WOMAN'S CAREER

Vol.219 <前編>株式会社リコー

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今回の取材先 株式会社リコー
デジタル複合機、カラーレーザープリンターをはじめ、ソフトウェア、半導体、撮影者を取り囲む上下左右360度の全方位をワンショットで撮影できる全天球カメラ「RICOH THETA」など幅広い分野の製品を約200の国と地域に展開する精密機器メーカー。デジタル複合機などを利用するオフィス顧客への提供価値拡大と、これまで培ってきたプリンティング技術を商用印刷や産業印刷などオフィス以外に広げることの2つを成長領域に定め、重点的に事業を展開している。
なかむら・まゆみ●研究開発本部 リコーICT研究所 AI応用研究センター ソリューション探索室。神奈川県出身。33歳。電気通信大学大学院情報システム学研究科 社会知能情報学専攻修了。2009年入社。現在、夫と4歳の娘、0歳の息子と4人暮らし。写真は、中村さんのデータ分析を基に業務改革を進める他部署の担当者との打ち合わせの様子。

社内の各部署の業務にかかわるビッグデータを解析し、業務改革に向けた課題の解決に取り組んでいる中村さん。人の行動や動作に関する研究に関心を持ち、研究開発部門で先端技術の応用可能性を探索する仕事から始まり、現在に至るまでのキャリアを振り返ってもらいました。

人の行動や動作に対する関心と、会社の研究分野が合致した

-就職活動時にどのような基準で会社を選びましたか?

最も重視していたのは、「人の行動や動作に関する研究開発を行っていること」です。大学院で災害や事故が起こったときの人の行動を分析し、モデル化する研究を行っていたので、就職先でも人の行動や動作にかかわる研究に、できればデータ分析という観点から携わりたいと考えました。また、「自分自身が楽しく働ける雰囲気が会社や社員にあるか」や、将来は結婚・出産もしたいと考えていたので「女性の働きやすさに関する制度が充実していること」も重視しました。

 

-その上で、リコーへの入社の決め手は何だったのでしょうか?

重視していた3点が最もそろっていた会社だったからです。当時参加したインターンシップの内容が、「働きやすいオフィスを実現するにはオフィスにどのような機能があればいいか、オフィスで働く人を観察して考える」というもので、まさに自分が携わりたい人の行動や動作にかかわるテーマでした。

 

また、選考などで接した社員の方々に対しても「こんな人たちの中でなら、きっと楽しく、幸せに働けそうだな」と感じましたし、女性の働きやすさについても、育休取得者や短時間勤務制度の利用者が一定数いて、離職者数も少なかったので、両立できる可能性が高いだろうと判断しました。

 

先端技術に触れる面白さを感じる一方、市場性を見通した研究を行う難しさを実感

-入社後は研究開発部門に配属されたそうですが、どのような業務を担当されたのですか?

配属されたのは、当社で「可能性探索」と呼ぶ研究を担当する部署です。将来、新しい製品を生み出すことができそうな先端技術について研究するのが役割で、私は先輩と一緒に2つのテーマを担当しました。

 

1つは、人が行っている動作を、その体に装着させた加速度センサーの信号から推定する技術です。産業分野での応用を視野に入れたもので、例えば、加速度センサーによって作業者の動作を正確に把握することで無駄な作業の低減につながることを期待していました。

 

もう1つは、スマートフォンなどに使われるフラットパネルに、あたかもボタンを押しているような感覚を提示する振動を起こす技術です。ちょうど、携帯電話がフィーチャーフォンからスマートフォンに置き換わろうとしている時期だったので、フラットパネルを押した際にボタンを押す感覚が持てた方が使いやすいのではないかという考えから進めていた研究です。

 

-大学院時代の研究とどのような違いを感じましたか?

