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理系のシゴトバ

掲載日:2011年11月18日

Vol.56 先進的なICT技術を駆使し、
より使いやすい建設機械を世界へ

コマツ 大阪テクニカルセンタ
油圧ショベルやブルドーザー、タイヤ直径が3メートル以上もある鉱山用超大型ダンプトラック…。世界中の鉱山や建設現場で活躍するさまざまな建設・鉱山機械。それらのグローバル市場で大きなシェアを誇っているのがコマツです。コマツの設立は1921年。43年には国産初となるブルドーザーを開発しました。現在は電子制御・情報通信などのICT技術を駆使し、建機の稼働管理システム「KOMTRAX(コムトラックス)」や大規模鉱山における大型ダンプトラック無人運行システム(AHS)、世界初のハイブリッド油圧ショベルなど、先進的な製品をいち早く実用化しています。また、建機の性能を大きく左右する主要コンポーネントを内製しているのもコマツの特徴です。ディーゼルエンジンや油圧機器、車体制御システムからハイブリッド建機のモーターまで、幅広く自社開発・生産しています。今回は、油圧ショベルやブルドーザーといったコマツの主力機種の開発拠点、大阪テクニカルセンタのシゴトバを訪れました。

次世代に向けた油圧ショベルを開発

大阪テクニカルセンタは、大阪工場(大阪府枚方市)の敷地内にあります。油圧ショベルやブルドーザーなどの開発・生産を行う大阪工場は、グローバルな技術開発・生産改革の発信基地的な役割も担っています。
テクニカルセンタは、2011年5月に開所したばかりの新しい施設。海外の開発・設計部門とのスムーズな連携、試験データのタイムリーな収集などができるよう最新の情報通信技術が導入されているそうです。そのような先進的な環境の中で、中・大型の油圧ショベルやブルドーザーなどの開発・設計が行われています。油圧ショベルの開発・設計とはどんな仕事なのか。その様子を開発本部 建機第一開発センタ 油圧ショベル開発グループの本間卓也さんが紹介してくれました。
執務フロアです。
「このフロアには油圧ショベルをはじめとする建設機械の車体を設計する部署が集まっています」(本間さん)
油圧ショベルは、数万点の多種多様な部品で構成されています。運転席や、足回りに使用される減速機などの重要部品については、部品ごとに設計部門があります。
写真は本間さんが入社以来、設計に携わっている中型油圧ショベル「PC200」。中型といってもかなりの大きさ。幅3メートル、長さ9.5メートル、高さ3メートル、重さは19.5トン。都市土木(道路工事や管工事)や造成工事などに使用され、アジアで高いシェアを誇る、コマツのフラッグシップ機です。
「PC200はコマツを代表する機種。常に、高品質で先進的でなければならないと考えています。5年先、10年先に世に出す次世代のPC200はどうあるべきかについても頭に入れておかなければなりません。燃費を良くする、作業効率を上げる、原価を下げる、より環境に優しくする…。社内でも注目度が高く、多くの部門の思い入れが深いだけに、その調整が大変です。それらを一つひとつ実現するために、日ごろから先輩や他部門の社員など、多くの人たちとコミュニケーションをはかりながら仕事を進めています」(本間さん)
3次元CADを使って、車体の設計をしているところ。すべて自分の席で作業ができるようになっています。
「重要なコンポーネントに関しては、それぞれの専門部署に仕様を提出し、設計を依頼します。そして各コンポーネントを組み合わせ、車体全体の性能として見たときに良いかどうかを確認します。それが車体設計者の役割です」(本間さん)
VR(バーチャルリアリティ)ルームです。導入されているのは4面VRシステム。実物大の大きさで投影できるよう、大規模なスクリーンが設置されています。利用する際は、3Dメガネを装着します。
「例えばエアクリーナーという部品は、定期的な交換が義務付けられています。実際に交換しやすいかどうかは、パソコンの3次元CADの画面では確かめることができません。しかしVRルームであれば、実物と同じ大きさ、しかも3次元で仮想的に再現できるので、まるでそこに実物の油圧ショベルがあるかのように、エアクリーナーの交換を試すことができます。試作品をつくる前に、使いにくいところや、変更すべき箇所がないかを詳細に評価・確認ができる。これにより、お客さまにとって、より使いやすい油圧ショベルが開発できることはもちろん、設計業務の効率を高め、開発期間の短縮にもなります」(本間さん)
「車体設計といっても、設計者だけで行うわけではありません。設計した図面を画面に映しながら、生産、品質保証、営業やアフターサービス部門などいろいろな部署の意見を求めます。私たち設計者の役割は、アイデアの種をまき、異なる立場の人たちから出されたそれぞれのニーズをくみ取り、形にしていくこと。例えば組み立て性能を上げてほしいというニーズを満たそうとすると、コストが上がるというように、ニーズの中には相反するものも当然ある。さまざまな視点から出たニーズをまとめ、みんなが納得するようなかたちで製品をつくり上げていけるように調整していきます」(本間さん)
「他部門の人たちとうまく仕事をするためには、いろいろな部署に足を運び、会って直接話すことが欠かせません。例えば、試作品製作をお願いするときなどは、生産現場に行き、担当者と話をします。実際に稼働している量産ラインを使用するため、通常と異なる作業をしてもらうことになり、段取りが増えて工数がかかったりするので、現場の状況を把握する必要があるからです」(本間さん)
ハタラクヒト
良い製品をつくるためにみんなが一丸となる熱いシゴトバ
 本間さんに「コマツではどんな人たちが働いているのか、どんなやりがい、魅力があるのか」などについて、お話をうかがいました。

