WOMAN'S CAREER

Vol.222 <後編>外務省

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今回の取材先 外務省
日本の国益を増進し、平和で安定したより豊かな国際社会の構築を目指す外務省。職員は、日本では外交政策を立案する「外務官僚」として、海外駐在中は世界各地の大使館・総領事館などで働く「外交官」として、安全保障や経済、国際的なルールメイキングへの参加や交渉、海外の日本人の保護、日本の正しい姿の発信など多様な課題に取り組んでいる。
やまさき・まりあ●外務省アジア大洋州局 南部アジア部 南西アジア課 課長補佐。東京都出身。30歳。東京大学法学部卒業。2010年入社。現在、夫と4歳の長男と3人暮らし。

前編では、フランスでの在外研修中に長男を出産し、学生生活との両立を続けたことをお話ししてくださった山崎さん。後編ではパリでの勤務や、海外出張の多い南西アジアとの外交担当として活躍しながら、プライベートを充実させて働く工夫をうかがいました。

世界195カ国のユネスコ加盟国代表団と出会い、多角的な視点を身につけた

-在外研修後、現在の仕事に至るまでについて教えてください。

フランスで2年間の在外研修を終えたあと、入省5~6年目は、パリにあるユネスコ日本政府代表部で、世界遺産の登録業務をはじめ文化分野の外交に取り組みました。
研修後の次のキャリアには「日本での勤務」か「在外勤務」の大きく2つの選択肢があります。フランス語を活用した在外勤務の場合、アフリカ諸国での途上国勤務が多いため、1歳の息子を連れて行くのは負担が大きいかもしれないという不安もありました。ただ、せっかく2年もの間学ばせていただいたのだから、習得した語学を活用した仕事をしたいという思いが強く、リスクを覚悟して在外勤務を志望することに。すると、人事部の配慮もあってかパリの勤務となり、一緒に渡仏していた母とともにパリでの生活が始まりました。夫はロンドンでの在外勤務となり、月に1~2回はユーロスター(ロンドンとパリ間を結ぶ国際列車)で片道約2時間かけて家族が集まる生活を2年間過ごしました。

 

当時の業務内容としては具体的に、「明治日本の産業革命遺産」や、「ル・コルビュジエの建築作品」(東京・上野の国立西洋美術館をはじめとした7カ国の17施設)の世界文化遺産登録などに従事。「明治日本の産業革命遺産」は、日韓の歴史問題が複雑にかかわった案件で、外交に携わる者として、さまざまな国や地域の立場を考えながら歴史を学び正しく発信する重要性を、あらためて感じさせられました。
ユネスコには、世界195カ国の加盟国代表団がいます。相手が日本の文化や歴史を必ずしもよく知っているとは限らず、こちらの知識を前提としたコミュニケーションでは関係が深まりません。世界遺産の登録を目指す過程においても、世界全体にとってその遺産の登録はどんな価値があるのかを相手にストンと落ちるように説明する必要があります。また、大国も小国も同じルールの下で議論 を行うマルチ外交では、ルールをよく勉強し活用する姿勢も大事です。そういったマルチ外交の基本姿勢は、ユネスコ代表部勤務時代に共に働いた先輩たちから学び、とても鍛えられました。

 

-パリでの仕事と子育ての両立で、苦労したことはありましたか。

ユネスコ代表部では、周りの職員がみんな子育てをしながら働いていたので、仕事と子育ての両立が当たり前の環境という心強さがありました。また、フランスでは2歳から幼稚園に入ることが権利として保障されているため、いわゆる「待機児童」はいません。幼稚園は自宅から徒歩3分のところにあり、夜の6時まで子どもを預かってくれるため、子育てをしながら仕事をしやすい国だと感じました。私の場合は、母が「フランスで子育てをサポートする」という大きな決断をしてくれたおかげで、全面的に頼り、仕事を続けることができました。東京に帰ってきてからもそうですが、感謝のあまり足を向けて寝られません(笑)。

 

平日は家族総出の子育て態勢。休日は子どもと目いっぱい一緒に過ごす

-現在の仕事内容について教えてください。

ユネスコでの2年間の勤務を経て帰国し、現在は南西アジア課で、インドをはじめ南アジア7カ国との外交を担当しています。
具体的には、2017年7月に発効になった日印原子力協定や、日米印3カ国の協力などを担当。日印原子力協定は、インドに原子力技術の輸出を認め、インドの原発市場への日本企業の参入が可能になるという賛否ある内容だったこともあり、2010年から長い時間をかけて交渉され締結に至ったものでした。国会審議のための資料を作成するために深夜残業した日も数知れず。厳しい審議を通って、無事、日印で協定が交わされた際は、歴史的瞬間に立ち会えたという大きな達成感がありましたね。

 

-仕事と子育てとの両立で、利用した省内制度や働き方の工夫について教えてください。

現在、週に1日はテレワーク勤務(時間や場所を選ばずに働ける勤務形態の一種。在宅勤務)をするようにしているので、その日は朝夕に子どもと過ごす時間をとることができます。「使える制度はどんどん活用しよう」という課の方針もあり、幼稚園への見送りに合わせてフレックスタイム制度を使ったこともあります。柔軟な働き方を選べる課の雰囲気には非常に助けられています。
業務上どうしても海外出張が入ってしまったり、深夜に急な資料づくりが発生したりと、平日に子どもと一緒にいる時間が限られているので、休日は2日間、目いっぱい子どもと過ごすことは欠かさないようにしています。

 

休日は、息子との時間をたっぷりと取る。近所の公園など外で遊ぶことが多い。

 

ある一日のスケジュール

再校_スケジュール(後編)02

インドとは3時間の時差があるため、現地とのやりとりは午後行う。子どもの迎えは母にお願いし、21時前後に帰宅することが多い。

 

取材・文/田中瑠子 撮影/鈴木慶子

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