将来の市場性、すなわち、「どんな製品に応用できて、どのくらいの売り上げが見込めそうか」を説明できるかどうかでテーマの存続が決まるという点ですね。テーマごとに先輩と2〜3人のチームで研究を進め、一定期間ごとに研究を継続すべきか関係者間で検討するのですが、その判断材料の一つが、市場性でした。大学院の研究では考えたことがなかったので、先端技術に触れられる楽しさを感じる一方、大きな市場を描きながら研究を進める難しさを実感しました。

 

データ分析技術を磨くため、社内公募制度を活用して異動

-可能性探索の仕事には3年間携わられたそうですが、その後、どのような経緯で現在の業務に就かれたのでしょうか。

4年目から、電子回路を印刷するプリンターシステムとインクの研究開発を行うチームに入ることになりました。私が担当したのは、液滴(インクの粒子)のシミュレーションとシステム制御プログラムの開発です。これはプリンテッドエレクトロニクスと呼ばれる分野で、当社のプリンティング技術を紙以外への印刷にも広げていくための技術開発という重要な仕事です。

 

ちょうど、研究した技術が製品となって外に出ていく姿まで見たいという思いが生まれていたところだったので、良い経験になるだろうと感じていたのですが、一方で、「人の行動や動作」という自分の興味の対象とは少し離れてしまったなという思いがありました。

 

そうしているうちに5年目に1人目の子どもを妊娠しました(結婚は入社3年目)。産休・育休中に今後のキャリアについてあらためて考えてみたところ、入社当初から希望していたデータ分析に携わり、その技術を磨きたいという思いに至ったんです。

 

6年目に復帰後、その考えを同僚に話していると、「データ分析を通して社内の業務改革を推進する」をミッションに掲げるデータインテリジェンス推進部(現部署の前身となる組織)の社内公募が出ていることを教えてもらって。応募した結果、異動が実現しました。

 

-「データ分析による社内業務改革推進」とはどんなお仕事なのでしょうか?

リコーグループの各部署の業務にかかわるデータ、いわゆるビッグデータを解析して、業務効率改善をはじめとした各部署の課題を明らかにしたり、解決方法を提案したりする仕事です。

 

例えば、当社の基盤事業であるデジタル複合機やレーザープリンターの保守においては、緊急の不具合によって突発的にお客さまの元に保守作業に訪問する頻度をいかにして減らし、計画的に保守作業を進められるかが業務効率の改善の大きな鍵を握っていました。

 

そこで、所属先では、機器の状態や利用状況をインターネット経由でリモート管理していた「@Remote(アットリモート)」という仕組みから取得できる機器の利用状況、また、複合機そのものに組み込まれた多数のセンサーからの信号などを分析して、故障を早期に予兆し、保守を担当する社員があらかじめ計画を組んで保守作業を行えるようにしたりしています。

 

私自身は、異動から2年弱は製品の保守・営業にかかわる課題を、その後、8年目から現在にかけては、人事や総務、経理などのスタッフ部門にかかわる課題を解決するためのデータ分析と提案を担当しています。ただ、当初は可能性探索の仕事との違いに戸惑い、難しさを感じることも多かったですね。

 

中村さんの入社後のキャリアグラフ

これまで紹介した中村さんの社会人1年目からのキャリア、現在に至るまでのプライベートにおける「心の充実度」の変化を、ご自身にグラフにしていただきました。
vol.219_リコー様_キャリアグラフ03
担当業務を通じて感じた課題を踏まえて、次に取り組みたい仕事や身につけたいスキルを考え、社内公募などチャンスがあれば挑戦した。また、産休・育休中は、1人目の時は上司と定期的にメールで連絡を取り合い、2人目の時はテーマの進捗状況や意見交換を行うビデオ会議に定期的に参加し、職場とのつながりを維持した。「どちらも希望制で、やりたい人はやればいいというものですが、私は活用したおかげで復帰後スムーズに業務にあたることができたように思います」。

 

異動当初は「データ分析による社内業務改革推進」の仕事に難しさを感じたという中村さん。後編では、その難しさをどのように乗り越えたのか、また、仕事とプライベートの両立についてうかがいます。

→次回へ続く

(後編 10月27日更新予定)

 

取材・文/浅田夕香 撮影/鈴木慶

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