 2006年に入社した本間さんは、工学部機械知能システム学科出身。学生時代からものをつくることが好きで、エコノムーバー(ソーラーカーなど)の製作をするサークルに所属していたそうです。本間さんが就職先にコマツを選んだのは、「モノづくりの中でも、働く車かロボットを作りたいと思ったから」だそうです。

 入社後は一貫して、油圧ショベルの開発に携わっている本間さん。仕事のやりがいはどこにあるのでしょうか。
「配属された当初は先輩の手伝い的な仕事でしたが、その後、新機種開発のプロジェクトでは量産に至るまでの一連の流れを経験しました。コマツでは、若手のうちから責任ある仕事を任されます。しかも私はラッキーなことに、主力機種に携わっています。厳しいことを言われることもありますが、みんなで一つのものをつくり上げていくところが面白さであり、やりがいを感じます」

 「大学で学んだ知識があれば仕事ができるというわけではない」という本間さん。そこで問われるのがコミュニケーション力だそう。
「教えを請わないと前に進まないことがたくさんあるので、コミュニケーション力はかなり求められますね。また、自分のアイデアに対して、さまざまな人から意見をもらうことでよりブラッシュアップされる。良いものをつくるためには、とにかく“動く”ことが大切。日ごろから、いろいろな部署に出向き、自分のアイデアを確認してもらうことを心がけています」

 最後にコマツという会社の風土や文化について聞いてみました。
「良い製品をつくりたいという思いが強い人が本当に多い。だから、それぞれの立場の人たちが専門家としてのプライドをかけて本音でぶつかりあう場面をよく目にします。本当に納得のいくものをつくりたい。そういう人は、きっとやりがいが大きいと思いますよ」

気分転換を図るための癒しスポット

屋上です。
「昼休み、風を感じながらここでボーっとして過ごすんです。気分転換にもってこいですね。昼食をここで食べる人もいます」(本間さん)
各階に用意されているリフレッシュコーナーです。カウンターの奥には清涼飲料の自動販売機が設置されています。窓が近く、明るいのが特徴。
「ここでちょっとした打ち合わせをすることもあります」(本間さん)

コマツにまつわる3つの数字

油圧ショベルやブルドーザーなど建設機械の分野で世界をけん引しているコマツ。以下の数字は何を表しているのでしょうか? 正解は、次回の記事で!

1
22万台
2
148カ国
3
300〜72万
キログラム
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取材・文/中村仁美 撮影/福永浩二 デザイン/ラナデザインアソシエイツ

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