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理系のシゴトバ

掲載日:2010年12月1日

Vol.36 ゲームマニアもうなる細部までこだわったゲームを開発

バンダイナムコ未来研究所
2010年5月22日に生誕30周年を迎えたアーケードゲーム(業務用ゲーム機)「パックマン」。2005年には「最も成功した業務用ゲーム機」としてギネス・ワールド・レコード社から認定を受けるなど、世界中で人気を博したゲームとしても有名です。その「パックマン」をはじめ「太鼓の達人」シリーズ、さらには「鉄拳」シリーズ(対戦型格闘ゲーム)などの人気アーケードゲームおよび家庭用ゲームを続々と生み出してきたのが、バンダイナムコゲームスです。バンダイナムコゲームスの前身であるナムコ(※)が設立されたのは1955年。同社名誉相談役の中村雅哉氏が、屋上遊園用遊具の製造・管理を手掛けたのをきっかけに、74年にはアーケードゲーム事業に進出、現在ではゲーム機に加え、携帯電話はもちろんiPadのような携帯情報端末へもゲームの提供を行っています。今回は人気ゲームが生み出されている、バンダイナムコゲームスの本社であるバンダイナムコ未来研究所のシゴトバを訪れました。
※2005年9月29日付けで経営統合を行ったバンダイナムコグループの国内組織再編の一環として、2006年3月31日にナムコは、「バンダイナムコゲームス(コンテンツSBUの主幹会社)」と「ナムコ(アミューズメント施設SBUの主幹会社)」の2社に生まれ変わりました(SBUとはストラテジック・ビジネス・ユニットの略。戦略事業単位)。ここでは、この再編以前のナムコを指します。

人気アーケードゲーム「デッドストームパイレーツ」の開発

ゲーム機およびコンテンツの開発拠点でもある未来研究所。同研究所があるのは東京都品川区。東京臨海高速鉄道りんかい線・品川シーサイド駅と京浜急行電鉄青物横丁駅のいずれの駅よりも徒歩8分の距離にあります。品川シーサイド駅は2002年に開業した新しい駅で、再開発してつくられた複合都市「品川シーサイドフォレスト」の名称をとって、駅名がつけられたようです。同研究所の周囲には、オフィスビルやショッピングセンター、集合住宅などがゆったりとした感じで建ち並んでいます。
同社ビルは外観だけでなく内部も特徴的。中央のガラス部分は、大きな吹き抜けとなっています。そんな同研究所を第1スタジオプログラムディビジョン プログラム1部 プログラム1課マネージャーの渡辺一誠さんと、その部下でプログラマーの湊和久さんが案内してくれました。
正面玄関を入って右手には、「パックマン」をはじめとする同社が開発したさまざまなアーケードゲーム機が設置されています。
「ここにゲームを設置しているのは、来社したお客さまにゲームを自由に楽しんでもらうためです。奥のグレーのカバーで包まれたものは、新しく開発したアーケードゲームです。新製品の商談会の場としても、使われたりします」(渡辺さん)
渡辺さんと湊さんが所属するプログラム1部プログラム1課の仕事は、アーケードゲーム機や家庭用ゲーム機向けゲームソフトのプログラミングです。写真は執務エリア。
「ゲームはどんなゲームにするか企画を考えるゲームプランナーと、登場人物などの絵を描くビジュアルデザイナー、ゲーム音楽をつくるサウンドクリエイター、私たちプログラマーがプロジェクトチームを組み、アーケードゲームの場合はさらにハードウェアを開発する部署とも連携しながら開発します。仕事をスムーズに進めるため、執務エリアの席はプロジェクト単位で固まって座ることが多くなっています。とはいえ、ビジュアルデザイナーとサウンドクリエイターはそれぞれ特殊な機械が必要なので、専用フロアに席が設けられていることがほとんど。すぐにコミュニケーションを取れるよう、プログラマーとゲームプランナーは近くの席に座るようにしています」(渡辺さん)

(c)2010 NAMCO BANDAI Games Inc.
「私が現在、担当しているのは『デッドストームパイレーツ』というガンシューティングゲームです。ゲームプログラマーの仕事は得意分野により、ゲームルールのプログラミングと描画系(絵を画面に出す)のプログラミングの大きく2つに分かれます。私が携わっているのはゲームルールのプログラミング。つまりゲームのストーリーやルールをプログラムに実装していくという作業です」(湊さん)
「デッドストームパイレーツ」は2010年4月より全国のゲームセンターで稼働、人気を博しているガンシューティングゲーム。2人1組で揺れるゲーム機に乗り込み、現れる敵をガンで撃ってやっつけることで、壮大な冒険気分を体験できるというゲームです。湊さんは現在、その3D化に取り組んでいるそうです。
プログラミングするのがプログラマーの仕事とはいえ、単にプランナーから渡された仕様書を満たすプログラムを書いていくだけではありません。
「プロジェクトチームで集まって、こうすればより面白いゲームにできるのではないかなど、お互いに意見を出し合っています。プログラマーといえばパソコンの前に座ってプログラミングしているだけと思われがちですが、会議室に集まってミーティングしていることも多いですね」(湊さん)
デスクには2台のモニターが並んでいます。左側のモニターでプログラミングし、右のモニターでできあがったゲームにバグがないか、実際に映像を動かしてチェックします。
「ゲームのプログラミングで一番大変なのはバグを取る(不具合を修正する)ことです。ゲームソフトはビジネスソフトと比較して凝ったものが多く複雑化しているので、一般的にバグが取りにくいのです。画面でチェックしてバグが取れたと思っても、一晩中オートプレイにしておく試験をしてみると、翌朝、バグの影響でゲームが止まっていたりすることもある。中にはバグ探しに2〜3日かかったりすることもあります。バグが見つかると修正する、その繰り返し作業を通してプログラムを完成させていきます」(湊さん)
自席のモニターは3D対応になっていません。3Dゲームの場合は、3D対応のモニターに映し、実際に専用のメガネをかけてその動きを確認します。写真は「デッドストームパイレーツ3D」を映し出し、プログラマーチームで試しているところです。
「ちゃんと3Dになっているか確認するだけではなく、遊んで楽しいかどうか、自分たちがユーザーとなってチェックするんです」(湊さん)

