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就職白書2012

新聞・テレビなどのメディアでも話題の、大卒の就職事情。リーマン・ショック以降、厳しい状況が続いている上に、東日本大震災の影響で選考スケジュールも大きく変わった2012年卒業の学生の就職活動とは一体どうだったのか? 企業、学生へのアンケート調査から、実態をレポート。また、2013年卒予定者や今後の動向はどうなるのか? 企業の事例や、大学の取り組みも含めて考えたい。

掲載日:2012年3月30日

Vol.05 学生と企業がお互いを理解し合える、適材適所に不可欠なプロセス

洗剤、化粧品など生活に密着したヒット商品を次々と送り出すプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&Gジャパン)。現在、世界180カ国以上で事業展開している、世界屈指の消費財メーカーである。アメリカでは毎年500人以上の学生をインターンシップで受け入れ、日本でも80年代からインターンシップを積極的に活用している。

入社後にやりたいこと、できることを具体的にイメージさせる

当社は、「人」を大切にする企業です。人材こそが会社の未来を担う最も重要な資源だと考えているからです。ですから、新卒採用では学生に当社の企業戦略や業務内容を正しく理解してもらうことを最優先に考えています。その意味でインターンシップの果たす役割は大きいですね。この制度を利用した学生は、数日間〜一週間かけて社内で社員と働きながら課題に取り組むので、会社のことをより詳しく知ることができるし、入社後、自分が社内でやりたいこと、できることの具体的なイメージを持つことができます。その効果は、当社の入社後の離職率や転職率の低さにも表れていると実感できます。また私たちにとっても、学生の資質に加えて現場での対応力を考慮に入れた適材適所の配置ができるので、双方に大きなメリットをもたらしています。

P&Gでは、世界80カ国以上の拠点で、185の異なる国籍を持つ人々が年齢や性別の差別なく働くダイバーシティ(多様性)を推進しています。世界各地で採用を行っているので、各国の事情によってインターンシップの在り方も異なりますが、学生に実社会を体験してもらう「素晴らしい機会を与える」という目的は同じで、日本だけではなく多くの国で、インターンシップのパイオニア的な役割を果たしてきました。海外では、インターンシップの期間は2カ月間(8週間)が一般的です。学生は制度を利用して働き、報酬を得るという目的もありますが、日本では、採用活動の一部として、学生が会社のことをより深く学ぶために制度を利用するというのが特徴です。いずれの場合も、私たちが大切にしているのは、どんな人を何人採用したかということではなく、どうやって人を選んでいくかというプロセスです。

社員が活用している社内メンター(※)も、内定後から利用できます。メンターは、学校の先輩だったり、インターンシッププログラムの指導者だったり、学生によって異なりますが、会社に対する不安をいつでも相談できる仕組みを社内に用意しています。例えば、私の現在のメンターは、シンガポールオフィスで働いているドイツ人です。彼は、以前P&Gジャパンで働いていたことがあるので、業務のみならず生活全般のことも相談しています。「外国人」としての日本社会の立場なども参考になりました。学生は入社後、業務に慣れてくると、新たに仕事上有益なメンターを探すなど、積極的にこの仕組みを活用しています。インターンシップや、社内メンターを通じて、私たちも学生が、入社後、効率的にビジネスに貢献し、ともに成長していける姿を見守ることができるのです。
(※)仕事やキャリアの先輩として仕事面や精神面でアドバイザーになってくれる人のこと。

学校の知識とビジネス社会での経験、両者のバランスが大切

日本の学生を見ていて感じるのは、学問や知識のレベルはものすごく高いのに、ビジネス社会での実践力を磨く機会が少ないということです。大学の勉強の一環に、ビジネススクールのような、プレゼンテーション力や企画を通す力などを身につける機会があるといいですね。例えば、私の母国、インドでは、多くの学生が学士課程修了後に、修士課程でビジネスを勉強し実践力を身につけ、自分がいかに有益な人材であるかをアピールします。これに対し、日本の学生は、自分に何ができるかより、何をやらせてくれるかという仕事の質を重視する傾向があります。仕事への忠誠心は強いですね。学生がビジネスに染まっていない分、斬新な発想が生まれるという利点もありますから、バランスが大切です。社会全体の取り組みになるので、変化には長い月日が必要になると思います。インターンシップのように、学生が実際の会社の空気に触れること、その会社の文化を感じることは、とても貴重な機会になるはずです。P&Gに限らず、できるだけ多くそういう機会を持ち、自分がどういう職種で企業や社会に貢献できるのか見極めていってはどうでしょうか。

選考スケジュール

※2013年卒業予定者向けのスケジュールを紹介しています

  • ・エントリー
  • ・オンラインテスト
    ※リーズニングテストおよび適性検査
  • ・筆記試験(英語含む)
  • ・職種別説明会
  • ・面接複数回
    ※面接以降のスケジュール・内容は職種によって異なります。
  • ・インターンシップ
  • ・内定

■P&Gジャパンのインターンシッププログラム

夏期は、“Summer Business School”というプログラムを実施。講義・ケーススタディを通じてどのように戦略を立てるか、どうしたらGlobal Business Leaderになれるかということを学ぶ。具体的なP&Gの業務内容、というよりはキャリア形成を始める第一歩を踏み出した学生のニーズを意識したプログラムになっている。

冬期以降は、オンラインテスト、英語を含む筆記試験、そして面接で参加者が絞られる。学生は、プログラムの最後にマネジメントを含む各職種の社員に向けてプレゼンテーションを行うことが多く、プレゼンテーション後は一社員のように詳細なフィードバックを受ける。

対象者は、数日〜一週間、P&Gジャパン社内や工場などの現場で社員と課題に取り組む。実際に上司や先輩と同じ空気を吸い、語り、時間を共有することで、働くことへの目的意識が高まるという。入社後の職業観のギャップが少ないため、入社数カ月で離職する新人はほとんどいない。

また、インターンシップ期間中も、学生に対して社内メンターを適用している。社内メンターでは、社会人として経験豊富なメンターが、若手社員に業務の役割モデルや成功モデルをイメージさせながら実際の行動を促すアドバイス、指導が随時行われる。内定者に対し業務のみならず精神面の不安まで相談にのってくれる社内メンターの存在を見ても、「人」を大切に考える企業の姿勢がうかがえる。

学生は、プログラムの最後にマネジメントを含む社員へプレゼンテーションを行う。
学生は、プログラムの最後にマネジメントを含む社員へプレゼンテーションを行う。

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取材・文/釣田美加 撮影/笹木淳 デザイン/伊藤雄志

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