 ランチ。同僚と社員食堂へ。
13:00 外出し、担当しているライセンスブランドの日本支社へ。
13:30 SNSの販促プランについて担当者と打ち合わせ。
14:30 別の担当者と今シーズンのカタログ内容について打ち合わせ。
15:30 さらに別の担当者と販促イベント会場の図面について打ち合わせ。
17:00 帰社途中に、担当しているライセンスブランドの店舗に顔を出し、商品の売れ行きをチェック。
18:00 帰社。商品プロモーション資料を作成。
20:00 退社。
21:00 夫と今日の出来事を話しながら夕食。
24:00 就寝。

重福さんのプライベート

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2016年2月、会社のチームメンバーとスペイン・バルセロナへ旅行。写真はガウディのグエル公園。

 

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2014年11月、夫と義理の両親と御殿場にゴルフへ。会社のコンペがきっかけで始め、たまにコースを回るのがいい気分転換になっている。
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2014年5月、大学時代の友人と。今でも会ってはエネルギーをもらう、大切な存在。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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