(c)2010 NAMCO BANDAI Games Inc.
「デッドストームパイレーツ」の一ゲーム画面です。3Dの場合は、敵が目の前に迫ってくるので、臨場感がさらに高まり、興奮度もかなりアップします。
ハタラクヒト
技術よりもどれだけゲームへのこだわり、思い入れがあるか
 社員を代表して渡辺さん(写真右)と湊さん(左)に「バンダイナムコ未来研究所とはどんなシゴトバなのか、どんな人たちが働いているのか、どんなやりがい、魅力があるのか」などについて、お話をうかがいました。

 「ゲームが好き、ゲームをつくりたいという思いがあって、入社した人がほとんど。こういうゲームへのこだわりや思い入れがあることが、ゲーム開発者にとって重要なんです」と渡辺さん。

 ゲームソフトを開発する部署だけあって、出身専攻で多いのは情報工学系だそう。しかし渡辺さん、湊さんともに「技術は入社してからでも覚えられる」と言います。
「理系でなければできない仕事というものではありません。あえて必要な知識を挙げるとすれば、高校の数学と物理ですね。とはいえ数学と物理が得意な人たちばかりが集まっているわけでもありませんけど」(湊さん)

 だからこそ、ゲームへのこだわり、思い入れが重要になるとのこと。
「ピアノの弾けない人でも1年間、必死に練習すればそれなりにピアノが弾けるようになると思います。しかしそれだけでは人を感動させるような演奏はできないでしょう。ゲームも同じ。つまり技術だけあっても、人を感動させるようなゲームはできないのです。特にゲームはマニアックなところで評価されるもの。マニアックなところまでこだわるには、ゲームへの思い入れがなければできません。面白くないものをつくれば即、シビアな評価がくだされますし、面白いものをつくれば瞬く間に広がっていきます。自分たちのこだわりがどう評価されるのか。そういう反応を即座に感じられるところが、この仕事の面白さだと思います」(渡辺さん)
「実際にユーザーの反応を確かめられることは、この仕事の面白さでもあり、やりがいにもなります。アーケードゲームの開発では、出荷する前に一部の店舗に試作機を置かせてもらい、お客さまに試してもらうロケーションテストを実施します。自分の開発したゲームで、お客さまが楽しく遊んでいる姿を見ると、バグ取りで苦労したことも忘れられます」(湊さん)

 ゲームへの熱い思いを持っている人たちが集まっているバンダイナムコゲームスの社風について聞いてみました。
「セクショナリズムなどはありません。面白いゲームをつくるため、お互い、率直な意見を言い合えるオープンな環境です」(湊さん)
「先輩だから、上司だからという雰囲気もありません。働きやすいシゴトバだと思います」(渡辺さん)

ヒットゲーム創出をサポートする設備

2階の受付前には、来客者との打ち合わせスペースが広がっています。ここにはカフェ「イタリアン・トマト カフェジュニア」も設置されています。
同じく2階にある会議室フロアです。ゲーム開発の現場ではミーティングが頻繁に開かれています。そのため、多数の会議室が設置されています。
「このフロアには21の会議室と6つのプレゼンテーションルームが設置されています。予約はデスクのコンピュータからできるのですが、すぐにいっぱいになってしまいます。だから打ち合わせが設定されたら、すぐに予約をとることも大切なんです」(渡辺さん)
資料スペースです。ゲーム開発会社だけに資料だけではなく、歴代のゲームソフトやゲーム端末も並んでいます。
「必要な資料は執務エリアにあるので、ここで閲覧するのは過去のもの。古い資料が必要な場合は、ここを利用します」(湊さん)
ファンシアターです。約200人を収容できるそうです。
「入社式やお客さまへの発表会など、大規模なイベントはもちろん、プログラマーだけが集まって行う技術報告会など、さまざまな用途で使われています」(渡辺さん)
食堂です。特徴は「幅広い好みに合うように用意されているメニュー」(渡辺さん)だそう。
「3種類の定食や麺類、パスタなどの通常メニューのほか、毎週水曜日はカレーバイキング、さらに定期的に、日ごろ、食堂では食べられないような料理が出るイベントを実施。マグロの解体ショーが行われたこともありました。カレーバイキングなどはワンコイン(500円)で食べられるのもうれしいですね」(湊さん)

バンダイナムコゲームスにまつわる3つの数字

古くは「パックマン」、最近では「太鼓の達人」や「デッドストームパイレーツ」などの人気アーケードゲームを開発・提供しているバンダイナムコゲームス。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1
86
2
7
3
30000

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取材・文/中村仁美 撮影/臼田尚史 デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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